ルーン魔術
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概要
魔術系統の一つ、ルーンを用いた魔術。一工程(シングルアクション)に分類される。
呪文の詠唱ではなく「ルーン文字」を刻むことで魔術的神秘を発現させる。それぞれのルーンごとに意味があり、強化や発火、探索といった効果を発揮する。
魔術としての歴史はそれなりに長いが、一時期の時計塔では廃れた魔術分野扱いだったところ、20世紀に学院時代の蒼崎橙子が研究して復刻した。『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』によれば橙子は共通(フサルク)ルーン24文字を魔術的に再生した他、原初のルーンも数文字、解析している。魔術協会に関係ないところでは、バゼット・フラガ・マクレミッツのフラガ家がアイルランドにおけるルーン魔術の大家である。
失われた魔術基盤である北欧のルーンは、魔術師たちによって再生が行われたもの。神代のソレに比べればあまりにもささやかだが、詠唱が短くて済むので便利。機能的でこと戦闘には役立つものが多い。主人公 (Grand Order)の礼装にもガンドなど一部応用されている。
原初のルーン
北欧神話に於ける最高存在、大神オーディンがかつて編み上げた神代の魔術基盤。
オーディンは多くを原初のユーミルの肉体から創造したと言われるが、ルーンは別物。
自分自身の命を一度捧げ、描かれる文字の形にこそ世界の深奥あり、と見出した。オーディンが見出した真実を導くカタチと言える。
その性能は凄まじく、死を刻めば死がもたらされるほど。
純粋な出力でも現代のそれの数百倍というとんでもない性能であり、宝具級ともなれば数百万倍という常軌を逸したレベルになる。
種類
- アンサズ
- 火のルーン。但し、真価は「知らしめる」ことにある[出 1]。
- 『空の境界』で橙子が使った時は死体1つ燃やし尽くせなかった。対して『Fate/stay night』でクー・フーリンが使った際はアインツベルン城を焼き落としたが、クー・フーリンが扱うのは神代の威力を有する原初のルーンであるため、現代の魔術師が扱うルーンとは性能の次元が違う。
- 『Fate/unlimited codes』ではエワズ、イングズと共にレッドブランチ・ハイランスを構成する。『魔法使いの夜』ではソウェル、イングズと共に使われた。
- カノ
- 『Fate/unlimited codes』でバゼットが手に付与していた。この文字かは不明だが、ルーンを刻んだ拳は銃器程の威力があると語る。
- TVアニメ版『Fate/stay night[UBW]』でランサーはアンサズではなく、こちらでアインツベルン城を焼き落としている。現実のルーンにおいて、カノは松明の意味を持つ。
- ソウェル
- 火を意味するルーン。対象を炎で包む。『空の境界』で攻撃手段の1つに挙げられ、『魔法使いの夜』で実際に使われた。またアンサズ、イングズと共に使われることもあった。
- ベルカナ
- 探索のルーン。石に刻むことで対象を捜索する。
- エワズ
- ダガズと並んで、代表的な火のルーン[出 1]。
- 『Fate/unlimited codes』でバゼットが開始時に使う他、足に付与していた。またアンサズ、イングズと共にレッドブランチ・ハイランスを構成する。
- ダガズ
- エワズと並んで、代表的な火のルーン[出 1]。
- 結界を張るルーンを刻んだ石
- 『空の境界』で橙子が式が居る病室のドアの上に置いた。霊体を弾く結界を張るが、その霊体は死体に入り込んで結界をすり抜けた。
- ガンド
- ルーン文字を使わないが、ルーン魔術の1つ[出 2]。
- ルーンの守り
- 戦闘中にはとくに描写は無かったが、アルトリアとの戦闘中に使用していた模様。
- アルトリアが、ランサーはクー・フーリンであることを決定付ける1つの要因となる。
- クー・フーリンの所有する全てのルーン
- 所有する全てのルーンを刻む事で発動させる上級宝具の一撃さえ凌ぐ結界。
- 探知される事無く唐突に現れるルーン
- クー・フーリンが探知される事無く唐突に現れるために使用するルーン。
- 宝具のランクを上げるルーン
- これによりゲイボルクのランクがワンランク上げられるとされる。
- 加護のルーン
- バゼットの手袋に刻まれたルーン。
- 硬化のルーン
- 刻んだものを硬化するルーン。
- ケーナズ
- 遠見のルーン。双子館からでは深山町までは見て取れない。
- フラガラックに刻まれているルーン
- イングズ、アルギズ、ザガズ、ゲボと刻まれている。
- アトゴウラ
- 世に言うクー・フーリンの誓いのルーン。アルギズ、ナウシズ、アンサズ、イングズを刻む。
- 名誉をかけた一騎討ちを約束する、四方を枝で囲んだ決戦場(魔術的効果はない)。
- お互い、自分の足元に円を描き、その円の中から槍を投げて戦うという決闘法(恐らく、fateのアトゴウラはこの逸話から)。どちらかが死ぬまで円から出てはいけない。資料によってクー・フーリンとフェルディアの戦いはこの決闘法となっている。
- 早駆けのルーン
- エイワズ
- 退去のルーン。姿隠しの魔術を解除した。
- 太陽のルーン
- 協会に届け出ていない蒼崎橙子独自の形状記憶ルーン。
- トゥール
- 勝利の加護のルーン。魔術を防ぐため勝利の加護を張り、さらに刻印の力で強化し、障壁とした。
- 原初のルーンのレプリカ
- 蒼崎橙子が魔術協会で復元・分生させた、失われた“原初のルーン”のレプリカ。
- 刻まれたルーンを一千万規模に膨張させる。
- 忘却のルーン
- 北欧の大神が戦乙女に使ったとされる、存在だけは有名な忘却のルーン文字。
- 厄寄せのルーン
- オルガマリー・アニムスフィアのコートに刻み、怪物を引き寄せた。
- 死のルーン
- 原初のルーンの一種。刻んだものに死をもたらすルーン魔術。英霊すらも殺せる。
- ただし、生物に対して効果のあるものなので、英霊は回復可能。
- 現実誤認のルーン(正式名称不明)
- 視覚を始めとする感覚の乗っ取り、現実誤認を誘発する魔術効果を発生させる原初のルーン。
- 本格的に励起させていないほんの片鱗でも、英霊でも容易には脱せない。
- 高速飛行のルーン
- 『無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング』で言及。
- 疾走のルーン
- 『無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング』で言及。
- 癒しのルーン
- 『無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング』で言及。
- 蘇生のルーン
- 『プリズマ☆イリヤ』で使用。条件ありの蘇生。絵を見る限り、ケーナズ、トゥール、ウルズ、ラグズ、ソウェルが刻まれている。
- 硬化、強化、加速、相乗
- 『プリズマ☆イリヤ』で使用。絵を見る限り、アルギズ、テイワズ、ライゾー、イングズが刻まれている。
- 古の雷避けのルーン
- 『プリズマ☆イリヤ』で使用。マグニの宝具『黄昏に響け父の雷葬』に対抗してしばらくは防御できるほどの力を持つ。
- 千里眼のルーン
- キャスター時のクー・フーリンが使用するとされる。
- 対魔力のルーン
- キャスター時のクー・フーリンが使用するとされる。
使い手
- 蒼崎橙子
- 様々なルーンを修得しているが、ルーン自体が「対人に効果を発揮する呪い」「一工程(シングルアクション)の魔術」であるという大前提があるため、基本的には大威力になりえない特性を持っており、戦闘には向いていない。作中で用いたのは、対象を炎で包む「炎のルーン」、姿隠しの魔術を解除した「退去のルーン」、防御に用いた「勝利の加護のルーン」など。
- ルーンはむしろ予め何かに刻んでおくなど、トラップ的な使い方に向いている。公園のレンガの地面に「太陽のルーン」(協会に届け出ていない橙子独自の形状記憶ルーン)をびっしりと三十万個余り刻み、久遠寺有珠のプロイキッシャー「夜の饗宴(ディドルディドル)」を封じたり、工房に切り札として「原初のルーン」のレプリカを宿した三枚のルーン石を配置し、刻まれたルーンを一千万規模に膨張させるという効果で青子の迎撃に使ったりしている。
- コルネリウス・アルバ
- 橙子より先に学んでいたが、追い越される。作中では使わない。
- クー・フーリン
- スカサハから18の原初のルーンを伝授されている。『原初のルーン』であるため、性能は現代のものとは次元が違う。探索のベルカナと炎のアンサズ、『Fate/hollow ataraxia』ではアトゴウラの四文字のルーンを披露した。探知される事無く唐突に現れるのもルーンの一つだという。
- また、全ルーンを使用する事で発動させた結界は上級宝具すら防ぐ代物。
- 他にも、ライダーの石化の魔眼を防いだり[出 3]、ルーン魔術と宝具を組み合わせることで一時的にAランクに届かせ、バーサーカーの「十二の試練」を突破する事も可能だとか[出 4]。
- 一流に近いルーンの使い手ではあるが、本人的には邪魔であるらしくあまり使用しない。『Grand Order』では面倒くさがって封印している。
- クー・フーリン (Prototype)
- こちらにおいてもスカサハからルーン魔術を教わっている。
- クー・フーリン〔キャスター〕
- このクラスではルーン魔術を主力として戦闘を行う。強力で多彩な効果を使い分けているが、複数ルーンの効果の併用は不可。
- 戦闘ではルーンによる遠隔攻撃を行い、熱・火炎攻撃を行う際はアンサズのルーン文字を空間に浮かび上がらせる。ルーン魔術によって筋力をAに強化し、オーク材の杖または剣で殴りかかる近接攻撃も可能。
- 宝具「大神刻印」ではスカサハから授けられた18のルーン全てを起動させ、敵にダメージやバフ解除といった多大な効果を与える(ただし『Grand Order』ではこの宝具は使用されない)。
- アニメ『First Order』では体を樹にして緊急回避する変わり身も行っている。
- クー・フーリン〔オルタ〕
- この場合でもルーン魔術は使用できるが、ほとんど身体強化や宝具使用の際の肉体再生にしか使用しない。
- 「抉り穿つ鏖殺の槍」を使用する際に、腕が引き千切れかけるほどに損傷する代償をルーン魔術による肉体の再生・回復で補っている。
- バゼット・フラガ・マクレミッツ
- 『Fate/hollow ataraxia』や『Fate/unlimited codes』で補助的に使っている。
- 『プリズマ☆イリヤ』では通常の強化魔術に加えて拳をルーンで強化したり、紙に書いたルーンで簡易的な結界を張ったりと多用している。特に、ギルガメッシュに心臓を貫かれた時には「蘇生のルーン」で復活してのけた。
- マナナン・マク・リール〔バゼット〕
- バゼットが神霊マナナン・マク・リールの疑似サーヴァントとなった姿。
- そのためバゼットが使っていたルーンを使用可能で、第一、第二再臨ではアンサズ・エワズ・イングズのルーン文字を使用しキックを放つ。
- マナナンは神性を持つため本来は多種多様な魔術を使えるはずだが、バゼットの不器用さによって「彼女が元から使える魔術をパワーアップする」という方向性でしか基本的に利用できなくなっている。
- しかし逆にいえば万能とも言える海神の力が一点集中されるため、その破壊力は恐るべきものとなる。
- 玲瓏館美沙夜
- 習得しているが、特に使っている場面はない。
- ブリュンヒルデ
- 第二宝具の使用制限と引き換えに解禁される原初のルーンは第三の宝具とも言える強大なもので、魔術戦でキャスターを圧倒するほど。
- 最大稼働した場合、現代のルーン魔術の数百万倍というとんでもない破壊力に至るのだが、この状態は自我崩壊から来る暴走であり、令呪の拘束すら受け付けず、巨大な力の代償として自身の霊基は破壊され、魂と霊核を燃やし尽くして最後には自滅してしまう。また、カルデアで本格使用した場合、空間ごと異常をきたしてしまう[注 1]。
- スカサハ
- ルーン魔術にも長けており、原初のルーン文字を用いたそれは神代の領域である。また、ルーンを組み合わせれば時間と素材は必要だが、船をはじめとするモノは大抵作れる。
- 自身を触媒としたルーン魔術により、フェルグスやディルムッドといった自身と縁ある英霊をストックして召喚するなど、桁外れの力を見せていた。また、戦場からの逃走を有利にする盾のルーンを使用している。
- スカサハ〔アサシン〕
- ルーンを用いて一部サーヴァントの霊基を弄り、水着姿にさせていた。
- 自身も海辺に適応するため、腕輪に仕込んでいるルーンは海、水に関するものに特化されている。
- スカサハ=スカディ
- 北欧の神性であるため、原初のルーンを有する。そもそも、スカサハが原初のルーンを使えるのはスカディとの縁によるものである。
- スカサハ=スカディ〔ルーラー〕
- こちらも原初のルーンを有し、「同人誌制作のための漫画を描くスキルを短時間で身に着ける」という離れ業を見せつけた。確かにルーン文字には芸術関連のものも存在してはいるのだが……
- ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト
- エーデルフェルト家の宝石魔術は厳密には「魔力そのものの流動に宝石という媒体を使った、特殊なルーン魔術」である。呪文もかつてルーン文字を使っていた英語である。
- スルト
- 原初のルーンの使い手。
- シグルドの身体を乗っ取っていた時には、グラムによってシャーロック・ホームズの右腕を切断すると同時に死のルーンを刻み付け、長期的に戦闘不能に陥らせた。
- シグルドが本来封印している炎のルーンも使うため、ブリュンヒルデには「シグルドではない」と確信を持たせる結果となってしまった。
- シグルド
- 北欧の魔術刻印として原初のルーンを有している。
- ブリュンヒルデに教えを受けており、キャスターとして召喚される適性を持つほどの腕前。
- ただし、人は常に炎を恐るべし。という独自の考えから『炎』のルーンだけは使わない。
- ワルキューレ
- 北欧の神性より原初のルーンを授けられている。
- ワルキューレ〔アサシン〕
- 水着霊基となったワルキューレたち。
- ランサー時の宝具「偽・大神宣言」が変化したSMG/SAM66という最先端の火器でルーンを用いて攻撃する。
- また水着霊基のスカサハと同じく、サーヴァントの霊基を弄って水着サーヴァントにすることも可能。
- アイリスフィール・フォン・アインツベルン
- アニメ版『Fate/Zero』にてルーン文字を含む魔法陣を敷いていた。但し、原作で件の魔法陣は二重の六芒星などサーヴァント召喚の魔法陣を思わせる特徴を持ち、ルーン文字については特に述べられていない。
- 主人公 (Grand Order)
- 魔術礼装のガンドなどといった技術に一部応用されている。
関連
メモ
- 本来は北欧の大神オーディンに由来する魔術のはずなのだが、クー・フーリンを初めとするケルト系の人物によってよく使用されている。
- 彼ら曰く、本来ならオガム文字の魔術を使用するのだが、刻んですぐに効果を発揮するルーンは戦士としては使いやすいために多用しているとか。
- また、元締めであるオーディンも「優秀な戦士が生まれるのならそれでいい」と北欧以外の系列の人物が使用する事は問題視していないらしい。
- 『Fate/mahjong night 聖牌戦争』にてクー・フーリンが語っているところによると、「麻雀の起源にはルーンの流れもあり、アンサズ、スリサズ、ウルズ、ピンズ、ソーズ、マンズなどがある」らしい[出 5]。…まあ、作品が作品なのでほぼ完全に設定崩壊ギャグなのだろうが。
- 本来、「アンサズ」には炎の意味はない。型月世界での設定は不明だが、ルーン文字には1つ1つに意味はあるが、その意味を術者の解釈で効果を与える、という具合に術者の解釈で効果が変わるとされる魔術でありローカルルールも多い。そのため、一概に「アンサズが炎なんておかしい」とは言えない。
- ルーンの解呪には術者の刻んだルーンの意味を解読しなければならず、難解なルーンを刻める者程優秀とされている。
- ルーン魔術は文字→単語→節と文字を増やす毎に強力な魔術になるとされる。
- アニメUBWではクー・フーリンが城に火を付ける際に「〈 」と描いてるがこれは「ケン」というルーン文字。本来、こちらが炎を意味するルーンなので、実はアニメの方が正しい。
- 『オーディンが習得した18のルーン』
- 一、救いの呪法:戦いや悲しみ、悩みなどを取り除く助けとなる。
- 二、癒やしの呪法:医術を志す者に必要とされる。
- 三、敵への呪法:武器の刃をなまらせ、役に立たなくする。
- 四、解放の呪法:手足にされた戒めを、ほどいたり切ったりする。
- 五、矢止めの呪法:投げ槍などの飛び道具を、ひとにらみで落とす。
- 六、呪い返しの法:呪いによって受けた傷を、それ以上にして相手に返す。
- 七、鎮火の呪法:呪歌によって、火事の勢いを削ぐ。
- 八、なだめの呪法:親しい者同士に起こった憎しみの感情をなだめる。
- 九、航海の呪法:海が荒れている時、風や波を鎮める。
- 十、退魔の呪法:幽体離脱した魔女を、元の身体に戻れないようにする。
- 十一、盾の呪法:戦士に勇気を与え、無事戦場から連れ戻す(盾にかける)。
- 十二、死人の呪法:ルーンの力で死者を動かし、話ができるようにする。
- 十三、守りの呪法:水でその身体を清め、剣の刃が通らないようにする。
- 十四、知識の呪法:神々や妖精達に関するすべての情報。
- 十五、小人の呪法:神々には力、妖精には栄華、オーディンには知恵を授ける。
- 十六、情愛の呪法:女性の心をとらえ、恋をかなえる。
- 十七、貞節の呪法:女性の心変わりを抑え、自分の元に留まるようにする。
- 十八、最後の呪法:オーディンだけが知っている奥義。[出 6]
脚注
注釈
- ↑ エルメロイⅡ世の見立てによると、魔力回路を経路とした魔力逆流といったありえない現象も原初のルーンに侵された空間では発生してしまうとのこと。