「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン」の版間の差分

提供: TYPE-MOON Wiki
ナビゲーションに移動 検索に移動
44行目: 44行目:
 
:
 
:
 
; 能力
 
; 能力
: 人体の7割を魔術回路が占め、[[聖杯戦争]]史上最高のマスター適性を持つ。その魔術回路は魔力生成で紅く光り、[[令呪]]としても機能する。その強制力は通常の令呪ならば弾きかねないサーヴァントにも通じる程。膨大な魔力量でもって自滅必至の筈のバーサーカーを制御しきっているが、普段は凶化のランクを下げ、日中は眠らせる等、負担を減らそうともしている。
+
: 人体の7割を魔術回路が占め、[[聖杯戦争]]史上最高のマスター適性を持つ。その魔術回路は魔力生成で紅く光り、[[令呪]]としても機能する。その強制力は通常の令呪ならば弾きかねないサーヴァントにも通じる程。膨大な魔力量でもって自滅必至の筈のバーサーカーを制御しきっているが、普段は狂化のランクを下げ、日中は眠らせる等、負担を減らそうともしている。
 
: イリヤの心臓は[[聖杯]]の器であり、魔術回路に繋がることで機能する。容量はサーヴァント4騎までで、それ以上は手足を動かす分、呼吸する分、人体を形作る分と段々と他のエネルギーを回すことになる。5騎以上を収めた時に備えてセラとリーゼリットを付き従えている。最終的には「天のドレス」を着て全身を聖杯の器とし、大聖杯を制御して[[魔法|第三魔法]]「天の杯」に至ることを目指す。
 
: イリヤの心臓は[[聖杯]]の器であり、魔術回路に繋がることで機能する。容量はサーヴァント4騎までで、それ以上は手足を動かす分、呼吸する分、人体を形作る分と段々と他のエネルギーを回すことになる。5騎以上を収めた時に備えてセラとリーゼリットを付き従えている。最終的には「天のドレス」を着て全身を聖杯の器とし、大聖杯を制御して[[魔法|第三魔法]]「天の杯」に至ることを目指す。
 
: 人格を持つ[[聖杯]]として、イリヤの魔力には「願いを叶える」という魔術特性が備わっている。これにより魔力を放ちさえすれば、魔術理論を知らなくとも望む結果を得ることができる。但し迷路は魔力不足で造れなかった。
 
: 人格を持つ[[聖杯]]として、イリヤの魔力には「願いを叶える」という魔術特性が備わっている。これにより魔力を放ちさえすれば、魔術理論を知らなくとも望む結果を得ることができる。但し迷路は魔力不足で造れなかった。

2018年9月25日 (火) 06:40時点における版

イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
読み いりやすふぃーる ふぉん あいんつべるん
外国語表記 Illyasviel Von Einzbern
性別 女性
誕生日 11月20日
身長 133cm
体重 34kg
スリーサイズ B61/W47/H62
特技 特になし
好きな物
士郎のエプロン姿
苦手な物 寒いところ
天敵
声優 門脇舞以
イメージカラー
初登場作品 Fate/stay night
テンプレートを表示

概要

第五次聖杯戦争におけるバーサーカーのマスター。愛称はイリヤ。

略歴
「最高傑作」と謳われる、アインツベルンのホムンクルス。
第四次聖杯戦争の8年前に生まれる。従来のホムンクルスとは異なり、衛宮切嗣の精子とアイリスフィール・フォン・アインツベルンの卵子から発生しており、赤子から成長する。しかしアイリの胎内で何度も改造されたことで、アイリ以上に人間というより魔術回路の塊と言うべき組成になっており、成長不良になっている。
第四次聖杯戦争を経てアイリは死に、切嗣は裏切り者としてアインツベルンから遠ざけられる。ある日、外に人影を認めてイリヤは城の入り口まで迎えに行くが、そこに大聖杯の記憶が流れ込む。その中で切嗣が母と自分を殺しているのを見る。当初は嘘だと拒絶するが、アハト翁の態度を見て切嗣に切り捨てられたと受け入れる。
その後、イリヤの視点では廃棄場に居り、これがホムンクルス達の集合無意識か現実かの区別も付かなくなる。アニメの描写を信じるならば現実には自室に閉じ込められていた。
第四次聖杯戦争から5年後、廃棄されたホムンクルス(アニメでは黒アイリ)から切嗣の死を知らされる。初め自分には関係無いと耳を貸そうとしなかったが、切嗣に養子が居ること、この養子への復讐は生き甲斐になると唆される。
その後、連日の手術が続き、聖杯戦争に嫌気が差すが、廃棄されたホムンクルスからイリヤの肩に一族の命運が掛かっていることを告げられ、後に引けなくなる。
第五次聖杯戦争の2ヶ月前にセラリーゼリットと初めて顔を合わせるが、どのホムンクルスも同じと心を開かなかった[出 1]。その後バーサーカーと契約する。大聖杯の補助無しにバーサーカーを維持する為、彼が指先を動かすだけで悲鳴を上げる毎日で、イリヤの口から出るのは彼への罵倒だけであった。しかしバーサーカーも彼女が話し掛けるのは自分だけであることを見抜いていた。苛烈な訓練によって、人格を失っているはずのバーサーカーと強固な絆を得る。
聖杯戦争が近付き、バーサーカーの制御に慣れると、苦痛の仕返しとして彼から理性を奪い完全に狂戦士として扱う。それでもイリヤが頼れるのは彼だけであった。
こうした第五次聖杯戦争までの手術と訓練が元で、臓硯曰く1年と保たない急造の体となる。
バーサーカー、セラ、リーゼリットを伴って来日し、件の養子、衛宮士郎と邂逅を果たして第五次聖杯戦争に臨む。
人物
聖杯戦争のためだけに育てられており、一般的な常識や倫理観が乏しく、特に殺人に抵抗がない(但し関係の無い民間人には手を出していない)。ナチュラルに天使で、ナチュラルに悪魔。夜に出会えば危険極まりないマスターであるが、お昼の商店街に現れたときは人との触れ合い方を知らない臆病な少女である。
士郎を「お兄ちゃん」と呼び、切嗣を取った養子として憎悪を募らせる一方、彼が残した唯一の家族としても執着している。HFルートではジレンマに捕らわれ、どう接したら良いか決めかねることもあった。普段の立ち居振る舞いは幼い少女然としているが、魔術師・貴族の姫として威厳のある態度をとったり、実年齢は士郎より少し上であるため、「妹」ではなく「姉」としての顔を垣間見せる時もあるなど、様々な側面を併せ持つ。
ホムンクルスとして現実的な物の見方をする。切嗣に捨てられたと思ってもその場で泣き出さず、淡々と受け入れていたのもその表れ[出 1]
能力
人体の7割を魔術回路が占め、聖杯戦争史上最高のマスター適性を持つ。その魔術回路は魔力生成で紅く光り、令呪としても機能する。その強制力は通常の令呪ならば弾きかねないサーヴァントにも通じる程。膨大な魔力量でもって自滅必至の筈のバーサーカーを制御しきっているが、普段は狂化のランクを下げ、日中は眠らせる等、負担を減らそうともしている。
イリヤの心臓は聖杯の器であり、魔術回路に繋がることで機能する。容量はサーヴァント4騎までで、それ以上は手足を動かす分、呼吸する分、人体を形作る分と段々と他のエネルギーを回すことになる。5騎以上を収めた時に備えてセラとリーゼリットを付き従えている。最終的には「天のドレス」を着て全身を聖杯の器とし、大聖杯を制御して第三魔法「天の杯」に至ることを目指す。
人格を持つ聖杯として、イリヤの魔力には「願いを叶える」という魔術特性が備わっている。これにより魔力を放ちさえすれば、魔術理論を知らなくとも望む結果を得ることができる。但し迷路は魔力不足で造れなかった。
また森の結界を掌握しており、誰が境界を超えたかを知ったり、森に設置されたトラップを即座に操作することができる。但し結界内に居るかどうかは分かるが、どこに居るかまでは把握できていない。
生まれつき魔術を知っていると「タイガー道場」で語られているが、その内容は偏っている様で、Fateルートでは魔術刻印をマスターになる為の物と誤解していた。生まれた時からマスターだったからと、魔術刻印は持っていない。
魔力タンクとしては比肩する者が居ない一方で、人体としては極端に歪になっている。上述の成長不良、短命の他、設計段階で走ることは想定されておらず、半日は睡眠という名の定期的な機能停止[出 2]
エンゲルリート(天使の詩)[注 1]
TVアニメ版『Fate/stay night[UBW]』で披露した、髪の毛を媒介とした鳥型の使い魔の術式。鳥の名は『シュトルヒリッター(コウノトリの騎士)』。これはオートで追尾するビットに近い、自立浮遊砲台の小型の使い魔で、小型ながら魔力の生成すら可能な代物。凛は「ミニ魔術師」と称した。光弾を撃つ銃身と、それを固定する浮遊する本体の2パーツで構成されている。銃身部分は剣のようにも見え、実際、本体で生た光弾を飛ばすバレルであり、近接戦闘では剣として使用される。射出する普通の光弾をツェーレ(涙)、剣状に変形して、剣部分を撃ち出す光弾をデーゲン(剣)と呼ぶ。デーゲンはバレルそのものを弾丸として打ち出すため、大威力だが、撃つと使い魔は銃身を失い自壊する[出 3]
劇場版『Fate/stay night[HF]』でも門を閉ざすのに髪の毛を操っている。
『Fate/Grand Order』によると、この魔術には針金から作られたものも含まれる。

バリエーション

弟子1号ロリブルマ

『stay night』バッドエンド救済コーナー「タイガー道場」に登場するイリヤに似た何か

『hollow』でのミニゲーム「トラぶる花札道中記」では、師・タイガとの馴れ初めが語られる。令呪は本編と違い、左に顔を向けた人を模した独特な形状をしている。

トラウマ獣

『Carnival Phantasm』に登場。「白き月姫 ファンタズムーン THE MOVIE」に登場する怪人で、体から液状の物質を垂れ流している。カレイドルビーの世界からやってきた。どことなく聖杯くんに似ている。

正体は『stay night』にて個別ルートを得られなかった悲しみから変化したイリヤ。ファンタズムーンとカレイドルビーによって解放された。

セレブルマ

カプセルさーばんと』にて登場。レアさーばんとてんこ盛りの重課金デッキの使い手であり、カプさば初代伝説のチャンプ。

「セレブルマ」とは自分でつけた華麗なコードネーム。自伝漫画もアニメ化されて景気が良い。

イリヤスフィール・フォン・アインツベルン (プリズマ☆イリヤ)

カレイドステッキのマジカルルビーと契約して魔法少女になった並行世界のイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。

詳細は「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン (プリズマ☆イリヤ)」を参照。

イリヤスフィール・フォン・アインツベルン (Grand Order)‎‎

カレイドステッキのマジカルルビーと契約して魔法少女になった並行世界のイリヤスフィール・フォン・アインツベルン……がサーヴァントとして召喚されたもの。

詳細は「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン (Grand Order)」を参照。

シトナイ

Fate/Grand Order』において、アルターエゴ疑似サーヴァントとして登場。

詳細は「シトナイ」を参照。

登場作品と役柄

Fateシリーズ

Fate/stay night
準ヒロイン。切嗣の因縁から息子である士郎に執着している。Fateルートでは帰国したくないとして藤村家に居候となり、UBWとHFルートでは死亡する。
Fate/hollow ataraxia
やっぱり準ヒロイン。最早完全に妹と化したが、「シスタークライシス☆」ではその地位を脅かす者達が。
Fate/Zero
幼少期。『hollow』でイリヤの口から語られた胡桃芽探しのエピソードなどがある。聖杯戦争中は冬の城で留守番。
Fate/ゼロカフェ~Fate/Zero Cafeに集う英霊達~‎‎
「ゼロカフェ」のある街で両親と幸せに暮らしている。目についた色々なものを数えるのが趣味で、気が付いたらよく迷子になっていたりする。

Fate関連作品

フェイト/タイガーころしあむ
お風呂に入っていたらに服を隠されてしまった。質問に答える代わりに桜から渡された服は、あろうことか体操服とブルマだった!
フェイト/タイガーころしあむ アッパー
うなされていたイリヤが目覚めると、そこは衛宮邸。お腹がすいたので居間へと行ってみると、そこにいたバーサーカーは何故か紳士モードだった!
Fate/unlimited codes
プレイアブルキャラではないため、バーサーカーとセットでイベント会話とデモシーンに登場するのみ。PS2版ではミニゲームで間接的に戦闘にも参加する。
カプセルさーばんと
昨年カプさば界に颯爽と現れて有り余る財力で対戦相手を屠ってきた初代伝説のチャンプ。セラとリズを連れて日本にやってきた。

その他

ちびちゅき!
『stay night』のイリヤは初等部所属でバーサーカーと学校へ通っている。『Zero』時代のイリヤもいて、こちらは両親と暮らしている模様。
カーニバル・ファンタズム
出張タイガー道場で大河と共に嘘次回予告を担当。

コラボ作品

スクールガールストライカーズ
スクウェアエニックス開発のスマホゲーム。『Fate/stay night』とのコラボイベントで出張した。

人間関係

冬木

衛宮切嗣
父。8歳までは共に暮らし、父としての愛情を一身に受けたが、第四次聖杯戦争以後全く会うことが出来なくなる。その間「裏切り者」として憎悪を植え付けられていく。
アイリスフィール・フォン・アインツベルン
母。第四次聖杯戦争で死亡するが、鋳型が同じイリヤの中にも居り、イリヤはずっと側に居たと語る。
ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルン
大聖杯の礎となったホムンクルス。後継機であるイリヤの中にも彼女の記憶が息づいている。
ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルン
アインツベルン家頭首。イリヤは「お爺さま」と呼ぶ。イリヤに聖杯戦争の何たるかとずれまくった日本観を刷り込んだ。
衛宮士郎
夜は裏切り者の息子として狙い、昼は兄として慕う。でも実は義弟。
バーサーカー
召喚したサーヴァント。自身を聖杯戦争に縛る呪いであり、最強の従者であり、冬の城で孤立したイリヤにとっての父親のようなものでもあった。普通のサーヴァントとは一線を画す絆がある。
セラ
従者。魔術指南役で何かと口煩いお目付け役。逆に水泳の生徒だったりも
リーゼリット
従者。話し相手の友達で、バーサーカー不在時は護衛役。リズは天のドレスの管理・運用も役目の一つである。
間桐桜
同じ宿命を背負った者で、個人的には親しみを感じている。しかしオセロの表裏の様に決して白と黒は相容れることは出来ない。
『hollow ataraxia』では聖杯としての負担を彼女にほとんど任せているために『stay night』の時のように近づきづらさは感じておらず、むしろ同じ聖杯の器としての親近感と桜の健気さから(一応イリヤが年上なので)可愛がっており、「手のかかる妹」と称して願いを叶える手伝いをしたりしていた。
遠坂凛
士郎の協力者であるため、夜では死闘を繰り広げ、昼ではお兄ちゃんに近付く女のひとりとして警戒している。本来敵同士であることに加え、士郎が彼女に憧れていたことを勘づいているのか、士郎と彼女の相性の良さを理解しているからか、基本的に喧嘩腰であまり仲良くはない。
ギルガメッシュ
居る筈の無いサーヴァント。Fateルートでは取り乱して攻撃するも跳ね返される。UBWルートでは心臓を狙われる。HFルートでは桜の中で3騎分を満たした彼の魂に驚かされる。

名台詞

Fate/stay night

「ふふ、行儀いいんだねお兄ちゃん。知ってるよ、それってカイシャクって言うんでしょう?
 お爺さまは言ってたわ。ニホンジンは、死ぬ時に正座して首を刎ねてもらうクビカリゾクなんだって」
記念すべき最初のバッドエンドにて。膝が逆に折れ曲がるという凄惨な状況を作っておいてこの発言である。
そしてユーブスタクハイトは何を教えているのか。
なお、このバッドエンドに到達した場合、彼女のテーマ曲「ローレライ」を最初にここで聴く羽目になる
「やっちゃえ、バーサーカー」
この一言でバーサーカーが暴れまくる、恐怖の言葉。雪の妖精は歌うように惨殺を命じる。
「偶然じゃないよ。
セラの目を盗んで、わざわざシロウに会いに来てあげたんだから。コウエイに思ってよね!」
敵のはずのイリヤが自分を襲わず、あまつさえ好意的に接してくることに驚いた士郎に「偶然会っただけなのか?」と聞かれて。
胸を張ってドヤ顔をしているイリヤを想像すると実に微笑ましい光景だが、同時にセラの心境を思うと同情を禁じえない。
「やっぱり、シロウはお兄ちゃんだー!」
士郎に助けられた後、衛宮邸で意識を取り戻したイリヤは、丁寧な礼の後に士郎に飛びついてセイバーと凛を混乱の坩堝に叩き落とした。
元々士郎が好きだったのもあるだろうが、家族からの愛情をほとんど知らなかった彼女にとって、家族に助けられたことがとても嬉しかったのかもしれない。
「―――バーサーカーは、強いね―――」
届かないはずの、狂戦士の心に届いた純粋な言葉。
魔力を供給する聖杯の出現二ヶ月前から召喚し、身を削りながら過ごした日々により、第五次の主従の中でも絆は特に強い。
「えっ――そ、そんなの言われても困るっ。
 わたし、どっちもいっぱいだもの。
 シロウと話せるのは楽しいけど、やっぱり許してなんかあげないんだから、どっちかを取るなんてできない」
士郎に「自分と話すことより、自分と殺し合うほうが好きか?」と聞かれ、そんなこと選べないとイリヤは答える。
自分を裏切った切嗣の息子である士郎を許せないという気持ちも本物だが、自分のきょうだいである「お兄ちゃん」と話せることが楽しいという気持ちも本物。その自身の複雑な感情に、イリヤは戸惑う。
「………うん。ホントは、こんなコト言っちゃダメなんだけど」
「シロウは、明日も会いに来てくれる?」
最初は「もうこれでわたしからシロウに話しかけるのは最後」と敵同士に戻ることを当然と思っていたイリヤだったが、士郎と一緒の時間をまた過ごし、また話したいと思ったのか、おずおずと士郎にこう尋ねる。士郎は当然快諾し、イリヤは満面の笑顔でアインツベルン城に帰っていった。
なお、士郎はこの後病み上がりなのにほっつき歩いていたことをセイバーと桜に責められて震え上がることになるのだが、そんなことをイリヤは知る由もなかった。
「わたし、フクシュウに来たのに。その相手がもういないのって、悲しいね」
衛宮邸に招かれ嬉々として探検するも、切嗣はどこにも見付けられなかった。イリヤは彼を殺すことも、抱きしめてもらうこともできない。呟き、自分でも何にか分からないまま涙するイリヤに、士郎は何も言えなかった。
「そうよ。好きな子のことを守るのは当たり前でしょ。
 そんなの、私だって知ってるんだから」
HFにて、皆を救う正義の味方であり続けるか桜を救うかで苦悩する士郎に投げかけられたイリヤの言葉。イリヤが士郎の味方をするように士郎も誰かの味方をしてもいいのだと示す。当然と語るもそれはかつて愛していた父が選ばなかった選択肢でもあった。
――――ううん、シロウは死なないよ。だって、この門を閉じるのは私だから。
――――ね。シロウは生きたい? どんな命になっても、どんなカタチになっても、シロウはまだ生きていたい?
――――うん。良かった、わたしもそうしたかった。 私よりシロウに、これからを生きてほしかったから。
HF最終盤にて、士郎は言峰との戦いを制するも、その身体はボロボロ、記憶も摩耗しきり、意識も途絶えかけながらも、歪んだ大聖杯を破壊しなければ桜に幸福は訪れない。
死を覚悟して大聖杯を破壊しようとするが、イリヤはそれを制止した。それでも桜を一人にしないために「生きたい」と願った士郎に救いの手を差し伸べるかのように。
―――ううん。言ったよね、兄貴は妹を守るもんなんだって。
 ……ええ。私はお姉ちゃんだもん。なら、弟を守らなくっちゃ。
同上。士郎は思い出せないイリヤの名前を叫びながら「やめろ」と何度も訴え続けたが、イリヤはこの言葉と命を士郎に贈り、綺麗な笑顔を残して士郎の代わりに聖杯を封じ、消滅する。
士郎は大切な『姉』を失うまいと叫び、イリヤは大切な『弟』を失わないために命を賭した。凛と桜の間に強い絆があったように、この歪な姉弟の間にも確かに強い絆があったのだろう。

Fate/hollow ataraxia

「こんばんはー! みんな元気? わたしがいない間にシロウと仲良くしてる?
え、してる? うんうん、良きかな良きかな。―――殺すわ」
この可愛さと恐ろしさが素晴らしい。
「パラレルインクルード! 死ねぇ!」
『風雲イリヤ城』にて、大技発動時。まさかのプリヤネタだが、物言いが酷い。たぶんバゼットのあの迷言ともかけているのだろう。
突撃ロース――――蹴散らしなさい、バーサーカー!」
涼やかに軽やかに、だが断固として響く下知の声。応じて轟くは、山をも砕く大暴力。四夜の終末、ただ一度の見せ場に、今まで静観を保ち続けた主従は存分に暴れ駆ける。

トラぶる花札道中記

「なんつーかこー、アイツの心臓えぐりとりてぇ」
某ルートでハートキャッチ(物理)した相手に対して。殺られたら殺りかえす。
「わたしとタイガはこれから色んな出来事を知って、全部知っちゃったコトで、ちゃんとした時間軸の物語には関われなくなる」
「えーと、色んな世界をさまよう幽霊みたいになっちゃうのよね?」
「でも、それってなんでもありって事でしょう? 何処にも居場所はないけど、かわりに何処にでも行けるんだわ」
「一人なら寂しい時もあるけど、騒がしいおバカと一緒なら退屈はしないでしょうし。それって、わりとハッピーじゃない?」
ロリブルマとしての会話。人、それを裏方と呼ぶ。名コンビはこうして生まれた。

フェイト/タイガーころしあむ

「さっきからシロウの為とか言ってるけど、結局はシロウを取られたくないっていう自分の欲求じゃない!!」
「わたしはもちろんわたしのためにシロウが欲しいわ! サクラみたいに自分を誤魔化さないもんね!!」
自身のシナリオにて。裏表のない正直者で可愛いイリヤ。え? 士郎の意思? ……。
「わたしの恋路を邪魔する人は馬に蹴られて……
 死んじゃえーー!!! バーサーカー!」
アーチャーシナリオにて。『stay night』ではルートが桜と併合され、『hollow』では兄妹(姉弟)化と時が経つにつれどんどん恋路が遠のいて行ってる合法ロリ。
「それだけ強くて、そしてもう聖杯を手にしているなら、その蓋を開けて願えばいいじゃない。今すぐここで発動させればいいじゃない」
「この弱った体を地上最強の体にして下さい! 誰にも負けない不死の戦闘力を下さい! …ってね」
「……そうすれば、少なくとも今ここでわたしとバーサーカーにはやられないよ?」
葛木シナリオにて。並み居る強敵を打ち倒し、体がすでに限界を迎えつつあるはずの葛木に対して、冬の少女は宣告する。
葛木シナリオの登場人物はほぼ全員がありえないほどにシリアスだが、イリヤもその例外ではない。むしろ、士郎以外に対しているせいか、本編以上に怖気を奮う冷酷さである。
「やっちゃえーイリヤスフィールー」「うおおおー」
限定版同根ドラマCD「虎の威を借るケモノたち」で。
大人になると願ったらGイリヤになってしまった。

フェイト/タイガーころしあむ アッパー

「ジャーマンナッコォ! ジャーマンスープレックス!! ジャーマン一本足四の字!!!」
自分シナリオにて。切嗣と感動の再会と思いきや容赦なく攻撃を仕掛ける。切嗣シナリオで再会した際も似たようなやり取りをしている。
「今回、こんなにもの凄くいい思い出が作れたんだもの。それをもって良しとしなきゃ贅沢ってものじゃない
そう、わがままを言ってちゃ、帰っていったお母様とキリツグに怒られちゃう、そんな気がするのよ……」
同上。両親と再会したが二人は自分とは違う世界の住人。会えただけでも良しとして思い出にしまうことにした。
「素敵なお母様でしょ? 私と結ばれれば自動的についてくるよ♪」
アイリシナリオにて。妹(姉)のように振る舞っても士郎へのアプローチは忘れない。
というか結ばれようが結ばれなかろうが変わらない。
「ば――そ、そんなコトないもん!
私が大好きなのはお母様とシロウだけなんだから! キリツグなんて、ちょっとしか好きじゃない!」
カレンシナリオにて。アイリに本当はお父さん大好きだと言われ反論する。
反論するし、そっけない態度とるけど嫌いとは言わない。

Fate/Zero

「ずるーい! ズルイズルイズルイ! キリツグずっとズルしてた!」
アニメで可愛さが更に増したシーンであろう。ころころ変わる表情と動きが愛らしい。

カーニバル・ファンタズム

「えー突然ですが、聖杯戦争のルールが変更になりました」
第1話冒頭にて。シリアスなナレーションが流れた後、カメラに向かい新ルールとなった聖杯戦争の開幕を宣言する。本作のコンセプトがよくわかる場面。
「個別ルートなんて必要ない。だって私は愛されているから」
EXシーズンより。本編で個別ルートがない悲しみでトラウマ獣と化し町で暴れるもファンタズムーンとカレイドルビーに沈静化され二人に感謝する。
でもファン心理としてはやっぱり個別ルートは欲しいものである。
「なんでさ、なんでさ、ななななんでさ。じじじ次回次回次回ドキドキデート大作戦、おたおたおたおたお楽しみに」
タイガー道場より。士郎のテーマを作った大河につられ、ラップ調で次回予告する。

Fate/mahjong night 聖牌戦争

「はやくツモらないと死んじゃうよ」
「お兄ちゃん」
前日譚での台詞。一方的に麻雀の牌を衛宮士郎に渡し去っていった。

その他の作品

「問題ありませーん!
これはぁ、愛情の裏返しによるキュートでポップなジェノサイドなのだー!」
タイガー道場にて。愛なら仕方ない。
「いうな」
コハエース2014夏の増刊号にて首から下がバーサーカーの肉体になっている姿を琥珀さんに突っこまれての察しろと言わんばかりの一言。
元ネタはゲーム『プリズマ☆イリヤ』でのバーサーカーの夢幻召喚。

メモ

  • イリヤという名について、『Fate/side side materiale 2』で奈須は「なんか知らないけど、サラッと決まった名前。自分的には珍しい」と述べている。
  • 「タイガー道場」によると、『Fate/stay night』でのイリヤによるバッドエンドの数は2位以下。但し実際にカウントすると同率1位になるとも。まあデッドエンドは0回だからね?
  • 本来は専用ルートがUBWルートの次に予定されていたが、諸般の事情で「Heaven's Feel」として桜ルートと統合された。そのため、本編では使われなかったが、イリヤの下着姿の設定画が存在する。
  • アインツベルンの森の奥から冬木市街にやってくるのには、車を使っている。車種はアイリも使ったおベンツェ。メイドが運転することもあるが、基本、イリヤ一人がふらっとやって来る時には、イリヤ本人が運転している。道交法とかは大丈夫なのだろうか?
  • 第四次聖杯戦争の8年前に生まれているので、五次で実年齢は17、8歳。
  • 裏切り者の切嗣に対する行き場のない恨みを、切嗣の愛情を受けて育ったであろう士郎にぶつけてくる。しかし同時に、士郎のことは残された最後の家族としても見ており、士郎を失い再び一人ぼっちになることを何よりも恐れている。士郎を直接手に掛けないのは、自分自身で最後の家族を消すのが怖いから。
  • 生い立ちについて、当初はアインツベルンから子作りが義務付けられていたようなニュアンスだったのだが、後に母親の未来のために夫婦の間の子どもが必要だと望んだため、とされた。
    • 『Fate/stay night』のどのルートでも短命を運命付けられているヒロインなだけに切ないものがある。
    • 「タイガー道場すぺしゃる」でFateルートのその後を突っ込まれた時も言葉を濁らせている。
  • PS2版『Fate/unlimited codes』では「タイガー(直伝)アッパーカット」というミニゲームで、見事なアッパーカットを披露してくれる(見た目は弟子1号ロリブルマの拳を突き上げる立ち絵そのまま)。それにしても(直伝)とは、制作会社が会社だけに某隻眼ムエタイ帝王の直伝なのだろうか。
  • 『Fate/complete material Ⅱ』によると、『TECH GIAN』付録の「TYPE-MOON応援本」裏表紙のイリヤがロリブルマの発生源。
  • TVアニメ版『Unlimited Blade Works』のリアルタイム視聴会イベントの裏話より。第3話でイリヤが使役していた鳥型の使い魔は、奈須きのこがコンテ段階では10羽ぐらい描いていた。その10羽が円を描いて波動砲みたいな攻撃をする初期設定だったが、凛がやられてしまうということで没になったらしい。

話題まとめ

商品情報


脚注

注釈

  1. 『Fate/stay night[UBW] Animation Material Ⅰ』では「エリート」、『Fate/stay night[UBW] Animation Elements』では「エリート」。ドイツ語としては後者の方が正確。

出典

  1. 1.0 1.1 「#15 神話の対決」『Fate/stay night[UBW] Animation Elements』p.23-27
  2. 「〜無限の解析〜」『コンプティーク』2005年4月号
  3. 「#03 初戦」『Fate/stay night[UBW] Animation Elements』p.5

リンク