Fate/Prototype

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Fate/Prototype

Fate/stay night』の原典にあたる通称「旧Fate」のリメイク。

カーニバル・ファンタズム 3rd Season』に特典映像として「synopsis」(要約・概要)が収録され、設定資料集「Prototype material」が付属。

また、設定資料集+対談+アンソロの書籍『Fate/Prototype Tribute Phantasm』が発売された。

『stay night』とはもちろんのこと、「旧Fate」とも一部設定が異なる。

コンプティーク2013年8月号より、小説を桜井光氏、絵を中原氏が担当した外伝小説『Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ』の連載が開始した。

登場人物

沙条綾香
主人公。聖杯戦争のマスター階梯は最下位の「第七位・権天使」。
過去の出来事によりコンプレックスを抱えている。
セイバー
綾香のサーヴァント。サーヴァント階位は最高の第一階位。
玲瓏館美沙夜
マスター階梯「第二位・智天使」の実力ある魔術師で、ランサーのマスター。綾香の素質を認めて彼女をライバル視する。猟犬を使い魔に用いる。前回の聖杯戦争で聖杯でなければ解けない呪いをかけられている。
ランサー
真名はクー・フーリン。第4階位。動物使いでもあり、マスターの使い魔と相性は良い。切り札の「穿ちの朱槍」は美沙夜の家に封印しており、急造の槍を使っている。
美沙夜のサーヴァントだったが彼女が呪いで屍人へと堕天してしまい、彼女の願いである自身の殺害を果たすために、セイバーを失った綾香と再契約することとなる。
アーチャー
第3階位。サーヴァント階位が下なのが気に入らず、セイバーを付け狙う(バーサーカーは理性と引き換えなので容認)。
だが綾香と出会い彼女の美しさに心奪われ、情熱的なアプローチを繰り返すようになる。
アーチャーのマスター
長髪でメガネの男性。高層ビルのオーナー兼社長。
マスター階梯は「第五位・力天使」。左貌に令呪があり髪で隠れている。
ライダー
第5階位。数多くの宝具を持つ。
非業の死を遂げた英雄が召喚されることが基本の聖杯戦争において、マスターの望みで「幸せに生涯を閉じた英雄」として召喚された。
伊勢三杏路
ライダーのマスター。外見年齢10歳程の少年。マスター階梯は「第三位・座天使」。前回の聖杯戦争でビーストの犠牲になり、医療機械と魔術で補われてマスター候補として命を保たされてきた。生身は上半身のみで、手足は腐り、脈動だけ苦痛を味わう生きた屍。
ライダー召喚の負荷により7日後に死亡。
サンクレイド・ファーン
聖堂教会・第八秘蹟に所属する僧侶でテンプル騎士団から派遣された異端審問員。バーサーカーのマスター。本来のマスターを殺害してマスター権を奪った。公式上は人を殺しすぎて処罰されたことになっていて、名前は買ったアメリカ国籍の偽名。綾香に異常なまでの執着心を見せる。
平和主義者を騙るが、東洋人を蔑む人種差別主義者。
令呪は舌にある。
バーサーカー
第2階位。
キャスター
ライダーと因縁を持つサーヴァント。
夜の学校を異界化させセイバーと戦うが、ライダーに妨害される。
沙条愛歌
綾香の姉で、かつてのセイバーのマスター。
前回のマスター階梯「第一位・熾天使」。
ビースト (Prototype)
愛歌が召喚しようとしている第8のサーヴァント。
多くの人間の欲望という悪意が溜め込まれた大聖杯から呼ばれる高位の存在。
666の数字を持つ黙示録の獣。
沙条広樹
綾香と愛歌の父。綾香の記憶では、綾香を「平凡」「凡人」呼ばわりしていた。また大聖杯に生贄をささげたりセイバーに愛歌を殺させるなどの凶行におよび狂死。綾香の過去の記憶に混乱があるため、愛歌の言葉や行動も父の物として記憶されている。
美沙夜の父
美沙夜に呪いをかけた、と思われていた。綾香の父とは旧知の仲だった。

用語

令呪
基本設定は同じだが、『stay night』の令呪が幾何学的な模様であるのと異なり、『Prototype』の令呪は天使の羽がモチーフとなっている。ただし、サンクレイドの令呪のみ悪魔の翼と多数の目がモチーフのデザインとなっている。
『stay night』が各マスター固有のものであるのに対し、『Prototype』ではマスターの階梯を表す象徴的な意味を持つ。羽の枚数が多いほど高位のマスターであることを意味する。ただし、デザイン上の区別であって、令呪の機能、命令権が三回という原則は階梯に関係なく共通。
聖杯戦争
教会の実力者(枢機卿の1人)が模倣聖杯を持ち出して、魔術師協会に正式に依頼して行われているもの。
聖杯
魔術師たちには「根源」に至ることができる願望器と売り込まれているが、真の目的は英霊以上の高位存在を召喚する為の道具となっている。聖杯にはサーヴァントの魂だけでなく、人々の想念が溜め込まれる。しかし人間の想念は欲望の悪意が多いため枢機卿が望んだ結果にはならなかった。

雑誌付録ドラマCD

船上のメリークリスマス殺人事件
月刊コンプティーク2012年12月号付録。
シナリオ:磨伸映一郎

メモ

  • 「旧Fate」以外にも「オリジナルFate」「Fateオリジン」とも。実際のタイトルはシリーズ作と同じく「Fate」のあとに英語のスタイル。また、スラッシュは『stay night』以降からの起用である。
    • 武内崇と奈須きのこが高校生時代に出した同人誌では「フェイト・スキッパー」というタイトルが付けられた。[出 1]。二人によると、このタイトルは「悲劇的な運命を回避するための物語」という意味で、そして「悲劇的な運命を迎えた英雄が呼ばれるから」という意味も含んでいる。が、今の奈須きのこはその単語が恥ずかしくて、復活させたくないとのこと。[出 2]
  • 旧Fateは奈須きのこが高校生時代に書いたもの。未完。
  • 旧Fateを書いたきっかけは、石川賢の漫画版『魔界転生』を読んで、自分も魔界転生を書きたいと思ったから。「Fate」=「TYPE-MOON版魔界転生」とのこと。
  • 7組同士のバトルロイヤルというよりは、6人相手の魔界転生的な潰し合い、という感じだったらしい。
  • 旧Fateの基本プロットは八十年代の伝奇小説の王道とも言える「世界を革命する話」。『stay night』はそれを「個人を革命する話」に作り直したとのこと。

話題まとめ

  • 「旧Fate」から『stay night』への変更点など
    旧セイバーから、セイバー他へ
    『Fate/stay night』では女性だが、「旧Fate」では男性。
    『stay night』製作の都合上、主人公を男性にする必要があり、どうにかそれができないかと悩んでいたところに武内崇氏から出されたのが、「女性の騎士王」案。奈須氏に、「コイツ、俺のセイバーを女にしやがった」と言わしめたらしい。
    性格はシニカルで、男性サーヴァントと女性マスター、という関係も含めて、これらの要素はアーチャーと遠坂凛に引き継がれた。
    ブラック化したセイバーのデザインが『stay night』のギルガメッシュのデザインの元になっただけあって、「Character material」で公開された容姿は『stay night』のギルガメッシュに近い。
    『Prototype』にあたってはリデザインされ、『stay night』のセイバーの面影を持つ容姿となっている。
    旧アーチャーから、アーチャーギルガメッシュ
    『Fate/stay night』のアーチャーは新規に作られたキャラクターであり、ここでいう旧アーチャーとはギルガメッシュのことを指す。2本の剣で戦う、というスタイルがかろうじて『stay night』のアーチャーに受け継がれた程度。
    黄金の鎧を着ているのは「旧Fate」と同じ。『stay night』におけるギルガメッシュのデザインは、旧セイバー(黒化した旧セイバー)から流れてきたものと言われる(『stay night』の鎧デザインは武内氏ではなくこやま氏)。
    旧ライダーから、ライダー
    『Fate/stay night』では女性だが、「旧Fate」では男性。真名はテセウス。『stay night』制作にあたり初期の頃は真名がペルセウスの予定だった(「旧Fate」でも宝具が手綱であることが言及されているので、テセウスというのは誤植あるいは混同したのではないかと思われる)。その頃はまだマスターも「旧Fate」と同じく死亡済みという設定だった。
    しかし「美少女ゲーム的に女性キャラが少ない」ということで、男性サーヴァントの中で性別を女性にしても唯一問題がなかったため設定変更されて現在に至る。
    なお、『stay night』版ライダーの初期デザインは、美綴綾子に流用されている。
    旧ランサーから、ランサー
    性格・能力等にほとんど変更点はない。容姿は『stay night』では青いボディスーツ風だが、『synopsis』ではがっしりとした体格をしており、容貌も精悍な面持ちとなっている他、鎧を装備している。
    最初に主人公を襲うサーヴァント、という立ち位置は『stay night』に引き継がれているが、『Prototype』ではそのままマスターの美沙夜共々、主人公のライバル的ポジションになったらしい。しかし『stay night』ではアーチャーが新規に登場したため、そちらのライバルの立場へシフトした。
    旧バーサーカー&マスターから、バーサーカー&イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
    旧バーサーカーの真名もヘラクレスであり、変更されていない。
    旧バーサーカーも宝具の名称は「十二の試練」であったが、能力は違い、蘇生魔術ではなく「11回の戦闘までは絶対に負けない」という概念だった。自分以外6人しかいない聖杯戦争では無敵と思われたが、旧アーチャーが「絶対に生き残る」という概念で応戦、旧バーサーカーは負けなかったけど死んでしまった、という結末だったらしい。
    また、『stay night』では「十二の試練」の能力の一部である「Aランク未満の攻撃は無効化する」という効果は、「旧Fate」では「神性」のスキルで表されていた。
    イリヤの設定は、聖杯戦争の在り方が「旧Fate」と『stay night』でほぼ別物であるため、こちらもほぼ別物に差し替えられていると思われる。
    旧キャスター&マスターから、キャスター&葛木宗一郎
    マスターが前衛、サーヴァントが後衛、というスタイルは「旧Fate」の頃から。マスターが魔術師ではない一般人で教師、という点も引き継いでいる。旧キャスターの真名もメディアであり、変更されていない。
    『stay night』ではキャスターは別の魔術師に召喚された後に葛木をマスターにしているが、旧キャスターは最初から一般人のマスターに召喚されたらしい。旧キャスター的には「ハズレ」を引いたと一端は嘆き、全部自分でやろうとしたが、得意な事は何? と問うて返ってきたのが「人殺し」と。一緒に戦ってみたら意外とイケる、と考え直したとかなんとか。「旧Fate」では教師ではあるが、生粋の格闘家だった。
    パートナーが殺人者という設定は『stay night』と『Zero』共通のモチーフとなっている他、一般人に召喚された設定は『Zero』に流用されている。
    旧アサシンから、アサシン
    ほぼ変更点はない。真名は佐々木小次郎で、マスターも旧キャスター。「旧Fate」では容姿が「魔界医師メフィスト」のような系統の妖しさのある性別を超越した超絶美系キャラだった。また佐々木小次郎が実在して宮本武蔵とも決闘した本人の英霊という設定だった。
    なぜ佐々木小次郎がキャスティングされたかというと、『魔界転生』へのオマージュらしい。なおFateを書くきっかけになった『魔界転生』にはライバルの宮本武蔵は登場するが、小次郎は名前のみ(魔界転生は死者蘇生というより生前に準備が必要な生まれ変わりであり小次郎は二十数年前に武蔵に殺されているため)。
    生徒会長から、柳洞一成
    「旧Fate」では中盤以降に魔術師サイドに関わっていくが、『stay night』では完全に一般人。
  • 「旧Fate」から『Prototype』への変更点、『Prototype』では不明な点など
    セイバー
    「旧Fate」ではアーチャーに敗北して消滅、バーサーカーのマスターがブラック化したセイバーを再召喚、ランサーと仮契約した綾香と戦って正純化する。『Prototype』ではバーサーカーに敗北して沙条綾香の命を盾にマスター権を奪われる。
    ライダー
    「旧Fate」ではテセウス。『Prototype』ではペルセウス。
    ライダーのマスター
    「旧Fate」では女性。『Prototype』では少年。
    アーチャーのマスター
    「旧Fate」では神父で、葛木と同じ孤児院出身。『Prototype』では社長でビルオーナー。
    キャスターのマスター
    「旧Fate」では神父(アーチャーのマスター)と同じ孤児院出身で格闘家タイプの撲殺教師(葛木)。『Prototype』では不明。
    キャスター
    「旧Fate」ではメディア。『Prototype』では不明。
    アサシン
    「旧Fate」では佐々木小次郎。『Prototype』では不明。
    バーサーカーのマスター
    「旧Fate」では能面のヤツ。牧師。『Prototype』では本来のマスターは死亡済みで不明。神父であるサンクレイドが殺害してマスターになっている。
    バーサーカー
    「旧Fate」ではヘラクレス。『Prototype』では不明。
    ラスボス
    「旧Fate」ではセイヴァー(『Fate/EXTRA』に流用されたのはクラス名だけで中身は違ったらしい)。『Prototype』ではビースト。
  • 『Prototype』世界とTYPE-MOONの世界観の関係
    『Prototype』の世界と現在良く知られる『stay night』やそれと同じくする型月世界とは、普通に考えて『EXTRA』や『Apocrypha』等のようなパラレルワールド以前に完全に断絶していると思われる。この世界ではアーサー王は男性であり、ギルガメッシュも同一の英雄であるが別人。そもそも魔術体系も違うと思われる。番外編などでは普通に他作品と交流しているが、『DDD』等のように地続きではないのだろう。…しかし『strange Fake』にて『蒼銀のフラグメンツ』と同一能力と思しき「静謐のハサン」について言及が成されていたり、『Grand Order』では両世界のクー・フーリンが同時に存在しており、「良く似た誰かが両世界に存在する」のは事実の様だ。

商品情報

脚注

注釈


出典

  1. information Rかであ
  2. 『Fate/Prototype Tribute Phantasm』p.38

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