アビゲイル・ウィリアムズ

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2018年1月15日 (月) 09:06時点におけるアムナント (トーク | 投稿記録)による版 (→‎人間関係)
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フォーリナー
真名 アビゲイル・ウィリアムズ
愛称 アビー
性別 女性
身長 152cm
体重 44kg
出典 史実
地域 北米・マサチューセッツ
属性 混沌・悪
声優 大和田仁美
デザイン 黒星紅白
レア度 ☆5
初登場作品 Fate/Grand Order
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概要

降臨者」のサーヴァント

略歴
亜種特異点Ⅳとして現れたマサチューセッツ州セイレム村に住む少女。
夜に抜け出して友人たちとまじないの儀式を行っている最中に獣に襲われ、居合わせた主人公とカルデア一行に助けられる。
その後は伯父であるランドルフ・カーターの計らいで自宅へ招かれた主人公達と日々を過ごすこととなる。
だが、セイレム村において魔女裁判が繰り広げられるにつれて悪夢にうなされるようになり、水面下で精神の深層における「深淵の邪神」の降臨が進行してゆく。
魔神柱ラウムの策謀によるシャルル=アンリ・サンソンの処刑、魔女裁判における罪の告発、親友ラヴィニア・ウェイトリーの死を経て、最終的に『全にして一、一にして全なるもの』と呼ばれる深淵の邪神の力をその身に宿すに至る。
その実態は、魔神柱ラウムが聖杯を用いて「偽りのセイレム」を創造した際に擬似的なサーヴァントとして生まれた存在。彼女が召喚されたことで仮初めのセイレムは精度を増し、極大の魔力反応と共に亜種特異点として成立した。
この宇宙の法則に縛られない「外宇宙」と呼ばれる領域外に棲まう神による人理の転覆と真実の終焉を目論むラウムは、彼女の類稀なる巫術者としての資質に目を付け、彼女の身に虚空からの降臨者を降ろすことを画策する。
アビゲイルが「降臨者」となる結果を齎すため、閉ざされた特異点において「セイレム」という現象は幾度も繰り返され――結果としてカルデアによる介入が行われた七度目のセイレムにおいて、魔神柱の目的は果たされた。
人物
金髪・碧眼の12歳の少女。
神を敬い、感謝の祈りを欠かさない無垢の少女。多感で疑う事を知らない年頃の娘。
心優しく分別のある少女で、差別が当然のように罷り通っている中でもそれに流されない。礼儀正しく、異邦の客人に対しても真摯に接する。
精神的に早熟しており、孤独や不安に苛まれても自暴自棄にならず、気丈に振る舞う。ただし本当に親しい間柄の人に対しては、年相応の甘えたがりな面を見せることもある。
純粋無垢で信仰に厚いが故に人の善性を信じ、罪人も別け隔てなく救済されることを願っている。この救済意識は人類史において悪名を轟かせた人間に対しても例外ではなく、魔神柱にすら驚嘆された。
好物のパンケーキについては一家言ある。
「深淵の邪神」の擬似的な依り代となった際は、邪神の性質によるものか冷淡かつ達観的、ともすれば挑発的な性格を露わにする。
大人びてはいるものの、根本にある救済への願いそのもの変化していない。ただしこの世に一片の罪もない人間は存在しないことを理解しており、それゆえにあらゆる人々に「苦痛」という報いを与えることで救う、という破滅的な救済意識へと形を変えている。
能力
この宇宙とは異なる領域外に棲む「深淵の邪神」の一柱である『外なる神』の依り代となったことで、宇宙の外側にある『窮極の門』に接続する『銀の鍵』としての性質を獲得している。
生きる『銀の鍵』である彼女は全ての時間と空間に「門」を開き、時間と空間を超越してあらゆる領域に移動する。それを利用した時空間接続によって様々な攻撃を行うほか、平行世界や「外宇宙」と呼ばれる領域外への渡航をも可能とする。
時空間そのものを繋げることもでき、イングランドやローマ、エルサレムといった各空間をセイレムと物理的に接続、一体化させるという離れ業すらも実現させうる。また原理は不明だが、結界そのものに干渉することで結界を展開した対象の心臓に苦痛を送り込み、死に追い遣る力を持つ。
時間を超える能力を用い、本来であれば失われたはずの特異点における記憶を対象に授けることなども可能。
平常時における戦闘時では、主に光り輝く概念触手らしき物体によって攻撃を行う。
『外なる神』の力が本格的に顕現すると、得物として鍵の形状をした杖を携えるようになる。杖は空間に異世界への「門」を開く触媒となり、開いた時空からは巨大な異界の邪神の一部が現れ外敵を殲滅する。額には鍵穴と思しい穴が出現し、内部より覗く邪神の瞳から正体不明の魔力光が放たれる。
領域外に棲む邪神の力を宿すことから根本的に「此方の宇宙」とは異なる属性を持ち、その法則に縛られない。それゆえに存在するだけで結界を歪ませ、戒律を破り、魔術の体系そのものを綻ばせてしまう。

ステータス

クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考
フォーリナー 主人公 (Grand Order) B A C B C A 領域外の生命:EX
狂気:B
神性:B
信仰の祈り:C
正気喪失:B
魔女裁判:A+

宝具

光殻湛えし虚樹(クリフォー・ライゾォム)
ランク:EX
種別:対人宝具
人類とは相容れない異質な世界に通じる“門”を開き、対象の精神・肉体に深刻なひずみを生じさせる、邪悪の樹クリフォトより生い添う地下茎。
効果対象は“鍵”となるアビゲイル個人の認識に束縛される。それゆえの対人宝具。
本来ならば対界宝具とでもいうべき、際限のない性質を有している。
『Grand Order』では「敵単体の強化状態を解除&敵単体に超強力な攻撃&敵単体のクリティカル発生率をダウン[1]」という効果の宝具。

真名:アビゲイル・ウィリアムズ

17世紀末。清教徒の開拓村セイレムで起きた「魔女裁判事件」。
最初に悪魔憑きの兆候を示した一人が少女アビゲイル・ウィリアムズだった。
悪魔憑きの異常な症状は他の少女たちにも伝播し、およそ一年に渡って多くの村人が告発された。
その結果200名もの逮捕者、うち19名もの絞首刑、2名の獄死、1名の拷問死という惨劇を招いた。
少女たちの真意やその引き金となった要因など、いまだに多くの謎が残されている。
清教徒の信徒としてのアビゲイルは、神を敬い、感謝の祈りを欠かさぬ無垢の少女だ。多感で疑う事を知らない年頃の娘に過ぎない。
清貧を信条とする清教徒たちは、権威におもねる教会の弾圧を逃れて海を渡り、新世界へと至る。しかしやがて彼らは追いつかれ、追い詰められた。彼らの抗議(プロテスト)の矛先は、身近な隣人へと向けられた。
退廃と抑圧の世にこそ“英雄”が立ち上がるように───
自分を律するはずの潔白の信条は、他者を監視する道具となり、戦乱と略奪が繰り返される植民地の不穏な暮らしは、猜疑心と利己心を育んだ。
───彼らはやがて心の底に狂気を、“魔女”を求めるようになる。私たちのこの不幸と苦しみは、悪魔の仕業でなければ何なのだ、と。
果たしてセイレムに魔女は現れ、凄惨な魔女裁判の門は開かれた。“鍵穴”となる狂瀾たる状況。人々の欲望を映しとり“鍵”となった少女。
その両者が欠かせぬのだとしたら、さて、罪はどちらにあるのだろうか。

登場作品と役柄

Fateシリーズ

Fate/Grand Order
亜種特異点Ⅳ『異端なるセイレム』最終シナリオ配信後、期間限定でガチャに追加された『Epic of Remnant』キーキャラクターの一人。イベントガチャ限定サーヴァントであり、恒常的な入手手段は現状ない。

人間関係

Fate/Grand Order

ラヴィニア・ウェイトリー
亜種特異点Ⅳにおける友人。同じ箒星の年に生まれたとされ、一緒に鯨を見に行ったという。
先天性色素欠乏症と思しいラヴィニアの外見をからかうことなく「綺麗」と評しており、また「星の妖精」に喩えている。
こういった事情からか、セイレムでは爪弾き者にされているウェイトリー家の人々に対しても、アビーは特に差別的な感情は持っていない。
実は友人を求めたアビー自身がセイレムに招いた存在であり、幼少期に一緒に過ごした記憶は植え付けられた虚偽のものである[2]
ラヴィニアがとある外宇宙の神格の降臨を悲願とするウェイトリー家の一員であったことが、結果としてアビーを『外なる神』の依り代として覚醒させる決定打となった。
魔神柱ラウム
亜種特異点Ⅳにおいて関わりがあった魔神柱。ランドルフ・カーターの肉体を使い、伯父として振る舞っていた。
平時においては彼を保護者と認識し、(カーターとしての)信念や行いには尊敬の念を抱いていたようである。少なくともラウムが伯父として振舞っていた間においては、両者の家族としての絆は本物であったと言える。
最終的には、「魔神」としての正体を顕してラヴィニアに致命傷を負わせたラウムを踏み潰し抹殺した。
ランドルフ・カーター
数多の世界を渡り歩く、「時空を旅する紳士」。亜種特異点Ⅳのエピローグにて、肉体を取り戻した彼と共に見果てぬ時空、宇宙の深淵へと旅立っていった。
彼はラウムの記憶をある程度継承しており、アビゲイルを自然と愛称で呼んでいる。
シバの女王
亜種特異点Ⅳで縁があったためか、真名を知った後も「ティテュバ」と呼んでいる。アビゲイル自身の信仰にも関わる重要人物だが、今は気安い関係。
彼女の恋愛話には興味津々のようだが、はぐらかされている模様。
マシュ・キリエライト
「亜種特異点Ⅳ」に同行。リハビリ中だったため戦闘には参加しないものの主人公共々アビゲイルとの関係は良好である。
ジェロニモ
彼女の両親を殺めた「先住民」側の人物であるために怯えを隠せないが、ジェロニモが真面目な人格者であることは理解しており、ちゃんとお話がしたいと考えている。
ダビデ
敬虔な彼女にとっては信仰の対象であるのだが、あまりと言えばあまりの奔放さに根底から信仰が揺らぎかかる程。
一応、「竪琴を弾いている時は」良い人であると思っているようであるが。
ジル・ド・レェ
黒い外套のジル・ド・レェさんと呼ぶ。何かと気にかけて自分に親切にしてくれることに対して、理由が分からずに首を傾げている。
おそらく異界の邪神と縁を持つ同胞としての感情だと思われ、彼からは「深淵の匂いがする」と評されていた。
トーマス・エジソン
ライオンさん。マサチューセッツがアメリカという合衆国の一部になったことを、六時間かけて教えてもらった。
葛飾北斎
自身と同じフォーリナーのサーヴァント。フォーリナーとしては彼女が先輩である。
そのあまりの絵の技量と気迫に圧倒される一方、若干嫉妬心があるらしく、それを指摘されるとむくれてしまう。

生前

名台詞

Fate/Grand Order

「我が手に銀の鍵しろがねのかぎあり。虚無より現れ、その指先で触れ給う。我が父なる神よ、薔薇の眠りを越え、いざ究極の門へと至らん!『光殻湛えし虚樹クリフォー・ライゾォム』ッ!」
初期段階での宝具使用時。
まだ完全に力を制御しきれていないのか、必死に制御しようとするように苦しげに絶叫する。この時は少女らしい声音。宝具は本性を隠し、神秘的な七色の光と共に敵を消滅させる。
「イグナ……イグナ……トゥフルトゥクンガ。我が手に銀の鍵しろがねのかぎあり。虚無より現れ、その指先で触れ給う。我が父なる神よ、我、その神髄を宿す現身とならん。
 薔薇の眠りを越え、いざ究極の門へと至らん……!『光殻湛えし虚樹クリフォー・ライゾォム』」
霊基第二段階以降での宝具使用時。
完全に「生きる『銀の鍵』」としての力をモノにしたようで、終始冷淡に謳い上げる。声音も低く、また冷たいものとなる。それに呼応して宝具も冒涜的な本性を現し、敵を狂気の門へと引きずり込む。
「ええ、私と同じ。箒星の年に生まれた十二歳の女の子」
親友であるラヴィニアを箒星の年に生まれた子であるという。しかしその記憶が贋作である事が異端なるセイレム終盤で明らかになる。
「……ラヴィニアの見た目をからかう人もいる。病気みたいだなんて言うひどい人も。」
「でも、私はとっても綺麗だと思うわ。だって星の妖精のようでしょう?」
白化病で謎の角が生えているラヴィニアを綺麗と評するアビゲイル。何の因果か、霊基第三再臨ではアビゲイルが「星の妖精」のようと評したラヴィニアのような白髪、白肌へと変貌する。
一方でラヴィニア自身はアビゲイルの金色の髪が綺麗だと思っており、後に自らの手を血で汚した時もアビゲイルの金色の髪が汚れるのを拒否していた。
「でもやっぱり彼女こそ、私の一番大切な友達だわ。離れてみて、ようくわかった」
自分を遠ざけるラヴィニアに対し、一度は意地を張って疎遠になったアビゲイル。しかし距離を取ったことで、改めてラヴィニアが自分の心に占める大きさを知った。
「ごめんなさい、ラヴィニア。だめ……出来ない……!」
「私、どうしてもセイレムを出られない……!」
「ごめんなさい……ごめんなさい……あなたのご家族のことも……」
「何と言って謝ったらいいか……。」
ラヴィニア「許さないわ。」「けれど、受け入れる、わ。しゃ、謝罪を。」
「ああ……。」「ずっとずっと遠くへ行っても、お友達でいてくださる……?」
ラヴィニア「……友達なんて。最初から、そんなものじゃ、なかった。」
「いいえ、あなたは私の友達よ。」
ラヴィニア「……違う。」
「それでも、あなたは私の友達よ。」
ラヴィニア「…………。」
「ありがとう……。ラヴィニア、大好きよ……。」
ラヴィニア「……苦しいわ、アビー。」
船でセイレムを離れることを持ちかけるラヴィニアに対し、無意識な罪の自責からそれはできないと断る。なお、ラヴィニアの祖父の処刑はアビゲイルの叔父であるカーターの告発に端を発するものであり、ラヴィニアは彼の姪であるアビゲイルにも複雑な感情を抱いていた。
一連のやりとりにおいてアビゲイルは叔父を諌められなかったことを謝罪し、ラヴィニアは許さないと述べながらもそれを受け入れる。ウェイトリー家の悲願のためにアビゲイルを利用していた負い目から「友達」という関係を半ば自虐的に否定するラヴィニアだが、最後は純粋無垢に友達としての関係を肯定するアビゲイルの抱擁を受容した。
「はい……。私は……親友が欲しい、と。」
「神の愛の届かない。とても、とても、可哀想な子を……。」
「でも……私なら、愛せると、思います。」
ランドルフ・カーターに憑依した魔神柱ラウムによるアビゲイルの罪の告発にて、彼から持ちかけられた相談に対して要求したもの。この前にマシュとロビンフッドは、ラヴィニアから「一族共々セイレムに連れてこられたこと」「祖父も自分自身も偽りの記憶を植え付けられていた事」を聞かされている。箒星の子供である事実も一緒に鯨を見た記憶もラヴィニアがアビゲイルと交流してる内に植え付けられた偽りの記憶であった。それでもラヴィニアはマシュ達と共に危険を冒してアビゲイルの魔女裁判に乱入する。友達を救うべく。
「セイレムからは決して外には出られない」
「私の罪は、まだこの地に眠っているから」
邪神をその身に降ろして語った、本編中で何度か言っていた自分がセイレムから出られない真の意味。
死してなお、消えることがなかった生前の所業に対する罪悪感。それこそが彼女をセイレムに縛る。
「イングランドも、ローマも、エルサレムも……ぜんぶつなげてあげるわ」
「そして果てなき永劫の苦痛painを――。苦痛painを、苦痛painを、苦痛painを――!」
自分以外の死してなお生前の罪の意識に苦しみ続ける人間たちを繰り返すセイレムで見てきた。贖罪を望む者達を見続けてきた。
罪の子ではない人などいない。であればすべてをセイレムにつなげ、苦痛をもって人類を救済する。それが彼女の邪悪な赦しである。
「ええ……何度、箒星がめぐっても、ずっと友達よ……。」
ラヴィニアは致命傷を負いつつも、アビゲイルと同じ箒星の子供である事を、一緒に鯨を見に行ったという記憶を受け容れた。
例え記憶が贋作のものだとしても、友達であった事は決して嘘ではなかったのだから。
「私――……私、死んでもいいかしら?」
「セイレムを捨てて、生まれ変わりたいと願ってもいいの?」
「神様は決してお許しにならない!けれど、私――」
自らの罪を偽りのセイレムで繰り返した事、それでも呪われていてもセイレムを愛している罪悪感に縛りつけられていたアビゲイルだが、魔女裁判で自ら処刑を望んだサンソンの最後の言葉、「死は明日への希望」を思いだし、セイレムから旅立つことを決意する。
「またいつか、何処かで、世界の果てで、ラヴィニアと出会えることもあるでしょう。」
巡る箒星を巡ってセイレムの魔女は旅立つ。鍵をかけて閉じこもる事を辞めてどこかで一座の面々や大切な箒星の友達と巡りあえる希望を信じて。

メモ

  • 初めて登場した「フォーリナー」のサーヴァント。そうした事情もあってか、事前の発表では名前もクラスも不明という異例の扱いがなされた。
  • Fateシリーズで初めて明確に『クトゥルフ神話』が前面に押し出されたサーヴァントでもある。
    これまでもクトゥルフ要素のあるサーヴァントはいたが、アビゲイルの登場により型月作品の世界(型月用語としての「世界」ではなく、メタ的な意味での世界)にもクトゥルフ邪神群が実在することが確定した。ただし、型月作品内におけるクトゥルフ神話は「作中に関係しなかった創作物」であるので、厳密には「クトゥルフ邪神群と全く同じ性質を持つ深淵に潜む名状しがたき冒涜的な何か」である。
    • 型月作品内におけるクトゥルフ邪神群は『型月宇宙とは異なる「外宇宙」に存在する高次生命』と定義されている。
      「外宇宙」とは平行世界ですらない文字通りの領域外とされ、この深淵に棲まう神格はこちらの宇宙の属性を持たず、魔術体系などの法則にも一切縛られない。こういった性質から「異端」「異常異質な神」と称され、人理への明確な脅威と認識されている。
    • ちなみに、初登場となった「異端なるセイレム」の舞台となるセイレムは、クトゥルフ神話に登場するアーカムという都市のモデルである。
  • 地球上どころかこの宇宙で生まれた存在ですらないため、これら深淵の邪神に対しては星の安全装置である抑止力が働かない
    事実作中において、深淵の邪神の完全なる降臨はとりもなおさず人理の破綻を意味するとされている。
    現時点で示されている邪神の性質や能力を鑑みても、深淵の邪神を完全に顕現させようと目論んだ魔神柱ラウムの行為は危険どころの話では済まない暴挙と言えるだろう。
    ビーストクラスの顕現に対して発動するはずのグランドクラスのサーヴァント召喚すら機能しない辺り、その脅威は正に計り知れない。
    • 元は人間であり、後に深淵の邪神と交わることでフォーリナーのサーヴァントとなったアビゲイルに対して抑止力が働くか否かは現時点では不明。
      『外なる神』を宿したアビゲイルがこの世界の魔術体型を綻ばせる描写がある、同様にフォーリナーとなった葛飾北斎に対して人類の歴史を観測し裁定する役割を担う英雄王の「千里眼」が機能していないなどの描写を見る限り、フォーリナーとなった時点で人類ではなく外宇宙の属性を持つ存在と化す(=抑止力が機能しなくなる)可能性が高い。
  • 作中の台詞や設定描写から、彼女と関連するクトゥルフ神話の神格は『外なる神』こと『ヨグ=ソトース』であると推測される。
    ヨグ=ソトースは全ての時間と空間に遍在する大いなる神とされ、あらゆる時空と接続し、またそれを支配する権能を持つ。
    アビゲイルが「あらゆる時間と空間に門を開き、行き来する」という規格外の能力を持つのは、彼女がこの全能の神格の限定的な依り代となり、時空の深奥に繋がるという「窮極の門」を開く「銀の鍵」としての性質を得たためである。
    • 彼女の親友であるラヴィニア・ウェイトリーの出典である「ダニッチの怪」では、ヨグ=ソトースとラヴィニア・ウェイトリーが成した双子の怪物が登場する。アビゲイルに『外なる神』降臨の儀式を教えた(アビゲイル自身は唯のまじないだと思っていたが)のはラヴィニアであるため、ある意味では直接的な元ネタである。
    • 同じく「空間を接続する」事で機能する宝具としては、ギルガメッシュの『王の財宝』が存在する。ただしアビゲイルのそれは時間と空間を超越し、過去や未来、外宇宙への接続をも可能とする代物であるため、接続先が限定される王の財宝と比較すると遥かに応用が利く。
  • マテリアルでは清教徒(ピューリタン)としての厳格な戒律もセイレム魔女事件の原因の一つではないかと指摘している。アビゲイル自身は巫女としての才能が強い事を除けば信仰心が厚い少女であり、これがスキル「信仰の祈り」の由来となっている。
    • 神を信仰するが故に罪人である己を許せない所などはジル・ド・レェに近い部分もあるのかもしれない。
  • アビゲイルが深淵の邪神の依り代に選ばれたのは、魔神柱ラウムによって純粋な巫術者としての才覚を見出されたことに加え、理性と狂気が混濁する異端たるセイレムにあってあらゆる意味で中心的な役割を担っていたことによる。この条件に加え、彼女が親友としてセイレムに招いたラヴィニア・ウェイトリーが図らずも『外なる神』に纏わる魔導書『象牙の書』を所有しており、その書に記されていたまじないをアビゲイルに教えたことで、かの神格のアビゲイルへの降臨が決定的なものとなった。
    • 『外なる神』降臨を悲願とし、代々それに纏わる錬金術を継承してきたウェイトリー家の娘をも遥かに上回る巫術者としての才覚はラウムにとっても驚嘆に値するものであったらしく、ラウムはこれを以って「外なる神」の顕現および人類の救済を確信したとされる。
  • 偽りのセイレムにおいては、カルデアが干渉するまでに六度の「セイレムという現象」が繰り返されていたが、魔神柱ラウムによればアビゲイルはその中で六つの罪を犯したという。
    一つ目は「銃の暴発と馬車の転倒の引き金となり、結果としてウィリアムズ夫妻が死亡したこと」。ラウムの言やアビゲイルの反応からすると故意ではなく偶発的なものだと推測されるが、ラウムはこれを第一の罪状と定義した。ただし「ウィリアムズ夫妻は先住民に襲われ死亡した」という作中証言と食い違っており、またその先住民はラウムによって使役されていたことが確実視されているため、そもそもが濡れ衣の可能性もある。
    二つ目は「本来の使用人であるティテュバを(恐らく最初の)食屍鬼へと変えたこと」。言及に割かれた台詞が極めて少ないため経緯などは不明だが、アビゲイルは食屍鬼を「死者の想いを食べて一つになるもの」と認識していたようである。
    三つ目は「親友を求め、ラヴィニア・ウェイトリーとその一家をセイレムに招いたこと」。招かれたウェイトリー家はラウムによって「外なる神」降臨の引き金となる役割を期待された。なおこの段階でセイレムは六度目の現象となっており、これを維持する魔力と時間が枯渇を始めていた。
    四つ目は「死してなお贖罪を乞うた罪人の魂を、慈悲を以てセイレムに招いたこと」。その魂の中にはマシュー・ホプキンスなど人類史の魔女狩りに加担した者も含まれていた。
    五つ目は「無垢であるが故に人を信じ続け、罪人への呵責を行わなかったこと」。その信仰の厚さは魔女狩りに加担した人物にすら救済を見出させるものであったが、同時にセイレムを罪人が救われず処断されない煉獄へと創り変えてしまう結果となった。
    そして六つ目にして最後の罪は「人の心と言葉、希望を捨て去ること」。この罪のみ過去形ではなく未来形である。アビゲイル自身が人であることを捨て、深淵の邪神をその身に降臨させることを指すものと思われる。
    • 一つ目の罪と三つ目の罪を除けば、アビゲイル自身は彼女の信じる救済と赦しに則ってセイレムに干渉している。第七のセイレムである本編中において、アビゲイルは一貫して魔女裁判にかけられる人々の無罪を主張し続け、精神の深層で邪神の降臨が始まった後は自らが魔女であることを半ば肯定している。
    • ラウムの独白によれば、罪を犯した者でも別け隔てなく救おうとするアビゲイルの姿には、魔神柱仲間から切り捨てられたラウム自身も救われたとのこと。当初はアビゲイルに深淵の邪神の依り代としての役割を期待するのみだったラウムが、最終盤では「姪(アビゲイル)を救う」とまで言い切った理由はこのあたりにある。
    • ラウムはアビゲイルが生前の罪の意識に縛られており、セイレムから離れられないことを知っていた。六つの罪状を仕立て上げ、アビゲイルを法廷で「魔女」として裁くという経緯は、「自身が魔女である」という認識を受け入れさせてアビゲイルの自責の念を解くこと、それと同時に時空を超越する力を持つ『外なる神』をアビゲイルの身に降臨させることで、物理的にセイレムから離れられるようにすることを期したものでもあった。尤も魔女裁判を経てなおアビーの自責の念は解かれず、『銀の鍵』となったアビーはセイレムからの解放ではなく「世界をセイレムと繋げ一体化させる」ことを望んだため、その目的は完全には達成できなかったのだが。
  • 「異端なるセイレム」は2017年においてあまり前面に出なかったマシュ・キリエライトが本編に介入した唯一のシナリオである事もあって、そのキーサーヴァントであるアビゲイルはシナリオ中でもマシュとの関係が良好。アビゲイルは「マシュさんみたいな素敵な人」と語り、またマシュ自身も自分の境遇を重ね合わせた結果「アビーを一人にしてはいけない」と決心を固めており、アビゲイルが「外なる神」の影響で半ば暴走状態に陥った後も彼女の善性を信じ続けた。
    • 「故郷(カルデア/セイレム)に愛着はあるが外の世界にも関心が強い」「魔神柱(フラウロス/ラウム)が個人的に救おうとした少女」「主人公によって色彩を見出したマシュと、色彩を失いかけつつもラヴィニアとの友情で色彩を取り戻すアビゲイル」など共通点も多い。
  • カルデアに召喚されたアビゲイルがラヴィニアの事を記憶しているかは2018年年始においては明確ではないが、シバの女王については「異端なるセイレム」時代からティテュバとしての印象を持ち合わせている事から、ラヴィニアの事も大切な友人であると記憶している可能性は十分考えられる。
  • ラウムは「魔術協会における伝承科」「我らの王の弟子のひとり、ブリシサンが預かった禁忌の中の禁忌」を迷信と掛け合わせる事で人類を救済しようとしていた事から、伝承科とアビゲイル、ひいてはクトゥルフ邪神群などは何らかの関係があるかもしれない。
    • 余談だが、カルデアAチームのデイビット・ゼム・ヴォイドは、伝承科から追放された人物でありダヴィンチからは「危険人物」とされている。
  • 再臨段階によって戦闘モーションや宝具演出が大きく変わる珍しいサーヴァントのひとり。
    • 再臨後はパンイチの少女(しかも尋常じゃないローライズ)という際どすぎる格好となる。
  • 異端なるセイレムにて敵として登場した当時、ゲーム上で相性有利を取れるアルターエゴは尽くが期間限定ガチャでの入手に限られ、確実な入手が見込めた配布サーヴァントは直前の開催であったハロウィンイベントにおけるメカエリチャン(Ⅱ号機)であった。そのため新たなる某魔を断つ剣が誕生するカルデアが続出した。

余談

  • 彼女の登場により、クトゥルフ要素がある程度表立って登場する機会が生まれることとなった。となると、クトゥルフの邪神群がどこまで人理と世界に関わっているか気になる所ではある。
    • クトゥルフ邪神群の化身とされる存在は多岐に渡るが、日本絡みではある邪神の化身の一つが織田信長の姿を取って現れるという一説が存在している。

脚注

  1. 1ターン
  2. ラヴィニア及びウェイトリー家の面々に偽りの記憶を植え付けた者は誰かは定かではない。親友を求めたアビゲイルがラウムに頼んで親友となるラヴィニアを連れてきた事実から、ラウムが偽の記憶を植えつけたようにも思えるが、ラヴィニアは「アビゲイルと付き合う内にあたしもおかしくなった」と言ってるので実質アビゲイルがラヴィニアを洗脳している可能性もある。

リンク