繰丘椿
繰丘椿 | |
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読み | くるおか つばき |
性別 | 女性 |
声優 | 古賀葵 |
初登場作品 | Fate/strange Fake |
概要
偽りの聖杯戦争において最初に召喚されたサーヴァント、ライダーと夢の中で契約した少女。
- 略歴
- 1年前からスノーフィールド中央病院の病室で眠り続けている小豆色の髪の少女。
- 彼女の両親は本来の「聖杯戦争」からそのシステムを掠め取った者たちの一派に属しており、同時期に盗み出した、とある『蟲使い』の魔術体系の一部を応用・改良した細菌レベルの微小な蟲を幼い娘の肉体に植えつけ、後天的に魔術回路の増幅を行おうとした。
- 椿の中に巣食う『細菌』は果たして、多くの苦痛を代償として彼女の魔術回路を絶大的に増やしはしたが、暴走によって少女の意識を奪い、長期にわたる昏睡状態に陥れてしまっている。
- 無意識に行使している魔術によって、夢の中に現実と寸分違わぬ──人間が誰一人存在しない点を除いては──スノーフィールドの街を再現し、独りそこに過ごしていた椿はある時突然に現れた、黒い靄のような禍々しい影と言葉を交わし、誰にも知られる事なく偽りの聖杯戦争における最初のマスターとなった。おそらく当人には自らが聖杯戦争に参加していると言う自覚すら一切ない。
- 人物
- まだ10歳と3ヶ月の幼い少女ながら、ともに魔術師である両親からは彼らの開発した『細菌』による人体改造の実験台とされている。
- 両親からの愛、それは自分たちの研究成果をその身に宿し、次代に受け継がせるための道具としての関心だったが、幼い椿がそれを理解する事は出来ず、彼女はただ両親の期待に応えたいという子供らしい健気さで苦痛と恐怖しか与えられない実験に耐え、遂には『細菌』の暴走によって意識を奪われるに至る。
- 椿の肉体は病院のベッドで眠り続け、意識は彼女独自の魔術で夢の中に作り上げたスノーフィールドの街を彷徨っていたが、その身を蝕む『細菌』を触媒として夢の中に召喚されたサーヴァント、ライダーと出会ったことで少女は寂しさから解放される。
- ──それが、現実の世界にどんな災禍をもたらすのかも知らぬままに。
- まだ幼いためあまり難しいことは考えられず、「大好きな家族と幸せな毎日を過ごす」以外に特に望みを持っていなかったが、聖杯戦争の中でジェスターとの会話の中で両親から聞かされていた話を思い出し、「まほうつかいになりたい」という夢を持つようになった。
- まがりなりにも魔術師としての訓練を受けているため、敵意の無い霊などの超自然的なものは平気だが、地震や雷などの自然現象は年相応に怖がる。
- ただし彼女の場合は『おとぎ話の少女』とは違いまともに親からの愛情を受けてはおらず、このままで行った場合「大好きな家族と幸せな毎日を過ごす」と言う望みはおそらくは永遠に叶う事は無く『おとぎ話の中の少女』とは違い、さらに残酷かつ徹底的に不幸な未来が待っている事が容易に考えられるだろう。
- 能力
- 両親が南米で見つけた特殊な細菌を体に移植したことにより、その魔術回路は後天的に絶大な増幅・拡張を遂げている。まだ繰丘家の魔術を伝授される段階にはなかったため、使える魔術は彼女が無意識に行使している「夢の中に現実を投影する」もののみ。現実世界を再現するための演算に大容量の魔術回路を要する割に、夢の中から現実に働きかける事は出来ず、進んで研究したり開発したりする魔術師もまずいないような術である。
- 但し、そこにライダーの能力が合わさる事で、椿の夢は病に冒され、生ける死者と化した人々を閉じ込める牢獄へと変わっていく。
登場作品と役柄
Fateシリーズ
- Fate/strange Fake
- 夢の中でライダーと契約を交わした眠れる少女。誰にも知られる事のないこの契約こそが、偽りの聖杯戦争の幕開けとなる。
その他
人間関係
Fate/strange Fake
- ライダー
- 椿の夢の中に召喚されたサーヴァント。人の姿も、心も持たない「聖杯戦争のシステムを再現する知識」のみで動く正体不明の謎の怪物だが、無人のスノーフィールドで孤独に過ごしていた椿にとってはやっと出会えた他者である。ジェスター・カルトゥーレによれば、その存在は「星の従僕」と呼ばれており、敵愾心を向けている。抑止力の1つであり明確にガイア側の『カウンターガーディアン』と呼ばれる者達のうちの1人。令呪に頼らずとも従い護り、全力を尽くせる類稀なる存在。遠い遠い大昔に結ばれた『未来永劫に『少女』の友人であり続ける』と言うただ1つの誓いを守る、ただそれだけのために……。
- サーヴァントとして、マスターであり友人でもある『自らが誓いを立て未来永劫に守り友人であり続けると決めたおとぎ話の少女』である椿の望みに従い、その孤独を癒すためにスノーフィールドの街を病魔に冒していく。
- さすがにまともな存在ではないと気づいてはいるだろうが、自分のサーヴァントとは気づいておらず、「まっくろさん」と呼んでいる。
- 繰丘夕鶴と妻
- 椿の両親。スノーフィールド市の一角を成すスノーヴェルク地区の私設図書館の館長をしている。
- 冬木の聖杯戦争からシステムを盗み出す際にとある蟲使いの術をも掠め取った一族の流れを汲む彼らは、細菌レベルの微小な蟲を開発し、幼い娘を被験体として魔術回路の増幅などの人体改造を行っていた。娘に対しては世間並みの親のような愛情など持たず、ただ研究の成果である魔術回路と、次代に血を引き継がせる生殖能力さえあればいいと考えている。
- 良く言えば極めて真っ当な魔術師的な思考の持ち主、悪く言えば世間一般的には娘を単なる道具としか思わぬ外道とさえ言える人格。
- ファルデウスらと共謀して偽りの聖杯戦争を引き起こす算段をしており、秦の始皇帝を召喚するため宝具としても有用な聖遺物を触媒に用意していたが、ライダーの力により病魔に冒され昏倒、次に起き上がった時には「椿の思い描く理想の両親」を演じるだけの生きた屍と化していた。
- 夢の世界崩壊後は椿からマスター権の奪取を画策、及び娘をなおも利用しようとする。この事からシグマの怒りに触れてしまう事となる。
- ライダーの力がいかに強く万能に近いとは言え、復帰後でさえ椿が望むような世間一般的な両親になる事は決して無かった。
- アメリア・レヴィット
- スノーフィールド中央病院に勤務する、椿の主治医。警察署に勤務する妹がいる。
- 魔術とは無縁の一般人なため、娘の生殖機能のみを心配する繰丘夫妻の態度に困惑していた。
- ジェスター・カルトゥーレ
- 少年の姿で夢の中に現れた彼と友達になる。
- 彼が、麗しの暗殺者を絶望させるための道具として自分を利用しようとしていることなど、何も知らずに。
- 鮫(こう)
- 繰丘夕鶴が始皇帝を召喚するために触媒として用意した弩についてきた精霊のようなもの。
- 自分に害をなす存在ではないと本能的に感じているようで、一時だが「かくれんぼ」をすることになった。
ちびちゅき!
名台詞
- 「ごめんなさい、ごめんなさい……痛がってごめんなさい……!」
「ちゃんとやりますから! ちゃんと、ちゃんとがまんしますから!」
「だから、だから捨てないで! 捨てないで……!」 - 両親からの虐待まがいの行為を愛情だと信じたまま、彼らの期待に沿えない自分を捨てないで欲しいと悲痛な叫びを繰り返す。
- 「だあれ? わたしは、くるおかつばきです」
- 異形のサーヴァントを恐れもしない、あどけない問いかけ。
- この瞬間から、眠れる孤独な少女は偽りの聖杯戦争における最大にして最悪のダークホースと化す。
- 「かみなり、怖いよう……」
- 夢の中で、雷の音(現実世界でギルガメッシュとエルキドゥが本気で戦っている余波)に対する怯えを見せる。
- 「みんな、この町が嫌いだからどこかにいっちゃったのかなあ……」
「ありがとう、大丈夫だよ、まっくろさん」
「前と違って、今はこんなに動物さんたちがいるんだもん……」
「今ならもう、お父さんもお母さんも、誰も町から出て行かないよね」 - 夢の中に動物達が現れ始めたものの、自分と両親以外は誰もいない町を見ての述懐。
- 彼女としてはなんでもない言葉ではあるのだが、これを「願い」と解釈したライダーによって、現実のスノーフィールドは脱出不可能な牢獄と化した。
- 「おねがい、まっくろさん」
「ぜんぶ、ぜんぶもとにもどしてください 」
「わたしを 、ずっとずっと 、ひとりぼっちにしてください 」 - 自分がスノーフィールドの多数の住民、そして目の前の新しい友人を巻き込んでしまったことを両親から告げられ、両親もそれを解決するつもりがないと知っての震えながらの決断。
- 「自分は失敗した」という諦めからの身を投げ出した行為に、アサシンは両親に怒りを覚え、シグマは自分が何のために戦うのかの目的を確固たるものにした。
メモ
- マキリの術の流れを汲む蟲に心身を苛まれている、ライダーのサーヴァントと契約する、いつの間にやらラスボス候補……と、メタな次元でごん太の不遇ヒロインフラグが立ちつつある。名前からして「桜」と「椿」で対になっている。天性の魔術が夢を媒介としたものであるところを見るに、虚属性を持っている可能性さえある。いつか彼女が元気で幸せになるためにも、ライダーさんには頑張ってほしいところ。
- 秦の始皇帝には「夢の中で海神を弓で射殺したら、現実世界でも大魚が死んでいた」という彼女の魔術と相性抜群な逸話があるため、上記の「宝具としても有用な聖遺物」が何らかの使われ方をされるのではないか、と見られている。実際、後半でシグマの手に渡った。
- なお、後に始皇帝は『Grand Order』にて実装されるが、基本設定自体が異なる事もあってか弓の宝具を持たない形となった。
- 彼女に移植された細菌であるが、マキリの術で改良されているものの元は南米で見つかったものであり、感染者の魔術回路に働きかけてより快適な肉体にする為に回路の本数は増えないが質を劇的に改造するとのこと。幼い肉体にしか定着しない為、両親は自分自身ではなく彼女に移植したとか。
- 明言されていないが、両親を差し置いて椿がマスターに選ばれたのは、この細菌の保菌者である彼女がマキリの縁者と見なされて、元となった聖杯の「御三家やその協力者には令呪が優先的に配布される」特性が誤作動を起こしたためである可能性が高い。
- 元となった逸話であるおとぎ話の『死神と少女』が示す通り『病気のひとりぼっちの少女』の『少女』が選ばれたのは聖杯の誤作動ではなく『必然』。欲望まみれの薄汚い大人が『彼』に選ばれる可能性はおそらく、絶対にない。奇しくも遠い昔『その少女』が望んだのも『大好きな家族と幸せな毎日を過ごす』ことだった。だからこそ『彼』は『遠き日の誓い』を果たそうとしていると考えられる。しかし、おとぎ話と違い『少女』が必ずしも幸福になるとは限らない。だからこそ、その幸福が尊いとも言えるが。
脚注
注釈
出典