「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」の版間の差分
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そこへ唯一星の内海で喪失を逃れていた獣神[[ケルヌンノス]]と、その巫女たる人間が残った妖精達を諌めるべく楽園からの使者としてやって来る。<br> | そこへ唯一星の内海で喪失を逃れていた獣神[[ケルヌンノス]]と、その巫女たる人間が残った妖精達を諌めるべく楽園からの使者としてやって来る。<br> |
2024年7月24日 (水) 18:22時点における版
妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ | |
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副題 | 星の生まれる刻 |
異聞深度 | EX |
年代 | A.D.500?→?.?.2017[注 1][出 1] |
シナリオ担当 | 奈須きのこ |
概要
Lostbelt No.6。ベリル・ガットの担当地区であるブリテン異聞帯……だが、同時に根本から大きく覆された世界。
異聞帯を端的に要約すると、「妖精が住まう、御伽噺のような幻想鄉の世界」かつ「一人の魔女の願望、そして妖精の罪と悪意によって歪曲してしまった世界」。
歴史
汎人類史との分岐点は1万4千年前、セファールの襲来時。本来の歴史では6翅の亜鈴の妖精…後に各氏族の祖先となる「はじまりのろくにん」が切り札となる神造兵器・聖剣を鋳造し、これを持った人間が最終的にセファールを撃退したために多くの神々が死に絶え文明も破壊されたものの、本当に壊滅的な被害になる前に防ぐ事ができた。しかしこの異聞帯では6翅の亜鈴がこの聖剣の鍛造を怠けてサボったため、地上では外敵を撃退する手段が無いまま蹂躙しつくされ、地球全土が『無の海』と化してしまう。
そこへ唯一星の内海で喪失を逃れていた獣神ケルヌンノスと、その巫女たる人間が残った妖精達を諌めるべく楽園からの使者としてやって来る。
当初両者は上手く共存していたが、いつまでたっても現状は変わらず、さらにケルヌンノスと巫女の度重なる口出しに嫌気がさしていったのもあり、6翅は『こうなったのは全部あの神様が悪い』という考えの下結託、獣神の為の祭事と称した宴を開き毒酒を飲ませて殺害。その屍体を大地の代わりとして使用し、残された巫女は魔力で生きたまま解体して自分達の道具や嗜好品として使役する為のコピー人間を造り出し、これらを元手に端末であり子孫にあたる「森の仔」、「石の仔」を生み出しつつ発展を遂げてきた。
それから100年間、謎の死を遂げゆく妖精たちの骸が積もることで大地は広がり、“次代” が生まれるシステムにより住民も数を増やし、使役する人間によって文明も栄えるが、ここまで来てもなお妖精達の原因不明の死は止まらず、ようやくこれがケルヌンノスの怒りによる呪いだと6翅の亜鈴は気付く。しかし皆は反省するどころか、その罪を隠匿するかの如く死骸の山により形成されたブリテン島へ逃げると屍体が浮かぶ海を急速に埋め立て、干上がった海の残滓は『大穴』として残り続ける事になる。こうして6翅およびその仔達は『星の内海』から締め出されてしまう。
その上屍体の陸地に降り積もった呪いは「生まれた目的」を失ったり魂そのものが傷付いたりして無意味化した妖精の個々の姿形を奪い、黒い霧の固まりに変えてしまう『モース』と呼ばれる猛毒と、1000年事に島そのものを滅ぼす毎回異なった『大厄災』[注 2]となって定期的に陸上を襲う事になり、以後の妖精達はいつどんな形で起きるか分からない「呪い」を無意識に恐れ、不安と苦しみに苛まれながらブリテンで生きる事になる。
そうして亜鈴は妖精暦7000年の時点で全員が消滅し、代わりに「氏族」と名乗るようになった亜鈴の仔と、最初の6翅と同等の力を持つ妖精『亜鈴返り』がブリテンに残される。翌年の6000年に大地が汎人類史におけるスコットランドまで到達すると、そこで暮らしていた北部の妖精が合流し、今度は氏族間に加えて北と南の妖精の間でも領地を巡る争いが勃発してしまう。
そんな中、妖精暦4000年にブリテンと妖精を正し、この世界に聖剣をもたらすべく、星の内海から最初の『
ブリテン異聞帯のクリプターとなったベリルが訪れたのは、こうして知性体が絶滅した後の遙か未来の『無の大地』であるが、そこで彼が『汎人類史のモルガン』をサーヴァントとして召喚した事により更に歪みが拡大する結果を招く。
空想樹が遠くにあるだけの『無の大地』となったブリテンを目の当たりにし、ベリルから事の次第を聞かされた汎人類史のモルガンは、「此処の世界なら今度こそ自分だけの国が創れる」という己の願望を優先した考えの下、自身が召喚されたカルデアのレイシフト技術を解析・模倣して妖精暦4000年へとレイシフトし、自分が見た『未来のブリテンの有様』と『汎人類史における自身の立場と存在理由』、さらには『サーヴァント召喚を含めたカルデアの技術』といった情報までもを自分自身の霊基消滅と引き換えにしてヴィヴィアンに譲渡。
この結果彼女は「ブリテンを救う楽園の妖精」から「ブリテンを求める魔女モルガン」に変貌し、4翅による雨の氏族虐殺から逃れ『大厄災』をも回避して生存すると『自分の国を創る』という新たな目的のため、表面上は「救世主トネリコ」と名乗って仮初の道を歩み始める。
しかし、何度も厄災を回避し、氏族および北と南の妖精、並びに妖精と人間の仲も調停し、平和の基盤を整え国の掌握に王手をかけても、その度に一部の妖精の気まぐれと思いつきによる「身勝手な言動」にひっくり返されて瓦解してしまうため次第に心身ともに疲れ果てていく。
またこの最中、女王暦からモルガンの『水鏡』に巻き込まれる形でマシュ・キリエライトが妖精暦に飛ばされた事により、更に歴史が枝分かれする事態が発生しているが、トネリコが「妖精騎士ギャラハッド」の仮名を与え、多少の矛盾はあれど基本的な流れは変わらない様に配慮した事により、最終的には両者から互いに関する
そして妖精暦400年に起きた裏切りの果てにとうとう精神が砕け散ると、「大事なのはブリテンだけで、そこに住む妖精はもうどうでもいい」という結論に行き着き、救世主の使命を放棄して雌伏した事からその年の大厄災によって再びブリテン異聞帯は妖精と共に全滅。
するとトネリコは空想樹の魔力を吸い取って死んだ妖精の全てをカルデアのサーヴァント召喚式を応用することで蘇らせ、「妖精國ブリテン」という女王暦を年号に据えた新たな王国として成立させると、自身は「ブリテン異聞帯の女王モルガン」として即位する。
これにより、剪定事象だったブリテン異聞帯はそこからさらに『もしも(if)の世界』へと枝分かれした特異点、所謂「異聞世界」へと派生した。
地理
見た目と位置関係は汎人類史におけるイギリスの本土そのものだが、アイルランドやスコットランドにあたる大部分が存在しない。この領域もまた外からの観測が不可能となっているが、他の異聞帯と異なり、第六特異点と同じく「ロンゴミニアドの光の壁」と莫大な魔力に覆われている。
ブリテンの大半を構成する丘陵は見渡す限りの草原に僅かな岩山と木々や草が生え、一見すると和やかな田園風景だが、大地を構成するこれらは全て妖精達の死骸が積もり固まって出来たものであるため、汎人類史において妖精の一番の象徴たる自然の花がひとつも咲いていない。昼間は常に夜明けを思わせる虹色の光と金色の雲が漂う黄昏色に染まり青空にはならず、夜間は満天の星が一面に輝く澄み渡った空になるため、より幻想的な妖精の世界を醸し出している。他にも時たまにだが雨が降る事はある模様。
妖精以外では野生動物や幻想種も生息している他、妖精が呪いによって変貌した「モース」があちこちをさ迷っている。
一方で「厄災」による積年の呪いの残滓が煤となって常に降り注いでおり、特に中央でケルヌンノスの屍体が眠る『大穴』の片方半分はこの煤と妖精の死骸によって白い樹と大地に囲われている。妖精國ブリテンの妖精達は本能的にこの『大穴』を恐れて近付かないのだが、稀にここへ「いらないもの」を捨てに来る者達がいる。
ブリテンそのものは罪都キャメロットを挟んで南と北の上下に大別され、南部および中原は氏族長達がそれぞれ統治する都市によって繁栄しているが、北部に至るほど過去の戦争で朽ち荒れ果てたまま捨て置かれた土地が広がっている。
現状
モルガンは「ブリテンは救うが妖精は救わない」とあらかじめ宣言しており、その一つとして隷属と運営に必要な人間の数と提供を上級妖精に限定する形で徹底的に管理しており、下級の妖精に宛てがわれることは無い。また、女王暦の始めにモルガンによってブリテンとともに復活した以降の妖精達には『妖精紋様』と呼ばれる令呪が刻みつけられており、妖精領域の拡大という名目で年に一度膨大な魔力の半分を存在税として「献上」しなければならない。なので妖精達はこれを賄えるまでの魔力を1年以内に貯めておかなければならず、できないものはこの時点で即死してしまう。また、度重なる献上に耐えられず働けなくなって逃亡する者もおり、そういった妖精は見つかり次第連行・処刑されてしまう。
ブリテンを脅かす『厄災』についてもモルガン自らが「水鏡」を使って払うこそすれど、その影響で周囲の街や住んでいる妖精と人間達が吹き飛ぶ事になっても知ったことではなく、乞われれば復興に必要な支援金は出すが再建そのものは各領主たる氏族長に任せきりである。妖精達はそんなモルガンの政治体制を快く思っていないが、厄災を何とかしてくれる存在が事実上彼女しか居ないため仕方なく頼っている…というのが目下の現状。
地域
領地を治めている氏族長それぞれの価値観・思考の違いから領地ごとに統治方法が全く異なり、それらは一種の『都市国家』と化している。そのほとんどに共通する制約や規則の関係により、地域ごとの特色の偏りが激しい。
ここでは各都市・地域を北から順番[出 2]に分けて記述する。
- エディンバラ
- ノクナレア率いる王の氏族が暮らす女王都市。廃墟となったオークニーを除けば一番真北にあり、気候そのものもあちらの影響を受けているのか気温は比較的低く、外は薄く雪らしきものが積もっている。
- 妖精暦時代、王の氏族はブリテンに移住し始めた頃には各地を転々としながら暮らす遊牧民族に近い生活をしていたが、トネリコの仲裁により「王の氏族」と認められると、大きな岩山を拠点とし僅か一代で巨大な都市を築き、ノクナレアを頼って流れて来た南部の妖精も積極的に受け入れている。
- 先代女王マヴの死後1500年間は南の妖精達と同じくモルガンに従っていたが、重度の人間嫌いである次代ノクナレアの誕生後は妖精だけによる妖精國ブリテンを創るべく『反女王派』を掲げ軍事力向上にも力を入れており、彼女によって臣下となった各氏族に加え100年かけて規律と教育を施したピクト人と呼ばれる兵士と巨人兵による精鋭部隊が結成されている。
- これらの為政も全て妖精に限定したものであり、人間に対し尊厳や権利などは一切認められておらず、国家資源として北部平原で栽培している板チョコが直接生えているチョコレート畑へ労働用の奴隷として送られてしまう。
- シェフィールド
- ボガードが統治していた島北部の城塞都市。旧ダーリントン跡手前の小高い丘の上にある。
- スプリガンのやり方に異議を唱え追い出された妖精達が、同じくノリッジを追われたボガードと共に元々戦争で荒地と化していた場所を再建し領地とした地域。彼自身の性質故か特に厳しい制約はなく、人間と妖精が対等に暮らしている。
- 城壁にはキャメロットと同じ構造が使われており、門が開いていなければ出入りができない強力な結界となっている。
- マンチェスター
- 妖精騎士ガウェインが統治する街。湖水地方を抜けた先に位置する。
- 『弱肉強食』を絶対の掟としており、強いものが弱いものを捩じ伏せて絶対服従させ、抵抗する意思さえも奪ってしまう。そのため領外からやって来たものは、住民たちからなりふり構わず勝負を挑まれる事になる。
- とは言えど、本質そのものは『強いものが弱いものを守る』という騎士道精神に則っており、掟とは裏腹に街の中はいたって平和である。
- キャメロット
- 女王モルガンが統治する王城から成る罪都の街。妖精國ブリテンの首都。
- 『大穴』のもう半分を取り囲む様にして建てられており、大穴側に向けられた城壁には十二門の「ロンゴミニアド」が配置され、大穴が見えるバルコニー前方の奥には真珠貝のような見た目をした鏡と金属で出来た妖精國を運営する為の玉座が設えられており、周りには30の大使と100の官司から成る上級妖精と、緑色に金縁の馬型の兜鎧を装備した女王騎士達が常に控えている。
- 城下町に広がる大通りにはゲートがいくつも設置されており、城へ続く正門には古英語で「罪なき者のみ通るがいい」という言葉が刻まれているが、何故か赤い塗料で塗りつぶされている。
- 城壁の造りは材料に千年級の樫の木を使用したオークニー様式で、壊してもすぐさま再生してしまう。また、町中の建物はレールによって変動が可能となっており、一度来た者であっても方向感覚を狂わされ迷ってしまう。それに加えて都市全体が妖精達から徴収した巨大な魔力の貯蔵庫かつ魔力炉心と化している。
- グロスター
- ムリアンが統治する商業都市。キャメロットから真西に進んだ方角に位置する「妖精の街」。
- 彼女の強力な『妖精領域』によって街全体が蜃気楼に覆われ、建造物は遠くに行くほど大きく見え、近くに行けば逆に小さく見える構造になっており、天候も目まぐるしく変わる。また、領地内での暴力による争い防止のため『強さの否定』を掟とし、街に入ったものは力がLv1相当にまで巻き戻されてしまう。
- 妖精國ブリテンの『流行』を一手に引き受けていると考えても他言ではなく、ノリッジを筆頭に他の都市からの出店も多いが、その分競争率も激しく、流行り廃りの移り変わりも著しい。
- ムリアンの住居も兼ねた宮殿では大規模なオークションの他、ブリテンの中でも特に選ばれた妖精しか招かれない豪華な
妖精舞踏会 が開かれている。 - ソールズベリー
- オーロラが統治するブリテン唯一の自由都市。一番真南にある。
- 特にこれといった妖精の掟が存在しない街で、人口も地方都市の中では一番多く、自然発生した妖精達の他、独立権を手にした人間も多数居住している。ただし、独立権も妖精の主も持たない人間は、人間牧場脱走者とみなされニュー・ダーリントン送りにされてしまう。
- また、主要都市の中では最も『人間の模倣』に発展を頼りきっており、美しく整備された街並みは最早汎人類史のそれと大差がない。
- ノリッジ
- スプリガンが統治するブリテン唯一の港町。一番真東にある。
- 住民のほとんどが鍛治職を得意とする土の氏族と鉄の武器を作る人間で構成されており、現存する中で数少ない人間と妖精の対等と共存を掲げる領地で、掟も職人気質と堅気に準じた組合(ギルド)のそれに近い。
- 武器や装飾における品質は妖精國随一であり、グロスターを筆頭に彼方此方から需要がくるが、一方で妖精を傷つける代物でもある為に一度はモルガンに製造禁止令を出されたが、直訴の末に認められた。
- かつてはスプリガンとキャップレスが運営する総合デパートがあったが現在は閉店し、代わりに「伯爵」なる人物が運営する店が勢力を伸ばしている。
- ロンディニウム
- パーシヴァル率いる円卓軍が本拠地としている都市。ノリッジから南西に降りた所にある、汎人類史における首都ロンドンに該当する。
- 元々は自分達の扱いに異議を唱え立ち上がった人間達が妖精に対抗するための拠点としていたが、妖精暦400年に壊滅して以降は放置され廃墟となっていた所を円卓軍が居城として補修し直し使用している。
- 補修用物資が間に合っていないため所々崩れているとは云えど防衛拠点としては屈指の強度を誇り、円卓軍の他にもパーシヴァルに賛同した、戦闘能力の劣る妖精と老人や子供を中心とした人間が互いに助け合い協力しながら暮らしており、ある意味では妖精國ブリテンのもっとも理想的な在り方を示している。
- ニュー・ダーリントン
- モルガンが妖精騎士トリスタンに与えた歓楽都市。キャメロットからやや北東にある。
- 元々あった旧ダーリントンが『蘇りの厄災』によって領主のグレイマルキンと住民共々壊滅したため新たに興された。
- 最初は特に何も無い普通の街だったが、ベリルによって人間同士を戦わせて見世物ショーにし、優勝者も最後は妖精騎士トリスタンによって殺害されてしまう「国立殺戮劇場」が作られてからは、ブリテン中の妖精と人間に忌み嫌われている危険な場所で、実質彼女の退屈を紛らわせるためだけに宛てがわれた『箱庭』である。
- 地下ではベリルによって残虐なモース実験が行われているが、二人の他にそれを知るものはいない。
- オックスフォード
- ウッドワスが統治する都市。キャメロットからやや南東、大穴から東に南下した場所にある。
- 住民の大半が牙の氏族である為か、氏族特有の凶暴な本能を自衛させるため娯楽の類を一切禁止している。
- 一方で食文化については菜食以外の制約がないため地域一帯には多くのレストランが立ち並んでおり、妖精國における人間中心の食事事情を一手に賄っている。
- 人間牧場
- ソールズベリーからやや西にある施設。
- 文字通り妖精國ブリテンの運営に必要な人間を生産・補充している工場。
- 大小2つの建物で構成されており、大きな方では人間を培養・育成し、小さな方では『外の世界』からやって来た人間達が収容されている。『牧場』と明記されているが、施設内は人間の創造性や独創性を育てるため一般住居の形が取られている。
- ウェールズ
- オベロンが発生して以来、拠点としている森。キャメロットからやや真東の突き当たりにある。
- 辺り一面赤や金色に紅葉した葉をつけた木々や草が生い茂っている事から「秋の森」とも呼ばれている。
- 人間の文明が持ち込まれていないありのままの自然の姿を保っており、木に生っている果物1つに至るまで『神秘』が宿っている。
- 一方で住んでいる妖精達はみな力が弱く人語も話せないため、普通の人はなにを言っているか聞き取れず、彼らの言語を解せるのは森の主たるオベロンだけである。
- コーンウォール
- カルデア一行が最初に上陸すると同時に召喚されていたトリスタンと合流した地域。ブリテンの南西端にある。
- 地域一帯が濃霧に覆われており、たとえ人間であっても少しの間滞在しただけで記憶喪失になってしまう危険地域。落ちぶれて都市を追われた妖精や目的を失った下級妖精達が暮らす「名無しの村」と呼ばれる集落があるが、その特性故にモースも多数蔓延っている。
- 村から少し北の方にはアルトリア・キャスターが流れ着いた「潮騒のティンタジェル」という村があるが、ウッドワス率いる女王軍によって焼き討ちにされたという。
- オークニー
- 雨の氏族が統治していた最果ての都市。同時に最初の『楽園の妖精』ヴィヴィアンが流れ着いた場所。最北端にある。
- 妖精暦4000年に他の氏族達によって滅ぼされて以降廃墟となっており、空は常に曇り、雨の氏族の悲しみと謝罪の涙が雪となって降り続けているため、一帯が積雪の絶えない寒冷地となっている。
- 現在はロンディニウムに安置された、ブリテン異聞帯には本来いない筈の「神」を現した宗教壁画が描き遺されている。
- 湖水地方
- 鏡の氏族が統治していた地域。オークニーから南西に下りた所にある。
- 元々は王の氏族の前身たる北の妖精が暮らしていたが、妖精暦6000年の『春の戦争』と呼ばれる争いで南の妖精が奪って手に入れた。
- 汎人類史にも存在していた境界の竜アルビオンの骨格が湖に沈んでおり、鏡の氏族達は「骨々さま」と呼んで大切に祀っている。しかしながら湖水は腐り落ちた屍肉が長年浸っていたうえに、『春の戦争』で皆殺しにされた北の妖精の怨念が渦巻き、淀んだ猛毒の沼と化している。
- 対岸には枯死した空想樹「セイファート」の跡がある。
- 涙の河
- オックスフォードから東にある河川で、通称『ドラケイの河』。
- その名の通り水の聖杯とも称される妖精亡主ドラケイが棲んでおり、河を渡ろうとする者達がもっとも欲している宝物の幻像を見せ、川に飛び込んだ所を水中に引きずり込んで殺害してしまう。魅了魔力の強さから妖精でも抗う事は不可能とされる。
これらの都市のうち、ノリッジ、ソールズベリー、グロスター、オークニー、オックスフォードには予言にも記されている『巡礼の鐘』と呼ばれる「6翅の亜鈴」が遺した鐘が安置された鐘撞き堂があり、領主はこの鐘の番人も兼任している。そして各地にある鐘の元へ赴きそれを鳴らす旅の事を『巡礼の旅』と呼び、予言の子はこれを成し遂げる事が役割だという。
この他にも持ち主や意図は不明だが、巨大な蜂の巣やサザエ、鳥の巣、じゃがいも状の岩などがあちこちにある。また、どの領主と領地にも属さない、或いは事情によって溢れた妖精達によって構成された小規模の
一見すると各都市は発展しているように見えるが、実のところは妖精が本能的に持っている閉鎖的な娯楽価値観…端的に説明すると「今いる街の中でのんびり暮らしている方が楽しいから、外の事など気にしなくてもいい」、「他の街と同じものをわざわざ拵える必要はない」という感覚によって、都市の住民による交流はほぼ全くない。地域特色の偏りや物資格差が顕著なのはこれに起因しており、例外は商人や目新しいもの好き、或いは領主の掟に耐えられなかったり反発して逃亡した者、あるいは氏族長同士である。
住民
妖精國ブリテンの主な住人は『6翅の亜鈴』を起源とした「仔」にあたる妖精達で、大まかには6つの「氏族」と呼ばれる固有の姿形を持った種族に分類される『南の妖精』と、途中からブリテンに合流した『北の妖精』に分かれている他、どの氏族にも属さない妖精達も多くいる。
ここでは各人種と氏族別に記述する(こちらのページも参照)。
- 風の氏族
- 華奢な体型に尖った耳を持つ妖精。
- 汎人類史では「エルフ」の部類に入る。
- 男女問わず全員が容姿端麗で、中には美しい羽根を持った者もいる。そのためか何もしなくても価値があるとされ、ただそこに居ること自体を主な目的としている。
- 共通能力として、魔力に意識や声を乗せて広範囲に届ける『風の報せ』を使用する。
- 牙の氏族
- 動物を模した獣人の妖精。
- 汎人類史では文字通り「ブラックドッグ」の部類に入る[注 3]。
- 戦うことが主な目的なため戦闘能力に特化しており、モースに対してもある程度抵抗できる力を有している。
- 女王暦の現在は氏族長ウッドワスの命令により全員が菜食主義を義務付けられている。
- 土の氏族
- 恰幅のいい体型に、男女問わず髭を生やした妖精。
- 汎人類史では「ドワーフ」の部類に入る。
- 働くことが主な目的のため職人気質の者達が多く、妖精達が嫌う『鉄を使った武器や鎧』を製造出来る鍛冶師が中心となっている。手先も器用なため装飾品や小間物なども造っている。
- 翅の氏族
- 小柄な体型に昆虫の羽根を持つ妖精。
- 汎人類史では「ピクシー」の部類に入る。
- 学ぶことが主な目的のため好奇心と探究心が人一倍強く、一度興味を持った事柄について徹底的に調べ上げ研究する「本の虫」が多い。
- 女王暦の現在は氏族長のムリアン1人しかいないとされる。
- 鏡の氏族
- 誰かに奉仕する事が主な目的で、未来予知に長けている。
- 女王暦2011年に全員が皆殺しにされ、氏族長のエインセルも行方不明となっているため、容姿は不明。
- 雨の氏族
- 先代の『楽園の妖精』を匿っていた氏族。氏族の中ではいち早くケルヌンノスの『呪い』に気がついていた。
- 妖精暦4000年に全員が皆殺しにされたため容姿や能力などは不明。
- 王の氏族
- アルビオンの竜の亡骸を大地として生活していた北の妖精の総称。妖精暦6000年に氏族たち南の妖精と合流してからは「春の戦争」を起こすも、人間を擁していなかったために皆殺しにされる。
- しかし後にその遺骸から女王マヴが発生し、彼女はアイルランドを作り出して戦力を整え、領地を巡って「夏の戦争」を引き起こすも、トネリコの仲裁によって和解し妖精の仲間と認められ、『雨の氏族』の空席を埋める形で氏族入りを果たした。なので南の妖精とは根本から全く違う別の種族に値し、ケルヌンノスの呪いによる『罪状』や『罪悪感』も無いので「巡礼の鐘の音」を耳にしても何ともなく、「楽園の妖精」に対する無意識の嫌悪感や恐れを抱く事も無い。
- 女王が『妖精領域』である自らの血液を与えれば南の妖精であろうと仲間になれるため、女王暦時点では色々な氏族が混合している状態だが、ノクナレアが兵士として引き連れていた者たちは汎人類史ではピクト人や巨人といった部類がオリジナルに該当すると思われる。
- 主な目的は不明だが、君主たる先代女王マヴと次代のノクナレアに仕え、その命令に服従し付き従う事こそがそれに当たると云える。
他にもウェールズの森に住む芋虫型や典型的な妖精像を反映した小人型など、6氏族の見た目に当てはまらない妖精や、ガレスやノクナレア、レッドラ・ビットやチョコの妖精のように汎人類史のサーヴァントにそっくりな外見の妖精も数多く生活している。
また、汎人類史からの
これらの妖精には共通して「生まれた目的」と「役割」が存在し、それぞれが『名前』と密接に繋がっている。この目的を失うと存在が維持できなくなりやがては消失≒死亡してしまうが、同時に妖精國ブリテンの何処かで新しい妖精が “次代” として発生する。
妖精は基本的に生殖の必要がなく単体で完結するが、極たまにこの目的から枝分かれした新しい「生まれた目的」をもって発生した次代、または生まれた目的が叶わないまま消失した場合、その目的を代わりに果たすために発生した次代も存在する。この場合元の目的の主たる妖精≒先代と次代は汎人類史でいう親子の関係にあたる。
この輪から外れる存在が唯一無二の存在である『亜鈴』で、基本的には消失しても目的に関係なく次代は発生しないのだが、稀に亜鈴に匹敵する能力を持った『亜鈴帰り』が発生し、この場合は先代と次代の関係のみ適応される。
また、亜鈴はその本質から世界を作り替えてしまう特性『妖精領域』を有しており、これを使って独自のルールを布くことで広範囲の支配を可能とするが、大概がこの力を上手く扱えず同氏族の妖精に追われるか自身がルールに縛られて自滅してしまい、
自分の存在が『無意味化』した妖精のうち何割かはケルヌンノスの呪いによってモースになってしまい、場合によっては激痛に苦しめられる事もある。この呪いは妖精しか罹らず僅かな接触で伝染するのも妖精のみだが、人間も長時間触れていると呪いが移ってしまう。
逆に殺戮や破壊に血迷ったり、生まれた目的に熱中し過ぎて周りが見えなくなってしまった妖精は、魔力を過剰に生成し続け次第に形も自己も保てなくなる
- 人間
- この異聞帯においてはケルヌンノスの巫女を解体して作られた劣化コピーで、一種の工業製品に属される。老若男女と人種こそ多種多様ではあるが、皆共通して繁殖能力も持たず寿命も平均年齢が30歳と短い。そしてほとんどが妖精達に兵役や従者といった労働力、または玩具やペットといった付属品として買われ、使役されている。
- 社会的地位も身分もかなり低く、その扱いと有り様から過去に何度も衝突を繰り返していたが、女王暦1900年にモルガンが人間の出荷数を厳しく制限した事で、都市によっては妖精と同等の身分を得たり、逆に妖精の純粋で騙されやすい性質を利用して憂さ晴らしの如く扱き使う等、ある程度の人間的地位を確立している者も現れるようになる。
- そうはいえども妖精國ブリテンの妖精にとって未だに人間は、自分達の仕事を楽にしてくれる奴隷かつ「退屈が嫌いな自分達に活力を与えてくれる
栄養剤 」という認識のため、皆がみな本能的に人間を欲している。
技術
主要都市にはレンガやコンクリート造りの建造物が立ち並び、宿屋や飲食店、床屋などの店も見られ、妖精の暮らしは一見すると汎人類史の人間とほぼ変わらない生活を送っているが、これらは全て妖精が『人間の技術を模倣して創り出したもの』。
これは人間と親密に接していくうちに『新しいものを自分で考えて発明する』能力や、それによって生み出された産物を「自分達にはない面白くて素敵なもの」と看做して真似するようになった為。とは言えども、「魔力」という神秘を持つ妖精達にとってこれらの技巧は指先一つで簡単にコピーと量産が可能な上に、高度な頭脳と長い寿命を持つがため自分達で工夫したり手を加えるといった成長も必要なく、目新しいものはひたすら模倣し飽きたら捨ててしまうを繰り返している。
その一方で、モルガンの進言から妖精の生態系を剪定しかねない技術の模倣は禁止されており、大きな罰則こそ無いものの動物を労働手段として使う事も禁じられている。特に乗り物等の系統については馬車や荷車といった最低限の部類しか無く、主な移動手段はレッドラ・ビットやクントリーのような妖精馬が担っている。
また、スプリガンが「土の氏族」に鉄製品の製造技術を伝えて以降は、その鉄で出来た武器が妖精にとって猛毒になると分かると同じく鉄を無理なく扱える人間達を中心に、鎧や兜といった武具や槍に剣といった武器が造られ広まっていく。
文化
妖精の文化も技術同様に『人間の文明を模倣したもの』であり、衣服や装飾、飲食などにも人間と同じく流行り廃りも存在するが、妖精の気まぐれな本質上移り変わりがかなり激しい。金銭感覚も存在し『モルポンド』と呼ばれる通貨も流通している。
そもそも妖精は飲食や睡眠といった基本的な生活機能が元から必要なく、これらは全て人間の特性が楽しくて面白いから真似しているだけの所謂「ごっこ遊びの延長線」、並びにモルガンによる「魔力の献上」に備え必要な分の魔力を補うための供給補助の一端にあたる。その為、同じく飲食や睡眠を必要としないサーヴァントは『妖精』と見なされるため、ある程度誤魔化しが可能。
また、いくらでも魔力で模倣すれば同じものを生み出せるという特性故に、中身や価値観を全く重要視しておらず、食物のパン1個にしても、それを作り出す為に必要な『調理』という工程を積極的に学ぼうと考える「物好きな妖精」を除けば、所詮は見た目がそっくりなだけで中身はスカスカなガワだけの代物でしかない。
カルデアが到着した時点では女王暦2001年に鏡の氏族が遺した18の節から成る予言…ただし一般に伝わっているのは、不吉な用語が多い4節を意図的に省いた14節に記された「妖精國ブリテンを救う真の王たる『予言の子』」の存在が目下の注目の的となっているが、大半は「巷で流行っているから信じている」のであって、本当に信じているのは女王モルガンを脅かす者として敵視する、或いは妖精國ブリテンを変えてくれる者として期待している氏族長と、呪いから救われたいと願っているごく少数派の下級妖精のみである。妖精暦にブリテンを救った「救世主トネリコ」の物語も同列で語り継がれてはいるが、もう覚えている妖精は少ないという。
この他にもごく稀にだが
異聞帯の人物
- ベリル・ガット
- この異聞帯を担当するクリプター。
- モルガン
- 異聞帯の王。本来はブリテンを救う『楽園の妖精』でありかつては救世主トネリコを名乗っていたが、汎人類史側のモルガンによる情報の譲渡と、度重なる妖精の反乱と裏切りによる挫折で心が砕かれた結果、妖精國ブリテンを圧倒的な力で支配する冷酷非情な女王に「変質」してしまった。
- 妖精騎士ガウェイン、妖精騎士トリスタン、妖精騎士ランスロット
- モルガンの配下。異聞帯に住む妖精に汎人類史の円卓の騎士の名前を
着名 する事で誕生した。 - そのうち妖精騎士トリスタンはモルガンの『娘』で、妖精國ブリテンの次期後継者とされている。
- アルトリア・キャスター
- 妖精國ブリテンを救う「予言の子」にして次代の『楽園の妖精』。
- ガレス
- カルデア一行が道中で出会った妖精。
- パーシヴァル
- ロンディニウムで円卓軍を統括する人間の騎士。
- ウッドワス
- 牙の氏族長でオックスフォード領主。
- スプリガン
- 土の氏族長でノリッジ領主。
- オーロラ
- 風の氏族長でソールズベリー領主。
- ムリアン
- 翅の氏族長でグロスター領主。
- ノクナレア
- 王の氏族長でエディンバラ領主。
- エインセル
- 鏡の氏族長。女王暦2011年の鏡の氏族滅亡に伴い、今日まで行方不明扱いとなっている。
- ボガード
- シェフィールド領主。
- ウッドワスとスプリガンによってノリッジを追われた牙の氏族。
- ハベトロット
- ボガードの元で裁縫師として働いている妖精。
- コーラル
- オーロラの側近を務める風の氏族。
- レッドラ・ビット
- ウッドワスからオーロラに贈られた牙の氏族。
- マイク
- ソールズベリーの住人。酒場兼宿屋を営む土の氏族。
- ブランカ
- オベロンと行動を共にしている雌蛾の妖精。
- ロブ、ワグ、ウインキー
- 流れの商人をやっている妖精3人組。
- ロブとワグは
取り替え によって流れ着いた汎人類史の妖精。ウインキーは妖精國ブリテンの妖精。 - ハロバロミア
- コーンウォールの森にある『名無しの村』の長を務める風の氏族。
- 妖精の少女
- 名無しの村に住む妖精。
- エクター
- ティンタジェルで鍛冶屋を営んでいた土の氏族。
- アドニス
- 妖精騎士ガウェインの元で暮らす人間の少年。
メモ
- 「第三者の介入により大きく歪められた国が舞台」であり、尚且つその国を創ったのが「1人の『切実な願望』により変質してしまった統治者」によるものであるといった根幹は、第六特異点『神聖円卓領域 キャメロット』とほぼ似た道を辿っているといえる。
- 本シナリオは序盤こそ御伽噺や童話を思わせる物語のような雰囲気のまま進められていくが、後編に行くにつれて妖精國ブリテンの過去と女王モルガンの正体、ブリテンに蔓延する呪いと『厄災』の原因、そして何よりこの世界における妖精の本当の姿といった裏側の全貌が次々と明かされる。
だがこれら全体像の描写はプレイヤーしか知る術はなく、主人公とカルデア一行に対しては終盤、マーリンより予言の詩についての真相=ブリテンに蔓延する呪いと『厄災』の原因が伝えられること以外はその大半が伏せられたまま、双方の認識に乖離が生じた状態で収拾を迎える事になる。- 一方で序盤でも、宴の場でも武器を手放そうとしなかったトリスタンの姿、元凶の正体が暗示されるなどの不穏な描写も少なくなかった。
- これはプレイヤー側からすればシナリオとシステムの進行上どうしても必須だったからというメタ視点ならではの理由であると思われるが、それに対しカルデア一行側は、人理定理のためとはいえ『異聞帯をなんの罪も無い住民ごと消滅させる』という残酷な苦渋の選択を続けている以上「その決断が今回は一番正しかった」と思わせたくなかったという不文律と、「その在り方がたとえ歪んでいても『美しいままの妖精國ブリテン』という世界だけを目に焼き付けて終わらせて欲しかった」という真の黒幕による裏からの配慮があり、アルトリア・キャスターもそれを承知してあえて黙っていた可能性が考案されている。
もっともシナリオ分岐で登場する選択用の台詞によっては、主人公のみ異聞帯における妖精の実態に薄々勘づいているという可能性が示唆されている。
- 地球崩落阻止と並んで神造兵装の獲得がカルデアの目的であったが、神造兵装は使い手とセットのもので、当初の目的通りモルガンのロンゴミニアドを鹵獲もしくは参考に神造兵装を作ったとしても、資格が無い限り使用することができない。
カルデアが神造兵装を得るには、白紙化した汎人類史に欠けた事実を取り戻す必要があり、その事実こそが『白紙にされていた聖剣の概念』であることが、終盤マーリンから明かされている。