「鈴鹿御前」の版間の差分
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2024年8月26日 (月) 17:29時点における版
セイバー | |
---|---|
真名 | 鈴鹿御前 |
読み | すずかごぜん |
外国語表記 | Suzuka Gozen |
異名 | 鈴鹿姫、立烏帽子など |
愛称 | JKセイバー |
性別 | 女性 |
身長 | 164cm |
体重 | 51kg |
好きな物 | 多すぎて言い切れない[注 1] |
苦手な物 | 自分の恋にケチをつけられること、自分のカレシを馬鹿にされること |
出典 | 鈴鹿の草子、田村の草子、田村三代記など |
地域 | 日本 |
属性 | 中立・悪 |
副属性 | 天 |
一人称 | 私 |
二人称 | アンタ/呼び捨て[注 2]/○○くん/○○ちゃん[注 3] |
三人称 | あいつ |
声優 | 東山奈央 |
デザイン |
たけのこ星人 武内崇(原案) |
設定作成 | たけのこ星人 |
レア度 | ☆4 |
初登場作品 | Fate/EXTRA CCC FoxTail |
概要
- 略歴
- 『Fate/EXTRA CCC FoxTail』ではBBの依頼で、マスターである坂神一人と共にサクラ迷宮第七階層に侵入したマスター達やNPCを殺戮し、言峰綺礼や臥藤門司、 殺生院キアラとアンデルセンを殺害した。
- 七階層にやってきた岸波白野にも襲い掛かるがキャスターに阻まれ、剣戟と共に互いにマスターとの惚気話(捏造あり)、相手の恋愛観の批判と激しい女の戦いを繰り広げる。
- 本戦では一回戦を一人の見切りと相手との相性上有利を取れたことで辛くも勝ち進むが、二回戦で勝利を得るために令呪によって宝具を使った結果、霊基が不安定化して昏倒し、回復に5日もの時間をかけることになった。
- 療養中に宝具の効果で垣間見た一人の過去の真実を伝え、彼の悔恨を和らげたことで主従の絆は深まったが、好感度が上がりすぎたことが仇となり、ムーンセルの粛清を招く。乱入した敵サーヴァントの気まぐれによってその場は助けられるものの暗号鍵を得られず、戦わずして三回戦敗退が確定した。
- 人物
- 黒襟の白ブラウスに緋色のリボン、緋袴風のミニスカートという制服スタイルに携帯電話、鞄を携えた女子高生風の少女。
- 戦闘時は丈の短い緋色の千早を羽織り、白拍子に女子高生の制服を混ぜ合わせたかのような独特な和装を着こなす。
- 出会った当初の白野はサーヴァントと認識できず、キャス狐からは「コスプレですかねぇ」と評されている。
- 喋り方も見た目同様に軽くて明るい若者風で、悪く言うと軽薄。だが相手のマスターを狙う合理性と冷徹な思考、敵の戦術を分析する洞察力も同時に併せ持つ。
- というのも、元々の性格はJKとは正反対で、思慮深く話の分かる凛とした姫である。今の「我侭で短絡的、ギャルギャルしい女子高生」キャラは演技。
- 天魔の姫として冷酷ではあるものの、自分の役割や責務に生真面目で誇り高いが、その気真面目さと賢さから「鬼の娘」という悪逆属性に落ち込み、自家中毒っぽくなり、ちょっと陰にこもりがちな性格でもある。
- 一言で述べるのなら「才色兼備、だけど陰のあるアンニュイなクラス委員長」といったところだが、このあたりの本性はJK演技のおかげでほぼ隠れている。
- マスターである一人を「カレシ」と呼び、本人曰く「運命的出会いから告白、デートと恋のラブ値上昇中」。更にキャスターの獣耳を見て、一人の反応を分析した結果、新たに狐耳と狐尾を生やした[注 4]。当然、キャスターは自分のアイデンティティをパクられたため激怒している。
- 能力
- 数多の物に変化させられる黄金の太刀「大通連」、三人寄らなくとも文殊の智恵を授けられる白銀の太刀「小通連」、朱鞘の厳物造太刀「顕明連」という三振りの宝剣を保有し、セイバーの周囲で宙に浮く形で展開された太刀を巧みに操り、三振りそれぞれを独立して攻撃や防御、足場にするなど間合いを問わない三刀流の剣術で相手を追い立てていく戦闘スタイルをとる。
- ただしキャスター曰く「剣術としては雑」らしく、防戦一方とはいえステータスが低いキャスターでもある程度凌げるレベル。
- それ以外にも変化能力や魅了の魔眼、神通力など多彩な能力を持つ。魔眼はキャスターからの「一人とのラブ値とやらも『魅了』様々ですか」という煽りに対して「フツーのウィザードなら抵抗できて当然」と本人に評されていた……が、実際にはそれは平時の話であり、本気で魔眼を発動させたら一流のウィザードでない限り抵抗は難しい。
- スキル
- Fate/EXTRA CCC FoxTailに登場するスキル:
- 水煉
- 大通連を水流に変化させる神通力。キャスターの呪相・炎天を相殺した。
- 敵に魔力ダメージを与え、対ATTACKの場合にスタンを付与する。
- 楼嵐
- 大通連を疾風に変化させる神通力。キャスターの呪相・密天を相殺した。
- 敵に魔力ダメージを与え、対GUARDの場合にスタンを付与する。
- 火廻
- 大通連を猛火に変化させる神通力。本戦二回戦のバーサーカーに対して使用した。
- 敵に魔力ダメージを与え、対BREAKの場合にスタンを付与する。
- 魔眼
- 上記の魅了の魔眼と思われる。
- 敵の筋力を低下させ、低確率でスタンを付与する。
- 憐華
- 詳細不明。
- 敏捷依存の貫通ダメージを与える。
別クラス / バリエーション
ランサー
サンタ服へ着替えクラスチェンジした鈴鹿御前。
詳細は「鈴鹿御前〔サンタ〕」を参照。
ライダー
水着霊基に変換し、ライダーークラスになった鈴鹿御前。
詳細は『鈴鹿御前〔サマバケ〕』を参照。
ステータス
クラス | マスター | 筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 | クラス別能力 | 保有スキル | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
セイバー | 坂神一人 | D | D | A | A | A+ | EX | ? | 神通力:? | FoxTail作中では神通力のランクがBに低下している |
主人公 (Grand Order) | D | D | A | A | B | EX | 対魔力:A 騎乗:B 神性:A |
神通力:B(A) 神通力(JK):B+ 魔眼:B+ 才知の祝福:C 三千大千世界:EX |
神通力はサーヴァントとして顕現してるため能力がランクダウンしている 幕間の物語「ミミ思う故にミミあり」クリアで「神通力」→「神通力(JK)」に変化 |
宝具
- 天鬼雨(てんきあめ)
- ランク:B+
種別:対軍宝具
レンジ:1~40
最大捕捉:250人 - 由来:文殊師理菩薩に打たせた通力自在の名剣「大通連」。智慧の剣とも。
- セイバーが保有する三振りの宝剣のうち、黄金色の一振り。正しくは文殊智剣大通連(もんじゅちけんだいとうれん)。
- 普段はセイバーの周囲で宙に浮いて展開され、独立して攻撃や防御を行う第一刀『大通連』の真名解放。愛剣・大通連を250本まで分裂させ、数え切れないほどの宝剣が上空で同心円状に何重にも展開され、剣の豪雨を勢いよく降らせる。神通力。生前は大通連と夫婦剣だった夫の持つ素早丸(そはやまる)との連携技として、計500本の雨を降らせていたという。
- 今は思い出の詰まったかんざしを素早丸に見立てており、宙に浮く大通連と接触させることで天鬼雨を発動させている。かなり大雑把な射撃精度だが、「才知の祝福」発動時には「自身の周りに自分だけを避けるように降り落とす」「剣の雨を竜巻のように旋回させて一点突破させる」等、細やかな操作が可能になる。
- 『Fate/EXTRA CCC FoxTail』では「魔力依存の貫通ダメージを3手与える」効果の宝具。
- 『Grand Order』では「敵全体に強力な攻撃[Lv]+自身のクリティカル威力をアップ<(3ターン)<オーバーチャージで効果アップ>」という効果のBuster宝具。
- 強化後はランクがB++に上昇。宝具威力倍率が上昇し、「自身のNP獲得量をアップ(3ターン)」という効果が追加される。
- 才知の祝福(さいちのしゅくふく)
- ランク:C
種別:対人宝具
レンジ:-
最大捕捉:1人 - 由来:文珠師理菩薩に打たせた通力自在の名剣「小通連」。普賢菩薩の慈悲の剣とする文献もある。
- セイバーが保有する三振りの宝剣のうち、白銀色の一振り。普段はセイバーの周囲で宙に浮いて展開され、独立して攻撃や防御を行う第二刀『小通連』の真名開放。INT(賢さ)を上昇させ瞬間ごとに最適解を思案して立ち回れるため、剣筋に知性が宿ったように鈴鹿御前の乱雑な剣捌きを補強する。雑だった剣筋は確かなものとなり、戦術もより広がる。
- また「天鬼雨」の性能が上がったり「三千大千世界」が使用可能となったりと良いこと尽くめなのだが、必要以上に頭が回転してしまう為、女子高生を演じる非効率的な生き方を省みて一時的に自己嫌悪に陥ってしまう。また、女子高生の生き方に誇りを持っている分、無意識レベルで損得を計算してしまうこと自体にもガッカリしてしまう。なので鈴鹿御前は積極的に使いたがらない。使用者の意思とは無関係に強引に最適解を演算する。その為たとえ狂化されても「目的」と「答え」を把握している場合は演算を元に勝手に体が動くらしい。
- 円周率を計算すると終わらずに言い続けられるという発言から、戦闘以外の多岐に渡って文殊の智恵を授けられるものと思われる。
- 使用中は手に持つため、代わりに顕明連を宙に浮かせる。
- 『Fate/EXTRA CCC FoxTail』では、使用時に敵のコマンドを一つ開示する効果の宝具。ターンが進むごとに開示数は増加してゆくが、毎ターンMPを消費する。
- 『Grand Order』では「自身に毎ターンNP獲得状態を付与[Lv](5ターン)&必中状態を付与(3ターン)&宝具威力をアップ(3ターン)」という効果の保有スキル。
- 三千大千世界
- ランク:EX
種別:対人宝具
レンジ:-
最大捕捉:1人 - 由来:近海の水海の蛇の尾より取りし剣「顕明連」。双無き剣とも、水海剣とも。
- セイバーの愛剣、顕明連(けんみょうれん)を朝日に当てる事で三千大千世界……あらゆる世界、並行世界すらも太刀の中に作り出し見渡す事が出来るが、それが何を意味するか、鈴鹿御前は語らない。
- 後に『Fate/Grand Order material Ⅴ』にて詳細が明らかになったが、上記の意味は「自身を未来演算機と化す」行為、要するに「自分をムーンセル化する」という常軌を逸したもの。
- 未来演算によって自身のあらゆる可能性を確認・選択することで最適解にたどり着くことができるが、演算処理が膨大なため「才知の祝福」と併用しないと使用できない。
- 実はこの宝具を長時間使用すると英霊としての資格を剥奪されるというリスクを抱えている。権能に近いスキルの為、使い続けると本来の姿である「立烏帽子を被った巫女」の姿に戻って行ってしまい、完全に戻ってしまえばサーヴァントとして存在できなくなり、消滅してしまう。
- 『Fate/EXTRA CCC FoxTail』で使用した際には、短時間の使用にも関わらず敵の源頼光の切り札を使用どころか兆候すら一切見せなかったにも関わらず「牛頭天王の化身である丑御前の側面を出す」ものであると看破し、頼光の攻撃を全ていなして止めの一撃を叩き込んでいた。さらには地上の出来事であり知る由もない「一人の父親が魔術師としてではなく父親として遺言を残した真意」を把握して一人に教えるなど、ムーンセル化の触れ込みにふさわしい「何でも知る事ができる」存在と化す。
真名:鈴鹿御前
- すずかごぜん。文献によって、天女・盗賊・鬼とさまざまに伝えられる、平安時代の女性。その正体は、天界から遣わされた第四天魔王の愛娘。
- 「立烏帽子」とも呼ばれ、坂上田村麻呂と共に多くの鬼を退治した伝承を持つ。
- 当初は日本を侵略するために大獄丸と手を組もうとしたが決裂。
- 自分を倒しに来た坂上田村麻呂を大獄丸と勘違いして殺そうとするが、互いに一目惚れして紆余曲折の末にコンビを組む。
- それ以降は二人で協力して悪路の高丸、大獄丸といった鬼を数多く退治した。
- 坂上田村麻呂の為に宿敵の大嶽丸を倒したものの、その方法は大嶽丸の妻になる、というもの。
- 裏切られたと悲観した田村麻呂は真相を知ることなく、鬼の仲間として殺害された。
関連
- 鈴鹿山
- 鈴鹿峠とその付近の山々を称して鈴鹿山と呼ばれる。鈴鹿山脈には鈴鹿山という名前の山がないことから誤解されるが、現在でも鈴鹿山脈全体を指したものではなく、鈴鹿山脈南端に位置する鈴鹿峠周辺の地域(関、坂下、土山)にあたる。
- 第四天魔王
- 鈴鹿御前の父。文献によって盗賊、天女、鬼女と正体が様々な彼女だが、Fateでは第四天魔王の娘とする文献を採用している。また父である天帝から日本を魔国にする命令を受けて天下ったとも設定されており、Fate解釈では第四天魔王=天帝となっている。
- 三明の剣
- 鈴鹿御前の所有する三振りの宝剣。顕明連、大通連、小通連を総称。御伽草子や奥浄瑠璃などに登場する架空の刀剣であるため実在しない。
- 大通連と小通連は天竺にて文珠師理菩薩に打たせ給わった剣で、通力自在の名剣である。大通連と夫婦刀とされる素早丸は、伝説上の人物としての坂上田村麻呂が所有する聖剣ソハヤノツルギの表記ゆれで、物語に仮託する大刀として歴史上の人物としての坂上田村麻呂が所有した騒速(そはや)が実在している。
- 顕明連は近江の水海に棲む蛇の尾より取れた剣とされ、別名を双無き剣(ふたつとなきつるぎ)とも水海剣(みずうみのつるぎ)とも呼ばれる。旭日にかざして虚空を三度振れば三千大千世界を見渡すことができるという。
- 中世文学の研究者などから三振りの宝剣は仏教語の「三明六通」に由来するものではないかと考えられ、現代では俗に三明の剣(さんみょうのつるぎ)とも呼ばれる。「文珠師理菩薩」や「三千大千世界」などにも仏教の影響が見受けられる。
- もっとも、彼女を祀る鈴鹿峠の片山神社には「鈴鹿流薙刀術発祥之地」の碑が建ち、京都祇園祭の山車である鈴鹿山の御神体でも大長刀を手にしていることから、鈴鹿姫信仰の上では刀剣より薙刀を振るう印象が強く浸透している。
登場作品と役柄
Fateシリーズ
- Fate/EXTRA CCC FoxTail
- セイバーのクラスで登場。メインヒロインであるキャス狐のライバルとして立ちふさがる。
- Fate/EXTRA Last Encore
- 999年前の聖杯戦争で、ダン・ブラックモア主従を倒したサーヴァントとして少しだけ登場。
- Fate/Grand Order
- イベント『深海電脳楽土SE.RA.PH』開催に伴い実装。
- イベントストーリーでは海洋油田基地セラフィックスの聖杯戦争に召喚されたサーヴァントの一人として登場。
その他
- ちびちゅき!
- キャス狐、アタランテといった他の獣耳属性のサーヴァント達と競演。
- 後にキャス狐の良妻賢部に対抗してギャルサークルを立ち上げるが……。
人間関係
Fate/EXTRA CCC FoxTail
- 坂神一人
- マスター。「カズくん」あるいは「カレシ」と呼び、べた惚れしている。名字で呼ばないのは、後述する坂上田村麻呂と紛らわしいため。
- やたらと恋人付き合いしたがるのは、生前の田村麻呂とそういう関係を全部すっ飛ばして結婚した結果悲劇となったことへの後悔からでもある。
- 共闘関係を楽しみつつも、彼のあまりにも自罰的な有様から「もっとハッピーになっていい」と心を痛めている。
- BB
- 彼女のオーダーに従い、聖杯戦争参加者たちを抹殺している。
- 実際には彼女が悪であることも承知の上で「互いに利用し合う関係」と認識している。
- 岸波白野
- 因縁の相手のマスター。セイバーから白野への評価は「無能なうえ無個性で無価値じゃん、だっさ!」
- ラニ=Ⅷ
- 敵対関係……のはずだが、下着に関する意見の一致からあっという間に意気投合した。
- ガウェイン
- 温泉での行動から「覗き魔」とセメントな対応。
- 彼の正体を知ってなお、「太陽が出てる間無敵ならどうとでもなる」と強気だが、太陽さえ封じれば雑魚だと舐めていた結果であり、後に交戦した結果態度を改めた。
- 実際のところ、彼女のアリーナはBBの心象を反映しているのか常に夜なので太陽の加護が働かず、謹厳実直な彼の剣術に対しても相性よく捌ける事が理由と思われる。
- なおキャス狐の評価では、宝具を度外視してスペック差でゴリ押しの短期決戦という条件では7:3でガウェインに軍配が上がるという見立てであった。
- カルナ
- 敵対する相手。初対面時は「ギャル男」などと呼んでいたが、直後に「黒の生徒会」に参戦すると聞いて歓迎していた。
- ヴァイオレット
- 同じ「黒の生徒会」に所属する同志。
- 堅物でリソースにうるさい彼女に当初は辟易していたが、素の性格を知って態度を軟化させ、友人になった。
- カリギュラ
- 月の聖杯戦争一回戦の対戦相手。
- 徒手空拳を完全に見切り、令呪による宝具発動で狂化させられるも「才知の祝福」によって「理性」を「知性」で押し込むことで破った。
- 源頼光
- 月の聖杯戦争二回戦の対戦相手。
- 怪異退治の先輩として自負しつつも、腕は自分より上と認めている一方、「才知の祝福」で時間をかければ追いつけると強気に接する。
- なお、押し掛け母親ムーブには若干引いている。
- 坂神一人の令呪消費による宝具発動で勝利するも、鈴鹿の霊基に著しい負担がかかる辛勝となった。
- フィン・マックール
- 月の聖杯戦争三回戦の対戦相手。
- しかし鈴鹿たちは二回戦の後遺症で暗号鍵を集めきることができず、戦わずして敗退。
Fate/Grand Order
- 主人公 (Grand Order)
- マスター。
- 「いつか来る最高の出会い」の為のJK磨きとしてサーヴァントとして付き合っている、というスタンスであり、最終的には「仕えるマスターとしては最良」と協力的になってくれるが、恋愛関係までは発展せず、「恋」の一歩手前に留まる。
- タマモキャット
- JK擬態を無理して演じている彼女にとって、ブレブレであることにブレない天然なキャットは天敵。また、キャットが実は因縁の相手のアルターエゴであることも拍車をかけていた。
- 初対面時は敵対していたが、後に仲間として宝具の連携技を見せた。別れ際にはオリジナルを倒すという固い絆で結ばれたケモ友として打ち解けている。
- お栄
- 彼女のとと様の腕を折ると提案した遊び人の金さんの発言に対し、仮にそれが正しくても彼女の気持ちを慮り「この国ゆかりの英霊として見過ごせないっつーの!」と憤った。
- 別れ際には出会えてよかった、楽しかった。絵は描けないからとお栄とスマホで記念撮影をしている。
- 密かに彼女のイナセな江戸弁に憧れており、うまく自分のJK喋りに取り込めないか画策している。
- 酒呑童子、茨木童子
- 自身の幕間の物語「JK散歩inカルデア」で、「鬼である彼女達が日本を魔国にするのをサボっているから自分が出張らざるを得なかった」と怒りを向けている。
- 特に酒呑童子については、「どちらかというと自分達寄りなのに何故鬼をやっているのか」と訝しんでいる。
- 女王メイヴ
- 彼女の悪行そのものは認めていないが、「本気で毎日、恋に生きている」というスタンスは気に入り、リスペクトしている。
- その一方で、「もうちょっと自分を大切にしてほしい」と彼女の恋の行方を心配している。
- 紅閻魔
- 料理の師匠。
- 「細やかな料理にどうやっても向かない者はいる」と、料理が大雑把な事の改善を諦めている。
- ただそれでも味と栄養は揃っているらしく、妥協半分ではあるが及第点を貰っている。
- 鈴鹿御前の方も「男は意外と料理できるJKにグッとくる」という理由で自分からヘルズキッチンに通っているため、他の生徒たちより仲がいい。
- 清少納言
- JK仲間。とはいえ、根が真面目なため自由奔放な彼女には振り回されがち。最初はバーサーカーだと思っていたらしい。
- プライベートでも付き合いが深く、彼女とカラオケに行くことも多いとか。
- 鬼女紅葉
- 同じ第六天魔王関係者。そのためか、彼女の中にある野生の雅さを認めている。
- 織田信長〔バーサーカー〕
- 同じ第六天魔王関係者。清少納言と同類のはっちゃけっぷりにやはり振り回されがち。
- ロマニ・アーキマン
- 自身の幕間の物語「ミミ思う故にミミあり」で共演。
- 頭は良さそうなのに一人で残業してる有様に「大嶽丸の同類」認定した。
- また、その際に若干言いよどんでいた事から、裏の事情に感づいていた節もある。
- 卑弥呼
- 運命の相手を探しているという事からノリノリでコイバナしようと企んでいる。
ちびちゅき!
生前
- 第四天魔王
- 父親であり天帝。地上の人間の国を混乱させるために命令を下した上司。
- 坂上田村麻呂
- 神通力を使い狼藉を働く鈴鹿御前を退治するよう帝から命令を受けやって来たが、互いに一目惚れし夫婦となった関係。二人は助け合いながら数多の鬼を退治し、英雄としての功績を紡いでいった。
- だが、大嶽丸を討伐する際に偽りの花嫁となった事で、裏切られたと思った彼に大嶽丸の後に殺される事でその関係は終わってしまった。
- 気安く田村麻呂の名を口にされる事を極端に嫌がることから、彼女にとって今も特別な存在であることが伺える(後述)。
- 坂上正林
- 鈴鹿山で一緒に住むこととなった田村麻呂との間に儲けた娘。
- 大嶽丸
- 当初は共に日本を征服しようと、喧嘩を売ってるとしか思えない内容の同盟を結ぼうとする。
後に偽りの花嫁として潜入し、彼の護りを内側から解呪し田村麻呂と共に彼を討ち果たした。
- 悪路の高丸
- 田村麻呂と協力して、最近ちょっと調子にノッていた彼を撃退した。
名台詞
Fate/EXTRA CCC Foxtail
- 「カズくん ごめーん。 今ので絶対倒せるハズだったし!
え~なんか、あいつらカンジ悪くない?」 - 白野に頭上からいきなり斬りかかり、緊迫した空気が流れるが、あっという間にシリアスな雰囲気は崩壊。
モニターしている旧校舎の面々も含めて全員沈黙するしかなかった。
- 「カズくんはあんな獣耳とかどう? えーと……『萌え』?」
- キャス狐の耳を見て、カレシの反応をリサーチ。
若者言葉を多用していてもやはり過去の人間であるため、「萌え」という新しい言葉には馴染みがないらしい。
- 「いきなり嫁ポジション狙うとか。焦りすぎだし」
- キャス狐の逆鱗を突きまくる。それも分かってて。……後々考えると、恋人関係を全部すっ飛ばした結果悲劇となった自身に対する自嘲とも言える。
- 「―――吐いた唾は飲めないわよ、駄狐」
- キャス狐に「雑な剣筋」「何振りあっても捌ける」と挑発されて激怒。宝具を解放する。
- 「草紙 枕を紐解けば 音に聞こえし大通連
いらかの如く八雲立ち 群がる悪鬼を雀刺し
文殊智剣大神通――恋愛発破 天鬼雨!!
――で どう捌いてくれるのかマジ楽しみ」 - 第一刀宝具解放。キャス狐の「何振りあっても捌ける」発言に対して、じゃあやってみろとばかりの剣の豪雨。
- 「貴様を私の臣下としてあつかってやるから私の言うとおり働くがいい
まずは私の代わりに日本を侵略するのだ」 - 大嶽丸に出した同盟の書状(メール)。……ほとんど降伏勧告である。キャス狐からも盛大にツッコまれた。
- 「度重なる無礼に我 激おこ
私の命令を拒否するお前は悪に相違ない
殺してやるから私の元まで参れ」 - 上記の後に出した書状(メール)。さすがに平安時代なのでこんな文章ではなかったと思われるが。
- 「私は結局あんたみたいに人間騙したり殺したり逃げたりしてないし とやかく言われたくないんですけどー」
- キャス狐から散々ツッコまれたことに対する意趣返し。
最大級の地雷を容赦なく踏み潰されたキャス狐のキレっぷりはおばさま呼ばわりや負け犬呼ばわりの比ではなかった。
- 「サーヴァント保有スキル「JK力 A」ここにありっしょ!」
- キャス狐から「立烏帽子」として誇りはないのかと散々問われて。もっとも何を着てもそれが「立烏帽子」スタイルだと主張し、私服のキャス狐も同じ結論なため、やはり似た者同士である。
- 「これなるは 菩薩が鍛えし 小通連
抜かば智慧は文殊が如く――
才知の祝福!!」 - 第二刀宝具解放。マスターからの「我が侭はここまで 実力を見せろセイバー」という命に答え、本気を出す為に宝具を使用する。
- 「カズくんの為なら喜んで再び闇に染まりましょう――」
- マスターと一緒に居られるのなら、自分の心をも差し出す覚悟を示す。
- 「押し掛け女房ならぬ、押し掛け母親.... なんつー、業が深い....」
- 月の聖杯戦争の2回戦で対峙した源頼光の本質を知って。さすがの母親ムーブには、カズ共々ドン引きしていた。
Fate/Grand Order
マイルーム
- 「マスターに私の魔眼は効いてない筈だけど、なんでこんなに良くしてくれるのかなー。
……私なんかに優しくしてくれる人がいるなんて、人界も悪くないっていうか……」 - マイルーム会話「絆Lv4」。自分に良くしてくれるのは、魅了の魔眼にかかってるのではなく、マスターの人柄に他ならなかった。自分のような人間でない存在であっても優しくする人間に、一途の希望を抱いていく。
- 実は修正が都合二度行われており、一回目の修正が行われたものは「優しくしてくれる人が3人もいる」と独白を述べているが、その内訳は「田村麻呂、カズくん、FGO主人公」、と考えられるが、日時未明またもサイレント修正が行われ「3人も」の部分は台詞から無くなった。
イベント
- 「……聞こえたのよ。ここに呼ばれた時。小さかったけど、確かに声が。
“勝ちたい”って。“無意味な死にしたくない”って。
ただの独り言よ。人間がよくやる、いまわの際の泣き文句。
でも、私はその願いを叶えるの。顔も知らないマスターで、生きているかもわからないけど。
あれは震えながら零れた、せいいっぱいの力で残した、私に向けての声だった。
名前も知らないマスターが、名前も知らない私に向けて託した、最後の、人間らしい願いだった!
だったら、私はこの聖杯戦争に勝つしかないじゃん!
あれを聞いて逃げ出すなんて、それこそ女が廃るってモンでしょう!?」 - 『深海電脳楽土 SE.RA.PH』にて。
- 考えはともかく、行動はBBの傀儡でしかないが、BBも魔神柱も関係ない。故に「魔神柱/BBの言いなりでいいのか」と問いかけた主人公に対して怒気を発した。
- 自分を召喚したマスターは名前すら知らないが確かにいた。例えそれがいまわの際の泣き文句であれど、自分に向けて願いを託されたのならば、そこから逃げず、聖杯戦争に勝つしかない。
- 「――――――そう。そういうコトだったワケ、SE.RA.PHの動力って。」
「128騎のサーヴァントを召喚する以上、128人のマスターがいるのは当然。」
「私は、私のマスターを知らなかった。誰に喚ばれたのか、今どうしているのか知らなかった。」
「その答えがこれなのか! 申し開きがあれば申してみよ、アーチャー!」 - 同上。
- 天体室に辿り着き、SE.RA.PHで行われていた聖杯戦争の正体を知る一行。余程頭に来たのか、最後の台詞は素の言葉遣いに戻ってしまっている。
- 「うわっ、マジ引くっしょ。 ノータイムで折檻とか、DVにも程があるっしょ。
なに、緑ってば本性はケダモノなワケ? あの巫女狐といい勝負だったり?」 - 『ネロ祭再び~2017 Autunn~』にて。当然、ロビンからは「ワケねえだろ」と突っ込まれてしまう。
- 「……マスター? 気安く、その名前を口にしないことよ?」
- 『葛飾北斎体験クエスト』にて、北斎から素性を問われた際、「自分が田村麻呂だ」と答えた場合の言葉。
- 流石に生前の最愛のパートナーを騙られるのは我慢ならなかったのか、普段のJK口調ではなく素の口調でマスターに注意している。是非もない。
幕間の物語
- 「ハァ? 別に後付でもいいっしょ。かわいいんだから」
- 「つーかカルデアの面子? 動物系? それなりにいるけどさー。」
- 「その中で一番カワイイ耳してるの私だし。」
- 「だって、たいてい外的要因で無理やり後付されたものじゃん。本気じゃないじゃん。」
- 「その点、私は『カワイイ』から変化で付け足したの。覚悟が違うのよ覚悟が」
- 「だいたいケモ耳だってアンタの専売特許ってわけじゃないじゃん?」
- 「むしろ我が物顔でそんな事言うそっちのほうがょっぽど面の皮厚いっつーの。マジ器小さすぎっしょ!」
- 「そんなんだから自分の分身にダメ出しされまくってるのメイハクなんですけどー!」
- 自身の幕間の物語にて。会うなり秒で戦闘になった玉藻の前に「つけ耳」を指摘されて。
- 一つ言えば即座に十ディスり返してくる。おまけに一番ダメージの大きいことを最後に持ってくるようにしっかり計算している。
メモ
- ファンからの通称はJKセイバー。女子高生的なファッション及び軽薄な言動から。また上述の通り本来の耳と尻尾ではないのだが狐セイバーとも。
- 本編中で真名が判明する前に公開された「フェイト/エクストラ CCC FoxTail2巻 武内崇×たけのこ星人 座談会」でもJKセイバーと表記されている。
- ただJKセイバーという場合、彼女の登場以前からあるあっちのセイバーの女子高生バージョン等を指すこともあるので少々ややこしい。
- 「立烏帽子を被った姿」「変化を得意とする」といった設定、何よりその宝具から、真名が公開される前から彼女の正体を推測するのは難しくはなかった。実際、劇中でも凛とラニは比較的初期から彼女の真名に目星をつけていた。
- 原作『CCC』にも、その没案にもなかった、漫画版オリジナルキャラクターの一人。コミックス1巻に収録されている制作楽屋裏漫画によると、武内氏の「サプライズが欲しい」という考えから生まれたらしい。
- キャラクター原案を制作したのは武内氏(制作楽屋裏漫画ではデザインも設定もたけのこ氏に丸投げする気な様子だったが、まあ色々あったのだろう)。あの武内氏がセイバー顔じゃないセイバーを書くなんて驚きである。
- セイバー顔ではないものの「フェイト/エクストラ CCC FoxTail2巻 武内崇×たけのこ星人 座談会」によると当初はアルクェイド顔だったとか。今の顔になったのは奈須氏のリクエストだそうで。
- たけのこ氏デザインの鈴鹿御前のうち、ひとつの案はコミックス4巻に収録されている没プロット「妖狐伝(仮)」で見られる。
- 設定はたけのこ星人と奈須きのこ両人によるもの。また、森瀬繚氏も設定の調査に尽力している。[出 1]
- 単行本9巻のあとがきによると設定の調査は相当に大変だったようで、原典に当たる『鈴鹿の草子』の現代語訳がどこにも存在していない為当初は古文のまま読解する羽目になり、上記の森瀬氏を紹介してもらって要点を現代語でまとめてもらったとのこと。
- 作劇的な観点から見た場合、原作『CCC』に登場し、本作では登場していないランサーの役目を引き継いだキャラクター、と言えるかも知れない。
(特に『CCC』ではセイバーとの関係性において顕著だが)物語序盤を引っ掻き回すライバルキャラのポジション、女子を強調した軽い言動など、共通性も多く見られる。「キャスターが主役の、CCCの物語」において、武内氏の意向である「サプライズ」を満たしつつ、似たような立ち位置のライバル的キャラクターが必要とされた、のかも知れない(一応、キャスターとランサーも「料理好き【愛妻願望】」「ケモミミ派と邪教ホーン派」で対となってはいたが)。- 実際、彼女のSGのうち二つは「独占願望」と「料理上手」で、キャス狐のそれと完全に同じであった。さすがに3つ目は異なると思われるが、彼女の正体である鈴鹿御前を祀る鈴鹿峠の片山神社では瀬織津姫と習合されており、伊勢神宮内宮別宮荒祭宮では瀬織津姫を天照大神の荒御魂としている為、キャス狐の「金毛白面」と揃えてくる可能性はある。
- また、ランサーとも「生前に後悔を抱え、現代の女性の在り方を模倣する」という形で、「ただ可愛く在り、ちやほやされる事が仕事であるアイドル」と「可愛くて、最強で、恋愛に一直線な女子高生(JK)」というそれぞれを目指している点でも対になっているとも言える。
- また、凛とラニがセンチネルで登場しない影響もあるが主人公タッグとの交戦回数がエリザ並みに多く、乙女コースター下での最終決戦まで含めると実に8回。マスターは坂神のまま変わらず乱入者で物別れになったり負けたりするケースも多いために「何度も出てきて恥ずかしくないんですか?」というイメージはないのが救いではある。
- キャラクター原案を制作したのは武内氏(制作楽屋裏漫画ではデザインも設定もたけのこ氏に丸投げする気な様子だったが、まあ色々あったのだろう)。あの武内氏がセイバー顔じゃないセイバーを書くなんて驚きである。
- 彼女が登場するサクラ迷宮第七階層やセラフィックス裏側の領域は、鳥居や日本風建築などが存在する和風なイメージになっている。
- とはいえ趣味を反映しすぎた結果、天守閣(彼女の生まれた時代である平安時代にはまだない)や観覧車が立ち並ぶカオスな有様になっているのだが。
- 和装なのである意味当然だが、「はいてない」らしい。……ラニの評価だから、たぶん正しいのだろう。
- 温泉にて彼女の真名を看破した際には、ラニは彼女にノーパン同盟の仲間とされた。
- そしてコミック版『深海電脳楽土SE.RA.PH』での男主人公の反応から正式に穿いていないことが確定した。
- 『田村三代記』において第六天魔王の娘の立烏帽子として登場する。第六天魔王は織田信長が自称したといわれる仏教における欲界の魔王の名でもある。
- 『Fate/Grand Order』と『Fate/EXTRA CCC』とのコラボイベントにて、BBの口から「鈴鹿御前が本気を出した場合の演算能力はムーンセルに匹敵する」という驚愕の情報が明かされた。第二宝具にINT上昇効果があるのは前から明かされていたが、宝具ランクにしては効果が桁外れすぎるため、単なる千里眼と同程度の効果にしては異様に勿体ぶって記述されている第三宝具「三千大千世界」との関連性が疑われている。
- 「平行世界をも作り出し」の一文から、千里眼よりも第二魔法に近いのではとの声もある。
- 史実における仏教では、須弥山を中心として日・月・四大州・六欲天・梵天などを含んだ我々の住む須弥山世界を一世界としている。この一世界が1000個集まったものが小千世界、小千世界が1000個集まったものが中千世界、中千世界が1000個集まったものが大千世界である。大中小の各千世界で構成されているため、三千大千世界や三千世界とも呼ばれる。つまり三千大千世界は10億(1000の3乗)の須弥山世界であり、仏教における全宇宙である。
- 後にマテリアルで明かされた内容は、上記の宝具説明に記したように、ストレートに「三千大千世界を使用する事で自身をムーンセル化する」というものであった。
- 葛飾北斎体験クエストでもBBから貴方こそ本気を出せばいいんじゃないですか? と「千里真眼」という意味深な情報が明かされた。
- 「平行世界をも作り出し」の一文から、千里眼よりも第二魔法に近いのではとの声もある。
- 原典では第六天魔王と第四天魔王の両方の出典があるなかで「天界から遣わされた第四天魔王の愛娘」として設定されているものの、第四天魔王の正体など謎が多い。史実における仏教では第四天魔王が存在しないためである。
- 第四天魔王を前提として考察するならば、仏教の世界観における三界から欲界の第四天である「兜率天」、色界の第四天である「少光天」、無色界の第四天である「有頂天」が考えられる。色界は禅定の深さによって四地に分けられるため色界の「第四禅天」とみることもできる。
なお仏教における「天」という語には神々の住む世界を指す天界(天上、天道、天趣など)と、その天にいる神や眷族を指す天部(天人、天衆など)の2つの意味がある。- 欲界の第四天である兜率天は、釈迦牟尼仏の次に現われる未来仏として仏陀になることが約束された弥勒菩薩が兜率天の内院で修行している天である。弥勒菩薩を天魔王とするのは宗教的な面から考えて真っ先に除外していいだろう。
- 色界の第四天である少光天は、第二禅天の中では光明の少ない天だが、少光天を天魔王として扱うのも宗教的な面で問題がある。
また梵天を信仰する伊達家が奥浄瑠璃を庇護したため第四天魔王に置き換わったとの説もあるが、梵天の住処は色界第三天の大梵天である。奥浄瑠璃は口頭のみで後世に伝えられる口承文学という性質から『田村三代記』に正本はなく、現在残されている諸本はすべて上演された奥浄瑠璃を文字起こししたものである。原型である御伽草子『田村の草子』や、原型の文脈を残す『田村三代記』では第六天魔王の娘としているため、上演を繰り返すうちに何かの間違いで第四天魔王となってしまったもの考えられている。
二大護法善神の一柱である梵天をそのまま天魔王とするのは無理があるが、例えば『悉曇蔵』では初禅主商羯羅を魔王の現れであるとしているため経典の解釈次第である。 - 色界の第四禅天についての詳細は省くが、どの天にしても天魔王として扱うのも宗教的な面で問題がある。こちらも『悉曇蔵』では四禅主毘舎闍を魔王の現れであるとされ、『入大乗論』にも毘舎闍摩醯首羅とあり、密教での摩醯首羅は降三世明王に降伏されて妻の烏摩妃と一緒に踏まれていることに繋がる。
- 無色界の第四天は有頂天である。非想非非想天や非想非非想処とも呼ばれ、無色界の最高位にして三界の最高位となる。『法華経』では色界の色究竟天を有頂天としている。有頂天を……とするのは除外していいだろう。
- このように仏教では第四天魔王が存在しないため、どうしても考察のどこかに無理が生じてしまう。
- 一方では『Fate/Grand Order』の『Fate/EXTRA CCC』コラボイベントにて、タマモキャットが「天帝の娘。血統は折り紙付き」と発言していることから帝釈天または妙見菩薩という可能性もある。帝釈天は二大護法善神の一柱であり、妙見菩薩は道教の北辰信仰に由来するが、これら天帝を指して天魔として扱うのは仏教的にはあり得ないことである。天魔の娘を天帝の娘とするタマモキャットらしいブレブレの発言だったのだろう。
- 第四天魔王を前提として考察するならば、仏教の世界観における三界から欲界の第四天である「兜率天」、色界の第四天である「少光天」、無色界の第四天である「有頂天」が考えられる。色界は禅定の深さによって四地に分けられるため色界の「第四禅天」とみることもできる。
- 生前の恋仲であった坂上田村麻呂との逸話だが、何故か『Fate/EXTRA CCC FoxTail』と『Fate/Grand Order』とで事の顛末が異なっている。
『FoxTail』では共に悪鬼討伐をした後、二十五歳で寿命を迎えてしまった鈴鹿御前を取り戻すために坂上田村麻呂が冥府まで訪れて直談判、その結果黄泉帰りできた鈴鹿御前と仲睦まじく暮らしました……というハッピーエンドで終わっている。これはラニや玉藻の前が語った鈴鹿御前の物語だが、側で聞いていた鈴鹿御前がそれを否定していることもないため『FoxTail』ではこのような話で合っているらしい。
対して『Grand Order』では真名の項目などで前述してある通り、田村麻呂との関係は悲恋という形で終わっている。
登場作品によって正反対ともいえる結末だが、これが単なる設定変更であるのか、それとも英霊としての鈴鹿御前がそれぞれ別の逸話からサーヴァントとして現界したのかは、現段階では不明である。
とはいえ、英霊になってもなお田村麻呂は彼女にとって特別な関係であることは変わらず、(選択肢次第であるが)主人公が田村麻呂を騙った時は普段のJK演技をかなぐり捨てて真面目に警告していた。- ちなみに『Foxtail』で語られた逸話については、有名な奥浄瑠璃『田村三代記』などで見られる筋書きとほぼ同じである。
対して『Grand Order』では大嶽丸とともに田村麻呂に殺害されたとのことだが、この通りの逸話はほとんど耳にすることがなく、出所は不明である。
類似する話であれば「出羽国切畑の伝説」において、松岡の切畑山にあくる王(悪路王)という鬼が住んでおり、そこに立烏帽子(鈴鹿御前)が妻として通っていたが、二人とも田村利仁(田村麻呂)によって切り殺された……という逸話が遺されている。話によっては立烏帽子は田村に恋をしていたが彼はそれに気づけずに切り捨ててしまったという結末のものも存在するという。事の顛末自体は『Grand Order』のものと似ているため、大嶽丸との関係性にこういった伝承を組み込み、型月独自の物語として形成した可能性がある。 - 後に『FoxTail』で明かされたところによると、『FoxTail』の鈴鹿御前の主観では完全に悲恋で終わっている。田村麻呂の誤解こそ最後の最後に解けたものの、結局は彼の刃にかかって「日本を魔国にしようとする第四天魔王の娘」として討たれることになった。『田村三代記』での逸話を否定していなかったのは、おそらく英霊化したか第三宝具で知ったかの影響で「そういうハッピーエンドを迎えた鈴鹿御前もいた」と知っていただけにすぎない。「この」鈴鹿御前が多分に悲観的なのも「自分はハッピーエンドを迎えられなかった鈴鹿御前にすぎない」という認識からである。
- 第三宝具を使いすぎると消滅してしまう理由付けとしても、読者の仮説レベルではあるが「バッドエンドを迎えた鈴鹿御前という存在そのものが例外であると同時に神として祀られていないため唯一英霊召喚可能な鈴鹿御前であり、第三宝具を使うと他の神となった鈴鹿御前と繋がる為に統合される形で消滅してしまう」という説が囁かれている。
- ちなみに『Foxtail』で語られた逸話については、有名な奥浄瑠璃『田村三代記』などで見られる筋書きとほぼ同じである。
話題まとめ
- 史実における正体
- 鈴鹿御前とは伝承上の女神、天女であり鈴鹿姫、鈴鹿大明神、鈴鹿権現、鈴鹿神女などとも称される。一方では、鈴鹿山の盗賊・立烏帽子と鈴鹿御前は本来は別人物である。
- しかし鎌倉時代末から江戸時代にかけて成立した御伽草子や、近世東北地方の語り物文芸である奥浄瑠璃の世界観では両者に混同・同一視された形跡がみられる。
- 天女・鈴鹿御前
- 鈴鹿御前の起源は山岳信仰にある。古来より鈴鹿峠や峠の東に位置する三子山(鈴鹿嶽、武名嶽、高幡嶽)の付近を指して「鈴鹿山」と呼称され、鈴鹿川など豊かな水に恵まれていたことから巫覡の徒(修験山伏・陰陽師・巫女)が祓えを行う聖地であった。そうした背景から鈴鹿山が神格化されて峠神としての鈴鹿姫祭祀がはじまる。
- 転機となったのは伊勢神宮に奉仕する斎宮(斎王)の存在である。斎王群行は大津京時代の東海道である倉歴道(油日越え)を経由して伊勢神宮へと向かったが、平安京遷都に際して計画された阿須波道(鈴鹿越え)が仁和2年(886年)に開通すると鈴鹿峠を経由することとされた。平安京の野宮を出発した斎王群行は近江国の国府、甲賀、垂水と伊勢国の鈴鹿、壱志の川の傍に設置された頓宮で各1泊し、そこで祓を行いながら6日目には伊勢神宮の斎宮へと入る。このとき鈴鹿頓宮に伝説的斎王である倭姫命が祀られたことで「鈴鹿姫=倭姫命」として同一視されていく。また鈴鹿峠は東海道が経由することで交通の要衝となり、鈴鹿姫は往来する旅人から塞の神(岐の神)として厚く信仰されていく。
- 時期こそ不明だが、古くから鈴鹿峠の東側に位置する三子山(鈴鹿嶽、武名嶽、高幡嶽)にはそれぞれ瀬織津姫、伊吹戸主、速佐須良姫が祀られていたようで、火災により鈴鹿頓宮古宮へと遷座された。その後も火災の度に遷座を繰り返したため倭姫命を祀る鈴鹿社と4柱で1社となり、永仁2年(1294年)に坂上田村麻呂など5柱を加えて現在地に遷座されたのが坂下宿の氏神鈴鹿明神(現在の片山神社)である。
- 鈴鹿明神と並んで信仰された鈴鹿峠の鏡岩(鏡石)では磐座として愛宕権現出現の所として祭祀が行われ、京と丹波の境を守護する愛宕山の勝軍地蔵菩薩同様に、鈴鹿峠の鏡岩を斎庭(磐庭)として将軍塚(将軍地蔵)にみたて田村将軍が祀られたことで田村堂が建てられた。東海道の守護神として信仰を集めた田村堂は田村明神と呼ばれ、鈴鹿明神と一対の夫婦神として信仰されていく。田村堂は明治40年(1907年)に片山神社に合祀されている。
- 都でも崇敬された鈴鹿明神は、京都祇園祭の山車「鈴鹿山」では伊勢国鈴鹿山で道行く人々を苦しめた悪鬼を退治したという鈴鹿権現(瀬織津姫神)を、金の烏帽子をかぶり、手に大長刀を持つ女人の姿であらわしている。
- 現在の片山神社の由緒では、坂上田村麻呂が立烏帽子討伐を命じられたものの夫婦となり、二人が亡くなった後に鈴鹿峠の里の人々が立烏帽子を鈴鹿御前として祀り、田村麻呂を田村堂に祀ったとしている。これは室町時代頃に成立した御伽草子『鈴鹿の草子』『田村の草子』など創作に影響を受けたことで広まった縁起であると考えられている。
- 女盗賊・立烏帽子
- 平安時代末期の治承3年(1179年)頃に平康頼が記した仏教説話集『宝物集』の一節に「奈良坂の金礫や鈴鹿山の立烏帽子という盗賊が処刑された」とあり、これが盗賊・立烏帽子に関する最古の文献である。続けて鎌倉時代初期の承久の乱(1221年)前後に成立したとみられる『保元物語』では「伊賀国住人山田小三郎是行の祖父・行秀が盗賊・立烏帽子を捕縛した」とある。
- 『宝物集』『保元物語』の記述をそのまま歴史的事実として断言することはできないが、延応元年7月26日(ユリウス暦1239年8月26日)付の『御成敗式目追加法』では鈴鹿山と大江山(大枝山)を名指しして近辺の地頭が盗賊を鎮圧することと定めているため、鈴鹿峠と老ノ坂峠には鎌倉幕府が対策に乗り出すほどの盗賊行為が多発していたようである。
- 『御成敗式目追加法』は後世に重大な影響を与えており、世間に鈴鹿峠と老ノ坂峠には盗賊が跳梁跋扈していたとの共通認知を与えたことで、立烏帽子伝説だけではなく酒呑童子伝説の成立にも繋がっていく。
- 建長6年(1254年)成立の『古今著聞集』には検非違使別当藤原隆房が強盗を捕縛したという説話が掲載されいる。隆房は強盗の正体が若く見目麗しい女官であったため鈴香山の女盗人の言い伝えを思い返した。この鈴香山(鈴鹿山)の女盗人の名前が立烏帽子であるとは明言されていない。しかし『古今著聞集』が成立した建長6年(1254年)の平安京の知識人の間で鈴鹿山には女盗賊がいたとの言い伝えが知られていことを証明する。
- 建長6年(1254年)成立の『弘長元年公卿勅使記』では「盗賊・立烏帽子が崇敬した神社の女神が鈴鹿姫である」と記された。立烏帽子が女盗賊であったことこそ明言していないものの、盗賊・立烏帽子が鈴鹿山の女神である鈴鹿姫を信仰していたとある。
- 治承3年(1179年)頃から建長6年(1254年)までの約80年の間に鈴鹿山の盗賊・立烏帽子は女盗賊であり、鈴鹿姫を崇敬していたとされる下地が完成していたことが受け取れる。こうした背景から両者は鈴鹿明神と田村明神を介して御伽草子の世界観で混同・同一視されていくことになる。
- 坂上田村麻呂との仕合わせ
- 平安時代から鎌倉時代にかけて鈴鹿峠で天女・鈴鹿御前と女盗賊・立烏帽子の伝説が創出された頃、鈴鹿峠の近江側の麓でも坂上田村麻呂の伝説が創出されていた。近江国土山の田村神社の縁起によると、薬子の変のさいに鈴鹿山で藤原仲成を討伐した田村麻呂の死後、怨霊となった仲成の賊徒の執心が祟りとなって鈴鹿山から風となって都に病をもたらしたため、鈴鹿山の西にある二子山の峰に田村麻呂を祀ることで賊徒の執心を封じ込めたという。
- この鈴鹿山の賊徒の執心が室町時代初期の能『田村』で田村麻呂が清水寺の千手観音の加護を受けて討伐した伊勢国鈴鹿の悪魔(鬼神)となり、『田村』を下地とした御伽草子『鈴鹿の草子(田村の草子)』では鈴鹿山の大嶽丸となった。
- 南北朝時代に入ると軍記物が盛んに創出された。特に『太平記』巻三十二「直冬上洛事付鬼丸鬼切事」では「源家相伝の鬼切の剣は坂上田村麻呂が鈴鹿御前と剣合わせした時に用いた」と田村麻呂から源頼光への宝剣継承譚が語られる。鈴鹿山を介した鈴鹿御前と坂上田村麻呂の出会いは当然の帰結であり、『太平記』の宝剣継承譚は頼光の酒呑童子討伐にも引用されるなど後世の物語の雛形となっている。
- 室町時代の鈴鹿山の様子が記録されている『耕雲紀行』によると「日本を煩わせた鈴鹿姫を田村丸が討伐したが、その時に身に付けていた立烏帽子を投げたのが石となり、麓に社を建てて巫女が祀る」と鈴鹿峠の鏡石と土山にある田村神社の由緒が記録されている。その中で天女・鈴鹿御前と女盗賊・立烏帽子の混同・同一視が進んでいることが受け取れる。同時に『耕雲紀行』が献上された応永26年(1419)には御伽草子『鈴鹿の草子(田村の草子)』の原型となる地域伝承が成立していたことも証明する。
- 文明18年(1486年)の『壬生家文書』「坂上田村麻呂伝勘文」のうち田村すずゞかの物語に利重の子が利祐であり利祐の子が日りやう殿である、日りやう殿が16の年に将軍の宣旨をうけて利仁将軍と申す、日りゆう殿の子がいなせの五郎で坂上利宗を名乗り16の年に宣旨をうけて田村将軍と申すとの記述がある。親子三代に渡る筋書が一致することから文明18年には『鈴鹿の草子(田村の草子)』が成立していたことが判明している。
- 『鈴鹿の草子』と『田村の草子』
- 『鈴鹿の草子(田村の草子)』は立烏帽子もしくは鈴鹿御前の立場によって「鈴鹿系」と「田村系」の2つの系統に物語が分類されている(学術的には細部の変更点から7つの系統に分類するなどの研究もあるが、いずれも鈴鹿系もしくは田村系からの派生となる)。
- 鈴鹿系は室町時代後期成立の『鈴鹿の草子』から派生した古写本の系統で、田村将軍と日本を魔国にするために鈴鹿山へと降臨した第六天魔王の娘・立烏帽子が戦いを経て婚姻すると共に日本の鬼退治をする古い形態の筋書を残している。この物語では天の魔焰である立烏帽子が当初から三明の剣を所有しているため、大嶽丸が黄泉から帰還することはない。
- 鈴鹿経では第六天魔王の娘・立烏帽子とされているが、時代背景として庶民に広く流布していた中世日本記の第六天魔王譚が想起される。
- 田村系は『鈴鹿の物語』の流布本の系統で、日本を魔国にしようと企んだ鈴鹿山の大嶽丸の討伐に向かう田村将軍と、田村将軍に助力をするために天下った天女・鈴鹿御前が婚姻して共に日本の鬼退治をする絵巻・絵本・版本などの物語。この物語では天女である鈴鹿御前が計略によって大嶽丸から三明の剣のうち大痛連と小通連を詐取するが、天竺の三面鬼に預けていた顕明連の霊力で大嶽丸が黄泉から帰還する。
- 天の魔焰・立烏帽子
- 『鈴鹿の草子』で立烏帽子が第六天魔王の娘として設定された時代背景として日本中世に広く流布していた中世神話のうち、第六天魔王譚の影響が指摘されている。中世神話とは、『古事記』『日本書紀』『風土記』など日本神話に基づきながらも、本地垂迹説などに則り仏教の諸天諸仏と同一視して作られた数々の神話群である。学術用語で中世日本紀と呼称される。
- 『沙石集』巻第一の第一条「太神宮御事」では、弘長4年(1264年)に伊勢神宮を参拝した僧・無住道暁が伊勢神宮の神職に聞いた話として「天地開闢の頃、大海の底に大日如来の印文があった。天照大神が鉾で探り当てると鉾先の印文の滴の露が落ちて日本が出来た。その様子を遥か遠くから見た第六天魔王は「この滴が国となって、仏法流布し、人倫生死を出づべき相がある」と日本が仏国土となり魔界の障りになることを危惧して滅ぼそうと攻めてきた。これに対し天照大神は「我は三宝(仏・法・僧)の名も言わない、自らにも近づけないから帰り給え」と約束して退けた」という。この第六天魔王との約束があるため伊勢神宮では外向きには三法を疎ましく思っているが、内心は深く三宝を守っている。日本の仏法は伊勢神宮によって守護されているという。『沙石集』のこの一節は仏教の広まりに対し、伊勢神宮としては仏教を避けているのは理由があり、けっして嫌っているわけではないことを民衆に語る前提で記されている。
- 第六天魔王譚は幸若舞『百合若大臣』や『平家物語』屋台本「剣巻」など多くの中世文芸に多大な影響を与えている。特に『太平記』巻十六「日本朝敵事」では天照大神との仏法を忌避する約束に怒りを鎮めた第六天魔王が、天照大神の子孫を日本の主(天皇)とし、もし日本の主に反乱する者が現れれば第六天魔王の一族がこれを懲らしめる事を誓い、その約束の証拠として第六天魔王から賜ったのが神璽であるとする。この神璽は八尺瓊勾玉を指し、日本中世において八尺瓊勾玉は印であるとされていた。立烏帽子が第六天魔王の娘とされたのは日本の主に反乱する者=大嶽丸が現れたことで、天照大神との契約によって第六天魔王の一族である立烏帽子が降臨したという、第六天魔王譚を意識した構成による。
- 第四天魔王
- 江戸時代になると仙台藩を中心にして盲目の法師によって語られた奥浄瑠璃『田村三代記』が成立する。これは『鈴鹿の草子(田村の草子)』の舞台を東北地方に置き換えたものであるが、東国の武家では第六天魔王信仰が盛んであったためか第六天魔王の娘・立烏帽子とされている。奥浄瑠璃は口頭のみで後世に伝えられる口承文学のため正本は存在せず、現在使われている写本は上演されたものを文字起こししたもののため、その内容には異同が多い。そのひとつが第四天魔王の娘・立烏帽子とする写本の存在である。『田村三代記』の元となった『田村の草子』では第六天魔王の娘であり、仏教には第四天魔王という概念が存在しないことから口承文学の性質から偶然の誤りであるとされる。
- 『Fate/Grand Order material Ⅴ』には「この鈴鹿御前は第四天魔王の娘である」とあり、『Fate/EXTRA CCC FoxTail』『Fate/Grand Order』でも第四天魔王の娘としていることから、上記のうち奥浄瑠璃『田村三代記』で第四天魔王と書かれた写本をベースにしているものと思われる。
- 田村麻呂と悲恋か
- 『Fate/EXTRA CCC FoxTail』と『Fate/Grand Order』では、生前に恋仲であった坂上田村麻呂との事の顛末が異なっている。
- 『FoxTail』の回想ではラニや玉藻の前が語った鈴鹿御前の物語はハッピーエンドとして描かれており、側で聞いていた鈴鹿御前も特にそれを否定していることもないため、出典にあげられている『鈴鹿の草子』『田村の草子』『田村三代記』のように娘の小りん姫(Fate世界では正林の表記を採用)と共に生涯を添い遂げたと思われる。
- 一方で『Grand Order』では悲恋にスポットが当てられているが、マテリアルVで出典としてあげられている。
- 出典としてあげられている『鈴鹿の草子』『田村の草子』『田村三代記』は利生譚のため、仏教の教えである「夫婦は二世の契り」を理由に田村麻呂が倶生神と閻魔大王を相手に鈴鹿御前を甦らせるよう脅すのである。また不死の薬を手に入れた田村麻呂が鈴鹿御前との二世の契りを果たしたことで、二人は日本の悪鬼悪魔を退治しながら幸せに過ごし、田村麻呂は清水観音(清水寺)の再来として、鈴鹿御前は竹生島の弁財天として永劫に日本を救済する神仏として現れたことで物語が締めくくられる。
- このようにFate世界では悲恋とされているが、鈴鹿御前が田村麻呂と悲恋であったとするのは清水寺創建の否定になる=清水寺の観音の利生譚という物語が破綻するため原典である『鈴鹿の草子』『田村の草子』『田村三代記』ではあり得ない結末である。
- 菅江真澄が収集した「出羽国切畑の伝説」では、松岡の切畑山にあくる王(悪路王)という鬼が住んでおり、そこに立烏帽子(鈴鹿御前)が妻として通っていたが、二人とも田村利仁(田村麻呂)によって切り殺された……という本地譚(いわゆる地方伝説)が遺されているが、地方伝説は基本的に江戸時代以降に御伽草子などから作り出されている。
- しかし事の顛末自体は『Grand Order』のものと似ているため、大嶽丸との関係性にこういった本地譚を組み込み、マテリアルVにも「Fate解釈では~」の一文があるように悲恋については型月独自のオリジナル物語として形成した可能性がある。上記のように、Fateシリーズの鈴鹿御前は「ハッピーエンドを迎えられなかった鈴鹿御前」として明確に造形されている。
- 上記の正体についてにもあるように、鈴鹿明神(鈴鹿権現)は現在も田村麻呂と夫婦神として信仰されているため、片山神社など彼女ゆかりの聖地を巡る際は鈴鹿明神と田村明神は夫婦神である(=悲恋はFate解釈である)ということに留意して信仰している方々に配慮するのがよいと思われる。
脚注
注釈
出典
- ↑ コンプエース2018年4月号 たけのこ星人インタビューより。