空想樹
概要[編集 | ソースを編集]
異聞帯の要。宙より舞い降りた、世界を根付かせるための楔。
惑星を初期化し、新たな神話を作り上げる。星に根を張る性質を持ち、異聞帯という現実を拡大させ星を
濾過異聞史現象を成立させている要石で、空想の樹なくして、現実への侵攻はありえない。
剪定事象の続きをシミュレートして異聞帯として維持している存在であり、空想樹があれば異聞帯が消滅する事はない。逆に言えば空想樹を育てなければ世界を維持できない。
異聞帯側の主観では、概ね「ある日突然宙から根を伸ばして地に降りたもの」として認識される。出現時期は異聞帯によって異なり、西暦2017年相当にクリプターが訪れる直前に現れた場合もあれば、それより遥か過去に遡って存在していた場合もある。
全体的な外見は皹の入った巨大な白色の柱であり、生育が遅いとされているロシア異聞帯の空想樹オロチでさえ、太さ数百メートル、高さ数キロメートルという規格外のサイズを誇る。
地脈から
根を下ろした上で成長すると、種子を吐き出して射出するようになる。これは育成が良好な証拠で、後述の理由によりクリプターと異聞帯の王(接続者)との関係が良好という事でもある。[注 1]
内部に独自の次元を内包しており、場合によっては「開花」という現象が発生し、その名の通り白色部分の皹が大きくなって砕けて内部が露出し、その中にある銀河が見える。これはイメージでも何でもなく、本当に銀河を内包している。どの様な方法で銀河を内包しているかは不明で、擬似的な、ミニチュアの銀河、それとも本物の銀河に接続しているなどがカルデアの推測に上がっている。内部に銀河がある事にどの様な意味があるのかも不明。
起動後は膨大な魔力量を以て、星の人理を巻き戻し、神の下に帰還させる現象が起きる[注 2]。この際神代クラスの真エーテルに近しいものが観測される。エネルギー源としてスルトが取り込んだ際はフェンリルの氷の権能を取り戻す事を可能にした。
空想樹に意思は無いが、「刈り取られるのは嫌だ」「生きたい」「死なない」「許さない」などといった生存への欲求は存在している。
防衛本能で自律的に種子を射出し、ソンブレロは生きたいが故に取り込もうとするスルトに望んで手を伸ばした。生存のための機能として根と幹が離れても空間のねじれを通じて繋がり続けることが出来る[注 3]。
スカディ曰くある種の外的要因がなければ基本的には切除は不可能。だがソンブレロはスルトに呑み込まれたことで劣化していたのか無事切除された。
カルデアにとっての最大の排除対象。時間経過で成長し何れ完全に根付いてしまう為に後回しにするのは危険[注 4]。 シャドウ・ボーダーに搭載されているペーパームーンの羅針盤に現れていない『異物』で、ペーパームーンは異聞帯を『地球の地形』として判定して観測しているが、空想樹だけは除外している。
空想樹は特定の存在が「接続」することが出来、接続者は空想樹の生育を担い、命令する事でその種子を自壊させるなどある程度の権利を持つ模様。
接続およびその解除の権限はクリプターが持つが、接続者は(クリプター側の想定では)異聞帯の王が担う。王からすれば空想樹は自分の世界が剪定されながらも蘇った要であり異物でもあるため、その扱いは各々で異なる。
蘆屋道満は「この惑星(地球)を囲う、数多有限の“最果て”」、トネリコは「異星(恐らくカルデアス)で作られた、宇宙を閉じるための針」と空想樹について言及しており、その言が確かなら聖槍と似通った性質を持っているが、詳細は未だ明らかになっていない。
空想樹の種子[編集 | ソースを編集]
無機質な逆円錐と底面側にある球体が四方で繋げられた、通常の生物では有り得ない形態をしている。
空想樹が防衛本能で自律的に射出するもので、周囲の生物を無差別に攻撃する。種子と称されているが自律行動する等、植物の種子に相当するものかも不明。
攻撃本能や凶暴性がかなり際立った存在で、マシュが「笑っている」と感じる挙動をとるなど、機械的ではないが、命を散らす事に戸惑いが無い。
空想樹から射出され、空中で落下軌道を変えて対象へと狙い違わずに落ちてくる。飛距離は北欧山嶺からスカサハ=スカディの城まで届くほど。
飛来するだけではなく、地上を移動して対象に取り憑こうとする個体も存在する。
耐久力も高く、ナポレオン曰く神獣スフィンクスの顔と同程度には硬そうだとか。
空想樹と接続した者が命令すれば自壊させることが可能。
マシュ・キリエライトが「異聞帯特有の幻想種で、神話や伝承に記されるものではなく、独自の生態系を構築するタイプの魔獣」と予想した際に、フォウが否定した。
贋作空想樹である「盈月」の種子は、射出後にやがて由井正雪に変化するようになっていた。
変化した由井正雪は「盈月の儀」の記憶を持ってはいるものの、自身が令呪を持たないことに気づかないなど一部の認識が改竄されており、現状の正しい把握がままならない状態となっていた。
空想樹一覧[編集 | ソースを編集]
- 空想樹オロチ
- ロシア領の異聞帯に根付いている空想樹。異聞帯の中心に存在する。
- だが、ロシア異聞帯の王であるイヴァン雷帝は旧来の神を信仰し続けており、空想樹の存在を拒絶し大地を操作する最高特権『非常大権』で根付かせず、自身の力での領土拡大を望むゆえか、完全には根付いていなかった。
- 雷帝が倒された後、カルデアとの交戦を経て異星の巫女により切除された。
- 空想樹ソンブレロ
- 北欧異聞帯の空想樹。世界の礎たる世界樹。北部地域の炎の山嶺の彼方に根を張っている。
- 氷雪の結晶を散らす事で、その姿はあらゆる目から隠されており、魔力感知は阻害されると同時に、魔術的な効果で光学的な隠蔽が行われていた。
- 他の空想樹と異なり、「種子を広範囲に吐き出す」という行為をしているが、開花するには至っていない。これがどういう状況であるのかは不明。
- 北欧異聞帯の王であるスカサハ=スカディと接続していたが、強制的に接続が切断され、スルトが虚数空間に干渉を可能とするペーパームーンの力で否定に否定を重ねる事で喰らって取り込み、リソースにする事で霊基を再臨させ過去に失ったフェンリルの氷の権能を取り戻した。スルトは空想樹を全て呑み込んだ訳ではなく、大地に根が残っており、スルトの中の空間のねじれを通じて根と幹が繋がったままだった。スルトとの接続が解除された後は第23集落の付近に植樹に近い形で移動している。
- スルト及びスカサハ=スカディが倒された後、カルデアにより切除された。
- 空想樹メイオール
- 中国異聞帯の空想樹。内部が異空間になっている扶桑樹の内部に隠されており、扶桑樹の持ち主であり異聞帯の王である始皇帝でも存在を把握していなかった。
- 王とクリプターの信頼関係など全くない状態であったが、扶桑樹の内部次元で魔力を吸ったことで、オロチ・ソンブレロとは桁違いの大きさに成長し中華の霊脈に根を張っていた。コヤンスカヤによって外部に出現した後、さらに天仙である虞美人が霊基を憑依させたことで完全に開花。重力変動、ガンマ線・宇宙線の放出の後に、幹が裂けて内部の「銀河」が露出する状態に。虞美人の憎悪を受け継いでカルデア勢に牙を剥いたが、始皇帝の助力もあって空想切除された。
- なおゲーム中でのエネミーとしては、虞美人の霊基が取り込まれた影響でクラスがアサシンとなり、魔性の特性を有している。
- 空想樹スパイラル
- インド異聞帯の空想樹。異聞帯東部にある乳海に囲まれたその先に位置しており、麓には白い彼岸花が咲き乱れている。
- 特に隠蔽はされていないものの、鋼や人体、さらには霊体をも容易く溶かすほどの毒性を持つ乳海の存在ゆえに王以外は近づくことができず、普段は異聞帯の王である神たるアルジュナが付近を巡回飛行することで監視している。
- アルターエゴ・リンボはアルジュナを唆してスパイラルの力を利用させ、ユガの周期を加速させていた。またアルジュナとカルナが激突した最終決戦では、膨大な魔力をスパイラルからアルジュナへと供給させており、この時メイオールと同様に内包していた「銀河」が表出したほか、表皮がどす黒く変色するなどの異変も見られた。
- その後、ペペロンチーノはアシュヴァッターマンと共に異聞帯と空想樹を守らんとしてカルデアと交戦するが、叶わず切除された。
- 空想樹戦で敵が二体以上登場するのは現状ここだけだが、メインストーリー上で直接戦う空想樹はこれが最後となる。
- アトラスの世界樹(空想樹マゼラン)
- 大西洋異聞帯の空想樹。既に完成しており、その根は地球の表層の八割を覆い尽くしている「天幕」の中心でもあり、他の異聞帯の空想樹とはネットワークのように繋がっている。故に他の異聞帯の空想樹を切除しても、アトラスの世界樹がある限り汎人類史の復権はできない。
- 『アトラスの世界樹』というのは大神ゼウスが名付けた。天を支える空想樹と称される。
- 外部からの切除は不可能だったが、ベリルの手で内部から焼き尽くされたことでその絶対性が崩れた隙に、千子村正が内部のアトラスを破壊。燃え残りがU-オルガマリーの霊基形成に用いられた。
- デイヴィット・ブルーブックが目撃した、「人理漂白の際に枝が空を覆い、末端が1本ずつ生命体の心臓を突き刺し塵にすることで汎人類史の生命を根絶やしにした」樹はこのマゼランと思われるが、彼の顛末共々不明瞭。
- 空想樹セイファート
- ブリテン異聞帯の空想樹。
- 『神代巨神海洋 アトランティス』の時点ではベリルが丸め込んだ原住民の手で伐採されたものと思われていたが、実際はモルガンの手によって中身を吸収された事で枯れてしまい、新たに分岐点を経た異聞帯は異聞世界と化していた。しかし、枯死しながらも前述の天幕との繋がりは健在であり、ベリルは枯れたセイファートを燃やす事で天幕を通じて大西洋異聞帯のマゼランへと延焼させた。
- ブリテン異聞帯にカルデアが訪れた際には残骸が残っており、また空想樹として健在していた頃から妖精たちの間で「トネリコの大樹」「世界樹」と呼ばれていた。
- 空想樹クエーサー
- 南米異聞帯の空想樹。
- 五章の時点では外からの観測では南米異聞帯こそ健在であるものの空想樹クエーサーが確認出来ず、更に前述のセイファート焼却処分の延焼の影響を受けなかった事から「天幕」のネットワークからすらも外れていた模様。
- 後にカルデアによってミクトラン最下層のシバルバーにて枯死したクエーサーが発見されたが、実はこの異聞帯での歴史にてORTが600万年前にカマソッソに心臓を抜き取られ活動停止する直前にクエーサーを侵食して取り込んでいた事実が発覚。
- その結果、ORTは異聞帯を維持する楔の役割を得ると共に自ら持っていた侵食固有結界『水晶渓谷』が変質し、活動再開時には異聞帯中の樹海を全て空想樹に変換する過去最大規模の災害を引き起こすに至った。
- 地獄界曼荼羅
- 2部5.5章『地獄界曼荼羅 平安京』で登場した、亜種空想樹と呼ぶべきもの。
- アルターエゴ・リンボが亜種並行世界やインド異聞帯での出来事を参考にして、特異点化した平安京で天覧聖杯戦争なるものを行い、敗北した英霊の霊基を取り込むことで育てようとしていた。
- 聖杯戦争自体は不完全に終わったものの、道満を含めた霊基三つ分を追加して空想樹として完成。開花して種子を放ち始めるに至った。
- そして召喚した伊吹童子を新たな異星の神として迎えて計画完了……のはずであったが、道満自身が異星の神としてビーストとなるように急遽変更。しかし、ビーストの資格として必要不可欠である人類愛を自身が持ち合わせていないという致命的な見落としをしていたため失敗に終わる。
- 最後に道満は空想樹を自分の魔力リソースにして世界を滅ぼそうとしたものの、覚醒した坂田金時が呼び出したゴールデン・ヒュージ・ベアー号と伊吹童子から貸された草薙剣によって断ち割られ、消滅した。
- なお空想樹と一体化した道満との戦闘の際は、名称が「羅刹王・髑髏烏帽子蘆屋道満」となっているように直接戦うのは道満とだけになるが、道満は空想樹から攻撃を放ってくる。
- 厭離穢土城
- 『屍山血河舞台 下総国』で妖術師が土気城を変状させたもの。
- 平安京特異点で明かされたところによると「亜種空想樹の未完成版」だったらしく、キャスター・リンボはこれを亜種空想樹として完成させた暁に、下総国に地獄のような異聞帯を作成する算段だったらしい。
- だが空想樹としての機能を持つ前に、汎人類史によって召喚された千子村正によって妖術師の固有結界ごと真っ二つに斬られて消滅した。
- 盈月
- 期間限定イベント『盈月剣風帖』で創造された贋作空想樹と呼ぶべきもの。特異点「夢幻泡影盈月」の江戸城に隠されていた。
- 「伯爵」が由井正雪を核として、彼女の宝具「五蘊盛苦・夢幻泡影」によって何万何億にまで無限増殖した正雪自身の残骸を材料に、文字通り人柱として組み上げられた空想樹。
- 通常の空想樹とは違って表面が由井正雪で構成されており、イベント内の背景やスチル画では正雪らしきシルエットが無数に確認できていた。加えて姿が露わになった頃は既に開花に至っており、周囲に撒き散らされる「種」からは「由井正雪」が無尽蔵に誕生する悍ましい有様となっていた。
- 他の空想樹で銀河が広がっている部分は赤くなっており、中央には真っ赤な月が一つある。ブレイク時には、次第に月の黄色い表面が出てくるようになっている。
- 最後には空想樹の番人のようになっていた源頼光/丑御前を地右衛門が道連れにし、ヤマトタケルの宝具「界剣・天叢雲剣」によって真っ二つに斬られ、核となっていた由井正雪の本体を引き抜かれたことで消滅した。
- スパイラル戦以来約五年ぶりに実装された空想樹戦だが、これまでとは異なる点としてチャージ攻撃時には由井正雪の声で喋る。内容からして空想樹としてではなく正雪自体の自我で喋っているようだが、空想樹からの発声はこれが初である。
- また正雪を核としているためか、通常攻撃で放つ火球は正雪が遠距離Arts攻撃で放つものであり、クリティカル攻撃時に放つ赤、青、黄、緑の四つの光線は正雪がExtra Attackで放つ錬金術らしき魔術と酷似している。
メモ[編集 | ソースを編集]
- 個別の名前の由来については「オロチ銀河」「ソンブレロ銀河」「メイオール天体」「
渦巻 銀河」「マゼラン雲(マゼラン銀河)」「セイファート銀河」が存在している事から銀河の名称ではないかと言われており、シャーロック・ホームズも同様に推測している。- ちなみにアトラス銀河は存在しないが、キリシュタリアによって内部に「
世界巨神 」が仕込まれていることから命名されたと推測される。もしくは1966年に天文学者のホルトン・アープが編纂した『アープ・アトラス』という特異銀河[注 5]の天体カタログがカリフォルニア工科大学から出版されており、そこから名称を取ったものとも考えられるか。 - 一方で「クエーサー」は単一の銀河ではなく、非常に明るい活動銀河核を指す単語である。
- なお、一見は他の空想樹の名称とかけ離れている「地獄界曼荼羅」であるが、曼荼羅は経典『大日経』の「胎蔵界曼荼羅」などで宇宙観を表すものとして用いられる事もあるため、一応は空想樹の命名の共通点を押さえている。
- 「盈月」に関してはあくまでも贋作であるためか銀河との関連性が薄く、「月」が宇宙に関連する程度である。他の空想樹で銀河が広がる部分が赤く染まっているのもそのためだろうか。
- ちなみにアトラス銀河は存在しないが、キリシュタリアによって内部に「
- 空想樹戦で使用されている楽曲は、その空想樹の成長段階に応じて変化していくとされている。実際の楽曲はオロチとソンブレロが共通、メイオールはそこに主旋律を追加したもの、スパイラルはメイオール戦の主旋律を不安定にし、不協和音を混ぜたものになっている。
- 戦闘時のクラスは基本的に各異聞帯の王と同一のものが設定されているが、メイオールのみ同化した虞美人と同じアサシンクラスに設定されている。また天地人属性も個体ごとに設定されており、こちらはすべて各異聞帯の王と同じ属性が割り振られている。
- 盈月に関しても核としている正雪と同じくキャスタークラスに設定されており、天地人属性も正雪と同じく人属性となっている。
- 通常時の形態は種で、大地に突き刺さり大地から魔力を吸い上げて成長するという特性はNotes.に登場する騎士にして魔剣であるアド・エデムの特性とほぼ同じ。アド・エデムは「人間を守る為に世界を滅ぼす」という人間の在り方を具現化させたモノであるとされており、この特性についても『Grand Order』で度々敵として登場するビーストと共通している。
- 『Grand Order』第二部の副題「Cosmos in the Lostbelt」は意訳すると「異聞帯の中の宇宙」となり、空想樹の「異聞帯に生えており、内部に銀河という宇宙空間が広がっている」という特徴と一致する。
- アニメ『Fate/Grand Order 藤丸立香はわからない』の公式サイトでは、トップページ上部の背景に浮かぶ白紙化地球に一本だけ空想樹が生えている(ただし、アニメはおろか原作漫画でも空想樹は現状登場していない)。
- ここで生えている空想樹の状態は中国異聞帯の空想樹メイオールに近い。
話題まとめ[編集 | ソースを編集]
脚注[編集 | ソースを編集]
注釈[編集 | ソースを編集]
出典[編集 | ソースを編集]