無銘
アーチャー (EXTRA・赤)
- 真名:無銘
- 身長:187cm/体重:78kg
- スリーサイズ:B97/W81/H96
- CV:諏訪部順一
「弓兵」のクラスのサーヴァント。ムーンセルの聖杯戦争において、主人公によって召喚される。
赤い外套に身を包んだ武人。
- 略歴
- 主人公と共に戦うサーヴァント。主人公がマスターとして不完全であるため、当初はその霊格の全てを再現できない。
戦略的な理由から、真名と宝具の正体を明かさぬまま、聖杯戦争に挑む。
『stay night』のアーチャーを彷彿とさせる様々な共通点があるが、真名は「エミヤ」ではなく「無銘」となっている。
また、生前の自分と今の自分は別の存在であると語り、更には記憶の一部に損壊があるとも述べる。
主人公も、「アーチャーは嘘を言っていない。記憶が曖昧というのは本当だ。マスターとして彼の経歴を閲覧すると、所々ノイズが走る。無銘である彼にとって、英霊になる前の記憶はひたすら失われていくものなんだ」と述べている。
ただし、NPCとして再現された言峰綺礼に対し「実物はあんなものじゃない」とこぼしたり、様々な場面でエミヤを彷彿とさせる言葉を漏らしている。
- 人物
- 容姿・性格共に『stay night』のアーチャーと同一。赤い外套を纏った浅黒い肌の男性。気障で皮肉屋な現実主義者。それでいて、根本的にはお人好しで世話好き。
主人公に対しても、口うるさく接するものの、結局その言葉は主人公を案じてのもの。ぶっちゃけオカン気質。CCCの女主人公は彼のことを「頼れる兄」か「少し気になる異性」と思っているのだが、その好意に鈍感でよくデリカシーのない発言をしては殴られたりしている。また女主人公の体重を勝手に計測するなど、世話焼きが過ぎてストーカーのようになったり、性に関する微妙な問題で女性陣に引かれるような発言をしてしまうなど残念なところが多い。
『stay night』のアーチャーと違い、ムーンセルに「正義の味方」として使役されているためか、堂々と「正義の味方」を自称する。だが同時に、「正義の味方である」とは語っても「英雄ではない」ことを強調して繰り返す。
- 能力
- スキルは若干異なるが、基本的には『stay night』のアーチャーと同じ能力。弓の腕前は勿論のこと、弓兵でありながら一対の夫婦剣を用いた白兵戦も得手とする。
マスターとの相性によるものか、投影宝具『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』の能力が格段に強化されており、「約束された勝利の剣」と同等の対城宝具「転輪する勝利の剣」すら完全に防ぎきる。また、飛び道具以外にも対応可能となり、ランサー(EXTRA・青)の『刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)』でさえ無効化する。その性能は最早別物と呼んでいいレベル。
CCCでは固有結界内限定とはいえ彼の騎士王の聖剣を投影する『永久に遥か黄金の剣(エクスカリバー・イマージュ)』を披露。多大なMPを消費する代わりに凄まじい威力を発揮する。
宝具
真名:無銘
名前のない英雄。架空の英霊。フェイカー。
かつて正義の体現者として人生を費やした、錬鉄の魔術師の末路。生前、奇跡の代償として「死後の自分」をムーンセルに売り渡し、以後ムーンセルに使役されている「正義の味方」の概念。大衆が望む「正義の味方」が、人のカタチで起動した存在。
この英霊の元になった人物、そういった過去を歩んだ人物は確かに存在するが、彼が英雄として祀られた時点でその名前は人々の記憶、歴史から忘れ去られている。
正義の味方の概念が人のカタチで起動した存在。人々に認められなかった名も無き正義の味方の代表者。故に真名も生前の名「エミヤ」では無く、「無銘」である。
『アーチャー』は語る。あくまで一つの逸話、一つの参考として、「正義の味方」を志した人間である『彼』の物語を。
「サバイバーズギルト」。事故や災害で多くの人命が失われた後、生還者が抱く罪悪感や責任感といった強迫観念。
生き残ったのは自分が特別だから。あるいは、生き残った以上、死んでしまった者たちの代わりに、何か特別な事をしなくてはならないのではないか?そうでなければ、死んでいった人たちに申し訳がたたない。死んでいった人たちの代わりに、この悲劇を二度と起こさない。そんなふうに、『彼』は思った。
「多くの人間を助ける、正義の味方になる」。それが『彼』の誓いだった。
子供の夢。絵空事。普通ならそんな終わりを迎えるはずだったが、彼はその在り方を体現してしまう。
力あるものが私欲によって私欲を満たすのなら、人々の代わりにこれを撃つ。罪を犯すものがさらに罪を犯すのなら、犠牲者をだす前にこれを撃つ。正義の味方になるのはそう難しい事じゃない。私欲を殺し、理想に徹すれば、人間は簡単に正義の体現者になれる。
……致命的に間違えているコト、最も過酷だったコトの説明を意図的に省き、『アーチャー』はそれを何でもないことのように語る。
ボランティアやレジスタンスを通し、個人の力の及ぶ範囲で、多くの命を救った彼は「人々の噂になるぐらいには活躍した義賊」となる。独りきりだったのは数年で、後には理想に賛同してくれる友人を得る。マネージメントを友人に任せ、彼はますます自分の使命感に没頭していく。
自虐的に笑うものの、『アーチャー』にとって、これはこれで一つの青春だった。幼い頃に誓った理想に自分の全てを傾け、協力してくれる友人と、理解してくれる恋人もいた。だから「アレはアレで楽しかった」と、『アーチャー』は懐かしそうに微笑む。
だが、『アーチャー』は繰り返す。「客観的に見れば彼はただの犯罪者だ。正義の味方であっても英雄じゃあない」と。
「百人を助けるために、十人を見捨てるような理想が?食うに困り、家族のために窃盗を行うしかなかった集団を一方的に殺す事が?あるいは――これはどうだ。旅客機の中で危険なウイルスが蔓延し、一分単位で乗客が死んでいく状況があったとする。
その状況で、それでも乗客たちは死力を尽くして空港を目指した。罵りあいながらも、最後には手を取りあい。たとえ自分は死んでも、誰か一人でも助かるのなら、と 助け合った人々。
だが彼らが地上に降りれば、ウイルスの感染は本格化する。乗客五百人の命と、地上の都市三十万の命。どちらも罪のない人々だ。違いはただ多いか少ないかだけ。むしろ、地獄の中でなお生き残ろうと互いを励まし合い、助け合った旅客機の中の人々こそ最大の被害者だ。
その、最後まで人間としての誇りを捨てなかった人々を、彼は撃った。地上に降りれば、空港に不時着できれば誰かが生きて帰れる。そんな小さな願いごと藻屑にした。
それが彼の理想だった。"より多くの人々を助ける"という、偏った正義の体現だったんだよ」
「悪だ。どのような理由であれ、利益のために人を殺すのは、悪だ。
彼は『多くの人々の命を守る』利益のために引き金を引いた。結果的には、誰の命も救っていない」。『彼』が執着したのは「理想」であって「人間」ではない。
「英雄」とは、「理想」ではなく「人間」を救うもの。『アーチャー』にとって、それが生前の『彼』に対する結論だった。
理由はどうあれ、彼は人を切り捨てる。客観的に見て『彼』の選択は正しかった。どれだけ非人間的であろうと、その取捨選択はより多くの命を救ってきた。
――けれど。その、捨てられた命こそが、彼がもっとも救いたかった命だった。
結局、「正義の味方」という独善を執行する装置は、むしろ、犯罪者などよりもよほど恐ろしいものとして、人々の目には映ることになる。
情も、一切の交渉の余地もなく、「悪」を裁く正義の味方。一体この世のどこに、誰が。何の見返りもなく、他人に尽くす事ができるだろう――?
「あの男は、何か恐ろしい企みを隠しているのではないか?」「我々は彼の正義面に騙されているのではないか?」
疑心暗鬼。その結末は、社会の手による「正義の味方」への断罪。司法の手によって罰を受け、彼は法廷の名のもとに、その一生を終える。いかなる暴力、誘惑、脅迫にも屈しなかった彼は、しかし、「正義の味方」であるからこそ、人々の下した判決には逆らわなかったのだった。
彼を捕らえたのは、友人だった。
だが、友人が彼を裏切ったのではない。最初から、裏切っていたのは「正義の味方」だ。
「この男は、自分を好いているから力を貸してくれていると思っていたが――もし俺が大衆にとっての悪になれば、なんの躊躇もなく敵に回るだろう」
人間的な繋がりで仲間だと思っていた彼が、その実、肉親であろうと正義を執行する悪鬼だとしたら。もっと昆虫的な、システムの権化のような怪物だったとしたら。
……だから、友人は気づいたのだ。今まで彼によって抹殺された相手は、未来の自分の姿だと。権力者である限り、いつかは自分も倒されると。
ならば、急いで――この暴走した「正義の味方」を、陥れずにはいられなかった。
生前の彼も、今の『アーチャー』も、友人を恨みはしなかった。ただ一つ、心遺りだったのは――
いつか、自分が死ぬ時は、己が切り捨て、犠牲としてきた無辜の人々の、正しい糾弾によって……必要悪は、人々の善性によって断たれるべきだ、と。
それこそが、唯一と言えた人間的な救いであったのに……
誰かに憎まれての死ではなく、単に、誰かの利益にならないから殺された。
それが、理想の正しさだけを心の寄る辺にしてきた青年の、当然の末路。
「――より多くの人々を守る」
因果応報。彼は彼が切り捨ててきたものと同じように、人間性を剥奪されて消え去った。
登場作品と役柄
- Fate/EXTRA
- 主人公と共に戦うサーヴァント。
- Fate/EXTRA CCC
- 前作に引き続き登場。新衣装は、素肌の上から羽織った赤い皮のジャケットに、黒い皮のズボン。
- TYPE-MOONエースVOL.6付録DVD「フェイト/エクストラ」劇場
- 記憶を失い、状況もよくわからないままゲームの解説をする。
人間関係
- 主人公
- マスター。CCCにおいて主人公とは実は面識があった(アーチャーにとっては生前、主人公にとっては聖杯戦争後の記憶を無くし目覚めた後の現実)事がアーチャーの会話とプロローグで判明した。なお、EDにおいては主人公の性差分CGがあり、性別に関係なく面識がある模様。ただしCCCのアーチャーSG3は女主人公でしか獲得できない。
- 親友
- ビジュアルファンブックの小説において、契約したマスター。主人公の親友。
- セイバー (EXTRA・赤)・キャスター (EXTRA・青)
- ゲーム本編では機会が無いが、外伝作品では共演することが多い。能天気な彼女達のフォロー役やいじられ役に回ることが多々あるため、苦労が絶えない。
- アーチャー
- 平行世界の同一人物とも言える存在。厳密には異なるのだが、かつて行われた聖杯戦争の記憶を受け継いでおり、凛や慎二のケースとは異なり、互いに密接な関係にある。
- 衛宮士郎
- 平行世界の自分の元になった人物。こちらのアーチャーの生前の姿もやはり彼に似ており、戦い方や時代こそ違えど、その信念や言動、人間関係は似通っていた模様。
- 遠坂凛
- 彼女とは関係者でもないし、サーヴァントとして契約した事もない」と断言している。凛の方も、彼に反応することはない。
だが、「はじめて見るクセに、妙に懐かしい」と、互いに出所のわからない複雑な感情が湧き上がるようで、彼の推測によれば、「根源に刻まれた腐れ縁」らしい。
CCCにて、実は主人公と同じく面識があった可能性が仄めかされている。彼女の方は彼の面影に似た人物を呟き、アーチャー当人は「生前手を焼いた生徒」が話題に出たとき、彼女を示唆する人物像を挙げた。
- 間桐桜
- やはり彼女についての記憶もあるらしく、いつも「桜君」と丁寧な呼び方で呼んでいる。平行世界で救えなかった無念があるためか、彼女の体調を気にかけており、CCCの真のルートでは主人公に彼女を託す。
- BB
- もう一人のサクラ。主人公の前ではあくまで彼女は敵、と割り切っていたつもりだったが、桜の面影を多く残す彼女と戦うのは内心かなり抵抗感を感じており、主人公に協力して出来れば救いたいとさえ思っていた。メルトリリスにはその気持ちは筒抜けだったようで、初対面で指摘されてしまう。
- ライダー (EXTRA)
- 一回戦の対戦相手。史実と異なり女性であった人物と深い関りが有ったため、彼女を貶さずその健闘を称える。
また彼女のマスターである間桐慎二に対して、「名前というものはここまで強い縛りがあるのか。別人と分かっていても、因縁を感じずにはおられんよ」とコメントをしている。 - アーチャー (EXTRA・緑)
- 二回戦の対戦相手。英雄になった経緯や戦いへの考え方など共通する面は多いが、決定的な所でお互いに相容れない存在らしく、嫌っている。
- ランサー(EXTRA・青)
- ラニルートにおける、六回戦の対戦相手。平行世界での戦いの記憶がお互いにあるらしく、『EXTRA』の世界では剣を交える機会が六回戦の決戦だけなのに、「腐れ縁も此処までだ」というセリフを言い放つ。
最後まで決着が着かなかった因縁の戦いに終止符をうつ。 - バーサーカー (EXTRA・赤)
- 凛ルートにおける、六回戦の対戦相手。やはり平行世界の記憶があるのか、「巨人殺しには慣れている。」と言い、更に「その矛、俺のアイアスを貫けるか?」と教会前でのランサーとの戦いを踏まえた挑発をする。
洞察力の優れるアーチャーは初見で彼が半人半機であると見抜いていた。 - セイバー (EXTRA・白)
- 決勝戦の対戦相手。彼がかつて仕えた王が、「人のまま王になった」ことを尊いと思わないのか、と彼の騎士道を糾し、互いに譲れぬ物のために死力を尽くす。
ビジュアルファンブックの小説では親友のサーヴァントとして三回戦で激突するが傷つける事も叶わず、敗北した。
- ランサー (CCC・赤)
- 彼女の歌声を聴いて、てっきり「こちらの精神を破壊して弱体化させてから確実に勝利する」という作戦かと思ったと漏らしている。下手をすると瞬殺もあり得たらしく、安堵していた。「………なんて哀しいサーヴァントだ」。
- メルトリリス
- マスターが女主人公の場合、彼女から猛烈なアプローチを受ける。そのせいで女性遍歴に関する彼のちょっと怪しい過去が明らかに。
令呪を以て命じる、爆ぜてアーチャー!
- 両儀式
- 決勝戦終了、現実世界への帰還を目指している彼女に襲われる。刃物コレクターであるため、彼の双剣に目を付ける。
名台詞
Fate/EXTRA
- 「……酷い話だ。間違っても呼ばれるコトなぞないように祈っていたが、まったくの徒労とはな。
抑止の輪はどんな時代でも働き者、というコトか。いいだろう、せいぜい無駄な足掻きをするとしよう」
「選定の声に応じ参上した。オレのような役立たずを呼んだ大馬鹿者はどこにいる?
……ふむ。認めたくないが、この場にいる人間は君ひとり。
念のため確認しよう。君が私のマスターか?」 - 契約時。初登場から皮肉に語りかけてくる。因みに、他のサーヴァントと違って、ここで「いいえ」を選ぶとアーチャーのみゲームオーバー。
- 「おや、それは失礼。マスターなりに気を遣ってくれたのか。
だが、慇懃無礼なのは性格でね、こればかりは変えようがない。サーヴァントは過去の記録の再現だからな。
能力はともかく、性格はもう変革しないものだ。
君も、口の悪いサーヴァントに当たったと諦めるがいい」
「当店ではとっくに、礼儀正しい正統派サーヴァントは品切れになっておりまして。
くわえて、商品の返却は認められていないようだ。まったく、お互い運が無かったなマスター?」 - 一回戦にて。主人公に態度を改めるよう言われるが、あっさり受け流す。
- 「……そうだな。確かに戦う意義は必要だ。どのような願いであれ、心がないのでは機械と変わらない。
だが――君は私を呼んだ。サーヴァントとマスターは似たもの同士でね。自分でいうのもなんだが、私は頑固だ。
思えば、曲がらぬ信念だけが私を英霊に押し上げたものでね。君は、そんな私に近しい人間だ。
いずれ暑苦しいほどの頑固さを発揮するだろうさ。気にする事はない。
だいたい戦わねば死ぬのだろう? 死にたくない、というのも立派な理由だ。迷う暇なぞないと思うがね」 - 二回戦開始時。友人を手に掛けて、凛に覚悟を求められて混乱してしまった主人公を気遣う。
- 「………………。まずいな。真剣に考えると恐くなってきた。
技術云々より、施術する側のモラルがな。赤い方は、倫理はあるが常識がない。青い方は、常識はあるが倫理がない。
……まあ、それぞれがきっかり役割分担している分には事故も起きないとは思うが。
共同作業だけはさせられんな……」 - 魂の改竄について質問され、蒼崎青子(赤い方)と蒼崎橙子(青い方)の姉妹を評して。
- 「私は英雄というより、正義の味方だった。私が執着したものは理想であって、人間ではなかったからね。
だが――英雄というものは、どうあれ人間を救うものだ。理想を救うものではない。
私は正義という価値観のもと、多くの命を切り捨ててきた。その中には当然、無罪の者もいただろう。
この体は偏った正義の体現だ。あの少女を斬り倒す事も、どうという事はない。
話は以上だ。君が契約したサーヴァントは、そういうモノと扱ってくれればいい」 - 三回戦にて。子供を手に掛けたことはあったのか? という問いに答えて。
- 「意義あり! 冤罪と主張する!」
「む……いや、失敬。大人げないにも程がある。私らしくなかったな」
「いいかねマスター。たしかに活発な女性は魅力的だが、にしても、程度というものがある。
あそこまで我が強いと活発というより、お転婆のレベルになる。
傍にいるサーヴァントは心配で気も休まるまい。
君が男性なら一時間ばかり話し合いたい気分だが、そうもいかん」 - 女主人公に凛との関係を突っ込まれて。「ああいうのが好みなの?」「赤いのならなんでもいいの?」と問われての答え。
- 「……狂信者を通り越してアレ一歩手前だな。闇鍋教義とは、また節操のない。」
「悪いがこの手のたぐいは苦手でね。応対は君に任せる。」
「ま、疲れたら適当に相槌を打っておけ。どうせ、何を言っても自己流に解釈するよ、この手の輩は。」 - 四回戦より。ガトーの無茶苦茶な宗教観にさすがにウンザリしているが、ガトーからは「小うるさい蝿」と言われる。
- 「いや、なに。気づいてはいないだろうが、今のはいい顔だった。
確かな決意と、穏やかな覚悟。生と死と対峙した、ひとりの人間の目だ。もう半人前とは言えないな。
――ああ。だからこそ提案しよう。
頃合いだ、マスター。オレは次の戦いで全てを出しきる。切り札を温存するのはここまでだ」 - 五回戦にて。宝具の開示。主人公の成長を認め、己の全てを預ける決断をする。
- 「そう難しい話じゃないんだが。英雄の定義は様々だが、どの英雄であろうと必ず一致する事柄がある。
それは"人の手で人を救う"事だ。人としての欲望、道徳に基づいた思想。自分自身を含めた、幸福の体現者。
その道に邁進した者を、人々は英雄と言う。
自らの欲望、自らの理想を語れぬ者は英雄ではなく、都合のいい舞台装置にすぎない。
……まあ、機械仕掛けの英霊もいるにはいるのだが、それはまた別の計りだ」 - 真名の開示。だが主人公はその「無銘」という名に疑問を覚える。それに対し、アーチャーは「自分は英雄ではない」と語る。
- 「――そうか。それは辛い決断だな、マスター。
だが、誠実だ。恨みも憎しみもなく、あるのは敬意だけ。
それでも、生きる為に押しのけるのだと、君は言った。
ならば、俺から言うことは何もない。君は一人の、自分だけの結論を持った戦士になった。
行こうか、マスター。せめて今日一日、出来るかぎりの準備をしておこう」 - 六回戦にて。ヒロインとの対決に覚悟を定めた主人公に対して。
- 「……皮肉な運命だ。俺をかたどる記憶の核には、彼女とよく似た少女との物語があった。
だが、それはここではない、違う舞台の物語だ。
ゆくぞマスター。今はただ、目前の敵を討つ」 - 凛との決戦時。 ここで彼の言う所の「彼女とよく似た少女との物語」とは、つまりは…!?
- 「いずれにしても、これが君と迎える最後の戦いだ。
最初のうちは不安を通り越して、絶望感すら覚えたが――
今は、君のサーヴァントとして呼ばれた事を嬉しく思う。
では行こうかマスター。人生は短い。ならせめて、後悔なく生き急がなくてはな――」 - 七回戦開始。最強の敵を迎え、しかし主人公との絆に揺らぎはない。
- 「さて。英霊としてどうかはさておき、サーヴァントとしては――」
「幸福な部類だろう。私は実についている。この戦いは、私にも大きな意義があった。
未熟っぷりに頭を悩ます時もあったがね。君は総じて、いいマスターだったと思う」
「嫌味なものか。最強の魔術師も、最高の魔術師も、私にとってはどうでもいい事だ。
能力の高さ、魔術師としての才能はいくらでも補える。
だが――心の在り方だけは、私たちでは補えない。
たとえ最弱であろうと、その心が人間的に正しいマスターと出会えた事は、オレにとって――」 - 己の過去を語り、それを受け入れた主人公に対して、アーチャーは彼なりの最高の賛辞を送る。
Fate/EXTRA CCC
- 「待て、落ち着きたまえ!
自分に無い物を求めるのは分かるが、触ってもご利益はないぞ!」 - リップの魅惑の谷間に魅了され、むしゃぶりつこうとする女主人公へのセリフ。確かにいくら同性とはいえ出会って間もない相手の谷間に突っ込もうとするのはマナー違反だが、サラッとこんなセクハラ発言をする彼も大概失礼な男である。
- 「………………すまない。
緊迫した状況と分かっているが……その、シャワーを浴びて、いいだろうか?
こんな時に不謹慎だとは承知しているが、もう我慢が効かないんだ。
君は魅力的な女性だ。だからこそ話したい」 - CCCにて。メルトリリスと戦った際に付いた毒蜜を気にしてシャワーを浴びたいアーチャーだったが、女性より先に使うのはどうかと思ったのか、女性主人公のご機嫌を伺ってから許可を求めた。ただ言い回しがアレ過ぎたために彼女を誤解させ、あがった彼は「ばかじゃないの」と無言でプレッシャーを浴びせかけられた。
- 「誤解があるようだが、私はそう堅物というワケじゃない。
法律に反しないかぎり、男女交際は積極的に行うべきだ。
人間だって動物なんだから、そこは仕方ないだろう」 - 女性主人公に堅物そうに見えて実はドンファン(プレイボーイ)なのか?と尋ねられて。イケメンでも許されない台詞を、ニヒルに、さも自分が正しいと言い切った。しかも、プレイボーイであることは否定していない。
- 「可愛い子なら誰でも好きだよ、オレは」
- 女の子の好みは?と問われて。自覚が無いだけの女の敵である。彼の女難の相の原因の大半は本人にあることは間違いない。
- 「ハロー...ワークッ!」
- ジナコと会話する為、用務員室のドアを破壊した時のセリフ。実に辛辣。
- 「これを…オレが着るのか?マジで?」
- ぶらっくすいまー(ビキニパンツ)入手時。思わず素が出ている。そのくせ着たら着たで筋肉を猛アピールしてくる。
- 「ラストだ、気を抜くなよ。ここまで来て後ろからグサリ、は優雅じゃない」
- サクラ迷宮内での目的達成時。まるで誰かさんの最期を見てきたかのような台詞である。
- 「そんな大層な質問じゃないさ。おまえが募集していた人員についてだ。
美形であること。若いこと。そして純潔であることが募集条件だったな。
だが----こほん。そもそも未通なのは、君自身だろう!」 - ランサーの最後のSGを取得するため、生真面目に彼女の処女を指摘するアーチャー。
しかしその絵面から主人公と女性陣からはドン引きされ、凛には「即アウト」、ラニには「今年度の紳士動画ノミネート」とまで言われてしまう。
もちろんこの場合、紳士とは変態紳士的な意味合いなのだろう。
- 「禁じ手の中の禁じ手だ………!この投影、受け切れるか!
この光は永久 に届かぬ王の剣………『永久に遥か黄金の剣 』! - 遥か遠い、もう微かな記憶しか残っていない少年の頃、その心に焼きつけた、かの王の持つ黄金の剣。かつてない強敵が蠢く月の裏側で主を守るため、自ら禁じ手としていた投影の極地を遂に抜く。
ブロッサム先生
- 「無事かマスター? すまない、救出が遅くなった。これに懲りたら単独行動は控えーーあいた!?」
- 第三話「たたかえ!! ブロッサム先生 コスト編」より。黒桜を倒して女主人公を助け、お姫様抱っこをするものの、彼女に殴られてしまう。
メモ
- 奈須氏曰く「『Fate』では自分自身を抹殺したいという願望を抱いていましたが、エクストラではその葛藤は解消されている為、丸くなった印象を受けるかもしれません」。
- 奈須氏からFate/stay nightのアーチャーと同一人物と認められている。しかし、本作での真名は「無銘」。
『一応彼は「Fate」の彼と同一人物ではあるんですが、真名はあえてふせています。彼は正義の為に力を尽くしたけれど人に認められることのなかった、名も無き英雄たちの代表としての存在なんです。アーチャーに本来あるはずの真名がないのはそういう理由からなんです。真名が明かされないのではなく、存在しない。真名が「無い」ことが、あの英霊の証だと。
そのような設定にすることで「Fate」を前提しないキャラとして成立するし、「Fate」ユーザーにとっては「真名はないけど、アーチャーの正体はあいつだよね」と察してもらえるだろう』、との事。
それ故か人気投票のキャラクター名では「無銘」ではなく「エミヤ」と表記されている。
- 奈須氏からFate/stay nightのアーチャーと同一人物と認められている。しかし、本作での真名は「無銘」。
- ゲーム中、彼の一人称は基本的に「私」だが、よく「俺」という別の一人称も用いる。
彼自身はこれについて何も言っていないが、主人公が抱いた印象によると、英霊としての立場の発言では「私」、個人としての発言は「俺」を使っているらしい。 - 東京タワーらしきものを背景にした生前の姿が描かれたCGでは、顔は衛宮士郎の面影を持つものの、髪の色は白くなっている。また、武器としてスナイパーライフルらしきものを所持している。
- 彼が語った「ウイルスの蔓延した旅客機」のエピソードは、旅客機内の状況こそ違うものの、衛宮切嗣がナタリア・カミンスキーを撃ったエピソードを彷彿とさせる。
- 『stay night』のアーチャーのスキルが「心眼(真)」であるのに対し、彼のスキルは「心眼(偽)」となっている。
ただし、TYPE-MOON作品の多くが共有する設定において、「心眼(真)」は修行・鍛錬によって培われたもの、「心眼(偽)」は天性の才能によるものとされている。
彼の「心眼(偽)」の説明文は前者のものと同じであるため、「真/偽」の誤植だと思われるが、公式にコメントはない。
また「単独行動」スキルがBからCに低下しているが、原因は不明。こちらは現界可能時間がきちんと短くなって記載されているため、正式な情報である。 - 何気にこれまでの主人公が召喚したサーヴァントの中で、男のサーヴァントは彼が初めてだったりする。
- CCC発売決定に伴い発表された彼の新衣裳は、とにかく話題になった。
「ガトー・モンジスタイル」「HG?」「士郎もかなりセンス悪かったけど、ここまでじゃなかっただろう」と前評判は散々なものであった。
実際彼も当初この衣裳を着せられたことに「言語に尽くしがたい耐えがたさ」を感じていたそうだが、いつの間にか慣れてしまった。更に後半、「ハードに決めるぞ!」「ハードにロックでキメるゼ、MASTER」と、もうノリノリ。そのせいかこの衣裳を批判するファンもいつのまにかいなくなってしまった。 - Fate/EXTRA CCCでは、着せ替え衣装として5種類のコスチュームが登場。
『クール&ワイルド』は、今作「CCC」における衣装。
『赤原礼装』は、前作「Fate/EXTRA」における衣装。「Fate/stay night」からお馴染みの格好である。
『黒色の現代衣装』は、シックな部屋着。伊達だが眼鏡を着用している。
『ぶらっくすいまー』は、ビキニタイプの水着。
『錬鉄の神話礼装』は、物語終盤で彼が獲得する神話礼装。特撮ヒーローのコスチュームにどことなく似ている。 - 「熾天覆う七つの円環」は本来、B+の投擲宝具をほぼ無傷で防ぐものであるが、EXTRAアーチャーのそれは、投擲ではなく近接技の「刺し穿つ死棘の槍」を無傷で防ぎ、明らかに近接で対城宝具の「輪転する勝利の剣」をも防ぎ、果てはモノ殺しのスペシャリスト、両儀式の「空の境界」をも花弁一つ散らすことなく防ぐ。更にCCCでは、それより恐ろしい、カルナの「神殺しの槍」や魔人となった殺生院キアラが放つ「知的生命体では耐えられない対界宝具」すらも完全に防ぎきる。
ゲーム的な仕様が多分に影響しているだろうが、無敵といってもいいほどの防御性能を誇る脅威の宝具と化しており、もし英雄アイアスが持っていた物も同様の性能だったとしたら、彼を傷つけられる者はまずいなかっただろう。 - CCCでは新スキル「永久に遥か黄金の剣」が発現。SNを知る者には剣を構える様に手を添える騎士王の姿を幻視できる。エミヤは「作れば自滅、つまり消滅する」と言っていが、EXTRAの彼はなんの反動もなく投影、振り下ろすという恐ろしい活躍を見せた。
だが彼のそれは「約束された勝利の剣」ではなくあくまで「永久に遥か黄金の剣」であり、贋作の域を出ないと思われる。あるいは固有結界展開中のみ使用可能であることから、「無限の剣製」の中ではエクスカリバーを投影するプロセスを経ないため自滅せずに投影ができるということなのかもしれない。
また、以前語られた「型落ちの聖剣」ではないかという説も存在する。 - CCCの彼のEDにて、主人公は聖杯戦争が始まる以前の時代に冷凍睡眠カプセルから起床し、英霊になる前の人としての彼と会合する。当然アーチャーは英霊になった後の月での自分のことなど知らないが、主人公にはおぼろげながら月での出来事の記憶があるようだ。歴史が捻じ曲げられたのだろうか。