「ソロモン」の版間の差分

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== グランドキャスター ==
+
{{サーヴァント概要
* 真名:ソロモン
+
| タイトル = グランドキャスター
* 性別:男性
+
| 真名 = ソロモン
* キャラクターデザイン:武内崇
+
| 読み =
 +
| 外国語表記 = Solomon
 +
| 初登場作品 = [[Fate/Grand Order]]
 +
| 声優 = 鈴村健一
 +
| 演者 = 神永圭祐
 +
| 依代 =  
 +
| 身長 = 178cm
 +
| 体重 = 75kg
 +
| 誕生日 =
 +
| 血液型 =
 +
| 出典 = 旧約聖書
 +
| 地域 = 古代イスラエル
 +
| 属性 = 秩序・善
 +
| 副属性 =
 +
| 性別 = 男性
 +
| スリーサイズ =
 +
| 一人称 = 私<ref group = "注">ロマンの時には「ボク」。</ref>
 +
| 二人称 = 君
 +
| 三人称 = 君たち/諸君
 +
| 異名 = 魔術王
 +
| 愛称 =
 +
| イメージカラー =
 +
| サーヴァント階位 =
 +
| 特技 =
 +
| 好きな物 =
 +
| 苦手な物 =  
 +
| 天敵 =  
 +
| デザイン = 武内崇
 +
| 設定作成 = 奈須きのこ
 +
| レア度 = ☆5<br />プレイヤー側未実装
 +
}}
  
[[Fate/Grand Order]]』に登場した「[[クラス (キャスター)|グランドキャスター]]」の[[サーヴァント]]。<br>
+
== 概要 ==
神に匹敵する魔力を持ち、人理焼却を実行に移した本作の事態の首謀者。
+
 
 +
冠位の資格を持つ「[[キャスター|魔術師]]」の[[サーヴァント]]。
  
 
; 略歴
 
; 略歴
: 真名はソロモン。旧約聖書に登場する、古代イスラエルの王。
+
: 『Fate/Grand Order』では西暦2004年に開催された冬木の[[聖杯戦争]]で[[キャスター]]の[[サーヴァント]]として[[マリスビリー・アニムスフィア]]に召喚された。
: 人理焼却を実行した本作の黒幕であり、『Fate/Grand Order』メインストーリー第四章の最終幕で姿を現す。
+
: マリスビリーとともに[[聖杯戦争]]に勝利したソロモンは[[聖杯]]に英霊ではなくただの人間として生きることを願い、[[ロマニ・アーキマン]]として生まれ変わった。
: 本人にとっては戯れに等しい戦いで絶大な力を主人公らに見せつけ、七つの人理焼却を全て防げればカルデアを自らの解決すべき案件と認めると告げ、その場を去っていった。
+
 
: なお、戦闘時には魔神柱と同じく独自演出があり、戦闘前に真っ暗な画面の中で魔神柱らの眼が蠢く中心に赤字で'''『魔術王降臨』'''と表示され、戦闘中のBGMも専用のものとなる。
 
 
; 人物
 
; 人物
: 第三章までに登場した魔神柱の名称などから暗示されていたが、第四章最終幕で遂にその姿を現す。
+
: 内向的、強気、受動的。緊張感のない、ゆるふわっとした王さま。
: 傲慢で残忍な振る舞いを見せ、「人類は自身の愉しみのために消費されるのが救い」とまで言ってのける。
+
: 性格骨子は『強気』だが、これはたんに『空気が読めない』力。結果的に強気な発言をしているだけで、根はチキンである。真面目ではあるが真剣ではなく、いつも八割の力で生きている。
: その一方で主人公に思わせぶりな忠告をする、マシュと同化した英霊に何らかの気づきを見せて興味を示す等の意味深な言動を見せていた。
+
: よく人々を見定め、よく法を定め、よく国を治めた。やや気概が足りないところはあるものの、賢く、優しく、愛の多い王として民に敬愛された。
 +
: だがこれらの特徴は'''全てソロモン本人の意思ではない'''。生まれた時から「王」として定められ、神の声を聞き、その通りに生きるしかなかった結果の姿である。
 +
: 彼の内面は無感動。人々の悲喜交々に共感する自由、怒る自由すら剥奪されており、非人間同然の存在になってしまっていた。
 
; 能力
 
; 能力
: 「神にも匹敵する」と形容されるほどの魔力を持ち、存在するだけで領域を圧し潰すほどの力場が発生し、カルデアからの干渉をほとんど遮断してしまうほど。
 
 
: スキルにある「啓示」は天からの声を聴き最適な行動をとる能力であり、「直感」とは違い戦闘のみならず目標達成に関する事象全てに適応される能力。
 
: スキルにある「啓示」は天からの声を聴き最適な行動をとる能力であり、「直感」とは違い戦闘のみならず目標達成に関する事象全てに適応される能力。
 
: 彼はただ一度しか啓示を受けなかったが、それを元に只人の手でも行える現象操作術―――すなわち魔術を確立した。
 
: 彼はただ一度しか啓示を受けなかったが、それを元に只人の手でも行える現象操作術―――すなわち魔術を確立した。
: 同じくスキルの「召喚術」は過去・あるいは未来から霊体を喚起する魔術であり、これによりソロモンは七十二柱の魔神と呼ばれる霊的存在を語り上げ、有能な使い魔として成立させた。彼が残した知識に悪魔を使役する術があるが、その写本は後にレメゲトン、あるいはゲーティアと名付けられた。
+
: スキル「召喚術」は規格外のEXランクで保持しており、過去・あるいは未来から霊体を喚起する魔術となる。これによりソロモンは七十二柱の魔神と呼ばれる霊的存在を語り上げ、有能な使い魔として成立させた。彼が残した知識に悪魔を使役する術があるが、その写本は後にレメゲトン、あるいはゲーティアと名付けられた。
: スキル「千里眼」もEXという規格外のレベルで保持しており、過去から未来を見通すとされる。しかし、時間の流れの外に出てしまったカルデアは彼の目を以てしても見通すのが難しいらしい。
+
: スキル「千里眼」もEXという規格外のレベルで保持しており、同じく過去から未来を見通す。
: スキル「ソロモンの指輪」もEXという規格外レベルで、十の指輪がすべて揃っている場合、人類が行うあらゆる魔術を無効化し、また配下に納めるとされる。即ち、'''魔術師である限りどうあがいても勝てない'''ということに他ならない。この能力のためか、序章を除いた各特異点において人理を歪まさせるために聖杯を使うサーヴァントあるいは魔術師達は揃いもそろってキャスタークラスのサーヴァントか人間の魔術師が従わされている。神代で高位の魔術師であったメディアですらも。
+
: 固有スキル「ソロモンの指輪」は『十の指輪がすべて揃っている場合、人類が行うあらゆる魔術を無効化し、また配下に納める』というもの。これもEXレベルに相当する規格外スキルであり、マリスビリーの言葉から[[令呪]]すらも受け付けないことが分かる。
: 冬木の聖杯戦争における英霊召喚システムの前身、すなわち本来の「世界を救うための決戦術式」としての英霊召喚により呼び出さる英霊であるため、他のサーヴァントより一段階上の規格を持つ。
 
: これにより呼び出されたサーヴァントは例えるなら通常のサーヴァントが「人」に対する英霊であるのと比較し、「世界」に対する英霊と称されるほどの器・権能の差があるという。
 
  
 
== ステータス ==
 
== ステータス ==
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! クラス !! マスター !!  筋力 !! 耐久 !! 敏捷 !! 魔力 !! 幸運 !! 宝具 !! [[スキル (サーヴァント)|クラス別能力]] !! [[スキル (サーヴァント)|保有スキル]] !! 備考
 
! クラス !! マスター !!  筋力 !! 耐久 !! 敏捷 !! 魔力 !! 幸運 !! 宝具 !! [[スキル (サーヴァント)|クラス別能力]] !! [[スキル (サーヴァント)|保有スキル]] !! 備考
 
|-
 
|-
| rowspan="2"| グランドキャスター|| ? || E || E || B || A++ || A++ || A++ || ? ||rowspan="2"|啓示:B<br />召喚術:EX<br />ソロモンの指輪:EX<br />千里眼:EX<br /> ||style="text-align:left"|
+
| [[キャスター]]|| ? || E || E || B || A++ || A++ || A+++ || 陣地作成:A<br />高速詠唱:C<br />道具作成:C ||啓示:B<br />召喚術:EX<br />ソロモンの指輪:EX<br />千里眼:EX ||style="text-align:left"|
 
|}
 
|}
  
 
== [[宝具]] ==
 
== [[宝具]] ==
 
; 誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの(アルス・アルマデル・サロモニス)
 
; 誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの(アルス・アルマデル・サロモニス)
: ランク:不明<br />種別:対人理宝具
+
: 種別:対人理宝具
: ソロモン王の第三宝具。原罪のⅠ。
+
: ソロモン王の第三宝具。
: 一見すると地球を囲む光の輪だが、その実態は幾億もの光の線の集合体である。
+
; 戴冠の時きたれり、其は全てを始めるもの(アルス・パウリナ)
: 線の一本一本がAランク宝具である『[[アルトリア・ペンドラゴン|エクスカリバー]]』に匹敵する極大ダメージを持つ。
+
: ソロモン王の第二宝具。
: 残念ながら、この宝具の熱量を上回るものは地球上には存在しない。
+
; 訣別の時きたれり、其は世界を手放すもの(アルス・ノヴァ)
:『Grand Order』で各特異点の上空に浮かぶ光の帯の正体がこれである。
+
: ランク:D<br />種別:対人宝具<br />レンジ:-<br />最大捕捉:1人
 +
: 第一宝具。[[ゲーティア]]ではなく、真のソロモン王が持つ宝具。[[ゲーティア]]が真名を知らなかった、ソロモン王の本当の第一宝具。
 +
:ソロモン王が全能の指輪を天に返した「人間らしい英雄」の逸話を宝具として再現したモノ。彼がそれまで為し得た偉業、為し得た奇跡、為し得た魔術、そのすべてを手放す別れの詩。
 +
: この宝具を発動するとソロモンは神から与えられた恩恵を天に帰し、世界を見据えていた眼を失い、己の持つ「全て」を放り投げることになる。効果はソロモン王の死。ひるがえって七十二柱の魔神の自壊である。
 +
:七十二の魔神柱の自壊、固有結界「時間神殿ソロモン」の破壊、魔神王ゲーティアへの対抗が可能な唯一の宝具だが、これは有り体に言えば「ソロモン王の死」。それも[[アーラシュ]]の宝具のように生命や肉体の消滅という単純なものではなく、存在そのもの全ての消滅を意味する。
 +
: 遠い未来において「魔術」が人間にとっての悪になった時、これを滅ぼすためにソロモンが用意した安全装置とも言える。己の姿や功績が二度と地上に現れない以上、英霊の座からも消滅し、ソロモン王の痕跡は世界や人類史から全て消え去り、人類では誰も到達していない終わり、本当の意味での「無」に至る。
 +
: だが、ソロモンの完全消滅とは彼の痕跡がなくなるという意味ではなく、「彼が成すべき事をすべて終了した」という意味合いとなる。
 +
: なぜなら、あらゆる生命はその完結時・終了時に「やり残し」が存在し、その者がどれほど完璧な人生を送ろうと残される「余剰」を後に続く人々が受け持つ事で人類史の轍は作られる。それに対し、生命の宿題/この宇宙で成すべきタスクすべてを完璧に成し遂げ、やり残しを完全に無くした状態になったことで、ソロモンは自らの存在意義と役目を完結させたのだ。
 +
: もう彼を倒す必要も、また彼に頼る必要もない。誰も彼を求める事はなく、誰も彼の死を背負う必要もなく、誰もこれ以上の助力・成果を彼に求める事はない。 [[覚者|人類で唯一悟りを開いたという救世主]]がいるが、彼とは違う方向の「到達点」に、臆病者は辿り着いた訳だ。それが、[[ロマニ・アーキマン|いずれ英霊の座を去る王が人間として生まれ変わり、生きることを願った青年]]の覚悟の証左とも言えよう。
  
 
== 真名:ソロモン ==
 
== 真名:ソロモン ==
ソロモン。紀元前1011年~931年の人物。旧約聖書に登場する、 魔術の祖と謳われイスラエルを最も発展させた古代イスラエルの第三代王。<br>
+
:ソロモン。旧約聖書に登場する、魔術の祖と謳われイスラエルを最も発展させた古代イスラエルの第三代王。紀元前1011年~931年の人物。<br>七十二柱の魔神を使役し、初めてイスラエル神殿を築き、人類に魔術をもたらした人物。王として優れた政策を行ったが、それ以外にも魔術師としての逸話が多い。
七十二柱の魔神を使役し、初めてイスラエル神殿を築き、人類に魔術をもたらした人物。王として優れた政策を行ったが、それ以外にも魔術師としての逸話が多い。
+
:彼は人理を守るために喚ばれるあらゆる英霊の頂点に立つ者であった。<br>霊長の世を阻む大災害、築き上げられた文明を滅ぼす終わりの化身、文明より生まれた文明を食らうもの<br>―――その害敵、自業自得の<ruby><rb>死の要因</rb><rt>アポトーシス</rt></ruby>、即ち[[ビースト]]に対し、人理を守護する守護者として遣わされる天の御使い。<br>人理を護る、その時代最高峰の七騎。英霊の頂点たる始まりの七つ。
 
+
:その英霊達の頂点に立つ七騎において、冠位の魔術師の座に君臨する者。<br>それこそが<ruby><rb>冠位</rb><rt>グランド</rt></ruby>の器を持つキャスター、ソロモンである。
 
 
エジプトのファラオの娘を娶った後、ある日夢枕に神が現れ「汝に資格あり。望みを口にせよ。願うものを与えよう」と告げたという。<br>
 
これに対しソロモンは黄金や権力ではなく知恵を求め、この返答こそが「真の叡智」に至る資格の証左であるとして満足した神から十の指輪を与えられた。<br>
 
これこそが神に認められた知恵者の証であり、後にソロモンの指輪と呼ばれる、天使や悪魔を使役する魔術の源泉であった。
 
  
魔術の王と呼ばれる存在ではあるが、その賢明さから奇跡を見せたのはただの一度きり。<br>
+
;ソロモン七十二柱
その一度のみの奇蹟により「民は王の加護を得ている」と知らしめ、その後は民から恐怖される、民が堕落するといった事態を防ぐために奇蹟は起こさなかった。<br>
+
:ソロモン王が召喚したとされる魔神の集団。いずれも爵位を持ち、軍団を率いている。
ソロモンは魔術を使わないまま魔術の王として近隣諸国に名を広め、賢王のままこの世を去った。<br>
+
:『Grand Order』では伝承の姿ではなく[[魔神柱]]として登場しており、ある計画のために受肉・新生した。
ソロモン王の死によって世界からは加速度的に神代の神秘が失われていき、西暦を迎えて完全に人の世に塗り替わったという。
+
:そも、七十二柱の魔神とは魔術の祖ソロモンが作り出した“正しい道理を効率良く進める”システムにすぎなかった。
  
 +
;ソロモンの指輪
 +
:神よりソロモン王に授けられた十の指輪。これを用いて天使や悪魔を使役している。
 +
:十の指輪がすべて揃っている場合、人類が行うあらゆる魔術を無効化し、また配下に納めるとされる。
 +
:ソロモン王が亡くなる際、遥かな未来に贈ったものである十個目の指輪を触媒としてマリスビリーに召喚された。
  
――そして死後、彼は自らの力で蘇り、その身を英霊へと昇華させた。<br>
+
;ソロモン王の小鍵
彼は生者にして英霊であり、マスターなど必要としない。
+
:19世紀に発見された魔道書。
 +
:書は五部からなり、そのうち最も有名なものが魔神の目録である第一部「ゲーティア」。
 +
:第五部「アルス・ノヴァ」はその最後の締めくくり、古きを捨てる新しい術を表す。
 +
:ちなみに残りは第二部「テウルギア・ゲーティア」、第三部「アルス・パウリナ」、第四部「アルス・アルマデル・サロモニス」。
 +
:ソロモンの宝具名はいずれもここから取られている。
  
 +
=== 略歴 ===
 +
;生前
 +
:エジプトのファラオの娘を娶った後、ある日夢枕に神が現れ「汝に資格あり。望みを口にせよ。願うものを与えよう」と告げたという。<br>これに対しソロモンは黄金や権力ではなく知恵を求め、この返答こそが「真の叡智」に至る資格の証左であるとして満足した神から十の指輪を与えられた。<br>これこそが神に認められた知恵者の証であり、後にソロモンの指輪と呼ばれる、天使や悪魔を使役する魔術の源泉であった。
 +
:魔術の王と呼ばれる存在ではあるが、その賢明さから奇跡を見せたのはただの一度きり。<br>その一度のみの奇蹟により「民は王の加護を得ている」と知らしめ、その後は民から恐怖される、民が堕落するといった事態を防ぐために奇蹟は起こさなかった。<br>ソロモンは魔術を使わないまま魔術の王として近隣諸国に名を広め、賢王のままこの世を去った。<br>ソロモン王の死によって世界からは加速度的に神代の神秘が失われていき、西暦を迎えて完全に人の世に塗り替わったという。
 +
:だが、生前において過去と未来を見通す千里眼を持ち、この世全ての悲劇、悲しみを把握していながら、何もしなかった。<br>ソロモンは何も感じなかったとしても、「配下」はこの仕打ちに耐えられなかった。<br>貴方は何も感じないのか。この悲劇を正そうとは思わないのか。そう述べるも―――
 +
::『特に何も。神は人を戒めるためのもので、王は人を整理するだけのものだからね <br> 他人が悲しもうが己に実害はない。人間とは皆、そのように判断する生き物だ』
 +
:人間の救われなさ、醜さを知ったうえでこれを正す事なく、ソロモン王は死を受け入れた。[[ゲーティア|しかし…――――]]
  
彼は本来、人理を守るために喚ばれるあらゆる英霊の頂点に立つ者であった。<br>
+
;人となった王
霊長の世を阻む大災害、築き上げられた文明を滅ぼす終わりの化身、文明より生まれた文明を食らうもの<br>―――その害敵、自業自得の<ruby><rb>死の要因</rb><rt>アポトーシス</rt></ruby>に対し、人理を守護する守護者として遣わされる天の御使い。<br>
+
:ソロモン王の死から遥かな未来である西暦2004年。冬木の聖杯戦争で勝利を収めたのはマリスビリー・アニムスフィア、そして秘密裏に召喚され、『カルデアの英霊召喚での成功例第一号』となったソロモン。
人理を護る、その時代最高峰の七騎。英霊の頂点たる始まりの七つ。
+
:ソロモンが聖杯にかけた願いは『英霊として受肉する』のではなく、『人間になる』というもの。全能の力を持つ『英霊としての力』を全て捨て、何の変哲もない[[ロマニ・アーキマン|『ごく普通の青年』]]として生きようと願った。
 
+
:そして願いが果たされる瞬間に、その全ての能力を失った。それだけなら良かったが、ただの人間になる刹那に人類の終焉を視てしまった。
その英霊達の頂点に立つ七騎において、魔術師の座に君臨する者。<br>
+
:誰がなんの目的でソレを引き起こしたのか、どうすればこれを防げるのか、それらを知る術は失ってしまったが、そのまま無視することもできなかった。この事件は自分に関わる事だけは分かっていたから。
それこそが<ruby><rb>冠位</rb><rt>グランド</rt></ruby>の器を持つキャスター、ソロモンである。
+
:人となったソロモンは文字通り「一から、人間として学び直す工程」より旅を始めた。敵が誰かも、何が引き金かも分からない。彼にできるのは耐える事、そのときに備える事だけ。
 +
:ソロモンと同様にこの青年からあらゆる自由が奪われたのはあまりにも皮肉としか言いようがなかったが、多くの偶然にも助けられたのだ。[[主人公 (Grand Order)|人類最後のマスター]]には初めて出逢った日から、グランドオーダーにおいても。
 +
:最終決戦の固有結界「冠位時間神殿」において、人理焼却の首謀者であるゲーティアと人類最後のマスターの前に現れ、本来の姿を晒した彼は、遙かなる過去・神代の終焉の時代において、自身が「魔術」という概念そのものに施した安全装置を起動する。
 +
::伝承に曰く、ソロモン王は万能の指輪を持ちながら、それを使ったことは一度しかなく、ついにはその指輪を自らの意思で天に還した。<br />「ここからは全能の神に運命を委ねるのではなく、人が人の意志で生きる時代だ」と告げるように。
 +
:ゲーティアの9つとソロモンの残る1つ、計10の指輪を鍵とし、彼は指輪返還の逸話的再現である第一宝具を再演。<br />神の代理人たるソロモン王の完全消滅という効果を以って、自身を起源とするゲーティアの存在に致命的な綻びを生み出し、そして世界から消え去った。
 +
:――自身をここまで導いてくれた人類最後のマスターへ、人間“[[ロマニ・アーキマン]]”としての微笑みを最後の瞬間に残して。
  
 
== 登場作品と役柄 ==
 
== 登場作品と役柄 ==
 +
===Fateシリーズ===
 
; [[Fate/Grand Order]]
 
; [[Fate/Grand Order]]
: グランドキャスターのサーヴァントであり、第四章の最終幕にて姿を現した。
+
: グランドキャスターのサーヴァント。長らく人理焼却を目論む本作の黒幕と思しき存在とされていたのだが、終局特異点でそれに関する実態が全て判明。
: 無尽蔵とも言える魔力量を持ち、存在するだけで領域を圧し潰すほどの支配力を誇る。
+
 
: 人理焼却を目論む本作の黒幕と思しき存在。
 
 
== 人間関係 ==
 
== 人間関係 ==
 
=== Fate/Grand Order ===
 
=== Fate/Grand Order ===
;[[主人公 (Grand Order)]]
+
; [[マリスビリー・アニムスフィア]]
:人理焼却に立ち向かう人類最後のマスター。七つの人理を全て修復した時、自身が解決すべき案件として認めるとした。
+
: かつての聖杯戦争での召喚者でありマスター。関係は良好であり、彼の内面に存在する人類への愛を確かに感じ取っていた。
;[[マシュ・キリエライト]]
+
 
:彼女の盾に何か気づいたのか関心を示す。
+
;[[クレオパトラ]][[オジマンディアス]]
;[[ダビデ]]
+
:エジプト美人は大好きだがファラオは気にいらないソロモンであった。
:父親。
+
;[[ギャラハッド]]
;[[レフ・ライノール]]
+
:同じ「願いを叶える機会」を神に与えられたもの。
:配下の一人。カルデア襲撃の実行犯であり、ソロモンに心酔する魔術師。魔神柱フラウロスを貸し与えた。
+
:ソロモンは知恵を求めたが、ギャラハッドは何も求めなかった。
;[[魔神柱]]
+
:その事に関してソロモンは“なぜだ?”という疑問と、深層心理で“そうあるべきだった”と後悔からくる劣等感がある。
:彼の忠実なる使い魔であり、最たる逸話の一つであるソロモン七十二柱の魔神達。
+
; [[ゲーティア]]
:彼の命のままに受肉・新生し、彼の望むとおりに人理を破壊せんとする。
+
: かつての使い魔であり、本来は人理補正目的で創造した自律型魔術式達。死後に自身の遺体を巣食われ、人理焼却を成立される。
;[[ジル・ド・レェ]]
+
: 終局特異点において正体が明かされるまで「魔術王ソロモン」の名を騙って活動していた。他の項目の人間関係で言及される「ソロモン」も、実際にはゲーティアであるものが多いので注意されたい。
:『魔元帥』
+
:それはそれとして、キミ、ボクのこと嫌いすぎじゃない!?
:聖杯を与え、第一特異点の焼却を命じた。
 
;[[ロムルス]]
 
:『帝国真祖』
 
:第二特異点の焼却を命じた。だが、彼本人は世界を愛し、人理焼却を望んでいなかったたためにレフを介して命令を出させるという形を取らざるを得なかった。
 
;[[メディア〔リリィ〕]]
 
:彼女を純粋な魔術で打ち負かし、行動に制限をかけていた。神代の魔術師とはいえど、相手はその上を行く魔術王であった。
 
:魔神柱フォルネウスを貸し与えた。
 
;[[イアソン]]
 
:『英雄間者』
 
:彼に最強の力が得られると虚偽を吹き込み第三特異点の焼却を実行させようとする。
 
:彼からは目の届かない場所でも「あのお方」と呼ばれており、ほとんどの相手を見下すイアソンでも彼の偉大さは無条件で敬うほどのものだったのだろう。
 
;[[間桐臓硯|マキリ・ゾォルケン]]
 
:若く理想を抱いていたはずの頃の彼を絶望させ、配下に加える。魔神柱バルバトスを貸し与えていた。
 
;[[ニコラ・テスラ]]
 
:『神域碩学』
 
:彼の召喚による第四特異点の破壊を期待していた。
 
  
=== 設定 ===
+
=== 生前 ===
;[[プライミッツ・マーダー]]
+
; [[ダビデ]]
:御するために七騎の守護者が必要とされるという存在。
+
: 父親。互いにわりと無関心な親子関係。
:聖杯戦争の七騎のサーヴァントはこれになぞらえているとされているため、『Grand Order』で語られた「人類を護るために決戦術式で呼び出される最高峰の英霊七騎」と同一のものであるとも思われるが、召喚されるものが守護者ではなくサーヴァントである点、術式で対抗する害悪が「文明によって生まれる自業自得の死の要因」とも書かれ、ガイアが生み出したプライミッツ・マーダーが該当するのか等の点から疑問もある。
+
:ダビデがソロモンは人間として失敗作、と言うと「まあ、父上はそういうこと言う」と普通に流す。
 +
:[[ロマニ・アーキマン|人間になった]]ときには辛辣な対応をしている。
 +
; [[シバの女王]]
 +
: 互いに贈り物を交わし合った仲。
 +
; ブリシサン
 +
: 弟子の一人。「禁忌中の禁忌」とされる知識を授けた。
 +
: 後に彼の家系が[[時計塔]]の伝承科のロードとなる。
 +
;[[スペース・イシュタル|アシュタレト]]
 +
:豊穣神としての彼女の信仰を認め、自身も神殿に礼拝した。この為、ユダヤ教徒から激しく非難された。
 +
;[[キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ]]
 +
:ブリシサン同様、弟子の一人。
  
 
== 名台詞 ==
 
== 名台詞 ==
 
=== Fate/Grand Order ===
 
=== Fate/Grand Order ===
;「<ruby><rb>魔元帥</rb><rt>まげんすい</rt></ruby>ジル・ド・レェ。帝国真祖ロムルス。<ruby><rb>英雄間者</rb><rt>えいゆう</rt></ruby>イアソン。そして<ruby><rb>神域碩学</rb><rt>しんいきせきがく</rt></ruby>ニコラ・テスラ。」<br /> 「多少は使えるかと思ったが―――小間使いすらできぬとは興醒めだ。」<br /> 「下らない。実に下らない。やはり人間は<ruby><rb>時代</rb><rt>トキ</rt></ruby>を重ねるごとに劣化する。」
+
;「いや、まあ、別に、何も?」
:第四章で、突如として正体不明の存在として割り込んだ時の台詞。
+
:生前。人間が最期には死で終わるのをどう思うのかと「[[ゲーティア|何者か]]」に問われての返事。
 +
:その微笑と共に放たれたあまりにも人の心がない一言に「何者か」は密かに一つの決意をすることになる。
  
;「ん? なんだ、既に知り得ている筈だが? そんな事も教わらなけねば分からぬ猿か?」<br />「だがよかろう、その無様さが気に入った。聞きたいなら教えてやろう。」<br />「我は貴様らが目指す到達点。七十二柱の魔神を従え、玉座より人類を滅ぼすもの」<br /> 「名をソロモン。数多無象の英霊ども、その頂点に立つ七つの冠位の一角と知れ」
+
;「我が名は魔術王ソロモン。[[ゲーティア]]。お前に引導を渡すものだ」
: 初登場時。規格外の力を秘めて現れた、人類最高の魔術師にして英霊の頂点に君臨する者の名乗り。
+
: 終局特異点にて。偽りの魔術王が捨てた名の本当の持ち主が名乗りを上げる。
  
;「ほう。私と同じく声だけは届くのか。」<br />「カルデアは時間軸から外れたが故、誰にも見つける事のできない拠点となった。」<br />「あらゆる未来―――すべてを見通す我が眼ですら、カルデアを観る事は難しい。」<br />「だからこそ生き延びている。<ruby><rb>無様</rb><rt>ぶざま</rt></ruby>にも。<ruby><rb>無惨</rb><rt>むざん</rt></ruby>にも。<ruby><rb>無益</rb><rt>むえき</rt></ruby>にも。」<br />「決定した人類の滅びの歴史を受け入れず、いまだ無の大海にただよう哀れな船だ。」<br />「それがおまえたちカルデアであり、◯◯という個体。」<br />「燃え尽きた人類史に残った染み。<ruby><rb>私</rb><rt>・</rt></ruby>の事業に唯一残った、私に逆らう愚者の名前か。」
+
;「……命とは終わるもの。生命とは苦しみを積みあげる巡礼だ。<br> だがそれは、決して死と<ruby><rb>断絶</rb><rt>だんぜつ</rt></ruby>の物語ではない。<br> ゲーティア。我が積年の<ruby><rb>慚愧</rb><rt>ざんき</rt></ruby>。我が亡骸から生まれた獣よ。<br> 今こそ、ボクのこの手で、おまえの悪を裁く時だ。」
:第四章で、ロマンの通信を聞いた時の台詞。正真正銘、カルデアが人類史最後の砦だと分かる。
+
:人間になることを望んだ王は自らが生み出した[[ゲーティア|獣]]に引導を渡すため、定命の者としての答えを携え再び王座のもとに戻る。
 +
:その王の名は───'''魔術王ソロモン'''。
  
;「哀れだな。時代の先端に居ながら、貴様らの解釈はあまりに古い。」<br />「七十二柱の魔神は受肉し、新生した。だからこそあらゆる時代に<ruby><rb>投錨</rb><rt>とうびょう</rt></ruby>する」<br />「魔神どもはこの星の自転を止める<ruby><rb></rb><rt>くさび</rt></ruby>である。天に渦巻く<ruby><rb>光帯</rb><rt>こうたい</rt></ruby>こそ、我が宝具の姿である。」
+
;「ああ、初めからそのつもりだ。ボクは自らの宝具で消滅する。それがソロモン王の結末だからね。」<br>「ゲーティア。おまえに最後の魔術を教えよう。<br> “ソロモン王にはもう一つ宝具がある”と知ってはいたものの、その真名を知り得なかった───<br> いや、知る事のできなかったおまえに。」<br>「誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの。<br> 戴冠の時きたれり、其は全てを始めるもの。<br> そして───訣別の時きたれり、其は世界を手放すもの…『<ruby><rb>訣別の時きたれり、其は世界を手放すもの</rb><rt>アルス・ノヴァ</rt></ruby>』」
:第四章で、ロマンが「ソロモン王の使い魔があんな醜悪な肉の化け物のはずがない」と反論した時に返した台詞。
+
:戦闘モーション付きでの台詞。[[ゲーティア]]はソロモン王の宝具『誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの』でソロモン自身の排除にかかる。
 +
:だが、ソロモン王にとっても「自らの宝具で消滅する結末」は初めから覚悟のうちだった。彼がそれまで為し得た偉業、為し得た奇跡、為し得た魔術、そのすべてを手放す別れの詩。
 +
:この戦闘ムービーのボイスは最終章制作時の3年前に録ってあり、ディライトワークスの方たちもその存在を忘れていたほどに初期から存在していた<ref group = "出" name="奈須きのこ×塩川洋介4Gamer">[https://www.4gamer.net/games/266/G026651/20170302098/index_2.html 「Fate/Grand Order」がもたらす新しいスマホゲームの形――奈須きのこ×塩川洋介が語るFGOの軌跡と未来とは]</ref>
 +
:収録当時、奈須氏以外は「なんでバトル以外のボイスをとってるんだ? ドラマCD?」などと思っていたそうな<ref group = "出" name="奈須きのこ×塩川洋介4Gamer" />
  
;「そら見た事か。ただの英霊が私と同じ地平に立てば、必然、このような結果になる。」
+
;「おまえの持つ九つの指輪。そして私の持つ最後の指輪。<br> 今、ここに全ての指輪が揃った。なら<ruby><rb>あの時</rb><rt>・・・</rt></ruby>の再現が出来る。」<br>「ソロモン王の本当の第一宝具。私の唯一の、“人間の”英雄らしい逸話の再現が。」
:第四章で、[[ウィリアム・シェイクスピア]]、[[玉藻の前]]、[[坂田金時]]をたった一人で倒した時の台詞。人類史に名を残した強大な英霊も七つの冠位の一角を相手では、ただの英霊扱いされる。
+
:遙かなる過去の時代において、かの王は万能の指輪をただ一度のみしか使用せず、最後には天に還したという。
 +
:人間の愛を理解できなかった獣の主として、そして魔術王として。彼は“最後の魔術”を再演する。
  
;「ほう? いいぞ、語ってみよ即興詩人。聞き心地よいい賞賛ならば楽に殺してやる。」
+
; 「第三宝具『<ruby><rb>誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの</rb><rt>アルス・アルマデル・サロモニス</rt></ruby>』<br> 第二宝具『<ruby><rb>戴冠の時来たれり、其は全てを始めるもの</rb><rt>アルス・パウリナ</rt></ruby>』」<br>「そして───神よ、あなたからの天恵をお返しします。<br> ……全能は人には遠すぎる。私の仕事は、人の範囲で十分だ」<br>「第一宝具、再演。───『<ruby><rb>訣別の時きたれり。其は、世界を手放すもの</rb><rt>アルス・ノヴァ</rt></ruby>』」
:[[ハンス・クリスチャン・アンデルセン|アンデルセン]]が自らの正体に見抜いた時の台詞。自らの正体を見抜かれて尚も、その余裕は消えることはない。
+
: [[ゲーティア]]が知り得なかった、真の第一宝具発動。無感動で非人間であったはずのかの王が唯一“人間性”を発揮した、指輪返還の逸話的再現。
 +
: これは神より与えられた恩恵全てを捨て去り、ソロモン王から生まれ出たもの全てを自壊させる"自爆宝具"。発動と共に、地上に存在するソロモン王の痕跡は、72の魔神たちも含め全て消えうせる。<br /><br />'''───否、地上のみならず、英霊の座からでさえも…。'''
  
;「―――そうだ。七騎の英霊は、ある害悪を滅ぼすために遣わされる天の御使い。」<br />「人理を護る、その時代最高の七騎。英霊の頂点に立つ始まりの七つ。」<br />「もともと降霊儀式・英霊召喚とは、霊長の世を救う為の決戦魔術だった。」<br />「それを人間の都合で使えるよう格落ちさせたものがおまえたちの使うシステム―――聖杯戦争である。」
+
== メモ ==
:第四章での台詞。作品の根幹に関わる聖杯戦争の真実。
+
* ファンタジー界隈では余りに有名な人物。七十二柱もの魔神を束ね、父親であるダビデが成せなかった大神殿を築いた破格の王。ソロモンと彼の眷属達に纏わる逸話も数え切れないほど存在し、'''父親より遥かに聖杯戦争に映える英霊'''とファンからは囁かれていた。
 
+
** TYPE-MOONの世界でも、公式で言及された『魔術の王とされ、彼の死後加速度的に神代の神秘が失われ、西暦を迎えて完全に神代が終了した』という重要な転換点としての設定や、[[メレム・ソロモン]]の名の由来となった人物であることなどからその存在には少なくない注目が集まっており、それ故に黒幕と思しき登場はファンに衝撃を与えた。
; 「そうだ。よくぞその真実に辿り着いた!」<br /> 「我こそは王の中の王、キャスターの中のキャスター! 故にこう讃えるがよい!」<br /> 「――グランドキャスター、魔術王ソロモンと!」
+
**余談だが第1部第4章以前にも『[[氷室の天地 Fate/school life]]』におけるぼくの考えた最強偉人募集でひっそりと登場していた(あくまでも古代ヘブライ伝承上のソロモン王であって本人ではないが)。
: 自身の在り方を的確に見抜いた[[ハンス・クリスチャン・アンデルセン|作家]]を称え、自身の格を高らかに謳う。
+
***能力名は『ソロモン王の指輪』と普通に伝承通りだが、画風は'''某妖怪漫画家'''的なアレであって指輪というより笛を吹いて十二使徒を使役する方になってしまっている。
 +
*何気に現状では唯一の、'''聖杯戦争に参加して優勝し、自身の願いを(自身の望む形で)叶えることに成功した'''サーヴァント。
 +
**前述の通り正攻法で完勝するという結果を、優勝することが難しいクラスの筆頭であるキャスターの身で残している。勝因については元となった決戦術式があるとはいえ、「聖杯戦争そのものが西洋魔術で構築されていたためではないか?」とする考察もある。事実として西洋魔術はソロモンの系譜に連なるものが多く、「ソロモンの指輪」の効果が聖杯戦争に使われる術式にも効果がある(実際ソロモンには令呪は全く効果がないという)とすれば有形無形の干渉やそれ以上の、身も蓋もない言い方をすれば「インチキ」すらが可能となることを意味すると思われる。
  
; 「では帰るか。思いの外時間をとったな」<br />  モードレッド「はあ!? 帰るって、テメエ一体なにしにきやがった!?」<br /> 「いや、単なる気まぐれだが?」<br /> 「 ひとつの読書を終え、次の本にとりかかる前に用を足しに立つことがあるだろう? これはそれだけの話だ」<br /> モードレッド「なっ……小便ぶっかけにきたっつうのか!?」<br /> 「――――、は」<br /> 「ハハ、ハ、ギャハハハハハハハハ……!」<br /> 「その通り! 実にその通り! 実際、貴様らは小便以下だがなァ!」
+
==話題まとめ==
: 圧倒的な力を見せつけ、その場にいたサーヴァントの半数以上を消滅させた上であっさりと帰還しようとし、見とがめたモードレットを嘲り笑うように。
+
; 『訣別の時来たれり、其は世界を手放すもの』が齎した結果
: だが、この悪辣な嘲笑が回り回って自分に降りかかるとは思ってもいなかっただろう(メモ参照)
+
: FGO第1部最終章において重要な役割を担った『訣別の時来たれり、其は世界を手放すもの』だが、この効果については疑問点が残る。
 +
: まず、FGO最終章が完結した際にゲーム内プロフィール欄に書かれた「遠い未来において「魔術」が人間にとっての悪になった時、これを滅ぼすためにソロモンが用意した安全装置とも言える。己の姿や功績が二度と地上に現れない以上、英霊の座からも消滅し、ソロモン王の痕跡は世界や人類史から全て消え去り、人類では誰も到達していない終わり、本当の意味での「無」に至る。」という記載。
 +
: これをそのまま受け取った場合、これによって現代の世界に生じるであろう弊害のようなものは特に描写されていないという点が当時疑問として挙げられた。「ソロモンから生まれ出でたモノの完全消滅」とくれば、彼が築いた魔術の基礎の部分が魔術師たちの記憶から消失したり、もっと言えば誕生経緯に彼の直接関わったカルデアが消滅でもしそうなモノだが特にそういった描写はない、というものである。
 +
: 後にこれを受けてか「FGO material Ⅳ」においてソロモンの項の宝具欄に「ソロモンの完全消滅とは彼の痕跡がなくなるという意味ではなく、「彼が成すべき事をすべて終了した」という意味合いとなる。」「あらゆる生命はその完結時・終了時に「やり残し」が存在し、その者がどれほど完璧な人生を送ろうと残される「余剰」を後に続く人々が受け持つ事で人類史の轍は作られる。それに対し、生命の宿題/この宇宙で成すべきタスクすべてを完璧に成し遂げ、やり残しを完全に無くした状態になったことで、ソロモンは自らの存在意義と役目を完結させたのだ。」と解説が加えられた。<del>例によって例の如く前言は翻ったのである</del>
 +
: これによりソロモンの消滅による現世への影響が現れなかったことへの回答が得られた……ように見えるが、materialにおいても「遠い未来において「魔術」が人間にとっての悪になった時、これを滅ぼすためにソロモンが用意した安全装置とも言える。」という一文には変化がなかった。
 +
: ゲーティアが将来人理を滅ぼそうとする未来を予見していなかったであろうことを考えれば、ここで言う「魔術」がゲーティアを指していないだろうことは間違いない。
 +
: 一体ここで言う「魔術」とは何を指し、そして如何様にして抑止されるはずだったのだろうか……。
 +
;没年
 +
:ソロモン王の没年は史実では紀元前931年頃とされており、FGO最終章1節でも[[ロマニ・アーキマン]]がそう触れている。
 +
:だが、「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿material」の時計塔年表においては、ソロモン王死去と神世の終わりが紀元前960年頃と書かれており、30年ほどの開きがある。
 +
:これを真に受けるのであれば、ソロモン王が紀元前960年頃に死亡した後、[[ゲーティア|何者か]]がそれに成り代わりソロモン王としての偉業を成したことが示唆される。
 +
:史実においてソロモン王は後半生で堕落したと言われており、型月ではそれをこう解釈したのかもしれない。
 +
:ただ奈須きのこの事なので、事件簿マテリアルの元となった資料自体に誤字や誤解がある可能性もあるのだが……。
  
; 「――――」<br /> 「娘。人の分際で生を語るな。死を前提にする時点で、その視点に価値はない」<br /> 「生命への感謝だと? それはこちらが貴様らに抱く疑問だ」<br /> 「<ruby><rb>人間</rb><rt>おまえ</rt></ruby>たちはこの二千年なにをしていた? ひたすらに死に続け、ひたすらに無為だった」<br /> 「おまえたちは死を克服できなかった知性体だ。にも関わらず、死への恐怖心を持ち続けた」<br /> 「死を克服できないのであれば、死への恐怖は捨てるべきだったというのに」<br /> 「死を恐ろしいと、無残なものだと認識するのなら、その知性は捨てるべきだったのに!」<br /> 「無様だ。あまりにも無様だ。それはおまえたちも同様だ、カルデアのマスターよ」<br /> 「なぜ戦う。いずれ終わる命、もう終わった命と知って」<br /> 「なぜまだ生き続けようと縋る。おまえたちの未来には、何一つ救いがないと気付きながら」<br /> 「あまりにも幼い人間よ。人類最後のマスター、○○よ」<br /> 「これは私からの唯一の忠告だ」<br /> 「おまえはここで全てを放棄する事が、最も楽な生き方だと知るがいい」<br /> 「――灰すら残らぬまで燃え尽きよ。それが貴様らの未来である」<br />
+
== 脚注 ==
: マシュに「命を弄んでる」とその考え方を批難され、立ち去る前に語った反論。
+
===注釈===
: 何が彼をそこまで失望せしめ、人理焼却という凶行に走らせたのか。残忍な発言とは一線を画す態度であり、主人公とマシュへの態度は嘲笑と言うよりは強い哀れみを感じさせる。
+
<references group="注"/>
  
== メモ ==
+
===出典===
* ファンタジーの界隈では余りに有名で、七十二柱もの魔神を束ね、父親であるダビデが成せなかった大神殿を築いた破格の王。ソロモンと彼の眷属達に纏わる逸話は数え切れないほど存在し、'''父親より遥かに聖杯戦争に映える英霊'''とファンからは囁かれていた。
+
<references group="出"/>
: タイプムーンの世界でも、公式で言及された『魔術の王とされ、彼の死後加速度的に神代の神秘が失われ、西暦を迎えて完全に神代が終了した』という重要な転換点としての設定や、[[メレム・ソロモン]]の名の元となった人物であることなどからその存在には少なくない注目が集まっており、それ故に黒幕と思しき登場はファンに衝撃を与えた。
 
*[[スカサハ]]は、ソロモンが行った人理焼却は「命だけでなく死すらも灼き尽くす異形なもの」と評している。
 
:というのも「真っ当な滅亡」ならば死が溢れるものであり、煉獄、冥界、その他諸々あらゆる魂の行き先で溢れるが、「人理焼却による滅亡」は死ぬことなく消滅し、「死にすら置いて行かれた残骸」と化してしまう。
 
:また、人の使う奇蹟には魔術、儀式、秘蹟、呪いがあり、さらにその上に神々が持っているとされている権能があるが、人理焼却はそれらに全て当てはまらない。故に「偉業」「世界を滅ぼすための権能を超える人の業」である。
 
*これまでその偉大さが設定で語られ、満を持して登場した最強のキャスター……なのだが、第三章で父親が語った「基本的に残虐で悪趣味でろくでなし」「隠れて交際していた愛人10人みんなに裏切られるくらいの事があれば人理焼却だってやるかもしれない」という人物像のせいで「(愛人)10人全員にフラれたのか」「言われてたとおり、わりとクズだった」などの感想がチラホラ。さらには第四章公開直前のクリスマスイベントでのダビデのキャラ付けが、「偉大な業績を持つ大物だが、育児放棄気味の爽やか系クズ」というとんでもないものであったために、「父親がこんなだからグレた」と同情する者まで現れる始末。
 
: 極め付けに前述の台詞での喩えがあまりにあまりだったため、一部で付けられたあだ名が'''「小便王」'''。
 
: 酷い仇名には一応[[ヴラド三世 (Apocrypha)|前例]]がいるものの、あちらはあくまで本人の言動のせいではなくイベントでのアイテムドロップが原因の風評被害だったが、こちらは正真正銘本人の言動が原因であるため擁護のしようもないという悲惨さである。最も上述の通り初めに例え話に小便と言ったのはモードレッドなのだが…
 
*余談だが4章以前にも[[氷室の天地 Fate/school life]]におけるぼくの考えた最強偉人募集でひっそりと登場していた。(あくまでも古代ヘブライ伝承上のソロモン王であって本人ではないが)
 
**能力名は『ソロモン王の指輪』と普通に伝承通りだが、何故か'''某妖怪漫画家の画風'''で描かれていためこれもネタ要素にされている。
 
*「グランドキャスター」という大層な肩書きで登場したわけであり、人理消却の元凶であり、まさに全人類丸ごと見下した傲岸不遜な態度と誰がどう見ても黒幕、ラスボスであるわけだが、「グランドキャスター」と肩書きがある以上他のクラスでの「グランド」の英霊もいるのではないか、ソロモンさえ氷山の一角ではないかという憶測も一部である。そもそも本人が語った聖杯戦争の成り立ちを考えれば「世界の危機に対抗する七騎」が用意されていて然るべきであり、またオンラインゲームであるGrand Orderの性質上、「ソロモンを倒した」後だろうがサービス終了まではストーリーが追加されていくことは想像に難くない。…今は文句なしの存在感の彼だが、遠い先パワーインフレの波に浚われることとなるのだろうか。
 
*「王」という経歴のあるサーヴァントは基本マスターとして運用しようとすると問題児というのはFateシリーズにおいて最早不文律であるが、彼の場合は問題児というレベルですらない。召喚したとしたら最後、マスターの傀儡化等おそらく朝飯前、むしろどれだけ高等な魔術師のマスターであっても適う筈のない魔術師としてのスペック、何より後世の人類を等しく「劣化している」と切り捨てているので主従関係はおろか協力関係すら成り立たないこと必至。…そもそも「マスターを必要としないでサーヴァントとしていくらでも現界可」なので、召喚に応じる可能性は万に一つもありはしないか。
 
  
 
== リンク ==
 
== リンク ==
 
*[[登場人物]]
 
*[[登場人物]]
 
*[[サーヴァント]]
 
*[[サーヴァント]]
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*[[魔術師]]
  
 
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[[Category:登場人物さ行]]
 
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2024年10月24日 (木) 20:58時点における最新版

グランドキャスター
真名 ソロモン
外国語表記 Solomon
異名 魔術王
性別 男性
身長 178cm
体重 75kg
出典 旧約聖書
地域 古代イスラエル
属性 秩序・善
一人称[注 1]
二人称
三人称 君たち/諸君
声優 鈴村健一
演者 神永圭祐
デザイン 武内崇
設定作成 奈須きのこ
レア度 ☆5
プレイヤー側未実装
初登場作品 Fate/Grand Order
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概要[編集 | ソースを編集]

冠位の資格を持つ「魔術師」のサーヴァント

略歴
『Fate/Grand Order』では西暦2004年に開催された冬木の聖杯戦争キャスターサーヴァントとしてマリスビリー・アニムスフィアに召喚された。
マリスビリーとともに聖杯戦争に勝利したソロモンは聖杯に英霊ではなくただの人間として生きることを願い、ロマニ・アーキマンとして生まれ変わった。
人物
内向的、強気、受動的。緊張感のない、ゆるふわっとした王さま。
性格骨子は『強気』だが、これはたんに『空気が読めない』力。結果的に強気な発言をしているだけで、根はチキンである。真面目ではあるが真剣ではなく、いつも八割の力で生きている。
よく人々を見定め、よく法を定め、よく国を治めた。やや気概が足りないところはあるものの、賢く、優しく、愛の多い王として民に敬愛された。
だがこれらの特徴は全てソロモン本人の意思ではない。生まれた時から「王」として定められ、神の声を聞き、その通りに生きるしかなかった結果の姿である。
彼の内面は無感動。人々の悲喜交々に共感する自由、怒る自由すら剥奪されており、非人間同然の存在になってしまっていた。
能力
スキルにある「啓示」は天からの声を聴き最適な行動をとる能力であり、「直感」とは違い戦闘のみならず目標達成に関する事象全てに適応される能力。
彼はただ一度しか啓示を受けなかったが、それを元に只人の手でも行える現象操作術―――すなわち魔術を確立した。
スキル「召喚術」は規格外のEXランクで保持しており、過去・あるいは未来から霊体を喚起する魔術となる。これによりソロモンは七十二柱の魔神と呼ばれる霊的存在を語り上げ、有能な使い魔として成立させた。彼が残した知識に悪魔を使役する術があるが、その写本は後にレメゲトン、あるいはゲーティアと名付けられた。
スキル「千里眼」もEXという規格外のレベルで保持しており、同じく過去から未来を見通す。
固有スキル「ソロモンの指輪」は『十の指輪がすべて揃っている場合、人類が行うあらゆる魔術を無効化し、また配下に納める』というもの。これもEXレベルに相当する規格外スキルであり、マリスビリーの言葉から令呪すらも受け付けないことが分かる。

ステータス[編集 | ソースを編集]

クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考
キャスター E E B A++ A++ A+++ 陣地作成:A
高速詠唱:C
道具作成:C
啓示:B
召喚術:EX
ソロモンの指輪:EX
千里眼:EX

宝具[編集 | ソースを編集]

誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの(アルス・アルマデル・サロモニス)
種別:対人理宝具
ソロモン王の第三宝具。
戴冠の時きたれり、其は全てを始めるもの(アルス・パウリナ)
ソロモン王の第二宝具。
訣別の時きたれり、其は世界を手放すもの(アルス・ノヴァ)
ランク:D
種別:対人宝具
レンジ:-
最大捕捉:1人
第一宝具。ゲーティアではなく、真のソロモン王が持つ宝具。ゲーティアが真名を知らなかった、ソロモン王の本当の第一宝具。
ソロモン王が全能の指輪を天に返した「人間らしい英雄」の逸話を宝具として再現したモノ。彼がそれまで為し得た偉業、為し得た奇跡、為し得た魔術、そのすべてを手放す別れの詩。
この宝具を発動するとソロモンは神から与えられた恩恵を天に帰し、世界を見据えていた眼を失い、己の持つ「全て」を放り投げることになる。効果はソロモン王の死。ひるがえって七十二柱の魔神の自壊である。
七十二の魔神柱の自壊、固有結界「時間神殿ソロモン」の破壊、魔神王ゲーティアへの対抗が可能な唯一の宝具だが、これは有り体に言えば「ソロモン王の死」。それもアーラシュの宝具のように生命や肉体の消滅という単純なものではなく、存在そのもの全ての消滅を意味する。
遠い未来において「魔術」が人間にとっての悪になった時、これを滅ぼすためにソロモンが用意した安全装置とも言える。己の姿や功績が二度と地上に現れない以上、英霊の座からも消滅し、ソロモン王の痕跡は世界や人類史から全て消え去り、人類では誰も到達していない終わり、本当の意味での「無」に至る。
だが、ソロモンの完全消滅とは彼の痕跡がなくなるという意味ではなく、「彼が成すべき事をすべて終了した」という意味合いとなる。
なぜなら、あらゆる生命はその完結時・終了時に「やり残し」が存在し、その者がどれほど完璧な人生を送ろうと残される「余剰」を後に続く人々が受け持つ事で人類史の轍は作られる。それに対し、生命の宿題/この宇宙で成すべきタスクすべてを完璧に成し遂げ、やり残しを完全に無くした状態になったことで、ソロモンは自らの存在意義と役目を完結させたのだ。
もう彼を倒す必要も、また彼に頼る必要もない。誰も彼を求める事はなく、誰も彼の死を背負う必要もなく、誰もこれ以上の助力・成果を彼に求める事はない。 人類で唯一悟りを開いたという救世主がいるが、彼とは違う方向の「到達点」に、臆病者は辿り着いた訳だ。それが、いずれ英霊の座を去る王が人間として生まれ変わり、生きることを願った青年の覚悟の証左とも言えよう。

真名:ソロモン[編集 | ソースを編集]

ソロモン。旧約聖書に登場する、魔術の祖と謳われイスラエルを最も発展させた古代イスラエルの第三代王。紀元前1011年~931年の人物。
七十二柱の魔神を使役し、初めてイスラエル神殿を築き、人類に魔術をもたらした人物。王として優れた政策を行ったが、それ以外にも魔術師としての逸話が多い。
彼は人理を守るために喚ばれるあらゆる英霊の頂点に立つ者であった。
霊長の世を阻む大災害、築き上げられた文明を滅ぼす終わりの化身、文明より生まれた文明を食らうもの
―――その害敵、自業自得の死の要因アポトーシス、即ちビーストに対し、人理を守護する守護者として遣わされる天の御使い。
人理を護る、その時代最高峰の七騎。英霊の頂点たる始まりの七つ。
その英霊達の頂点に立つ七騎において、冠位の魔術師の座に君臨する者。
それこそが冠位グランドの器を持つキャスター、ソロモンである。
ソロモン七十二柱
ソロモン王が召喚したとされる魔神の集団。いずれも爵位を持ち、軍団を率いている。
『Grand Order』では伝承の姿ではなく魔神柱として登場しており、ある計画のために受肉・新生した。
そも、七十二柱の魔神とは魔術の祖ソロモンが作り出した“正しい道理を効率良く進める”システムにすぎなかった。
ソロモンの指輪
神よりソロモン王に授けられた十の指輪。これを用いて天使や悪魔を使役している。
十の指輪がすべて揃っている場合、人類が行うあらゆる魔術を無効化し、また配下に納めるとされる。
ソロモン王が亡くなる際、遥かな未来に贈ったものである十個目の指輪を触媒としてマリスビリーに召喚された。
ソロモン王の小鍵
19世紀に発見された魔道書。
書は五部からなり、そのうち最も有名なものが魔神の目録である第一部「ゲーティア」。
第五部「アルス・ノヴァ」はその最後の締めくくり、古きを捨てる新しい術を表す。
ちなみに残りは第二部「テウルギア・ゲーティア」、第三部「アルス・パウリナ」、第四部「アルス・アルマデル・サロモニス」。
ソロモンの宝具名はいずれもここから取られている。

略歴[編集 | ソースを編集]

生前
エジプトのファラオの娘を娶った後、ある日夢枕に神が現れ「汝に資格あり。望みを口にせよ。願うものを与えよう」と告げたという。
これに対しソロモンは黄金や権力ではなく知恵を求め、この返答こそが「真の叡智」に至る資格の証左であるとして満足した神から十の指輪を与えられた。
これこそが神に認められた知恵者の証であり、後にソロモンの指輪と呼ばれる、天使や悪魔を使役する魔術の源泉であった。
魔術の王と呼ばれる存在ではあるが、その賢明さから奇跡を見せたのはただの一度きり。
その一度のみの奇蹟により「民は王の加護を得ている」と知らしめ、その後は民から恐怖される、民が堕落するといった事態を防ぐために奇蹟は起こさなかった。
ソロモンは魔術を使わないまま魔術の王として近隣諸国に名を広め、賢王のままこの世を去った。
ソロモン王の死によって世界からは加速度的に神代の神秘が失われていき、西暦を迎えて完全に人の世に塗り替わったという。
だが、生前において過去と未来を見通す千里眼を持ち、この世全ての悲劇、悲しみを把握していながら、何もしなかった。
ソロモンは何も感じなかったとしても、「配下」はこの仕打ちに耐えられなかった。
貴方は何も感じないのか。この悲劇を正そうとは思わないのか。そう述べるも―――
『特に何も。神は人を戒めるためのもので、王は人を整理するだけのものだからね
 他人が悲しもうが己に実害はない。人間とは皆、そのように判断する生き物だ』
人間の救われなさ、醜さを知ったうえでこれを正す事なく、ソロモン王は死を受け入れた。しかし…――――
人となった王
ソロモン王の死から遥かな未来である西暦2004年。冬木の聖杯戦争で勝利を収めたのはマリスビリー・アニムスフィア、そして秘密裏に召喚され、『カルデアの英霊召喚での成功例第一号』となったソロモン。
ソロモンが聖杯にかけた願いは『英霊として受肉する』のではなく、『人間になる』というもの。全能の力を持つ『英霊としての力』を全て捨て、何の変哲もない『ごく普通の青年』として生きようと願った。
そして願いが果たされる瞬間に、その全ての能力を失った。それだけなら良かったが、ただの人間になる刹那に人類の終焉を視てしまった。
誰がなんの目的でソレを引き起こしたのか、どうすればこれを防げるのか、それらを知る術は失ってしまったが、そのまま無視することもできなかった。この事件は自分に関わる事だけは分かっていたから。
人となったソロモンは文字通り「一から、人間として学び直す工程」より旅を始めた。敵が誰かも、何が引き金かも分からない。彼にできるのは耐える事、そのときに備える事だけ。
ソロモンと同様にこの青年からあらゆる自由が奪われたのはあまりにも皮肉としか言いようがなかったが、多くの偶然にも助けられたのだ。人類最後のマスターには初めて出逢った日から、グランドオーダーにおいても。
最終決戦の固有結界「冠位時間神殿」において、人理焼却の首謀者であるゲーティアと人類最後のマスターの前に現れ、本来の姿を晒した彼は、遙かなる過去・神代の終焉の時代において、自身が「魔術」という概念そのものに施した安全装置を起動する。
伝承に曰く、ソロモン王は万能の指輪を持ちながら、それを使ったことは一度しかなく、ついにはその指輪を自らの意思で天に還した。
「ここからは全能の神に運命を委ねるのではなく、人が人の意志で生きる時代だ」と告げるように。
ゲーティアの9つとソロモンの残る1つ、計10の指輪を鍵とし、彼は指輪返還の逸話的再現である第一宝具を再演。
神の代理人たるソロモン王の完全消滅という効果を以って、自身を起源とするゲーティアの存在に致命的な綻びを生み出し、そして世界から消え去った。
――自身をここまで導いてくれた人類最後のマスターへ、人間“ロマニ・アーキマン”としての微笑みを最後の瞬間に残して。

登場作品と役柄[編集 | ソースを編集]

Fateシリーズ[編集 | ソースを編集]

Fate/Grand Order
グランドキャスターのサーヴァント。長らく人理焼却を目論む本作の黒幕と思しき存在とされていたのだが、終局特異点でそれに関する実態が全て判明。

人間関係[編集 | ソースを編集]

Fate/Grand Order[編集 | ソースを編集]

マリスビリー・アニムスフィア
かつての聖杯戦争での召喚者でありマスター。関係は良好であり、彼の内面に存在する人類への愛を確かに感じ取っていた。
クレオパトラオジマンディアス
エジプト美人は大好きだがファラオは気にいらないソロモンであった。
ギャラハッド
同じ「願いを叶える機会」を神に与えられたもの。
ソロモンは知恵を求めたが、ギャラハッドは何も求めなかった。
その事に関してソロモンは“なぜだ?”という疑問と、深層心理で“そうあるべきだった”と後悔からくる劣等感がある。
ゲーティア
かつての使い魔であり、本来は人理補正目的で創造した自律型魔術式達。死後に自身の遺体を巣食われ、人理焼却を成立される。
終局特異点において正体が明かされるまで「魔術王ソロモン」の名を騙って活動していた。他の項目の人間関係で言及される「ソロモン」も、実際にはゲーティアであるものが多いので注意されたい。
それはそれとして、キミ、ボクのこと嫌いすぎじゃない!?

生前[編集 | ソースを編集]

ダビデ
父親。互いにわりと無関心な親子関係。
ダビデがソロモンは人間として失敗作、と言うと「まあ、父上はそういうこと言う」と普通に流す。
人間になったときには辛辣な対応をしている。
シバの女王
互いに贈り物を交わし合った仲。
ブリシサン
弟子の一人。「禁忌中の禁忌」とされる知識を授けた。
後に彼の家系が時計塔の伝承科のロードとなる。
アシュタレト
豊穣神としての彼女の信仰を認め、自身も神殿に礼拝した。この為、ユダヤ教徒から激しく非難された。
キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ
ブリシサン同様、弟子の一人。

名台詞[編集 | ソースを編集]

Fate/Grand Order[編集 | ソースを編集]

「いや、まあ、別に、何も?」
生前。人間が最期には死で終わるのをどう思うのかと「何者か」に問われての返事。
その微笑と共に放たれたあまりにも人の心がない一言に「何者か」は密かに一つの決意をすることになる。
「我が名は魔術王ソロモン。ゲーティア。お前に引導を渡すものだ」
終局特異点にて。偽りの魔術王が捨てた名の本当の持ち主が名乗りを上げる。
「……命とは終わるもの。生命とは苦しみを積みあげる巡礼だ。
 だがそれは、決して死と断絶だんぜつの物語ではない。
 ゲーティア。我が積年の慚愧ざんき。我が亡骸から生まれた獣よ。
 今こそ、ボクのこの手で、おまえの悪を裁く時だ。」
人間になることを望んだ王は自らが生み出したに引導を渡すため、定命の者としての答えを携え再び王座のもとに戻る。
その王の名は───魔術王ソロモン
「ああ、初めからそのつもりだ。ボクは自らの宝具で消滅する。それがソロモン王の結末だからね。」
「ゲーティア。おまえに最後の魔術を教えよう。
 “ソロモン王にはもう一つ宝具がある”と知ってはいたものの、その真名を知り得なかった───
 いや、知る事のできなかったおまえに。」
「誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの。
 戴冠の時きたれり、其は全てを始めるもの。
 そして───訣別の時きたれり、其は世界を手放すもの…『訣別の時きたれり、其は世界を手放すものアルス・ノヴァ』」
戦闘モーション付きでの台詞。ゲーティアはソロモン王の宝具『誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの』でソロモン自身の排除にかかる。
だが、ソロモン王にとっても「自らの宝具で消滅する結末」は初めから覚悟のうちだった。彼がそれまで為し得た偉業、為し得た奇跡、為し得た魔術、そのすべてを手放す別れの詩。
この戦闘ムービーのボイスは最終章制作時の3年前に録ってあり、ディライトワークスの方たちもその存在を忘れていたほどに初期から存在していた[出 1]
収録当時、奈須氏以外は「なんでバトル以外のボイスをとってるんだ? ドラマCD?」などと思っていたそうな[出 1]
「おまえの持つ九つの指輪。そして私の持つ最後の指輪。
今、ここに全ての指輪が揃った。ならあの時・・・の再現が出来る。」
「ソロモン王の本当の第一宝具。私の唯一の、“人間の”英雄らしい逸話の再現が。」
遙かなる過去の時代において、かの王は万能の指輪をただ一度のみしか使用せず、最後には天に還したという。
人間の愛を理解できなかった獣の主として、そして魔術王として。彼は“最後の魔術”を再演する。
「第三宝具『誕生の時きたれり、其は全てを修めるものアルス・アルマデル・サロモニス
 第二宝具『戴冠の時来たれり、其は全てを始めるものアルス・パウリナ』」
「そして───神よ、あなたからの天恵をお返しします。
 ……全能は人には遠すぎる。私の仕事は、人の範囲で十分だ」
「第一宝具、再演。───『訣別の時きたれり。其は、世界を手放すものアルス・ノヴァ』」
ゲーティアが知り得なかった、真の第一宝具発動。無感動で非人間であったはずのかの王が唯一“人間性”を発揮した、指輪返還の逸話的再現。
これは神より与えられた恩恵全てを捨て去り、ソロモン王から生まれ出たもの全てを自壊させる"自爆宝具"。発動と共に、地上に存在するソロモン王の痕跡は、72の魔神たちも含め全て消えうせる。

───否、地上のみならず、英霊の座からでさえも…。

メモ[編集 | ソースを編集]

  • ファンタジー界隈では余りに有名な人物。七十二柱もの魔神を束ね、父親であるダビデが成せなかった大神殿を築いた破格の王。ソロモンと彼の眷属達に纏わる逸話も数え切れないほど存在し、父親より遥かに聖杯戦争に映える英霊とファンからは囁かれていた。
    • TYPE-MOONの世界でも、公式で言及された『魔術の王とされ、彼の死後加速度的に神代の神秘が失われ、西暦を迎えて完全に神代が終了した』という重要な転換点としての設定や、メレム・ソロモンの名の由来となった人物であることなどからその存在には少なくない注目が集まっており、それ故に黒幕と思しき登場はファンに衝撃を与えた。
    • 余談だが第1部第4章以前にも『氷室の天地 Fate/school life』におけるぼくの考えた最強偉人募集でひっそりと登場していた(あくまでも古代ヘブライ伝承上のソロモン王であって本人ではないが)。
      • 能力名は『ソロモン王の指輪』と普通に伝承通りだが、画風は某妖怪漫画家的なアレであって指輪というより笛を吹いて十二使徒を使役する方になってしまっている。
  • 何気に現状では唯一の、聖杯戦争に参加して優勝し、自身の願いを(自身の望む形で)叶えることに成功したサーヴァント。
    • 前述の通り正攻法で完勝するという結果を、優勝することが難しいクラスの筆頭であるキャスターの身で残している。勝因については元となった決戦術式があるとはいえ、「聖杯戦争そのものが西洋魔術で構築されていたためではないか?」とする考察もある。事実として西洋魔術はソロモンの系譜に連なるものが多く、「ソロモンの指輪」の効果が聖杯戦争に使われる術式にも効果がある(実際ソロモンには令呪は全く効果がないという)とすれば有形無形の干渉やそれ以上の、身も蓋もない言い方をすれば「インチキ」すらが可能となることを意味すると思われる。

話題まとめ[編集 | ソースを編集]

『訣別の時来たれり、其は世界を手放すもの』が齎した結果
FGO第1部最終章において重要な役割を担った『訣別の時来たれり、其は世界を手放すもの』だが、この効果については疑問点が残る。
まず、FGO最終章が完結した際にゲーム内プロフィール欄に書かれた「遠い未来において「魔術」が人間にとっての悪になった時、これを滅ぼすためにソロモンが用意した安全装置とも言える。己の姿や功績が二度と地上に現れない以上、英霊の座からも消滅し、ソロモン王の痕跡は世界や人類史から全て消え去り、人類では誰も到達していない終わり、本当の意味での「無」に至る。」という記載。
これをそのまま受け取った場合、これによって現代の世界に生じるであろう弊害のようなものは特に描写されていないという点が当時疑問として挙げられた。「ソロモンから生まれ出でたモノの完全消滅」とくれば、彼が築いた魔術の基礎の部分が魔術師たちの記憶から消失したり、もっと言えば誕生経緯に彼の直接関わったカルデアが消滅でもしそうなモノだが特にそういった描写はない、というものである。
後にこれを受けてか「FGO material Ⅳ」においてソロモンの項の宝具欄に「ソロモンの完全消滅とは彼の痕跡がなくなるという意味ではなく、「彼が成すべき事をすべて終了した」という意味合いとなる。」「あらゆる生命はその完結時・終了時に「やり残し」が存在し、その者がどれほど完璧な人生を送ろうと残される「余剰」を後に続く人々が受け持つ事で人類史の轍は作られる。それに対し、生命の宿題/この宇宙で成すべきタスクすべてを完璧に成し遂げ、やり残しを完全に無くした状態になったことで、ソロモンは自らの存在意義と役目を完結させたのだ。」と解説が加えられた。例によって例の如く前言は翻ったのである
これによりソロモンの消滅による現世への影響が現れなかったことへの回答が得られた……ように見えるが、materialにおいても「遠い未来において「魔術」が人間にとっての悪になった時、これを滅ぼすためにソロモンが用意した安全装置とも言える。」という一文には変化がなかった。
ゲーティアが将来人理を滅ぼそうとする未来を予見していなかったであろうことを考えれば、ここで言う「魔術」がゲーティアを指していないだろうことは間違いない。
一体ここで言う「魔術」とは何を指し、そして如何様にして抑止されるはずだったのだろうか……。
没年
ソロモン王の没年は史実では紀元前931年頃とされており、FGO最終章1節でもロマニ・アーキマンがそう触れている。
だが、「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿material」の時計塔年表においては、ソロモン王死去と神世の終わりが紀元前960年頃と書かれており、30年ほどの開きがある。
これを真に受けるのであれば、ソロモン王が紀元前960年頃に死亡した後、何者かがそれに成り代わりソロモン王としての偉業を成したことが示唆される。
史実においてソロモン王は後半生で堕落したと言われており、型月ではそれをこう解釈したのかもしれない。
ただ奈須きのこの事なので、事件簿マテリアルの元となった資料自体に誤字や誤解がある可能性もあるのだが……。

脚注[編集 | ソースを編集]

注釈[編集 | ソースを編集]

  1. ロマンの時には「ボク」。

出典[編集 | ソースを編集]

リンク[編集 | ソースを編集]