「聖杯」の版間の差分

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== 聖杯 ==
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== 原義 ==
*Holy Chalice:キリスト教の聖遺物で、最後の晩餐(聖餐)に登場する杯。
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キリスト教における神の血を受けた杯で、最高位の聖遺物。あらゆる魔術の根底にあるとされる魔法の釜。あらゆる願いを叶えるという。その起源は多くの神話で顔を見せる「願いを叶える大釜」といわれる。<ref group="出">「Fate用語辞典-聖杯」『Fate/side material』p.64</ref><br>
*Holy Grail:[[Fate/stay night]]において登場する魔術礼装。
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候補は複数見出されており、[[聖堂教会]]が番号を振って監視している。
*ムーンセル:[[Fate/EXTRA]]において登場する太陽系最古の遺物。
 
*アートグラフ:[[Fate/Grand Order]]において[[主人公 (Grand Order)|主人公]]が聖杯探索で集める聖杯。
 
  
西洋の聖者にまつわる盃。古くは異郷の神の大釜にも由来する。<br>
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キリスト教以外にも多くの伝承に登場し、[[ビーストⅥ/S|バビロンの大淫婦]]が持つ[[BB|黄金の杯]]、ケルト神話におけるダグザの大釜、そしてアーサー王伝説で[[ギャラハッド]]が発見するに至った聖杯などが存在する。
  
== 聖杯(Holy Chalice) ==
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== 冬木の聖杯 ==
「最後の晩餐」において、キリストが弟子達に「私の血である」としてワインを注ぎ、振舞ったという杯。<br>
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聖堂教会のいう「第七百二十六号聖杯」。60年<ref group="注">『Fate/stay night[Réalta nua]』では50年。</ref>に一度[[冬木市]]に現れる、あらゆる願いを叶えるという器。これだけなら出来の悪い与太話で終わってしまいそうなものだが、その奇跡の一端を「[[サーヴァント]]の召喚」という形で示す事で「真贋はともかく規格外」と認知されている。<br>
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実際にはユートピアにあるとされる万能の釜を模した物。聖堂教会もキリスト教とは無縁との確証は取れているが、その強大さを無視できず監視し続けている。
  
弟子達の手によって各地に運ばれ、その土地で様々な伝承を成した。よって一つだけではない。<br>またこの聖杯がヨーロッパにおいて騎士道物語に取り入れられ、聖杯探求の旅が描かれる「聖杯伝説」物語群が生まれた。<br>「アーサー王伝説」で騎士達が探索に出された聖杯もこれである。<br>手に入れた者のあらゆる願いを叶えるという願望機であり、最高位の聖遺物。<br>しかし、真実の聖杯を手にした者はおらず、伝説の域を出ないとされている。
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表向きには聖杯は霊体で、冬木教会にある器に降ろすか、同じ霊体であるサーヴァントに触れさせて手に入れる物とされる。実態はどちらも外れで、敗れたサーヴァントを集めてできた魔力、またはそれを世界の外側へ放ち穿った孔から引き出した魔力が、願いを叶えられる力の正体である。この時、サーヴァントを集めるのが聖杯の器であり、世界の外側に通じる孔を固定するのが大聖杯である。
  
== 冬木の聖杯(Holy Grail) ==
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=== 聖杯の器 ===
六十年に一度[[冬木市|冬木]]の土地に現れる、あらゆる願いを叶えるという器。<br>これだけなら出来の悪い与太話で終わってしまいそうなものだが、その奇跡の一端を「[[サーヴァント]]の召喚」という形で示す事で「真贋はともかく規格外の[[魔術礼装]]」として認知されている。<br>本来はユートピアにあるとされる万能の釜を模した魔術礼装で、聖杯という名は借り物にすぎない。<br>当然先述の聖杯から見れば「贋作」なのだが、[[魔術協会]]にとっては優れた魔術品、[[聖堂教会]]にとってはその正体が何であろうと「聖杯」と名が付く以上監視しなければならない対象、となっている。<br>教会や協会にとって、冬木で観測されたのは「第七百二十六号聖杯」である。
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冬木教会にある器とは別に、[[アインツベルン]]が鋳造する器。外来の[[魔術師]]とサーヴァント達が手に入れるとすればこちらの聖杯である。<br>
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しかしその所在を掴むことは事前情報抜きには容易でないらしく、UBWルートでの[[メディア|キャスター]]は冬木の聖杯の仕組みに気付いていながら、冬木教会の物と混同する失態を犯している。<br>
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実物を調べればそれと分かり、[[イリヤスフィール・フォン・アインツベルン]]を診察した[[遠坂凛]][[間桐桜]]を治療した[[言峰綺礼]]がそれぞれ看破している。
  
=== 小聖杯 ===
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聖杯の器の役割は、敗れたサーヴァントを集めて、大聖杯に通じる孔を開け、大聖杯を完全に起動させることである。<br>
表向きの聖杯。外来の[[魔術|魔術師]]達とサーヴァントはこの聖杯を求めて戦う、いわば聖杯戦争の賞品である。<br>「[[ジークフリート|ラインの黄金]]」に携わったというアインツベルンにより鋳造された器に、おおよそあらゆる願いを叶えられるほどの魔力が満ち溢れたモノ。<br>その魔力とは、脱落したサーヴァントの魂に他ならない。聖杯戦争においてサーヴァントが脱落していく過程こそが聖杯降霊の儀式であり、戦いが佳境にはいると形を持ち始める。<br>ほか六組の参戦者を排除して降霊した聖杯こそが「願望機」としての完成品であり、優勝賞品である。<br>
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6騎も集まれば、世界の内側のことは何でも叶えられるだけの魔力になる。『Fate/unlimited codes』でのキャスターは5騎分が貯まった聖杯の器で願いを叶えている。<br>
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5騎が集まると、大聖杯に通じる孔を開け始める。7騎全てを集め終えると大聖杯が完全に起動し、集めたサーヴァントを世界の外側へ放つ。<br>
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もし集め終えられないまま、聖杯戦争が終わったなら、集まったサーヴァントは解放せず、単なる魔力として貯蔵する。<ref group="出">「奈須きのこ一問一答-聖杯戦争関係」『Fate/complete material Ⅲ World material.』p.131</ref>また大聖杯に通じる孔が開いている時に聖杯の器が壊れた場合、孔は徐々に閉じる。
  
本来は根源に通じる孔を開ける手段として、サーヴァントの魂を一時的に留めておく器。<br>「座」に帰ってゆこうとするサーヴァントを一気に解放することにより極大の孔を開ける。小聖杯が持っているのは、その孔を暫く固定しておくための機能である。<br>そのために必要なのは「七騎」分の魂。「願望機」としての機能であれば六騎で事足りるが、真に根源に至ろうとするならば、最後の勝者は[[令呪]]をもって自身のサーヴァントを自害させねばならない。<br>
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尚、器とはいうが形はシチュー鍋でも棺桶でも人間でも良い。アインツベルン製は黄金、魔術師の体でできた物は青銅とも語られている。但し、魔術回路の無い人体でできた物は肉塊に変じ増殖するだけで、正常に機能しない。<br>
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当初は杯の形をしていたが、第三次聖杯戦争で壊され、儀式自体も失敗する事態が生じた。<br>
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これを受けて第四次聖杯戦争では、無機物の聖杯を分解して[[アイリスフィール・フォン・アインツベルン]]の臓器と融合させ、彼女に守らせるという形を取った。<ref group="出">「Fate/Zero用語辞典-聖杯の器」『Fate/Zero material』p.98</ref>聖杯戦争が進むにつれて杯の形を取り戻し、アイリスフィールは自壊する仕組みである。因みに1騎も集めないまま死んでいた場合、第三次聖杯戦争の二の舞となっていた。<ref group="出">「誌上コメンタリー-第八話 魔術師殺し」『Fate/ZeroアニメビジュアルガイドⅠ』p.131</ref><br>
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第五次聖杯戦争ではイリヤスフィールの心臓になっているが、彼女が魔術礼装「天のドレス」を纏うと、心臓のみならず全身に拡張される。アイリスフィールと違って完成しても人型のままではあるものの、膨大な魔力を体内に留め置く為に、手足の運動、呼吸、人格など、人間としての機能は切り捨てる必要がある。<br>
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聖杯の器として替えが効かないのは心臓のみで、UBWルートでは綺礼が凛に、[[ギルガメッシュ]]が[[間桐慎二]]に移植して、聖杯の器にしようとした。<br>
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また[[間桐臓硯]]は第四次聖杯戦争で聖杯の欠片を手にし、刻印虫の形で桜に埋め込み、彼女を聖杯の器に仕立て上げている。正真正銘の人体である為、自分の意思で人間としての機能と聖杯の器としての機能の割合を決定できない。<br>
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つまり第五次聖杯戦争の聖杯の器はイリヤスフィールと桜の2つがあることになる。どちらにサーヴァントが流れるかには、それぞれが集めたサーヴァントの数とこれから集めるサーヴァントへの距離が左右する。仮に集めた数の差が2騎である場合、少ない方の器はサーヴァントの直近に居ないと回収できなくなる。
  
霊体を降臨させるための器であるため、形はどんなものでもよい。金属の鍋だろうが、[[フェイト/タイガーころしあむ|幼稚園児が使いそうな水筒]]であろうが、はたまた生命であってもその是非を問わない。
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=== 大聖杯 ===
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円蔵山地下の大空洞「龍洞」にある、すり鉢状の岩肌に刻まれた魔法陣で、超抜級の魔術炉心。聖杯戦争のシステムを管理するもの。<br>
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まず冬木の霊脈を涸らさないように60年掛けてマナを吸い上げ、7騎のサーヴァントを召喚するのに充分なまでに蓄える。<br>
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準備が整うと、マスターに相応しい人物に令呪の兆しを授け、世界の外側からサーヴァントを喚び出させる。<br>
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聖杯の器が7騎全てを集めると、大聖杯は完全に起動し、サーヴァントの霊核が元の場所に戻る時にできる、世界の外側への孔を固定する。<br>
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この孔を通ればいつかは根源に辿り着ける筈という筋書きである。根源に辿り着けなくとも、世界の外側から使い切れないだけの魔力を引き出せる。
  
=== 大聖杯 ===
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また、7騎のサーヴァントが一勢力に統一されてしまった場合を想定し、7騎のサーヴァントに対抗するために追加で7騎のサーヴァントを召喚する予備システムが組み込まれている。だがこのシステムはあくまで緊急の措置であり、冬木で発動した場合は霊脈そのものが枯渇する可能性もある。
円蔵山がその内部に擁する大空洞「龍洞」に敷設された魔法陣で、冬木の土地を聖杯降霊に適した霊地に整えていく機能を持つ、超抜級の魔術炉心。<br>冬木の霊脈を涸らさないように六十年という時間を掛けてマナを吸い上げ、七騎のサーヴァントを召喚するのに充分な魔力を蓄える。聖杯降霊の時期が近づくと「聖杯の意思」によってマスターに相応しい人物に令呪を授け、聖杯戦争という儀式を開始する。<br>
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1800年から10年に渡り、始まりの御三家([[アインツベルン]]・[[間桐家|マキリ]]・遠坂)により敷設された。製作途中では直径100m以上の多重層刻印で、聖杯ではあったものの、第三魔法の行使はできなかった。[[ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルン]]がその中心に収まると、彼女の魔術回路を拡張、増殖して直径1kmに拡大、人体から成る小宇宙となった。<ref group="出">「Fate用語辞典-ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルン」『Fate/side material』p.76</ref>この儀式には第二魔法の使い手である[[キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ]]も立ち会った。
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聖杯の器が破壊されようとも大聖杯さえ無事ならば、器が用意される限り何度でも聖杯降霊儀式は執り行える。<br>
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ただし、『Fate/stay night』の世界でのアインツベルンは第五次聖杯戦争で最後にするつもりである。物理的にも、Fate・UBWルートにおいては切嗣が第四次の後に用意した霊脈の瘤による局地的大地震により、HFルートにおいては宝石剣ゼルレッチで大暴れした凛により、龍洞が崩落、大聖杯は破壊される。
  
また、七騎のサーヴァントが一勢力に統一されてしまった場合を想定し、七騎のサーヴァントに対抗するために追加で七騎のサーヴァントを召喚する予備システムが組み込まれている。だがこのシステムはあくまで緊急の措置であり、冬木で発動した場合は霊脈そのものが枯渇する可能性もある。
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第五次の10年後、魔術協会は大聖杯の復活を画策し、遠坂の当主とロード・エルメロイⅡ世により完全に解体される必要を残していた。<ref group = "注">『Fate/Accel Zero Order』によると、「(第四次聖杯戦争の時代から)次の代で遠坂を継ぐのが自分の教え子」であることから、その「遠坂の当主」が[[遠坂凛]]であることを窺わせる。</ref><ref group = "出" name="『Fate/complete material Ⅲ』p.7">「聖杯戦争の歴史」『Fate/complete material Ⅲ World material.』p.7</ref>この解体は、関わったエルメロイⅡ世の例えによると、大樽一杯に貯まったニトログリセリンを抜き取る作業らしく、一晩二晩ではどうにもならず入念な準備を必要とした。<ref group = "出" name = "Zeroコラボイベント ACT-15" >『Fate/Accel Zero Order』ACT-15「大聖杯へ」</ref>
  
200年前に始まりの御三家([[アインツベルン]]・[[間桐家|マキリ]]・遠坂)により敷設され、その術式は冬の聖女[[ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルン]]の魔術回路を拡張・増幅したもの。<br>この儀式にはかの[[キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ|魔導元帥ゼルレッチ]]も立ち会っており、[[ギルガメッシュ]]までもが「考案したものは神域の天才であろうよ」と賞賛し<!--、人体という小宇宙を実際に宇宙にした特例として扱われ-->ている。<br>
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『Fate/Apocrypha』ではナチスドイツに御三家が敗退し、[[ユグドミレニア]]の本拠地であるルーマニア・トゥリファスに持ち去られている。<br>
小聖杯が破壊されようとも大聖杯さえ無事ならば、器が用意される限り何度でも聖杯降霊儀式は執り行える。<br>だが、Fate・UBWシナリオにおいては切嗣が第四次の後に用意した霊脈の瘤による局地的大地震により、またはHFシナリオにおいては宝石剣ゼルレッチで大暴れした凛により、龍洞が崩落、大聖杯は破壊される。このため、聖杯戦争は第五次で最後となり、今後開かれることはなくなった。<br>第五次の十年後、魔術協会は大聖杯の復活を画策し、遠坂の当主とロード・エルメロイII世により完全に解体される必要を残していた。この解体は関わったエルメロイII世が例えるなら、大樽一杯に貯まったニトログリセリンを抜き取る作業らしく、一晩二晩ではどうにもならず入念な準備を必要とした。<br>平行世界ではナチスドイツに御三家が敗退し、[[ユグドミレニア]]の本拠地であるルーマニア・トゥリファスに持ち去られている。
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最終的に、破壊こそされないものの世界の裏側へ運ばれてしまうため、こちらでも儀式が不可能な状態になっている。
  
==『Prototype』の聖杯==
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「竹箒日記」によると「大聖杯の中において時間軸はすべて等価(つーかドッロドロ)」とのこと。<ref group="出">「[http://www.typemoon.org/bbb/diary/log/201210.html 竹箒日記-2012/10/3]</ref>
冬木の聖杯のモデルとなったもの。だがこの聖杯はキリスト教における『聖杯』を目指して作られており、生み出したのも魔術師達ではなく[[聖堂教会]]<br>大聖杯が置かれているのは東京地下に存在する天然の大空洞。<br>手に入れれば根源に到達することが出来る、と魔術師達は信じ込んでいるが、この聖杯を生み出し聖杯戦争を始めた枢機卿の思惑からして既に狂っていて、誰が使っても最初から災厄しか呼び込まない。<br>詳しい事情は[[ビースト (Prototype)|こちら]]の項目にて。
 
  
==平行世界の冬木の聖杯==
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== ムーンセル・オートマトン ==
[[Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ]]の『ドライ』以降の舞台となる、平行世界の冬木における聖杯。<br>[[美遊・エーデルフェルト]]そのものであり、一言で言うなら、'''「生まれながらに完成された聖杯」'''。<br>願いを叶える機能も必要な魔力も最初から備わった天然物であり、オリジナルの聖杯に非常に近いとびっきりのレアもの。<br>「聖杯を作る」ために聖杯戦争が行われる冬木のそれに対し、平行世界では上記の理由から「聖杯を使う」ためにエインズワース主導で聖杯戦争が行われている。<br>設定からすると「ただ願う」だけで万事が叶いそうであるが、何らかの間違いで聖杯そのものが美遊という人格を持ってしまったために、そのような手順が必要であると推測されている。
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[[Fate/EXTRA]]』『[[Fate/EXTRA Last Encore]]』『[[Fate/EXTRA CCC]]』『[[Fate/EXTRA CCC FoxTail]]』『[[Fate/EXTELLA]]』『[[Fate/EXTELLA LINK]]』における聖杯。<br>
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ムーンセルは『Fate/EXTRA』シリーズの世界のみに存在する。<ref group="出">「Q&A」『TYPE-MOON Fes. オフィシャル パンフレット』</ref>
  
== ムーンセル ==
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詳細は「[[ムーンセル・オートマトン]]」を参照。
[[Fate/EXTRA]]における聖杯。<br>月で発見された、人類外のテクノロジーによる太陽系最古の「古代遺物(アーティファクト)」。ムーンセルの本体は、全長三千キロメートルに及ぶフォトニック純結晶体(光そのものを閉じ込める事が出来る鉱物。光そのものを記録媒体や回路として使える)。地表以外の月の全てが聖杯である。その構造・技術体系は、過去・現在はおろか未来においても解析不能と言われ、人類の思考形態では理解できない領域にある。<br>ただ、何者がどうやって作ったかは理解できなくとも、ムーンセルが行っていること自体はやがて判明した。<br>その機能は、地球の誕生から全てを克明に観察・記録すること。全ての生命、全ての生態、生命の誕生、進化、人類の発生、文明の拡大、歴史、思想――そして魂。全地球の記録にして設計図。神の遺した自動書記装置。七つの階層からなる、七天の聖杯(セブンスヘブン・アートグラフ)。<br>現存する人類のコンピューターをあらゆる規模で凌駕する演算装置。その処理能力は、現存するコンピューターが、石を並べて計算しているように思えるほどのもの。神の頭脳、神のキャンパスとも言われる。
 
  
あまりに危険であるため、[[西欧財閥]]によって封印指定にされ、宇宙開発それ自体を人類社会から取り上げ、物理的接触を断たれたほど。<br>ただし、例外となるのが[[ウィザード]]と呼ばれる霊子ハッカー。物理的接触の代わりに、ムーンセルが地球を精査する路を通って魂で聖杯へと繋がる能力を持った者達。聖杯は魂を、形而上の人の精神だけは観測できない。しかし知らねばならない。ゆえに自ら人間を招くのである。<br>通常のハッカーも手段があれば表層にアクセスすることは可能だが、魂を霊子化できる魔術師でなければSE.RA.PHは光としてしか認識できず、第二層以降へのアクセスもできない。旧世界の魔術師(メイガス)も瞑想の一環としてムーンセル内部にコンタクトしていたという。
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==『Fate/Prototype』の聖杯==
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冬木の聖杯のモデルとなったもの。だがこの聖杯はキリスト教における『聖杯』を目指して作られており、生み出したのも魔術師達ではなく[[聖堂教会]]。大聖杯が置かれているのは東京地下に存在する天然の大空洞。手に入れれば根源に到達することが出来る、と魔術師達は信じ込んでいるが、この聖杯を生み出し聖杯戦争を始めた枢機卿の思惑からして既に狂っていて、誰が使っても最初から災厄しか呼び込まない。詳しい事情は[[ビースト (Prototype)|こちら]]の項目にて。
  
ムーンセルは過去と現在を記録するほか、天文学的回数の「1分後の未来」のシミュレートを演算し続けている。「事象の書き換えすら可能になる」とされるが、厳密には膨大なシミュレーションサンプルの中から望む未来に確実に至れる方法を提示できるということ。その改竄能力は過去に遡って、現代を望んだ世界に変換出来る程。無限とも言える膨大な未来の可能性を記録している中枢は、フォトニック深淵領域、事象選択樹、アンジェリカケージなどと呼ばれる。
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==美遊世界の冬木の聖杯==
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『[[Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ]]』での平行世界の冬木における聖杯。[[美遊・エーデルフェルト]]のことで、一言で言うなら「生まれながらに完成された聖杯」。願いを叶える機能も必要な魔力も最初から備わった天然物であり、オリジナルの聖杯に非常に近いとびっきりのレアもの。しかし7歳で失われる力であり、それを取り戻す為に聖杯戦争が行われている。<br>
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また、それすらも通常の聖杯戦争における「小聖杯」にすぎず、主催者である[[エインズワース家]]が保有している「[[ピトス]]」こそが小聖杯によって起動される「大聖杯」にあたる。
  
 
==八一号聖杯爆弾==
 
==八一号聖杯爆弾==
[[Fate/KOHA-ACE 帝都聖杯奇譚‎|帝都聖杯奇譚]]における聖杯。大聖杯を元に造られた魔導兵器。<br>[[織田信長|魔人アーチャー]]が確保した大聖杯の本質を見抜き、願望機として使うのが難しい事から変な思い切りの良さを発揮して81のパーツに解体し、再構成。<br>その結果、大聖杯が有する膨大な魔力を余すところなく爆発による破壊力に転化し、一発で戦局を逆転させうる戦略兵器として新生した。<br>「'''信じて作った大聖杯がなんか爆弾にされていた'''」とか、必死に聖杯を取りあっていた御三家にとっては涙目の結末である。<br>汚染聖杯を人を殺すために使うという合理的かつ身も蓋もない使い道であるがそのシンプルな運用からか大聖杯にありがちなイレギュラーや欠陥も補完されており隙が無い。<br>敵国であるアメリカどころか日本以外全てを吹き飛ばしかねないほどの危険物である。
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[[Fate/KOHA-ACE 帝都聖杯奇譚]]』における聖杯。大聖杯を元に造られた魔導兵器。[[織田信長|魔人アーチャー]]が確保した大聖杯の本質を見抜き、願望機として使うのが難しい事から変な思い切りの良さを発揮して81のパーツに解体し、再構成。その結果、大聖杯が有する膨大な魔力を余すところなく爆発による破壊力に転化し、一発で戦局を逆転させうる戦略兵器として新生した。
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「'''信じて作った大聖杯がなんか爆弾にされていた'''」とか、必死に聖杯を取りあっていた御三家にとっては涙目の結末である。汚染聖杯を人を殺すために使うという合理的かつ身も蓋もない使い道ではあるが、そのシンプルな運用からか大聖杯にありがちなイレギュラーや欠陥も補完されており隙が無い。敵国であるアメリカどころか日本以外全てを吹き飛ばしかねないほどの危険物である。
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==『Fate/Grand Order』の聖杯==
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キーワードに「聖杯探索」を掲げるだけあって、多数の聖杯が登場している。出自によって、いくつかの種類に分けることができる。
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1つ目は、各時代において特異点を形成する原因となっている聖杯。アートグラフ。主に[[ゲーティア|黒幕]]によって、人理定礎崩壊のために各特異点を形成したものであり、各特異点に1つずつ配置されている。<br>
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また、期間限定イベントの舞台となる小規模特異点も、聖杯を原因とする異変が発生している。多くの場合、この聖杯を回収することにより特異点を正常化させるのが、カルデアの作戦目的となり、特異点を1つクリアするごとに1つ獲得することができる。<br>
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聖杯は聖杯戦争の最後の勝者が手にする物だが、特異点では勝敗が決まる前に所有者がいる状態になる。この矛盾を正すため、聖杯によってマスターを持たないはぐれサーヴァントが召喚されている。
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[[レオナルド・ダ・ヴィンチ|ダ・ウィンチちゃん]]によると、聖杯は空間における魔力の使用方法を決める<ruby><rb>法</rb><rt>のり</rt></ruby>であり、世界のルールとも言え本来カタチの無いものだとか。しかし何故か[[レフ・ライノール]]は聖杯を結晶化して所持していた。
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2つ目は、その世界に元から存在した「特異点発生とは関わりのない聖杯」。『封鎖終局四海 オケアノス』で[[フランシス・ドレイク]]がポセイドンをしばいてぶん取った正真正銘の聖杯。生前のドレイクはこれを持つためにサーヴァントとも戦える戦闘能力を持っていた。『絶対魔獣戦線バビロニア』では、[[ギルガメッシュ]]が保有する宝物として『ウルクの大杯』が登場しており、最終的に主人公に譲渡された。
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3つ目は、巨大な魔力リソースを結晶化したもの。『雀のお宿活動日誌~閻魔亭繁盛記』では、閻魔亭に蓄積されたリソースが、[[紅閻魔]]により聖杯として結晶化され、事件解決の報酬としてカルデア一行に手渡されている。<br>
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微小聖杯とも言える扱いで、[[幕間の物語]]などで微小特異点が形成される原因になることも多い。
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さながら聖杯の大盤振る舞いであるが、カルデアが回収した後はあくまで巨大な魔力リソースとしてしか使用できず、願望機としての役割は持っていないとされる。<br>
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一方で、カルデアが回収する以前であれば、願いを叶える為に使用されたケースが多く存在する。
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ゲーム上では、サーヴァントのレベル限界をレアリティ規定以上に引き上げる「聖杯転臨」の素材として消費する、完全有限のアイテムとして扱われている。期間限定イベントは復刻開催されることがあるが、前回の開催時に聖杯を獲得していた場合は別のアイテム(同じく完全有限素材である伝承結晶)に置き換わるようになっている。
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2022年1月1日に新規実装されたシステム『聖杯鋳造』により、カルデア内で人為的に聖杯を生み出す事が可能になっている。
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『非霊長生存圏 ツングースカ・サンクチュアリ』のクリア<ref group="注">ツングースカ・サンクチュアリは期間限定イベントだが、プロローグとエピローグの部分のみ常設ストーリーになっているため、イベント期間に参加できなかったプレイヤーでも同様の解放条件で解放される</ref>で利用可能になるシステムで、どのサーヴァントのものでも良いのでサーヴァントコインを合計2000枚つぎ込むごとに1個、1か月に2個までの聖杯を手に入れる事ができる。
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『Grand Order』の世界にも「冬木の聖杯」は存在している。2004年の聖杯戦争がこの世界における最初の聖杯戦争であり、[[アンリマユ]]による汚染も発生していない。聖杯戦争に勝利した[[マリスビリー・アニムスフィア]]がアインツベルンの大聖杯による根源到達を目的としていなかったために、小聖杯の願望器としての機能のみが利用された。<br>
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根源到達を目的として7騎のサーヴァント全ての魂を使うならば最後に残った勝者もサーヴァントを自害させるなりする必要があり、サーヴァントにとって願いを叶えるという報酬は空手形になる可能性があったのはこの世界の聖杯戦争でも同じだったのだが、マリスビリーの願いが根源到達ではなく6騎分の魂で叶えられるものだったため、彼のサーヴァントである[[キャスター|ソロモン]]も生き残り願いを叶える権利を手にした。<br>
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マリスビリーはカルデアスを完成させるための資金を願い、キャスターは自分の時代になかった「ロマン」に関心を持ち「[[ロマニ・アーキマン|人間]]として受肉する」という願いを叶えた。なお、このくだりは『冠位時間神殿 ソロモン』におけるロマ二の回想のみで語られており、[[主人公 (Grand Order)|カルデアのマスター]]や[[マシュ・キリエライト]]、[[レオナルド・ダ・ヴィンチ]]が両者の願いを知っているかどうかは不明。
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なお対外的には、その後の活動に支障が出る可能性を嫌ったマリスビリーによって、この聖杯戦争では「セイバーとそのマスターが勝利した」という情報操作が行われている。
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[[ラーマ]]の幕間の物語では、普通の聖杯戦争ならば「[[シータ]]が攫われなかった過去に変えてほしい」という過去を変える願いも叶えられるかもしれないが、後から手を加えれば、シータは攫われずとも呪いは解けないまま、あるいは救われた分の反動が[[ラーマ]]の国を違うものにしてしまうかもしれないなど、色々な歪みが生まれる可能性があることを[[ロマニ・アーキマン]]が語っている。
  
==『Grand Order』の聖杯==
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==盈月==
現状、三種類が登場している。<br>一つは黒幕によって、人理定礎崩壊のために各特異点を形成したもの。[[レオナルド・ダ・ヴィンチ|ダ・ウィンチちゃん]]によると聖杯は空間における魔力の使用方法を決める<ruby><rb>法</rb><rt>のり</RT></RUBY>であり、世界のルールとも言え本来カタチの無いものだとか、しかし何故か[[レフ・ライノール|レフ]]は聖杯を結晶化して所持していた。<br>二つ目は第3章で[[フランシス・ドレイク|ドレイク]]がポセイドンをしばいてぶん取った正真正銘の聖杯。英霊でない頃の生前のドレイクはこれを持つためにサーヴァントとも戦える戦闘能力を持つ。また、英霊のスキルを治すことは出来ないらしい。<br>
+
『[[Fate/Samurai Remnant]]』にて[[土御門泰広]][[安倍晴明]]の遺した[[聖杯戦争]]に関する情報を基に作成した、聖杯の模造品。<br>
そして、『Grand Order』の世界にも「冬木の聖杯」は存在している。2004年の聖杯戦争がこの世界における最初の聖杯戦争であり、したがって[[アンリマユ]]による汚染も発生していない。聖杯戦争に勝利した[[マリスビリー・アニムスフィア]]がアインツベルンの大聖杯による根源到達を目的としていなかったために、小聖杯の願望器としての機能のみが利用された。
+
通常の聖杯とは違い、赤い二つの手が交わったような形をしている。<br>
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機能としては聖杯と似通っており、英霊数騎分の魂という莫大な魔力を貯め込むことで万能の願望機とすることもできる。しかし、これは土御門が本来目的としていた使用法ではない。<br>
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これを真に完成させるには[[オトタチバナヒメ]]を捧げなければならず、また願望機として動作させる際にも彼女が必要なようである。<br>
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欠点としては、「盈月の儀」で敗れたサーヴァントの魂を回収する際は無色の魔力としてではなく、穢れとして取り込んでしまう。
  
以上はストーリーにおける扱いであり、ゲーム的には一部イベントを含むストーリークエストの全クリア報酬としてのみ手に入り、サーヴァントのレベル限界をレアリティ規定以上に引き上げる「聖杯転輪」の素材として消費する、完全有限のアイテムとして扱われている。
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==聖牌==
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『[[Fate/mahjong night 聖牌戦争]]』で冬木の地に現れ、手にした者の願いを叶える万能の願望器。
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==聖杯カップ==
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『[[ちびちゅき!]]』の型月学園の体育祭で、一番活躍したMVPの人に与えられるカップ。学園内限定で何でも願いを叶えてくれる。<br>
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MVPは優勝チームから選ばれる。何故優勝チームからかというと、そうでもしなければチームプレーをしないから。
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==アーサー王伝説の聖杯==
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ブリテンに約束された滅亡の運命をアルトリアが[[アグラヴェイン|信頼できる秘書官]]に打ち明けた所、秘書官は島から失われる神秘に匹敵する奇跡を手にするという解決策を進言し、王はこの提案に乗って騎士たちに聖杯探索を行わせた。
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しかし結果は、円卓の騎士であるパーシヴァルが命を落とし、聖杯を手に入れた[[ギャラハッド]]は無欲さゆえに聖杯を天に還して昇天してしまった。
  
 
== 関連する用語 ==
 
== 関連する用語 ==
 
;[[聖杯戦争]]
 
;[[聖杯戦争]]
:聖杯と呼ばれる物の争奪戦はどのような形であろうと全て、聖杯戦争と呼ばれる。<br>冬木市で行われる魔術儀式もまた聖杯戦争である。
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:聖杯と呼ばれる物の争奪戦はどのような形であろうと全て、聖杯戦争と呼ばれる。冬木市で行われる魔術儀式もまた聖杯戦争である。
;聖杯くん
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;[[聖杯くん]]
:[[冬木市]]参照。
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:2010年のエイプリルフール企画「fuyuki.com」で冬木市のマスコットキャラクターとして紹介された。
 
;虎聖杯
 
;虎聖杯
:[[フェイト/タイガーころしあむ]]参照。
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:[[フェイト/タイガーころしあむ]]』参照。
 
;[[聖杯の泥]]
 
;[[聖杯の泥]]
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:冬木の大聖杯を汚染させたもの。
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==言及作品==
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*[[Fate/stay night]]
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*[[Fate/hollow ataraxia]]
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*[[Fate/Zero]]
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*[[Fate/unlimited codes]]
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*[[Fate/Apocrypha]]
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*[[Fate/strange Fake]]
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*[[Fate/EXTRA]]
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*[[Fate/EXTRA Last Encore]]
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*[[Fate/EXTRA CCC]]
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*[[Fate/EXTRA CCC FoxTail]]
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*[[Fate/EXTELLA]]
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*[[Fate/EXTELLA LINK]]
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*[[Fate/Requiem]]
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*[[Fate/Prototype]]
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*[[Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ]]
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*[[Fate/Labyrinth]]
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*[[Fate/Grand Order]]
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*[[Fate/Grand Order Arcade]]
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*[[Fate/Samurai Remnant]]
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*[[ロード・エルメロイⅡ世の事件簿]]
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*[[トラぶる花札道中記]]
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*[[フェイト/タイガーころしあむ]]
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*[[フェイト/タイガーころしあむ アッパー]]
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*[[Fate/mahjong night 聖牌戦争]]
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*[[フェイト/育ステラ]]
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*[[Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ]]
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*[[Fate/KOHA-ACE 帝都聖杯奇譚]]
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*[[マンガで分かる!Fate/Grand Order]]
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*[[ちびちゅき!]]
  
 
== メモ ==
 
== メモ ==
*奈須きのこ氏曰わく『Fate/EXTRA』は『Fate/stay night』世界の1970年代から分岐した世界観だが、ムーンセルがあるのはあくまでも『EXTRA』世界だけで、『stay night』には存在しないとの事。
+
*第三次聖杯戦争で大聖杯はアヴェンジャーを願いと誤認し、結果それ以降の願いを殺人という形で叶えるように歪められている。
*第三次聖杯戦争でアインツベルン家がアヴェンジャーを呼び出した為に聖杯は「この世全ての悪」に染まってしまい、願望は歪んだ形で顕現する呪いのアイテムになってしまう。<br>それ以前に、多くの流血を強いながらも聖杯をまともに手にした者はほぼ皆無で、作られた当初から呪いのアイテムになる事が決定付けられている。それでもなお聖杯を手に入れようとする者が後を絶たないあたり、人間のエゴや業の深さを感じさせる。
+
**[[衛宮切嗣]]は魂の変革を通しての世界平和を願っていたが、大聖杯は魂の変革という部分を無視し、人類絶滅による世界平和を実現しようとしていた。
**『Grand Order』でついに聖杯戦争に勝利しマスターとサーヴァントがそれぞれの願望を実現させる事例が現れた。最も、彼らが必要としたのは小聖杯であり、大聖杯による根源到達というアインツベルンの目的は未だ果たされていない。
+
**汚染されていない聖杯ならば何例か願望成就している。汚染されている聖杯を扱えたのは『Fate/unlimited codes』のキャスターくらいである。
**2017年現在で聖杯を使用してまともに願いを叶えられた人物は、『プリズマ☆イリヤ』の「美遊が幸せをつかめますように」と祈った平行世界の衛宮士郎と、『Grand Order』の汚染されていない聖杯を聖杯戦争で獲得したマリスビリー・アニムスフィアと彼のサーヴァントである。
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*『Fate/Grand Order』では万能の願望器である聖杯でも叶えることが不可能なケースが存在し、[[ジル・ド・レェ]]が生前処刑された[[ジャンヌ・ダルク]]を蘇らせようとしたが拒絶されたことが挙げられる。<ref group = "出" name="第一特異点 第15節">『邪竜百年戦争 オルレアン』第15節「竜の魔女」</ref><ref group = "注">ただし、それがダメならばジルの信じるジャンヌ・ダルクを聖杯の力で創造して[[ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕]]が誕生したあたり、やはり万能の願望器の凄まじさを窺わせる。</ref>
  
 
== 話題まとめ ==
 
== 話題まとめ ==
 
;願望機の特徴
 
;願望機の特徴
 
:一般的な魔術において、目的を達成するためにはそのための過程を考える必要がある。例えば「空を飛びたい」と願った場合、「重力を制御して体を浮かす」でも「翼を生やして羽ばたく」でも「魔力を脚から噴出する」でも良いが、とにかく何らかの方法を定義する必要がある。
 
:一般的な魔術において、目的を達成するためにはそのための過程を考える必要がある。例えば「空を飛びたい」と願った場合、「重力を制御して体を浮かす」でも「翼を生やして羽ばたく」でも「魔力を脚から噴出する」でも良いが、とにかく何らかの方法を定義する必要がある。
:一方、冬木の聖杯は、ただ「こうなって欲しい」と思い描くだけで、その願望を実現する事が出来る。その際、使用者が過程を思い描く必要がない。なので「空を飛びたい」と願うだけで、過程も理論も吹っ飛ばして即座に「空を飛ぶ」と言う結果のみを叶えられる。
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:一方、聖杯は、ただ「こうなって欲しい」と思い描くだけで、その願望を実現する事が出来る。その際、使用者が過程を思い描く必要がない。なので「空を飛びたい」と願うだけで、理論を吹っ飛ばして即座に「空を飛ぶ」と言う結果を叶えられる。
:これこそが、聖杯の願望機としての大きな特徴であり、魔術との大きな違いである。そもそも、過程と理論(と、それを実現するための魔力)さえあれば魔術でも大抵の事はできる。だが、過程と理論を吹き飛ばして結果のみを現出させる事は、聖杯にしか出来ないのだ。
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:これこそが、聖杯の願望機としての大きな特徴であり、魔術との大きな違いである。そもそも、理論とそれを実現するための魔力さえあれば魔術でも大抵の事はできる。だが、理論を知らずとも結果を現出させる事は、聖杯にしか出来ないのだ。イリヤが魔術理論を知らずに魔術を行使出来るのも、これと同じ原理。
:イリヤが魔術理論を知らずに魔術を行使出来るのも、これと同じ原理。また、アヴェンジャーによって汚染された聖杯が「必ず悪意を持って願いを叶える」ようになってしまったのも、この聖杯の特徴が仇になったためと言える(過程が定義されておらず、願いの叶え方は聖杯に一任されているからこそ、悪意に取る事が可能となる。過程を定義する必要があるなら、悪意に取りようがない)。
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:尚、使用者が過程(方法)を知っている必要は無いが、それは聖杯が勝手に埋め合わせるからであって、結果だけを実現している訳ではない。例えば、Fateルートにおいてイリヤが「ギルガメッシュの存在を否定する」という願いを自らの魔術特性で叶えようとした時は、魔力弾という方法を導き出したがあっさり跳ね返されて実現には至らなかった。
:また、よく勘違いされるが、あくまでも「過程を入力しなくても願望を実現させる」だけであり、本当の意味で「過程を省く」わけではない。つまり、使用者が入力をする必要は無いが、過程と理論そのものは(聖杯側が用意するとはいえ)必ず必要になる。『Fate/Zero』で衛宮切嗣が絶望した理由も、聖杯が用意した方法論が、自分が否定したかった方法論(邪魔な者を皆殺しにすれば平和になるよね?)と完全に同一だったからである、
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:『Fate/hollow ataraxia』でイリヤが語るところによれば、冬木の大聖杯にこうした性質は無く、「その有り余る力で持ち主の願いを“広義的に見て”叶えるだけ」とのこと。
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:また、願望機としての性能が高い場合、願望に使用者の主観要素が強く解決が難しいものの場合には'''使用者の認識を改竄することで「願いが叶った」状態を無理やり実現させる'''事もあるとのこと。
:……と言うのが『stay night』における聖杯の設定であったのだが、『Zero』の聖杯は「切嗣が過程を思い描けなかったため、願いを叶える事が出来ない」と言う、初期設定と明らかに矛盾した描写が為されている。これでは聖杯の特徴が失われてしまい、「ただ魔力が沢山入っているだけの器」になってしまう(それはそれで貴重だが)。何より、『stay night』におけるイリヤや汚染聖杯の設定とも大きな齟齬をきたす事になる。
 
  
::ただ、聖杯戦争の根幹を為すこの設定を公式が勘違いしていた、と言うのはあまりにお粗末であるため、「意図的に設定が変更された」と考えるのが自然ではある。変更理由は語られていないが、「冬木大火災の真犯人を言峰に押し付けるため」と言う説が推測として成り立つ。
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== 脚注 ==
::『stay night』元設定では「切嗣が願った世界平和を叶えるため、汚染聖杯が大火災を起こした」と言うものであるが、「主人公の願いのせいで大量殺戮が発生した」と言うエンディングはあまりに後味が悪い上、実際に描写してしまうと切嗣が悪人であるかのように取られてしまう。
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===注釈===
::そこで、「大火災は主人公(切嗣)ではなくラスボス(言峰)のせいだった」とするために、設定を変更した……と言う訳である。もちろん公式発言がない以上、推測にすぎないが。
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<references group = "注"/>
  
:なお、汚染されていない『Apocrypha』の聖杯も、『Zero』の設定を踏襲している。物語の都合によるものか、最新の設定に倣っただけなのかは不明。
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===出典===
:ただ、イリヤや汚染聖杯の事がある以上、『stay night』本編の設定まで変更されたとは考えにくい。「『Zero』と『Apocrypha』はパラレルワールドなので、本編と聖杯の設定が違う」と考えておいた方が良いだろう。
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<references group = "出"/>
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== リンク ==
 
== リンク ==
 
*[[小辞典]]
 
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*[[聖杯戦争]]
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*[[ムーンセル・オートマトン]]
  
 
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2024年3月19日 (火) 22:03時点における最新版

原義[編集 | ソースを編集]

キリスト教における神の血を受けた杯で、最高位の聖遺物。あらゆる魔術の根底にあるとされる魔法の釜。あらゆる願いを叶えるという。その起源は多くの神話で顔を見せる「願いを叶える大釜」といわれる。[出 1]
候補は複数見出されており、聖堂教会が番号を振って監視している。

キリスト教以外にも多くの伝承に登場し、バビロンの大淫婦が持つ黄金の杯、ケルト神話におけるダグザの大釜、そしてアーサー王伝説でギャラハッドが発見するに至った聖杯などが存在する。

冬木の聖杯[編集 | ソースを編集]

聖堂教会のいう「第七百二十六号聖杯」。60年[注 1]に一度冬木市に現れる、あらゆる願いを叶えるという器。これだけなら出来の悪い与太話で終わってしまいそうなものだが、その奇跡の一端を「サーヴァントの召喚」という形で示す事で「真贋はともかく規格外」と認知されている。
実際にはユートピアにあるとされる万能の釜を模した物。聖堂教会もキリスト教とは無縁との確証は取れているが、その強大さを無視できず監視し続けている。

表向きには聖杯は霊体で、冬木教会にある器に降ろすか、同じ霊体であるサーヴァントに触れさせて手に入れる物とされる。実態はどちらも外れで、敗れたサーヴァントを集めてできた魔力、またはそれを世界の外側へ放ち穿った孔から引き出した魔力が、願いを叶えられる力の正体である。この時、サーヴァントを集めるのが聖杯の器であり、世界の外側に通じる孔を固定するのが大聖杯である。

聖杯の器[編集 | ソースを編集]

冬木教会にある器とは別に、アインツベルンが鋳造する器。外来の魔術師とサーヴァント達が手に入れるとすればこちらの聖杯である。
しかしその所在を掴むことは事前情報抜きには容易でないらしく、UBWルートでのキャスターは冬木の聖杯の仕組みに気付いていながら、冬木教会の物と混同する失態を犯している。
実物を調べればそれと分かり、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンを診察した遠坂凛間桐桜を治療した言峰綺礼がそれぞれ看破している。

聖杯の器の役割は、敗れたサーヴァントを集めて、大聖杯に通じる孔を開け、大聖杯を完全に起動させることである。
6騎も集まれば、世界の内側のことは何でも叶えられるだけの魔力になる。『Fate/unlimited codes』でのキャスターは5騎分が貯まった聖杯の器で願いを叶えている。
5騎が集まると、大聖杯に通じる孔を開け始める。7騎全てを集め終えると大聖杯が完全に起動し、集めたサーヴァントを世界の外側へ放つ。
もし集め終えられないまま、聖杯戦争が終わったなら、集まったサーヴァントは解放せず、単なる魔力として貯蔵する。[出 2]また大聖杯に通じる孔が開いている時に聖杯の器が壊れた場合、孔は徐々に閉じる。

尚、器とはいうが形はシチュー鍋でも棺桶でも人間でも良い。アインツベルン製は黄金、魔術師の体でできた物は青銅とも語られている。但し、魔術回路の無い人体でできた物は肉塊に変じ増殖するだけで、正常に機能しない。
当初は杯の形をしていたが、第三次聖杯戦争で壊され、儀式自体も失敗する事態が生じた。
これを受けて第四次聖杯戦争では、無機物の聖杯を分解してアイリスフィール・フォン・アインツベルンの臓器と融合させ、彼女に守らせるという形を取った。[出 3]聖杯戦争が進むにつれて杯の形を取り戻し、アイリスフィールは自壊する仕組みである。因みに1騎も集めないまま死んでいた場合、第三次聖杯戦争の二の舞となっていた。[出 4]
第五次聖杯戦争ではイリヤスフィールの心臓になっているが、彼女が魔術礼装「天のドレス」を纏うと、心臓のみならず全身に拡張される。アイリスフィールと違って完成しても人型のままではあるものの、膨大な魔力を体内に留め置く為に、手足の運動、呼吸、人格など、人間としての機能は切り捨てる必要がある。
聖杯の器として替えが効かないのは心臓のみで、UBWルートでは綺礼が凛に、ギルガメッシュ間桐慎二に移植して、聖杯の器にしようとした。
また間桐臓硯は第四次聖杯戦争で聖杯の欠片を手にし、刻印虫の形で桜に埋め込み、彼女を聖杯の器に仕立て上げている。正真正銘の人体である為、自分の意思で人間としての機能と聖杯の器としての機能の割合を決定できない。
つまり第五次聖杯戦争の聖杯の器はイリヤスフィールと桜の2つがあることになる。どちらにサーヴァントが流れるかには、それぞれが集めたサーヴァントの数とこれから集めるサーヴァントへの距離が左右する。仮に集めた数の差が2騎である場合、少ない方の器はサーヴァントの直近に居ないと回収できなくなる。

大聖杯[編集 | ソースを編集]

円蔵山地下の大空洞「龍洞」にある、すり鉢状の岩肌に刻まれた魔法陣で、超抜級の魔術炉心。聖杯戦争のシステムを管理するもの。
まず冬木の霊脈を涸らさないように60年掛けてマナを吸い上げ、7騎のサーヴァントを召喚するのに充分なまでに蓄える。
準備が整うと、マスターに相応しい人物に令呪の兆しを授け、世界の外側からサーヴァントを喚び出させる。
聖杯の器が7騎全てを集めると、大聖杯は完全に起動し、サーヴァントの霊核が元の場所に戻る時にできる、世界の外側への孔を固定する。
この孔を通ればいつかは根源に辿り着ける筈という筋書きである。根源に辿り着けなくとも、世界の外側から使い切れないだけの魔力を引き出せる。

また、7騎のサーヴァントが一勢力に統一されてしまった場合を想定し、7騎のサーヴァントに対抗するために追加で7騎のサーヴァントを召喚する予備システムが組み込まれている。だがこのシステムはあくまで緊急の措置であり、冬木で発動した場合は霊脈そのものが枯渇する可能性もある。

1800年から10年に渡り、始まりの御三家(アインツベルンマキリ・遠坂)により敷設された。製作途中では直径100m以上の多重層刻印で、聖杯ではあったものの、第三魔法の行使はできなかった。ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルンがその中心に収まると、彼女の魔術回路を拡張、増殖して直径1kmに拡大、人体から成る小宇宙となった。[出 5]この儀式には第二魔法の使い手であるキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグも立ち会った。

聖杯の器が破壊されようとも大聖杯さえ無事ならば、器が用意される限り何度でも聖杯降霊儀式は執り行える。
ただし、『Fate/stay night』の世界でのアインツベルンは第五次聖杯戦争で最後にするつもりである。物理的にも、Fate・UBWルートにおいては切嗣が第四次の後に用意した霊脈の瘤による局地的大地震により、HFルートにおいては宝石剣ゼルレッチで大暴れした凛により、龍洞が崩落、大聖杯は破壊される。

第五次の10年後、魔術協会は大聖杯の復活を画策し、遠坂の当主とロード・エルメロイⅡ世により完全に解体される必要を残していた。[注 2][出 6]この解体は、関わったエルメロイⅡ世の例えによると、大樽一杯に貯まったニトログリセリンを抜き取る作業らしく、一晩二晩ではどうにもならず入念な準備を必要とした。[出 7]

『Fate/Apocrypha』ではナチスドイツに御三家が敗退し、ユグドミレニアの本拠地であるルーマニア・トゥリファスに持ち去られている。
最終的に、破壊こそされないものの世界の裏側へ運ばれてしまうため、こちらでも儀式が不可能な状態になっている。

「竹箒日記」によると「大聖杯の中において時間軸はすべて等価(つーかドッロドロ)」とのこと。[出 8]

ムーンセル・オートマトン[編集 | ソースを編集]

Fate/EXTRA』『Fate/EXTRA Last Encore』『Fate/EXTRA CCC』『Fate/EXTRA CCC FoxTail』『Fate/EXTELLA』『Fate/EXTELLA LINK』における聖杯。
ムーンセルは『Fate/EXTRA』シリーズの世界のみに存在する。[出 9]

詳細は「ムーンセル・オートマトン」を参照。

『Fate/Prototype』の聖杯[編集 | ソースを編集]

冬木の聖杯のモデルとなったもの。だがこの聖杯はキリスト教における『聖杯』を目指して作られており、生み出したのも魔術師達ではなく聖堂教会。大聖杯が置かれているのは東京地下に存在する天然の大空洞。手に入れれば根源に到達することが出来る、と魔術師達は信じ込んでいるが、この聖杯を生み出し聖杯戦争を始めた枢機卿の思惑からして既に狂っていて、誰が使っても最初から災厄しか呼び込まない。詳しい事情はこちらの項目にて。

美遊世界の冬木の聖杯[編集 | ソースを編集]

Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』での平行世界の冬木における聖杯。美遊・エーデルフェルトのことで、一言で言うなら「生まれながらに完成された聖杯」。願いを叶える機能も必要な魔力も最初から備わった天然物であり、オリジナルの聖杯に非常に近いとびっきりのレアもの。しかし7歳で失われる力であり、それを取り戻す為に聖杯戦争が行われている。
また、それすらも通常の聖杯戦争における「小聖杯」にすぎず、主催者であるエインズワース家が保有している「ピトス」こそが小聖杯によって起動される「大聖杯」にあたる。

八一号聖杯爆弾[編集 | ソースを編集]

Fate/KOHA-ACE 帝都聖杯奇譚』における聖杯。大聖杯を元に造られた魔導兵器。魔人アーチャーが確保した大聖杯の本質を見抜き、願望機として使うのが難しい事から変な思い切りの良さを発揮して81のパーツに解体し、再構成。その結果、大聖杯が有する膨大な魔力を余すところなく爆発による破壊力に転化し、一発で戦局を逆転させうる戦略兵器として新生した。

信じて作った大聖杯がなんか爆弾にされていた」とか、必死に聖杯を取りあっていた御三家にとっては涙目の結末である。汚染聖杯を人を殺すために使うという合理的かつ身も蓋もない使い道ではあるが、そのシンプルな運用からか大聖杯にありがちなイレギュラーや欠陥も補完されており隙が無い。敵国であるアメリカどころか日本以外全てを吹き飛ばしかねないほどの危険物である。

『Fate/Grand Order』の聖杯[編集 | ソースを編集]

キーワードに「聖杯探索」を掲げるだけあって、多数の聖杯が登場している。出自によって、いくつかの種類に分けることができる。

1つ目は、各時代において特異点を形成する原因となっている聖杯。アートグラフ。主に黒幕によって、人理定礎崩壊のために各特異点を形成したものであり、各特異点に1つずつ配置されている。
また、期間限定イベントの舞台となる小規模特異点も、聖杯を原因とする異変が発生している。多くの場合、この聖杯を回収することにより特異点を正常化させるのが、カルデアの作戦目的となり、特異点を1つクリアするごとに1つ獲得することができる。
聖杯は聖杯戦争の最後の勝者が手にする物だが、特異点では勝敗が決まる前に所有者がいる状態になる。この矛盾を正すため、聖杯によってマスターを持たないはぐれサーヴァントが召喚されている。

ダ・ウィンチちゃんによると、聖杯は空間における魔力の使用方法を決めるのりであり、世界のルールとも言え本来カタチの無いものだとか。しかし何故かレフ・ライノールは聖杯を結晶化して所持していた。

2つ目は、その世界に元から存在した「特異点発生とは関わりのない聖杯」。『封鎖終局四海 オケアノス』でフランシス・ドレイクがポセイドンをしばいてぶん取った正真正銘の聖杯。生前のドレイクはこれを持つためにサーヴァントとも戦える戦闘能力を持っていた。『絶対魔獣戦線バビロニア』では、ギルガメッシュが保有する宝物として『ウルクの大杯』が登場しており、最終的に主人公に譲渡された。

3つ目は、巨大な魔力リソースを結晶化したもの。『雀のお宿活動日誌~閻魔亭繁盛記』では、閻魔亭に蓄積されたリソースが、紅閻魔により聖杯として結晶化され、事件解決の報酬としてカルデア一行に手渡されている。
微小聖杯とも言える扱いで、幕間の物語などで微小特異点が形成される原因になることも多い。

さながら聖杯の大盤振る舞いであるが、カルデアが回収した後はあくまで巨大な魔力リソースとしてしか使用できず、願望機としての役割は持っていないとされる。
一方で、カルデアが回収する以前であれば、願いを叶える為に使用されたケースが多く存在する。

ゲーム上では、サーヴァントのレベル限界をレアリティ規定以上に引き上げる「聖杯転臨」の素材として消費する、完全有限のアイテムとして扱われている。期間限定イベントは復刻開催されることがあるが、前回の開催時に聖杯を獲得していた場合は別のアイテム(同じく完全有限素材である伝承結晶)に置き換わるようになっている。

2022年1月1日に新規実装されたシステム『聖杯鋳造』により、カルデア内で人為的に聖杯を生み出す事が可能になっている。 『非霊長生存圏 ツングースカ・サンクチュアリ』のクリア[注 3]で利用可能になるシステムで、どのサーヴァントのものでも良いのでサーヴァントコインを合計2000枚つぎ込むごとに1個、1か月に2個までの聖杯を手に入れる事ができる。

『Grand Order』の世界にも「冬木の聖杯」は存在している。2004年の聖杯戦争がこの世界における最初の聖杯戦争であり、アンリマユによる汚染も発生していない。聖杯戦争に勝利したマリスビリー・アニムスフィアがアインツベルンの大聖杯による根源到達を目的としていなかったために、小聖杯の願望器としての機能のみが利用された。
根源到達を目的として7騎のサーヴァント全ての魂を使うならば最後に残った勝者もサーヴァントを自害させるなりする必要があり、サーヴァントにとって願いを叶えるという報酬は空手形になる可能性があったのはこの世界の聖杯戦争でも同じだったのだが、マリスビリーの願いが根源到達ではなく6騎分の魂で叶えられるものだったため、彼のサーヴァントであるソロモンも生き残り願いを叶える権利を手にした。
マリスビリーはカルデアスを完成させるための資金を願い、キャスターは自分の時代になかった「ロマン」に関心を持ち「人間として受肉する」という願いを叶えた。なお、このくだりは『冠位時間神殿 ソロモン』におけるロマ二の回想のみで語られており、カルデアのマスターマシュ・キリエライトレオナルド・ダ・ヴィンチが両者の願いを知っているかどうかは不明。

なお対外的には、その後の活動に支障が出る可能性を嫌ったマリスビリーによって、この聖杯戦争では「セイバーとそのマスターが勝利した」という情報操作が行われている。

ラーマの幕間の物語では、普通の聖杯戦争ならば「シータが攫われなかった過去に変えてほしい」という過去を変える願いも叶えられるかもしれないが、後から手を加えれば、シータは攫われずとも呪いは解けないまま、あるいは救われた分の反動がラーマの国を違うものにしてしまうかもしれないなど、色々な歪みが生まれる可能性があることをロマニ・アーキマンが語っている。

盈月[編集 | ソースを編集]

Fate/Samurai Remnant』にて土御門泰広安倍晴明の遺した聖杯戦争に関する情報を基に作成した、聖杯の模造品。
通常の聖杯とは違い、赤い二つの手が交わったような形をしている。
機能としては聖杯と似通っており、英霊数騎分の魂という莫大な魔力を貯め込むことで万能の願望機とすることもできる。しかし、これは土御門が本来目的としていた使用法ではない。
これを真に完成させるにはオトタチバナヒメを捧げなければならず、また願望機として動作させる際にも彼女が必要なようである。
欠点としては、「盈月の儀」で敗れたサーヴァントの魂を回収する際は無色の魔力としてではなく、穢れとして取り込んでしまう。

聖牌[編集 | ソースを編集]

Fate/mahjong night 聖牌戦争』で冬木の地に現れ、手にした者の願いを叶える万能の願望器。

聖杯カップ[編集 | ソースを編集]

ちびちゅき!』の型月学園の体育祭で、一番活躍したMVPの人に与えられるカップ。学園内限定で何でも願いを叶えてくれる。
MVPは優勝チームから選ばれる。何故優勝チームからかというと、そうでもしなければチームプレーをしないから。

アーサー王伝説の聖杯[編集 | ソースを編集]

ブリテンに約束された滅亡の運命をアルトリアが信頼できる秘書官に打ち明けた所、秘書官は島から失われる神秘に匹敵する奇跡を手にするという解決策を進言し、王はこの提案に乗って騎士たちに聖杯探索を行わせた。

しかし結果は、円卓の騎士であるパーシヴァルが命を落とし、聖杯を手に入れたギャラハッドは無欲さゆえに聖杯を天に還して昇天してしまった。

関連する用語[編集 | ソースを編集]

聖杯戦争
聖杯と呼ばれる物の争奪戦はどのような形であろうと全て、聖杯戦争と呼ばれる。冬木市で行われる魔術儀式もまた聖杯戦争である。
聖杯くん
2010年のエイプリルフール企画「fuyuki.com」で冬木市のマスコットキャラクターとして紹介された。
虎聖杯
フェイト/タイガーころしあむ』参照。
聖杯の泥
冬木の大聖杯を汚染させたもの。

言及作品[編集 | ソースを編集]

メモ[編集 | ソースを編集]

  • 第三次聖杯戦争で大聖杯はアヴェンジャーを願いと誤認し、結果それ以降の願いを殺人という形で叶えるように歪められている。
    • 衛宮切嗣は魂の変革を通しての世界平和を願っていたが、大聖杯は魂の変革という部分を無視し、人類絶滅による世界平和を実現しようとしていた。
    • 汚染されていない聖杯ならば何例か願望成就している。汚染されている聖杯を扱えたのは『Fate/unlimited codes』のキャスターくらいである。
  • 『Fate/Grand Order』では万能の願望器である聖杯でも叶えることが不可能なケースが存在し、ジル・ド・レェが生前処刑されたジャンヌ・ダルクを蘇らせようとしたが拒絶されたことが挙げられる。[出 10][注 4]

話題まとめ[編集 | ソースを編集]

願望機の特徴
一般的な魔術において、目的を達成するためにはそのための過程を考える必要がある。例えば「空を飛びたい」と願った場合、「重力を制御して体を浮かす」でも「翼を生やして羽ばたく」でも「魔力を脚から噴出する」でも良いが、とにかく何らかの方法を定義する必要がある。
一方、聖杯は、ただ「こうなって欲しい」と思い描くだけで、その願望を実現する事が出来る。その際、使用者が過程を思い描く必要がない。なので「空を飛びたい」と願うだけで、理論を吹っ飛ばして即座に「空を飛ぶ」と言う結果を叶えられる。
これこそが、聖杯の願望機としての大きな特徴であり、魔術との大きな違いである。そもそも、理論とそれを実現するための魔力さえあれば魔術でも大抵の事はできる。だが、理論を知らずとも結果を現出させる事は、聖杯にしか出来ないのだ。イリヤが魔術理論を知らずに魔術を行使出来るのも、これと同じ原理。
尚、使用者が過程(方法)を知っている必要は無いが、それは聖杯が勝手に埋め合わせるからであって、結果だけを実現している訳ではない。例えば、Fateルートにおいてイリヤが「ギルガメッシュの存在を否定する」という願いを自らの魔術特性で叶えようとした時は、魔力弾という方法を導き出したがあっさり跳ね返されて実現には至らなかった。
『Fate/hollow ataraxia』でイリヤが語るところによれば、冬木の大聖杯にこうした性質は無く、「その有り余る力で持ち主の願いを“広義的に見て”叶えるだけ」とのこと。
また、願望機としての性能が高い場合、願望に使用者の主観要素が強く解決が難しいものの場合には使用者の認識を改竄することで「願いが叶った」状態を無理やり実現させる事もあるとのこと。

脚注[編集 | ソースを編集]

注釈[編集 | ソースを編集]

  1. 『Fate/stay night[Réalta nua]』では50年。
  2. 『Fate/Accel Zero Order』によると、「(第四次聖杯戦争の時代から)次の代で遠坂を継ぐのが自分の教え子」であることから、その「遠坂の当主」が遠坂凛であることを窺わせる。
  3. ツングースカ・サンクチュアリは期間限定イベントだが、プロローグとエピローグの部分のみ常設ストーリーになっているため、イベント期間に参加できなかったプレイヤーでも同様の解放条件で解放される
  4. ただし、それがダメならばジルの信じるジャンヌ・ダルクを聖杯の力で創造してジャンヌ・ダルク〔オルタ〕が誕生したあたり、やはり万能の願望器の凄まじさを窺わせる。

出典[編集 | ソースを編集]

  1. 「Fate用語辞典-聖杯」『Fate/side material』p.64
  2. 「奈須きのこ一問一答-聖杯戦争関係」『Fate/complete material Ⅲ World material.』p.131
  3. 「Fate/Zero用語辞典-聖杯の器」『Fate/Zero material』p.98
  4. 「誌上コメンタリー-第八話 魔術師殺し」『Fate/ZeroアニメビジュアルガイドⅠ』p.131
  5. 「Fate用語辞典-ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルン」『Fate/side material』p.76
  6. 「聖杯戦争の歴史」『Fate/complete material Ⅲ World material.』p.7
  7. 『Fate/Accel Zero Order』ACT-15「大聖杯へ」
  8. 竹箒日記-2012/10/3
  9. 「Q&A」『TYPE-MOON Fes. オフィシャル パンフレット』
  10. 『邪竜百年戦争 オルレアン』第15節「竜の魔女」

リンク[編集 | ソースを編集]