巌窟王 エドモン・ダンテス

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2024年4月14日 (日) 03:32時点における腐りかけの大福 (トーク | 投稿記録)による版 (→‎概要)
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アヴェンジャー
真名 巌窟王/エドモン・ダンテス
読み がんくつおう / -
外国語表記 The Count of Monte Cristo / Edmond Dantès
本名 エドモン・ダンテス
異名 巌窟王、モンテ・クリスト伯
性別 男性
身長 185cm
体重 75kg
好きな物 それらを語る事に、もはや意味はない
苦手な物 悪逆、不道徳、不条理、理不尽
天敵 ナイチンゲール、ジャンヌ・ダルク、メルセデス、エデ
出典 デュマ著『モンテ・クリスト伯』?
地域 フランス
属性 混沌・悪
副属性
一人称 俺・オレ[注 1]/私
二人称 おまえ/貴様
三人称 奴/彼/彼女
声優 島﨑信長
デザイン 小松崎類
設定作成 桜井光
レア度 ☆5
初登場作品 Fate/Grand Order
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概要

復讐者」のサーヴァント

略歴
魔術王が人理焼却を行おうとする頃に現界したサーヴァント。彼は第四特異点の定礎復元後、魔術王から第一の塔オガワハイムを新たな特異点とする旨の依頼を受ける。だが、魔術王の目的や理念が自身とは相容れないものと判断し独自に行動していた。本件における黒幕であり、立場上は魔術王の尖兵として彼は最初に主人公の前へと立ちはだかる。
その折、両儀式に自身の影を殺されたことで「仕事」は失敗に終わる。
そして後日、魔術王の仕掛けた呪いをきっかけとして、監獄塔に精神と魂を幽閉された主人公の前に、その姿を現す。主人公に現在の状況と脱出の手立てを示す導き手であり、自らも主人公を仮のマスターとして戦いを促し、共に七つの「裁きの間」へ挑む。
その実、彼の言動そして能力から、彼こそ主人公を殺すために送り込まれた刺客そのものであったと思われるが、離反したことが窺える。これは彼がゲーティアの騙し討ちにも等しい計画に激怒したことに起因する。元から性質が相容れないことに加え、本件が決定的となり反旗を翻したのだ。そして主人公の魂を見定め、ゲーティアへの反逆と報復を為すために、彼を導くことを選択した。その際に最後まで導く為に第七の裁きを担当していた傲慢の具現からその座を奪い去っていたのではないかと思われる。
始めは主人公を試したり嘲るような態度を取っていたが、隔絶された監獄塔において進み続ける主人公を認めて好意的になっていく。
しかし、本来の「シャトー・ディフ」がそうであったように、この監獄塔も脱出できる者はただ一人。彼は最後の試練として立ちはだかり、最後の死闘を行う。
そうして巌窟王は主人公に殺されたが、それこそが彼の勝利であった。かつて彼を導いたファリア神父と同じように、あるいは復讐を成し遂げられないで生涯を終えた彼が知ることのなかったもの──『不条理に貶められた者を導く』という勝利と救いを得た。
最後に、消え去る間際「この世にいてはならない英霊」と称された彼に、主人公は再会を望んだ。それを受けて彼は主人公へと最大の敬意を示し、激励と共に監獄塔での霊基を消滅させた。
けれど、彼の英霊としての歪んだ在り方によってなのか、ここで異例の事態が発生する。主人公の精神の奥底であり、悪性情報が蓄積するとされる廃棄孔(厳密には非常にソレと酷似している機構をもっている「主人公にとっての廃棄孔」)。そこへ監獄塔にて殺された巌窟王の残滓が流れ込んだ際に、彼という個は霧散することなく自我と力をを保ったのだ。それ以降の『監獄塔で七日間を過ごしたアヴェンジャー』は、主人公の精神に蓄積している悪性情報(彼曰く「恩讐」)を焼却し続けている。
この「廃棄孔の彼」は、彼が言うには、カルデアで改めて召喚された巌窟王とは本質的には同一人物だが、在り方が異なっているらしい。本人曰く危険性が増しており主人公へと牙を向ける可能性が一応はあるらしい。これは(この廃棄孔が、主人公に倒されたモノたちの悪性情報(恩讐)が流れつく場所であるという言質を踏まえると)この場に居座る彼もまた主人公によって倒された巌窟王の悪性情報(恩讐)そのものであるからだと考えられる。
並みの『穢れ』であれば彼の『炎』の餌食となるが、彼一人で対処しきれなかった淀みは定期的に形となって主人公へと牙を向けることがある。その際は外部の助力あるいは主人公と共に立ち向かっている。しかし外部の助力者によると、それでも悪性情報は主人公の中に着実に蓄積されてしまっているようだ。
また以降は主人公の精神に対しての防衛機能も担っており、悪意を持って干渉してくる外敵を退けている。致命的な心的外傷を及ぼすような事態あるいは彼にしか対処できない事態、と思われる場合には姿を現す。その様を指して『夢幻の門番が如き者』とも称された。
終局特異点『冠位時間神殿 ソロモン』では冠位時間神殿に顕れ、それまでの他の座に姿を見せなかったサーヴァント達の筆頭として、Ⅹの座を統括する廃棄孔アンドロマリウスに、彼方から超々高速による強襲を仕掛ける。
亜種特異点Ⅰ『悪性隔絶魔境 新宿』では最後の最後で主人公の元へ駆けつけ、助力を行う。そして主人公の戦いが続く限り力を貸すことを告げた。彼の発言から、あの亜種特異点にいたと思われる男──『モンテ・クリスト伯』の著者デュマによる依頼(召喚?)である可能性が窺える。またいくつかの描写から致命傷を負ったジャンヌ・ダルク〔オルタ〕]が消滅を逃れ、全快状態で最終決戦に駆け付けられたのも、下水道に潜んでいた彼の第三宝具『待て、しかして希望せよ』によるものである可能性が高い。
亜種並行世界『屍山血河舞台 下総国』では主人公の現状を鑑みて救援の手がまだ必要と判断したホームズに促され、正規ルートで向かった風魔小太郎とは別口で下総国に侵入し、現地民の宣教師を装って主人公達のサポートに回った。『俺(オレ)』という一人称から、主人公の精神内に付属した「廃棄孔の彼(一人称は『オレ』)」がアンカーに近い役割をしていたのではないかとも窺える。
Lostbelt No.2『無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング』にて「廃棄孔の彼」が意識が精神の奥底へと墜ちてしまった主人公をある少女のもとまで導いた。その際の彼は、監獄塔で共に戦った時より弱体化していた。
Lostbelt No.5『星間都市山脈 オリュンポス』にて、主人公は脳を侵され夢の迷路に囚われてしまう。その折、弱音を吐露する主人公に対し、呼びかけを続け、主人公の決断と覚醒を促す。
『抗う』か『諦める』か、お前はどちらを選んでも良いのだと諭し、強いることはなく待ち、ひたすらに主人公を謳い、決意新たに歩む少年/少女の背中を押した。この際、彼の目が赤眼となっている。これが弱体化によるものであるのか、神性を示す赤なのかは現在不明。
自身の幕間の物語「夢の終わり、或いは恩讐の果て」では『廃棄孔の巌窟王』が消滅しかけているという事態を解決するべく、廃棄孔へとやってきた主人公とアビゲイルと『カルデアの巌窟王』と共に、蓄積した悪性情報の顕現を打倒する。その後はストームボーダーの廊下で『カルデアの彼』が著しく弱っている描写が写し出される。
奏章Ⅱにおいてはカルデアと廃棄孔の巌窟王双方の魔力を削って作成した、責務の呼び声を踏破するための特異点「不可逆廃棄孔 イド」を顕現させて主人公を誘う。同時にカルデアと廃棄孔の巌窟王は合一し、「未練の巌窟王」と以前から用意していた新たな霊基である「決意の巌窟王」に再度分裂。そして主人公に”火種として燻っていた彼/彼女の復讐心を増幅させ、それを意識的に乗り越えさせること”を目的とした七つの試練を課す。試練終盤、疑似東京に呼び込まれたアヴェンジャーたちへその真意を語り、”野暮用”への助力を求めていた。
主人公がイドから帰還後、”彼ら”はジャンヌ・オルタを始めとするアヴェンジャーたちと共に主人公の廃棄孔の底へと潜航する。そして廃棄孔にて自身の目を盗んで巣食い、主人公へとその牙を届かせようとしていた悪性情報「最終使徒・カリオストロ絶望伯」との決戦に挑む。イドという大規模な舞台を生み出した目的の半分は"悪性情報カリオストロを炙り出し、捕らえ、討伐するため”でもあったのだ。最後には窮地に駆け付けた主人公そして、ずっと陰ながら支えてくれていた元祖アヴェンジャーの助太刀もあって勝利を収める。そして『"今を生きる人間として明日のために闘う、最後の決戦”に”過去に囚われ、誰か/何かを憎み、殺すためにこそ本領を発揮する”アヴェンジャーたちそのものが加わる。「それでは、まるで意味がない」』という旨を主人公に告げ、折衷案として霊基の影を残し、カリオストロと戦ったアヴェンジャーたちと共にカルデアから退去していった。
人物
黒い外套に身を覆った色白の肌をした青年。普段は服の下に隠されているが、身体中には無数の傷跡が刻まれている。
愛から生まれ憎しみを語る復讐者。復讐を完遂しようとしたモンテ・クリスト伯の末路であり、人々に「かくあるべし」とされて存在を定められた復讐鬼の偶像。
「運命と現実への復讐者」であり、常に世界に遍く理不尽と悪意を憎んでいる。
一見すれば自己以外の世界すべてを憎悪しているようにも映るが、決して無辜なる人々を憎む悪鬼ではなく、不道徳と悪逆に満ちながら君臨する現実そのものをこそ、彼は憎み否定し続ける。
自己を「永劫の復讐鬼」として定義しており、近寄る物の全てを傷つける荒々しさと暴威に満ちている。非常に尊大で苛烈な性格であり、恐ろしげな振る舞いを見せる事も多い。また己の復讐心への無暗な共感や理解を示す者には激しい嫌悪を催す。
一方でアヴェンジャークラスの先輩同様に人間の事は悪し様に言いつつも、その魂の輝きを愛している。特に苦境に立っていたとしても、抗い進む者を好む傾向にある。とりわけ監獄塔の一件で真価を見定めた主人公に対しては全霊を賭して、心身共に力になろうとしてくれる。
主人公が歩みを止めない限り、黒炎の残滓は少年/少女と共に在る──それを彼は「契約だ」と天秤の女神に語った。夢へと流れる神霊の膨大な情報からでさえ、彼は主人公の精神を護る。またこの際に彼女が「虚数に記憶を廃棄したい」という旨の頼みを彼にしており、前述する彼の立場からこの廃棄孔は虚数空間の性質を持っていることが窺える。
この世界に於いてエドモン・ダンテスとは実在した男であり、彼は生前に『モンテ・クリスト伯』の著者であるデュマと出逢っている。
その際にデュマは『彼をモデルとした小説を書く』という取引を持ち掛けた。血と怨念に敷き詰められた彼の半生を「だからこそ美しい」と思わせるように脚色し世に広める。それによって彼に関わってきた人間がせめてもの救いを得られるかもしれないと語って聞かせた。そして彼はこれを了承した。
また加えてデュマは眼前にいる彼が『復讐を続ける限り自分の描く小説の様な救いは訪れない、九割がた一切の救いも人並みの幸福も二度と手に入らない地獄の道を辿ること』を見抜き、いまならば引き返せると忠言した。『今からでも小説のような救いが得られるかもしれない』と。
しかし、むしろ彼は道半ばで巻き込んだ「無垢なる者」の報いを己が受けることに安堵した。そして(その場に居合わせた第三者に称される)自身さえも焼き殺す黒き憤怒と魂を滾らせて、復讐への決意を強固なモノへとした。自身に救いは要らぬ、慈悲など要らぬと叫びながら破滅の道の歩みを続けた。
現在、彼がどのような末路を辿ったのかは詳しく明かされてはいない。どうやら彼も最後はエデによって救われたと思われるのだが、精神と魂と肉体を引き換えにするといった言説やエデが実在した人間であるのかすら判然としていないため謎は多い。あるいは彼がかつて言ったように英霊とも異なる「超常の存在」に「生まれ変わった」のか。
しかし、ただ一人。小説の感想と「本当の彼がどのような結末を迎えたのか」を教えに来るようにと彼に宣ったデュマ。彼だけは、その真相を知っていると思われる。仮に彼さえも知らないのだとすれば、それは伝えることすら叶わないような末路を辿った、ということになる。
その後。小説は世に伝わり、人々が想い描く『モンテ・クリスト伯』という偶像の影響を受けて「巌窟王」として座に刻まれた。現界した彼は「復讐鬼の偶像」として存在しているとされる。つまり彼は【実在したモデル】と【人々の夢想するエドモン】が混然とした英霊であると考えられ、その在り方は「灰色の男」と融合した音楽家と近似していると言える。「男の人生は物語となった。或いは物語こそが男の人生だったのか」「男は復讐の神を叫んだが、哀れ、男自身がそれに成り果てた」と彼は語った。
能力
超高速行動を用いた格闘戦や怨念の魔力投射攻撃を行い、青黒い怨念の炎を以って敵にダメージを与える。基本的には毒系であり、本来であれば直接ダメージに加えて持続ダメージやステータス異常を与える事が可能。
スキル「鋼鉄の決意」により痛覚の完全遮断、超高速行動に耐えうる超人的な心身を有しているほか、「窮地の智慧」は危機的な状況で幸運を呼び込み、また「窮地の智慧」とクラスの特殊性が合わさることで、「道具作成」も可能となっている。
奏章Ⅱではカルデアと廃棄孔の巌窟王両方の魔力を削ることで、特異点「不可逆廃棄孔 イド」や新たな霊基の作成を行っていた。
生前はただの生身の人間であり、ファリア神父に授けられた知識で相手の行動を予測し拳銃やナイフ、毒や爆薬といった罠で相手を追い詰め、負傷の痛みは秘薬で抑えるという戦術を駆使して来た他、東洋の体術をも会得し侮られていたとはいえ代行者とも辛うじて戦闘になる身体能力を得ている。
復讐相手であるプラーガ神父やタランテラといった「神秘」に属する存在には敵わなかったが、モンテ・クリスト島の秘宝が発揮され魔術刻印と魔術回路を植え付けられることで、黒き炎を放ち空を駆けた。だがそれも一時のことであったのか、埋め込まれていた秘宝が消える感覚と共に、彼自身は超常の存在として生まれ直すことでもない限り、炎を発することないだろうと推測している。ただこれは秘宝が消滅したのではなく、彼の身体に溶け込んだだけの可能性も考えられる。

バリエーション

モンテ・クリスト伯爵

かねてから魔力を削って作成していた別霊基。
主人公を旅の終局である南極へと至らせるため、責務を果たさせようと七つの試練をもたらす「決意の巌窟王」。

詳細は「巌窟王 モンテ・クリスト」を参照。

ステータス

クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考
アヴェンジャー 主人公 (Grand Order) B A+ C   B A 復讐者:A
忘却補正:B
自己回復(魔力):D
鋼鉄の決意:EX
黄金律:A
窮地の智慧:A
モンテ・クリストの秘宝:A+
強化クエストクリアで「黄金律」→「モンテ・クリストの秘宝」に変化

宝具

巌窟王(モンテ・クリスト・ミトロジー)
ランク:C
種別:対人宝具
レンジ:-
最大捕捉:1人
サーヴァントとして現界した彼は後悔と改心の果てに救われた存在ではなく、復讐心滾らせてパリへと舞い降りた「巌窟王」そのものであり、復讐の化身である。
それ故にエクストラクラス・アヴェンジャーとして現界した肉体は、その生きざまを昇華した宝具と化している(一説では、生前に邂逅したという「14の遺物」が関係しているとも)。
あらゆる毒を受け付けない強靭な肉体、精神干渉系の効果の軽減、死に至る毒炎を怨念の魔力として行使することによる攻撃に加え、自らのステータスやクラスを隠蔽、偽の情報を見せることも可能な常時発動型の宝具。
後者では『空の境界/the Garden of Order』において姿が真っ黒にしか映らなくなる他、情報も隠蔽したこともあってかマシュやカルデアのマスターが混乱していた。
真名開放の効果は溜め込んだ怨念を一気に周囲へと撒き散らされ、敵を疑心暗鬼に陥らせて同士打ちさせるものだが、その効果が『Grand Order』で使用されることはない。
虎よ、煌々と燃え盛れ(アンフェル・シャトー・ディフ)
ランク:A
種別:対人 / 対軍宝具
レンジ:1~20
最大捕捉:1~100人
地獄の如きシャトー・ディフで培われた鋼の精神力が宝具と化したもの。肉体はおろか、時間、空間という無形の牢獄さえをも巌窟王は脱する。
超高速思考を行い、それを無理矢理に「肉体」に反映することで、主観的には「時間停止」を行使しているにも等しい超高速行動を実現する。
また『終局特異点』や『亜種特異点』『亜種平行世界』といった特殊な場所に、時空の隔たりを越えて出現できているのもこの宝具の力と思われる。
宝具発動時に於いては、魔力によって形成された黒い怨念の炎が複数の分身から放たれて、対象にダメージを与える。
『Grand Order』では「敵全体に強力な攻撃[Lv]&防御力をダウン(3ターン)<オーバーチャージで効果アップ>&呪い状態を付与(5ターン)<オーバーチャージで効果アップ>」という効果のQuick宝具。
強化後はランクがA+に上昇。宝具威力倍率が上がり、「敵全体に呪厄状態(呪いの効果量がアップする状態)を付与(5ターン)」という効果が追加される。
待て、しかして希望せよ(アトンドリ・エスペリエ)
ランク:B
種別:対人宝具
レンジ:1~50
最大捕捉:1人
悪逆と絶望と後悔に満ちた暗黒の中に在って眩く輝く、一条の希望。
人間の知恵は全てこの二つの言葉「待て、しかして希望せよ」に凝縮される。
自陣のうち一名を、瀕死(戦闘不能状態)からでも完全回復させる上に、全パラメーターを一時的にランクアップさせる回復宝具。
『Fate/Grand Order』には実装されていないが、亜種特異点Ⅰで霊核に致命傷を負ったはずのジャンヌ・オルタがその後登場して戦えていたので、助けた際にこの宝具を使用して治療したものと思われている。
奏章Ⅱでは決意の巌窟王がこれを耀星のハサンに預け、一回きりだが対象を指定するだけで発動するようにさせていた。またこの際には、対象にかけられた呪詛や術式も解除できるという効果も明かされている。

真名:巌窟王 / エドモン・ダンテス

エドモン・ダンテス。「復讐者」として世界最高の知名度を有する人物。「巌窟王」として知られている。
マルセイユの海の傍らで働く誠実な男で、この世が邪悪に充ちているとは知らずに生きていた。19歳の時、悪辣な陰謀が導いた無実の罪によって孤島にある牢獄、イフの塔シャトー・ディフに囚われてしまう。
鋼の精神によって屈することなく十四年もかけて監獄島から生還し、彼は復讐鬼となった。
人間が持つ善性を捨て、悪魔が如き狡猾さと力を、そして自らに希望を与えたファリア神父より授かった救世主の島、財宝の城――モンテ・クリスト島の財宝を得てパリへと舞い降りた。それと同じ名「モンテ・クリスト伯爵」を名乗り、憤怒のままに復讐に耽って、かつて自分を陥れてフランスに君臨する有力者の人々を一人ずつ地獄へと引きずり落としたという。
その苛烈な生き様と正体を隠した復讐劇、踏みにじられ奪われた恋人メルセデスへの想いと愛執、そして苦悩と後悔から改心へと至る道程は、フランスのみならず世界中の人々に喝采され「世界で最も高名な復讐者」として人々の記憶に刻まれた。
巌窟王の物語はアレクサンドル・デュマによる創作とされるが、イフの塔に収監されたエドモンを導く「ファリア神父」の実在が現実では確認されている。またこの世界においてエドモン・ダンテスは実在した男でおり、生前にデュマと邂逅している。その折デュマは『エドモンダンテス』という青年の物語を書くことを彼に了承させた。結果として、かの作家の手によって彼の血と怨嗟と怨念に満ちた復讐劇は、だからこそ美しいと思わせるように脚色されて世に伝わることとなる。したがってエドモンダンテスという喝采を浴びる復讐者は、真実『実在した男』とは異なる存在となった。
現界した彼は「エドモン・ダンテス」を真名として複合しているものの、マルセイユの海の男であった「エドモン・ダンテス」と自分は別人であると彼は認識している。
なぜなら「エドモン・ダンテス」とはパリに於ける血塗られた復讐劇の果てに自らを構成した悪性を捨て、善性を取り戻した男の名だから。
凄絶な復讐鬼になり果てるも、最後には愛を取り戻して旅立った彼の隣には、彼を愛する異国の姫たる存在のエデがいた。
だが、サーヴァントとして現界した彼は人類史に刻まれた悪鬼の陰影、永遠の復讐者であるが故に「復讐鬼の偶像」で在り続けている。
巌窟王モンテ・クリスト―――それは復讐のためだけに生み出された、悪魔の名。
我が名は巌窟王。
愛も情も知らず憎悪と復讐のみによって、全てを灰燼に帰するまで荒ぶるアヴェンジャーに他ならない。この世界に籠姫はおらず、ならばこの身は永劫の復讐鬼で在り続けるまで――。

関連

シャトー・ディフ
フランス・マルセイユ沖に位置するイフ島に造られた牢獄。「モンテ・クリスト伯」の舞台となった。
この世に在りながら「地獄」とさえ称され、許されざる大罪を犯した者どもを収監する、死の牢獄。地上の苦しみが集った場所であり、囚われれば最後、脱出など不可能と言われていた。
唯一生還したエドモン・ダンテスも、無限の怨嗟を背負った「暗黒の鬼が如き者」と化してしまった事から、その過酷さが伺い知れる。
ダンテスは病死したファリア神父の遺体と入れ替わり、海に捨てられたことで死を偽装しながら脱獄に成功した。

登場作品と役柄

Fateシリーズ

Fate/Grand Order
『監獄塔に復讐鬼は哭く』の開催に伴い期間限定サーヴァントとして実装。
「空の境界」コラボイベントの際に顔見せとして登場し、続くイベント『監獄塔に復讐鬼は哭く』にてキーキャラクターとして登場した。
夏イベント『サーヴァント・サマー・フェスティバル!』からはモーション改修と共に霊衣「モンテ・クリストセレクション」が登場する。

Fate関連作品

Fate/Grand Order 英霊伝承ドラマCD 英霊伝承異聞 〜巌窟王 エドモン・ダンテス〜
主役として生前に彼が成した「もう一つの復讐」が語られている。

MELTY BLOOD

MELTY BLOOD: TYPE LUMINA
DLC第四弾のプライアブルキャラとして登場。

その他

ちびちゅき!
生徒役。体育祭の真っ最中でもいつもの黒マントだったために熱中症でぶっ倒れた上、朦朧とする意識でメルセデスと呼んでしまったナイチンゲールに治療として氷の塊を頭に叩き付けられる。
コハエース
型月学園回にて初登場。しかし、帽子無しの制服姿だった上に何故かジャンヌオルタを先輩呼びしていちいち言動を持ち上げまくる謎キャラと化しており、あまりのキャラ崩壊っぷりに登場から3コマ目まで秋葉にエドモンと気付いてもらえなかった(気づいた際には「お前エドモンかよ!?」と絶叫したほど)。
その癖口癖を決めるときは瞬時にいつもの服装に戻って格好付けたため、秋葉から「うるせえ、バカ」の言葉を頂戴する。
その後もちょくちょくモブ役で登場している。

人間関係

Fate/Grand Order

主人公 (Grand Order)
監獄塔に落とされた主人公に対して人間の悪業を見せることで導き、最後にはその命を以て送り出す。七日間の死闘、戦いと殺し、親しい者と頼れる者がいない隔絶された空間での試練は、主人公の精神を鍛え上げた。それはロマニに『見違えるような成長』と称されるほど著しいものであった。
人類史を焼却から救うマスターに、「悪辣な運命と現実に翻弄されるエドモン・ダンテス」の写し身としての姿と、ファリア神父やエデのような「憎悪の偶像として現界した巌窟王に寄り添う者」としての姿、二つの像を見出す。
しかし、戦いの中で、ファリア神父やエデとも、ましてや自分自身の写し身とも異なる存在であることを認識する。自分と共に歩むマスターはただひとりであり、過去現在未来他にいない。ならばそこに抱く想いも唯一のものでなければならない、と。
以降は主人公の事実上の専属サーヴァントのような存在として意識の裏側に潜み、呪詛などから人知れず彼/彼女を護り続けているという。彼の幕間や2部2章の一節など、現実と夢の狭間に迷い込んでしまったり、深刻な精神干渉を受けていた際には姿を表して現実に戻れるよう道を示すためにその姿が現れている。
奏章Ⅱでは彼に責務を果たさせるため、自身が作成した特異点へ彼/彼女を導く。そして事が終わった後は彼/彼女の下及び精神から去ることとなる。
ゲーティア
『空の境界/the Garden of Order』ではオガワハイムを新たな特異点に仕立てるべく巌窟王に依頼するも恩讐を持たないことを理由に造反され、オガワハイムをサーヴァントを変質させる空間として勝手に利用される。
続く『監獄塔に復讐鬼は哭く』でも捕らえた主人公を確実に抹殺するため再投入するが、その悪辣な所業に彼は激怒し反旗を翻す結果となり、最終的には巌窟王の思惑通りの形で計画を失敗させられる。
一度拒絶されたにも関わらず再投入していることから一定以上の評価を受けていたと思われるが、巌窟王の方はその在り方を全く好ましくは思っておらず噛み合わない。彼の憐憫は巌窟王の怒りに対する侮辱であるとしている。
ナイチンゲール
『監獄塔に復讐鬼は哭く』で初共演。記憶を喪っていた彼女に何か思うところがあったのか、かつての恋人メルセデスの名を名乗らせた。
後に最後の裁きの間で自身を止めようとする彼女と対峙。死霊を味方に付けて向かってきた彼女を「お前の刃は優しすぎた」と一蹴する。彼女の正体には薄々理解がある程度ではっきり気づいてはおらず興味もなさげであったが、記憶を喪った状態でも彼女が秘めた揺るぎない信念、偶像の域にまで至った魂のあり方に眩きものを垣間見る。
彼女曰く、彼女こそが真なる「傲慢」を司る英霊であったらしい。巌窟王が「傲慢の具現」として主人公に殺される為に立ちはだかったことを加味すると、彼こそが彼女から座を奪った調本人であり、その影響/衝撃で彼女は記憶を忘却していたと考えられる。
この事を気に留めているからか、自身の幕間や彼女の幕間、イベントなどで度々絡んでいるが、カルデアで記憶が戻った彼女と再会した後も(普段は「バーサーカー」と呼ぶものの)時折メルセデスと呼んでしまっている。このため、彼女からは青髯やファントムと同類の精神負傷者扱いされ、要治療者として追われている模様。
両儀式
オガワハイムで戦った「殺人鬼」。彼女からは「人間好き」と評されている。
彼女曰く、彼と自身は「同じタイプ」であるらしい。
ジャンヌ・ダルク
同郷の存在だが、彼が苦手とし相容れぬと位置付ける人物。悲惨な最期を遂げたにも関わらず、人間に対する憤怒・憎悪を否定した彼女の存在は、彼の芯にある激情を否定するものだったためである。彼は世界に裏切られたが如き彼女が、復讐の炎を抱いていない訳がないと彼女の在り方を疑っている。
彼女は、監獄塔において唯一自らの意思で介入した存在であるという。ここでゲーティア自身が直々に巌窟王を選んだという彼の発言と、彼が「傲慢」の座を奪っていたことと、ジャンヌが「憤怒」の座に入り込んだことを総合すると、巌窟王こそが真なる「憤怒」を司る英霊であったのだと考えられる。加えて言うならば反旗を翻した彼がその役割から『脱獄』したことによって生じた空席にジャンヌが乗じたということではないだろうか。
また彼女は、主人公にエドモンダンテスの生い立ちを語り聞かせたり、それを踏まえて彼を説得・救済しようと試みた。後悔と改心の果てに籠姫の愛によって人間へと回帰した彼ならば、と信じての行動である。
だが、彼女が語ったのは『モンテクリスト伯のエドモン』の物語であり『実在した男』の人生ではない。だからであるのか、彼女の語りに対して「オレは違う」と彼は返した。
ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕
同じ復讐者として色々思うところがある模様。アヴェンジャーとして現界した彼女の行く末を静かに見守る。
亜種特異点Ⅰではヘシアン・ロボの攻撃により致命傷を負った彼女を救助した。
ファントム・オブ・ジ・オペラ
監獄塔において「嫉妬」を司った英霊。彼の慟哭を聞き、彼こそ人間であると讃えた。
フェルグス・マック・ロイ
監獄塔において「色欲」を司った英霊。巌窟王曰くこれは本人というわけではなかったらしいが──。
それは異世界幻視譚である『トゥヌクダルスの幻視』に登場する獄卒。拷問場の一つにて強欲な者の魂へ拷問を施すアケロンという怪物がいる。拷問はこの怪物の体内にて行われるのだが、この顎を支えていた巨人の名前がフェルグスなのである。彼は同じくアルスター物語に登場するコナルの名を冠した者と共に怪物の顎を支えている。ただ、これは元々アルスター物語に登場する彼とは同一の存在ではないという見方があり、実際に作中においても巌窟王から別の存在であると語られている。
ジル・ド・レェ(キャスター)
監獄塔において「怠惰」を司った英霊。一見ミスキャストに見えるが、この場合の怠惰は「やるべきこと(騎士としての役割や振る舞い)をやらずに自分の好きなことに没頭している」という意味合いと、「神への祈りを怠ること」が当てはまる。
ジル・ド・レェ〔セイバー〕
「憤怒」の間にてジャンヌと共に現れるが、あくまで巌窟王を救おうとするジャンヌの抑えも聞かずに巌窟王を倒そうとして返り討ちにあう。
イベント中で各ボスに用意されている特殊スキルをジャンヌではなく彼が使うため、実際には彼が憤怒の担当だったのかもしれない。
カリギュラ
監獄塔において「暴食」を司った英霊。今回は主人公の状態を逆手に取り、意外な姿を見せた。
天草四郎時貞
監獄塔において「強欲」を司った英霊。巌窟王は彼を甚く気に入っている。人の善を好むからこそ悪性を否定しようとした彼の精神を評価している。苦悶と苦悩の果てに全てを赦して、世界に善を成そうとした彼の歩んだ足跡。それを指して世界で最も高潔な復讐譚であると捉え、敬愛している。
「世界を救わんとするその強欲、まぎれもなく人間性の顕れである」と。
天草の幕間の物語2では、彼の依頼で主人公の悪夢が実体化した姿を祓うための現実と精神世界の橋渡し役を担った。
アンリマユ
元祖アヴェンジャー。自身と同類でありながら、自身とは違う在り方をする存在。その在り方を尊重している。アンリマユからは「どれだけ利害が一致していても後ろからバッサリやるのがオレたちアヴェンジャー」という前置きの後に「黒コートの新入り」は例外であり、報復の在り方が異なった亜種であると言われている。
ヘシアン・ロボ
同じアヴェンジャーのサーヴァントとして、彼らの復讐に憐憫とある種の使命感を抱かせている。
作家サーヴァント
自身の人生を作品にされたことで思い入れがあるのか、執筆に取り組んでいる彼らにコーヒーを差し入れてほしいとマスターに要望する。彼自身も時折自分で入れたコーヒーを持っていっている模様。
なお、現在彼の人生を著作にした本人はまだ実装されていない。可能性はあるため、実装された場合の反応が期待されるところである。
シャーロック・ホームズ
亜種特異点Ⅰでの彼の変装相手として姿を借りられる。
その理由は「巌窟王の姿と名前であれば、見破られることを前提にしても主人公の信頼をある程度勝ち得た上で接触・忠告出来る」というもので、その無二の信頼関係があったからこその選択であったらしい。英霊の、引いては『シャーロック・ホームズ』について実在と架空を扱ったシナリオが幾つか存在していることから、彼もまた巌窟王と同種の在り方をしている可能性がある。
ジェームズ・モリアーティ
彼からは「悪を以て正義を為した」として興味を抱かれているものの、フランクに接しようとする彼を無視し全く相手にしていない模様。
ウィリアム・シェイクスピア
亜種特異点に現れた本来の目的は「囚われていた彼の救助を依頼されたから」とのこと。
依頼主は彼のファンとのことだが、これに該当するもので巌窟王と縁があるのは「ハムレット」に感激して劇作家を志したとされるデュマその人である。
マリー・アントワネット
同郷の者で「王妃」「伯爵」と呼び合う。その歩んだ悲劇と、それを経て尚笑顔である少女に対して彼は思う処がある。彼の言葉に対して、彼女は自身の在り方を応えた。
なお、巌窟王が投獄された間接的な原因にナポレオンの存在があり、父がボナパルト派だったため収監時に余計に話が拗れたという背景が原典にはある。
アントニオ・サリエリ
『灰色の男』という信仰と偶像を受けた歪極まる在り方を成す者。サリエリ曰く、巌窟王とは「リズムが合う」らしい。
用心棒
亜種並行世界の下総で敵対した相手。
ゲーム版では特に絡みは無かったが、コミック版では本拠地に偵察に行った際に遭遇して交戦している。
カーマ
主人公の意識内に侵入してくることが多いが、基本的に無害だと判断しているのか積極的に排除する様子はない。
ジャック・ド・モレー〔フォーリナー〕
こちらはカーマと比べると害があると判断しているのか、伝言を残すだけだったにも関わらず即座に黒い炎で焼き尽くそうとした。
平景清
2部5.5章とイベントを経由して縁が出来ていた為か、夢を通じて本質を探り当てられそうになり、敵意を向けた所で現れ退けた。
アビゲイル・ウィリアムズ
サーヴァントになった経緯の他、並行世界の自身が今もなお密接に主人公と関わっている点が類似している。
その為か幕間2節では霊基不調の原因が『彼』にある事を見抜かれている他、レディ・アヴァロンのバレンタインシナリオから共に精神世界の守護を担っている事が示唆されている。
奏章Ⅱではカルデアから退去する自身の代わりに、主人公の精神を守る役割を彼女に任せた。
オベロン
同じくレディ・アヴァロンのバレンタインシナリオから共に精神世界の守護を担っている事が示唆されている。
ヴァン・ホーエンハイム・パラケルスス
奏章Ⅱにおいては彼から、「小宇宙ミクロコスモス」についての話を聞いていた。
恐らくは「不可逆廃棄孔 イド」の作成、或いは主人公の精神にいるカリオストロを倒すための参考にするため、彼から話を聞いていたと思われる。

MELTY BLOOD: TYPE LUMINA

マシュ・キリエライト
自分同様、カルデアから迷い込んだ人物であり、「共犯者」のパートナー。
そのためか去就に気をかけており、最後には自分がガイド代わりになってカルデアへ帰還させた。
牛若丸
自分同様にカルデアから召喚されたサーヴァント。
いつもの格好が格好なので「今回は自重しているな」と胸を撫でおろしている。
ミハイル・ロア・バルダムヨォン
下記の「タランテラ」の現代における姿。
当然ながら印象は最悪であり、神徒からも変わり果てた有様に呆れ果てている。
彼の背景に対して生前よりも知識があるような発言をしたり、その計画がたしかに意義のあることであると理解しているが「彼の企みを砕けるというだけで価値がある」というレベルで恨みを向けている。
この際、彼からは「お前は特にこちら寄り」と言われている。
シエル
聖堂教会の一員。
彼は「鉄の女」と褒め称え「このような人物がいるならこの町も大丈夫だろう」と高く買っている。
また彼女からは「炎の中に、主の威光を感じる」「罪の浄化に特化している」と言われている。またこれに加えて「その炎は第八秘蹟会のもの」「それはもう味わいました。その責め苦では私の肉体は崩れない」と言われている。
アルクェイド・ブリュンスタッド
星の触覚にして真祖の姫君。そしてこの世界における遠野志貴の恋人である。
彼は同じく招かれた存在であるマシュや牛若丸と違い、彼女が真祖の姫であると理解しているようだ。
また彼女からは彼の外套に対して『素敵なコートね。仕立てた職人と、選んだ人の想いが今も生きているって感じ!』『貴方の旅は終わりのないもののようだけど、きっと、最期にはその人が待っているでしょう!』という言葉を贈られている。
それを聞いた彼は哄笑を上げ『貴様こそ、よい旅の終わりを迎えるであろう!』と言葉を返している。
彼女曰く、辛いのに無理をしているところが志貴にほんのちょっぴり似ており、こうした激励を贈りたくなったそうだ。

生前

メルセデス
愛し合った相手。しかして二人の仲は第三者により引き裂かれた。
フェルナンに体を許しアルベールという一人息子まで産んだが、心は決して折れておらず、生きているかも分からぬエドモンを愛し続けていた。
『モンテ・クリスト伯』においては唯一モンテ・クリスト伯の正体がエドモン・ダンテスだとひと目で気づき、また彼女の子アルベールの存在がモンテ・クリスト伯をエドモンに引き戻した。
ファリア神父
シャトー・ディフで偶然から出会った老賢者。この世界において聖堂教会に属した者。
「人々は愛され、救われるべきである」と心から信じていた、敬虔で高潔な人物。
第八秘蹟会やその裏で蠢く陰謀に気づき、いつの日か人類の未来を照らすであろう輝きの欠片、モンテ・クリスト島の秘宝を教会から奪い隠した。
結果として、ブラーガ、タランテラら三賢人によって「イタリア統一を企てた重大犯」という濡れ衣を着せられ、シャトー・ディフに送り込まれた。また彼はタランテラに掛けられた呪いによって、その真実の多くを語ることが出来なくなっていた。
神父は獄中で出逢った、地獄の中に在って輝きを失わない無垢で誠実な青年、ダンテスに全てを託すことを決めた。互いに親子と認め合うほどの絆を育みながら、神父は彼に様々な知識を与えた。
元は教会の人間ということから「神秘」の領域についても知識があり、ダンテスにはその存在を示唆していた。
そしてモンテ・クリスト島の秘宝を埋め込み、最後には自らの死により彼を解き放った。
エデ
小説『モンテクリスト伯』においては、エドモンが復讐の為に利用すべく救い出した少女。
元はさる王族の姫だったが、エドモンの復讐相手フェルナンの裏切りにより家族も地位も全て奪われ、奴隷になっていたところをエドモンに救われた。
エドモンを深く愛しており、最後は彼女を置いて去ろうとする彼に愛を打ち明けて彼の心に救いをもたらし、共に新しい人生へと旅立っていった。
原典においては二十歳にもならないまだ若い少女であり、四十を過ぎたエドモンにとっては義理の娘としか思えず、彼女の恋心に気付くのは物語の最後も最後であった。
彼女もまたエドモンダンテス同じく、この世界の陰にて実在した存在である。
「英霊伝承異聞」においてはダンテスと念話のような会話を可能としており、ダンテス以外の人間には存在を感知されていない。彼の「お前の眼は運命さえ見通すのかも知れない」という言葉やただの幻だという認識も相まって謎に包まれた人物。彼の遺物についても言及しており、そもそも人間であるのかすら判然としておらず、遺物に纏わる存在であることも伺える。
自身がカルデアに召喚された際は、彼女も自身の霊基の片隅に同行していたが、自身が精神を負傷していたためにその存在を認識できなかった。
モレル氏
投獄される前のダンテスの雇い主であり、彼の乗っていた船「ファラオン号」の持主。
ダンテスが投獄された際には残された彼の父親やメルセデスを気にかけつつ復古したナポレオンに彼の解放を願い出るなど懸命に動いてくれていたのだが、ナポレオンの再度の失脚によりそれらの行動が「熱心なボナパルト派」という疑惑に変わり苦境に立たされてしまう。
その後不幸が重なり負債が膨らみ、自殺による名誉の維持とそれに伴う同情による遺される者達の状況の緩和を覚悟するほど追い詰められるが、裏から手を回したダンテスにより苦境を脱する。
死の間際に家族らに「きっと墓から出てきたエドモンが助けてくれたのだ」と語り、穏やかに天寿を全うした。
「英雄伝承異聞」では上記の事情に加え、ダンテスへの攻撃の一環としてタランテラにより縁者を殺害されるという不幸にも合っている。
なおモレル氏の息子マクシミリアンは立派な若者として成長を遂げており、彼の誠実な態度と、ヴィルフォールの娘への一途な恋心が、最終的にダンテスへの救いへと繋がっていく。
ジョヴァンニ・ベルトゥッチオ
モンテ・クリスト伯の家令。
コルシカ島の密輸業者であったが、濡れ衣を着せられたところをダンテスに救われ、以後モンテ・クリストに仕えるようになる。
元陸軍中尉であった兄がいたが、不審死を遂げたその兄の捜査を「ナポレオンの部下だったから」という理由で無視したヴィルフォールへと復讐を目論む。
結果的に彼が引き取って育てていたヴィルフォールの私生児が、その復讐を果たす一因となった。
フェルナン・モンテゴ、ダングラール、ジェラール・ド・ヴィルフォール
復讐対象となった三人の男達。
フェルナンはメルセデスへの想い故に、ダングラールは若き船長という約束された未来への妬みに、ヴィルフォールは己と父の保身の為にエドモン・ダンテスを陥れた。
ダンテスが脱獄した時にはフェルナンは軍人、ダングラールは銀行家、ヴィルフォールは検事総長として出世を果たし、フェルナンはメルセデスと結婚し子ももうけていた。
後に帰参したダンテスにより社会的破滅や経済的痛打、時には家族までも巻き込んだ報復を受け、自殺、茫然自失、発狂と悲惨な末路を遂げる。
しかしダンテスはこの中の誰一人として直接手にかける事はなく、逆に罪なき家族を巻き込んでしまったことで深い後悔に苛まれてしまう。
ガスパール・カドルッス
準復讐対象とでも言うべき相手。ダンテスのかつての隣人であり、ダンテスの父が窮しているのを知っていながら借金を取り立て、餓死するのも放置していた(老ダンテスが息子を待つのに疲れて自ら餓死を選んだのもあるが)。
ダングラールとフェルナンが悪事を企てていた現場に偶然居合わせていたものの、酩酊していたために看過。その後ダンテスが逮捕された時は二人に真実を暴露するよう訴えたものの、逆に現場にいた自身を巻き込むと脅迫されて黙秘してしまう。
この「間の悪かった」出来事に端を発して二転三転の人生を送った末に殺害されており(ダンテスによってではない)、自身の再度の妨害に現れたジャンヌにダンテスはそのタイミングの悪さを「カドルッスにも匹敵する」と罵倒している。
コンチェッタ
ダンテスの従者。
モンテ・クリスト伯の家令ジョヴァンニ・ベルトゥッチオの従妹。ダンテスを「おじ様」と慕う。
コルシカ人の密輸業者の娘であり、幼少の頃からダンテスに面倒を見てもらっていた。またエドモン・ダンテスの本名も知っている。不審な死を遂げた従兄(ジョヴァンニの兄)の捜査を「コルシカ人だから」という理由で無視したヴィルフォールへと復讐を目論む。普段は伯爵の従者たらんと男装と共に自身を律しているが、本来はよく笑い歌う少女であったという。
ダンテスに遺物の在り処を語らせるため、タランテラによって強襲を受ける。勇敢にも抗って致命傷を負わせるも、死徒である故に再生され、殺害されてしまう。最期の一時までエドモンダンテスの救済と安寧を願い、彼を強く想っていた。彼女の死を以てダンテスの遺物は、その異能を発現した。
アンジェロ・ブラーガ
ファリア神父を陥れた三賢人の一人であり、復讐対象。
エドモンは屋敷へ招いて毒殺を謀るもブラーガが「特殊な訓練を受けている」為に効き目はなく、黒鍵と聖書のページで構成された籠手により逆に追い詰められてしまう。
しかし、奥の手である「地中に埋めた爆薬の炸裂」で致命傷を負わせ、最終的に持ち主に返す形で、黒鍵を心臓に突き刺し殺害した。
タランテラ
ファリア神父を陥れた三賢人の一人であり、復讐対象。代行者であり、『月姫』世界におけるミハイル・ロア・バルダムヨォン
ダンテスの暗躍を察知し、聖遺物を隠し持っていると思われる彼を誘うべく伯爵の知己を殺めた。その犠牲者の中には伯爵のかつての恩人であるモレル氏の縁者も含まれている。
ファリア神父曰く「運命との出逢い」を経ることがなかったので、純粋な『永遠を求める魔術師』として在り続けている。
世界の基盤が異なることと上記の出逢いを経ていないため『月姫』世界より大きく弱体化しているが、死徒化はしている。これによりダンテスは『当時の人間に可能な策と罠、武装』で彼と相対するも一方的に蹂躙され、挙句にコンチェッタを殺されてしまう。
しかし、人を『火の王』として造り変える十四の遺物あるいは十三の秘宝で超常の存在へと化したダンテスの黒炎により、魂まで焼き尽くされて消滅した。
彼曰く、ダンテスの黒い炎は『神なき人々が見る絶望。地獄。虚無の火炎』と称されるモノであり、神話の域に在る存在らしい。彼はファリア神父と同じく遺物が何であるのかを知っていたようだ。
枢機卿
ファリア神父を陥れた三賢人の一人であり、復讐対象。
ブラーガ、タランテラを葬った後、ダンテスによって失脚させられた。
ナポレオン
フランス皇帝。モンテ・クリスト伯の物語開始時点では失脚してエルバ島に幽閉されており、その後復権するも間もなく再度失脚する。
若き船乗りエドモン・ダンテスが、エルバ島にともに幽閉されていたナポレオンの側近・ベルトラン元帥あての荷物を配達した際、ナポレオンに面会してしまったことが、エドモンを陥れる陰謀に利用される。
その後復権した際にはモレル氏よりエドモンの開放を訴えられるが、その結論が出る前にワーテルローの戦いに敗北して再度失脚してしまう。
エドモンを直ちに開放できなかったことを座に招かれて以後も悔いており、カルデアに召喚された後も憎悪の対象だろうと思いこんでいた。
なお史実においてはダンテスのモデルの一人であるデュマの父、トマ=アレクサンドル・デュマ将軍と極めて仲が悪く(黒人ハーフである彼への差別意識、ナポレオンと全く異なる彼の美丈夫さや前線兵士からの信頼に対する嫉妬であろうとされる)、デュマ将軍を失脚させてその名誉を剥奪し、またフランス革命前後に進められた黒人や奴隷の権利関係を全て撤廃するなどの行為を働いている。
アレッサンドロ・ディ・カリオストロ
何度か敵対したことがあるらしく、カルデアでは彼を見て「顔を見るだけで怖気がする」と言及している。
奏章Ⅱでは悪性情報として主人公の精神に居ついた彼を倒すため、「不可逆廃棄孔 イド」を作成した。
テオドリックラ・ベート・デュ・ジェヴォーダン
1838年、復讐対象であるフェルナン・モンテゴの調査部隊が彼らによって全滅したため、「そんなことで彼に失脚されては自らの手で復讐できない」として討伐した。

その他

アレクサンドル・デュマ・ペール
自身の人生を著作にした男。エドモンは「性質の悪い小説家め」と毒づいている。
彼を作品にした事に対しては悪びれる気持ちはないようだ。
遠野秋葉
コハエースの学園回で初登場した際、あまりのキャラ崩壊ぶりに彼女に登場数コマ後まで誰なのか気づいてもらえず、そのくせカッコつける時だけ普段の服装に戻って決め台詞を口にした結果「うるせえバカ!」のお言葉をいただく。

名台詞

戦闘

「慈悲などいらぬ!」
「我が往くは恩讐の彼方…『虎よ、煌々と燃え盛れアンフェル・シャトー・ディフ』!」
宝具解放。自身に慈悲など要らぬと傲慢にも叫び、この世の地獄を脱する過程で培われた鋼の精神力で以て、巌窟王は現世に存在するあらゆる縛めからも脱する。

マテリアル

「──待て、しかして希望せよ」
口癖。『モンテ・クリスト伯』の最も有名な名台詞。
如何なる環境、苦境、逆境あるいは絶望に在ろうとも、人間にはそれだけは許される。輝きを捨てずに抗う事が出来る。

マイルーム

「俺を呼んだな! 復讐の化身を! そうとも、俺こそ黒き怨念。エクストラクラス、復讐者アヴェンジャーである!」
召喚時の言葉。彼は復讐者の偶像、人の怨念、復讐鬼の偶像であり、かくあるべしと定義された歪んだ存在。もはや個人の名など意味を持たない。彼は巌窟王、悪逆と不条理に満ちた世界に抗う声を聞き、それに応じる報復者。その在り方に彼は準ずる。
「作家系のキャスターがいるな。よかろう…ウェイター! 彼にコーヒーを!」
マイルーム会話「ハンス・クリスチャン・アンデルセン」、「ウィリアム・シェイクスピア」。
元ネタは2004年に放送されたアニメ『巌窟王』第1話のモンテクリスト伯の台詞「ベルッツィオ! お二人にコーヒーを!」か。
「ほう……俺以外のアヴェンジャーとして現界した者がいるか。
 俺は人の性を怒り、奴は人の性を笑う…なるほど。人間とは、分からぬものだ。」
マイルーム会話「アンリマユ」。
憎しみから生まれ愛を語る復讐者。巌窟王とは対極の存在であるが、原初のアヴェンジャーの一人として巌窟王は彼を尊重し敬愛している。彼曰く、巌窟王は復讐者の中でも亜種であるらしい。
「……おまえは、何だ? この俺にこうも付き合うなど、まるで……いや! エデとおまえは違う。おまえは、おまえだな。」
マイルーム会話「絆Lv5」。自身に真摯に向き合う光の様な主人公に、亡国の籠姫を想起するが、彼/彼女の持つは唯一のものと見極め、その輝きを尊び慮る、確かな信頼の言葉。

本編

「調停は俺から最も遠い言葉だ。その推測、挑戦と解釈した。」
『空の境界/the Garden of Order』にて。7つのクラスのどれにも該当しない黒い影のサーヴァントに「じゃあルーラーか!?」と言う主人公に対しての返答。
『監獄塔に復讐鬼は哭く』でその正体が判明するのだが、彼の言う通りその在り方もクラスの特性もルーラーとは完全に真逆と言っていい物だった。
「ここは地獄。恩讐の彼方たるシャトー・ディフの名を有する監獄塔!
 そしてこのオレは……
 英霊だ。おまえがよく知っている筈のモノの一端だ。この世に陰を落とす呪いのひとつだ。
 哀しみより生まれ落ち、恨み、怒り、憎しみ続けるが故にエクストラクラスを以て現界せし者。
 そう―――アヴェンジャーと呼ぶがいい。」
『監獄塔に復讐鬼は哭く』冒頭、監獄塔に囚われた主人公の前に突如現れ、窮地を救った後の台詞。シャトー・ディフでの七日間の地獄が始まった。
「黙れ。黙れ、黙れ!!
 黙れェ!!」
第四の扉にて。「憤怒」に当たるはずだった第四の支配者に対しての激昂。憤怒を否定することは、同時にそこから起因する復讐と復讐者を否定することに他ならない。故に、悲惨な最期を遂げてもなお憤怒を含めた負の感情を抱かず、救いと赦しを口にする彼女と相容れないのは必然なのかも知れない。
ジャンヌが「人間や祖国に対する憤怒と憎悪を抱く」というありえないイフをある人物が復讐のために聖杯に願い、新たに「復讐者」として誕生したのは、余りにも皮肉と言える。
「違う、違う違う!!」
第六の扉にて。「強欲」に当たる第六の支配者のことは何やらお気に入りのようで、主人公曰く「楽しそうに話す」様子で裁きの間へと向かったのだが――そこに待ち受けていたのは第四の支配者として既に一度戦った忌まわしきジャンヌ・ダルク!思わず激昂する巌窟王であった。
なお、ちゃんと本来の支配者も一緒に居たため、そちらに向き合ってからは平静を取り戻していた。
「我が恩讐を語るな、女!」
「我が黒炎は、請われようとも救いを求めず! 我が怨念は、地上の誰にも赦しを与えず!
 "虎よ、煌々と燃え盛れ。汝が赴くは恩讐の彼方なれば"
 オレは巌窟王モンテ・クリスト! 人類史に刻まれた悪鬼の陰影、永久の復讐者である!」
ジャンヌの指摘に対して吠える巌窟王。彼女は彼に、籠姫によって救われた物語をなぞり訴えかける。
しかし彼は異なる道を歩んだ者である以上、その語りは彼には届かない。そして彼は復讐者の偶像、報復を行う者の体現。在り方を変えることは彼という存在の否定でもある。だからこそ彼は激昂するのだろうか?
「さあ、征くぞマスター。おまえとオレは最早、一心同体だ。
 あらゆる救いを断たれたシャトー・ディフに於いて、しかして希望し、生還を真に望むモノは!
 導かれねばならない・・・・・・・・・・のだよ!
 お前を! 導けるのは、このオレだけだ!」
天草、ジャンヌというWルーラーとの戦闘前にて。それに対し主人公は「何を、今さら!」「……必ずカルデアに戻る!」と返す。
繰り返される死闘、諦めずに知己すら斃して進む少年/少女を、彼は導くに相応しい輝きだと見定めた。
この辺りで巌窟王に対して一種の相棒の様な感覚が芽生えたプレイヤーも少なくなかった。
「そこを退け、女。オレは積極的に女を殺しはしない。」
第七の扉にて。立ちふさがろうとするメルセデスに対して言った言葉だが、主人公から「どの口で!?」「ジャンヌさんの時は全力でしたよね」と突っ込まれる。返答は「あれはルーラーだ。人間城塞だ。女というには心身ともに堅すぎる」とのこと。
「―――はは、○○よ!オレたちの勝ちだ・・・・・・・!」
主人公を罠へと嵌め、自身をその刺客として選んだゲーティアに対する報復の達成。
主人公との一騎打ちに破れた彼は監獄塔での真意を語る。彼――巌窟王モンテ・クリストにとって主人公が牢獄から解き放たれる事は、生前自身が果たせなかった「勝利」と等しい事だった。
「あの時、おまえは見逃されたのではない。もう”終わるもの”と見捨てられたのだ。
 だが―――はは、ははは! 結果はこの通りだ! 残念だったな魔術の王よ!
 貴様のただ一度の気まぐれ、ただ一度の姑息な罠は、ここにご破算となった!
 オレなんぞを選ぶからだバカ者め! ざまあない!
 歩むがいい! 足掻き続けろ! 魂の牢獄より解き放たれて―――おまえは!
 いつの日か、世界を救うだろう!」
最期の要たる自身を見事に打ち破り、シャトー・ディフより脱獄する主人公への最大の賛辞と送り、共に魔術王を名乗る獣に一矢報いたことを高らかに謳う。
いつかの恩師のように、外界へ希望を送り出す喜びを胸に。
「……再会を望むか、アヴェンジャーたるオレに?
 はは、ははははははははは! ならばオレはこう言うしかあるまいな!
 ”―――待て、しかして希望せよ”と!」
主人公に「―――キミは、永遠に消えるのか?」問われての返し。
数多の英霊を始めとして存在を咎められ、マシュにすら『存在してはならない英霊』とまで本能的に揶揄される復讐鬼に、目の前の少年/少女は再会を望んだ。
分かり合あえずとも寄り添える、そんな輝きを持ったマスターへと、これ以上のない言葉で応えて、監獄塔での彼は消滅を迎えた。
「ハ。ハハハ。クハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
「笑わせるな、廃棄の末に絶望すら忘れた魔神ども! 貴様らの同類になぞ、その男(女)がなるとでも!」
「そうだ!
 この世の果てとも言うべき末世、祈るべき神さえいない事象の地平!」
「確かに此処は何人も希望を求めぬ流刑の地。人々より忘れ去られた人理の外だ。だが―――
 だが! 俺を呼んだな、○○!
 ならば俺は虎の如く時空を駆けるのみ! 我が名は復讐者、巌窟王エドモン・ダンテス!
 恩讐の彼方より、我が共犯者を笑いにきたぞ!」
終局特異点『冠位時間神殿 ソロモン』にて。予測外の魔神柱の出現により絶体絶命の状況の中、いつか聞いた哄笑と共に馳せ参じる。
かつて自身とは違う存在としたエドモン・ダンテスの名を共に名乗った巌窟王は、七日間の悪夢を生き抜き脱獄を果たした共犯者を再び救済する為に時空を駆ける。
「……ふん。礼には及ばん。及ばんが、そうだな……。」
「見ての通り、戦い尽くめで手が塞がっている。煙草に火を付けてくれ。」
「―――上出来だ。少しは大人になったな、○○。」
同上。監獄塔での別れから久々の邂逅だったが彼の主人公への信頼は揺らぐことは無く、かつてと同じく賞賛と共に主人公を決戦へと送り出したのだった。
主人公「……巌窟王?」
巌窟王「誰だ、それは。俺は宣教師だ。
 それよりも、だ。
 そこの男、告解したい事があるならば話してみろ、特別にこの俺が聞いてやろう。」
おぬい「こっかい???」
巌窟王「…………話したい事があるなら話せ、と言っている。」
亜種並行世界『屍山血河舞台 下総国』にて。宣教師を装って主人公達の前に助言を告げに現れる。……が、いつものもってまわった意味深な言い回しはおぬい達どころか主人公にさえいまいち伝わらず、「もう一声分かりやすく」と言われてしまうのだった。
「気にするな、南蛮渡来の燃える水という奴だ。天竺の更に西に進んだあたりではよく採れるらしいぞ。」
彼の出す黒い炎を村正に「初めて見た」と言われた際の返答。流石にそれは無理がある。しかし、その答えに村正は「宣教師以外の何物でもねえな!」と納得する。南蛮渡来(の印象)恐るべし。
「願い、欲し、足掻け。大欲抱くモノこそがヒトである!己を制さんとする古き価値カミを!殺せ!
 そうとも!おまえであれば・・・・・・・
 ーーーおまえであれば、叶うとも。」
「星間都市山脈オリュンポス」にてアフロディーテの精神攻撃を受けた主人公の精神世界に現れて言い放った激励の言葉。主人公の心をあの七日間より見続けていた彼は、少年少女の抱える悲しみも苦しさも知っている。そして、それに抗う輝きを彼/彼女が持っていることも知っている。だからこそ彼は進むことを強要もしなければ、諦めることを否定したりもしない。ただ道を示し、どちらを選んでも良いとした上で彼は少年少女の真価を謳った。彼の言葉を背に受けて、主人公は過酷な現実との戦いへと再び挑んだ。

幕間の物語

巌窟王「…………待て。」
ナイチンゲール「いいえ。措置します。」
巌窟王「左手にメスを、右手に拳銃を握るな。せめて利き手にメスを握れ。いや違う。そうではない。」
幕間の物語『悪夢、或いは恩讐の呼び声』より。普段の彼からしたら珍しいツッコミ。監獄塔での一件でナイチンゲールとは何かと縁があるが、ナイチンゲールからは要治療対象と見なされ追い回される日々を送っているらしく、流石の彼も押され気味な様子。
巌窟王「恩讐と狂気の果てに我が精神は在り、であればこそ叶う事柄も.......多くはないが存在している。」
おそらくはこれこそが彼が廃棄孔へと辿り着けた理由。「恩讐の化身(活動する悪性情報)」として定義され、存在を歪められた彼だからこそ、精神の大部分が廃棄孔へと流れつき、存在と自己を保てたのだろう。

イベント

「クッ……南国では仕方がないが、もう少しシリアスになるがいいマスター!」
『サーヴァント・サマー・フェスティバル!』にて、茨木童子と交戦中に間の抜けた声とともに加勢に入った主人公に対して。
言いたい事は分かるのだが、眼鏡に水着のナリで夜毎に浜辺でクハハ笑いして子供に人気という不審者のような有様なので、「お前に言われたくない」という気持ちになってくる。

Fate/Grand Order Arcade

「我が身に埋め込まれし13の秘宝!その力、果てしなく…」
スキルレベルアップ時のボイス。
後述する、彼が行使している力の源流である「14の遺物」から1つ足りない数になっているがこれがアーケード版限定の設定かあるいは別の理由なのかは詳細不明。
「エドモン・ダンテスは救われた。故に、二度と地上に戻ることはない。だが──オレは違う。オレはオレだ。怨讐の彼方……死の監獄にて、いつかのお前と出会った黒き炎だ。ならばオレは、お前が在る全ての世界で……お前を──」
マイルーム会話「絆Lv10」。
かつて魔術王によって送り込まれた監獄島において巡り合い、命運を共にしたサーヴァント──巌窟王アヴェンジャーと自身が同一人物である事をついに明かす。同時にアーケードにおいての主人公が本編とは別世界の同一存在である事も示唆している。
怨讐の彼方にてマスターと彼が紡いだ絆はあらゆる世界を越えても残り続け、いかなる時においても主人公の「導き手」となる道を彼は選んだのだった。

その他

「―――は。はははは……殺人鬼、代行者、吸血鬼……はは、はははは……
 知った事か! お前が正真正銘の吸血鬼であろうと、オレにとっては大差なき事であろうよ!
 代わりと言ったな……お前は! 神の!
 否、否、違う! それは、オレにこそ相応しい名だぞ! ミハイル・ロア・バルダムヨォン!」
「何故ならば……オレは恩讐の化身! ああ、そうだ、そうだとも!
 お前達の聖典に曰く! 『復讐するは我にあり』!」
「―――はは! 地上に在って怒りを具現するのは! このオレ以外にあり得まい!」
『英雄伝承異聞 〜巌窟王 エドモン・ダンテス〜』にて。ロアとの戦闘中にモンテクリスト島の秘宝によって黒い炎に目覚めるエドモン。代行者は何も聖堂協会の人間のみではなく、神の復讐怒りを体現する人間は既に地上に存在していた。

メモ

  • アンリマユから12年を経て登場した二人目の「アヴェンジャー」のサーヴァント。アンリマユの特殊性を鑑みれば、真っ当な英霊としては初となる。
  • 『Grand Order』メインストーリーにおいては何度も登場するサーヴァントだが、彼について掘り下げが行われた『監獄塔に復讐鬼は哭く』は期間限定イベントであるため、プレイヤーによっては「なんか最終決戦にいきなり出てきて彼氏面してるよく解らん奴」「いきなり出てきて同人誌作成にかかわった挙句、何の脈絡もなく終局特異点に現れたよく解らん奴」「ナニモン・ナンデス」のような状態になってしまうケースも多々ある。
    • 2019年7月に当該イベントが恒常化されたものの、プレイするためには入手手段の限られるレアプリズムを消費する必要があるので、やはり初心者には手が出し辛い状況である事には変わりなかった。…しかし、2022年1月より「第一部第四章クリアで無償解放」への大幅な条件緩和が実行され(クリア済プレイヤーにも補填あり)、残る問題は時間の余裕のみ、と言って良い状況となっている。
  • 『Grand Order』ゲーム中のセイントグラフ等に表記されている名前は「巌窟王 エドモン・ダンテス」だが、正式な真名は「巌窟王/エドモン・ダンテス」。これはヘンリー・ジキル&ハイドの「ヘンリー・ジキル/エドワード・ハイド」等と同様の表記であり、真名を2つ持っていることの表現だと思われる。
    • マイルーム会話で「我が名は巌窟王。真名も同じく」と語り、ステータス画面右上や戦闘時に表示される名前が「巌窟王」となっている等ゲーム中では主に前者が使用されるが、『監獄塔に復讐鬼は哭く』でボスとして対峙した際の戦闘画面での表記は「エドモン・ダンテス」となっていた。
    • 亜種特異点Ⅰ『悪性隔絶魔境 新宿』では「エドモン・ダンテス」を名乗る巌窟王の偽物を主人公が見破る場面がある[出 1]
  • 彼の担当声優が決定した背景には、「島崎氏によるアルジュナの演技を聞いた武内氏が巌窟王のCVも追加でお願い→島崎氏、これを快諾」という経緯があったことを島崎氏がカルデアエースの座談会で語っている。
  • 竹箒日記によれば「青年としての巌窟王」を目指した[出 2]ということで(「モンテ・クリスト伯」原作において、脱獄時には33歳、復讐を本格的に開始した頃には40代になっている)一般的な巌窟王のイメージに比べて、外見が若々しい。原作に置いてもダンテスはファリア神父の秘薬を服用することで若々しい姿を保っているが、英霊伝承異聞で描かれたダンテスの姿は、やはりサーヴァントとしてのダンテスよりも歳を取っているように見られる。
    • キャラクターデザインが『ダンガンロンパ』で有名な小松崎類氏であることから、奈須氏や一部ファンからは「超高校級の英霊」と呼ばれることも。同ゲームと『巌窟王』の間には「地獄のような閉鎖空間からの脱出」という共通項があるが故の人選か。
  • 『モンテ・クリスト伯』はデュマの創作ではあるが、元ネタとなった実話が存在する。ピエール・フランソワ・ピコーという靴屋がそれである。大金持ちの娘と婚約していた彼は、それを妬んだ三人の友人に陥れられ「王党派のスパイ」(当時、フランスはナポレオンの第一帝政であった)として投獄されてしまう。獄中生活の中、ピコーはイタリアの聖職者に献身的に尽くし、その莫大な遺産を手にした。そしてナポレオンの失脚と共に服役を終えたピコーは、遺産と変装術を駆使し、自分を陥れた三人に復讐し始めたのである。一人を刺殺し、一人を毒殺、婚約者を奪った最後の一人は家族も財産も全て失ったところで正体を明かして殺害。しかし復讐を果たし終えた所で正体を見破った別の友人に襲われたピコーは、財宝を目当てに監禁されるも黙秘を貫き、最後は水も食料も与えられぬ拷問の中で餓死したという。
    • なお『モンテ・クリスト伯』においてダンテスは復讐相手を誰一人直接手にかけてはおらず、むしろその復讐の過程で仇の身内を巻き込んでしまった事に衝撃を受けている。しかし「監獄島」クエストでは「一人ずつ、たっぷり恐怖を与えながら手に掛けて」と発言しており、これはまさしくピコーの復讐譚そのものである(加えて言えばピコーは仇の身内をも容赦なく復讐のために犠牲にし、不幸のどん底へ陥れている)。無論、巌窟王エドモン・ダンテスが本人なのか、佐々木小次郎のようにその名を被せられたピコーなのかどうかは定かでないが、原典においてファリア神父は一時期ピコーと同じ牢獄にいた事が示唆されており、本当にピコーだったとしても矛盾はなく、そうでなくともダンテスにピコーの存在を語っていた可能性は十分にある
  • 『Fate/Grand Order』の期間限定イベント『サーヴァント・サマー・フェスティバル!』では水着姿を披露してくれる上、シナリオを進めると霊衣として登録される。
    • なお、水着姿になった理由は、南国でいつもの黒コートを着ていたらナイチンゲールに「そのような暑い服を着るなど精神の負傷が深刻」と言われて追い回されたためだとか。

話題まとめ

小説「モンテ・クリスト伯」と無数の翻案作品
「巌窟王」という名称で有名だが、実はこの名称は日本で最初に出版された際の邦題であり、原作内では使われていない名称である。訳者の黒岩涙香は本作の他にも「モンテ・クリスト伯」フォロワー作品の一つであるマリー・コレリ作の「Vendetta! or The Story of One Forgotten」を『白髪鬼』という邦題で翻訳しており、これが「監獄塔に復讐鬼は哭く」の第一の扉・黒髪鬼の元ネタと推測される。
翻案作品『虎よ、虎よ!』とアニメ『巌窟王』
「虎よ、煌々と燃え盛れ」という宝具名や、瞬間移動を使うことなど、『モンテ・クリスト伯』をモチーフとしているSF小説『虎よ、虎よ!』のオマージュと思しき要素が見受けられる。
宝具開帳の口上は『虎よ、虎よ!』の別題『我が赴くは星の群』、宝具名はタイトルの由来であり小説冒頭にも引用されているウィリアム・ブレイクの詩『虎』 (The Tyger) の冒頭「虎よ、虎よ!ぬばたまの闇に燦爛と燃え(Tyger, Tyger, burning bright)」からか[注 2]
そのエドモン・ダンテスのイメージには全くそぐわないダイナミックな戦いのインパクトもあって、「エドモン・ダンテスではないと言うが、ならガリヴァー・フォイル(『虎よ、虎よ!』の主人公)なのでは?」などとネタにされたりも。『虎よ、虎よ!』の主人公フォイルは「漂流する宇宙船にたった一人取り残された際、自分を見捨てて立ち去った豪華宇宙船と所有者たちへの復讐」のためジョフリー・フォーマイルを名乗って宇宙を駆け抜けるのだが、体をサイボーグ化しての高速戦闘を行ったり、最終的には人類史上最強のテレポート能力者として覚醒するなど、エドモン・ダンテスのモーションはかなりフォイルの描写に近い。また苛烈な復讐鬼を装っているが内心は優しいままのダンテス、紳士的に振る舞いつつ内心は怨念の塊であるフォイルは一見して正反対だが、最後は共に人類への希望を高らかに歌い上げるあたりも共通点といえる。
ぶっちゃけ、2004年放送のSFアニメ『巌窟王』の影響を大層に感じるキャラクターである。この宇宙を舞台にしたスペースオペラ版『巌窟王』も、元々は『虎よ、虎よ!』のアニメ化が著作権問題で頓挫したためモチーフ元の『モンテ・クリスト伯』を大幅アレンジする形になった作品である。主人公を教え導く姿、ダンテスが神秘の力と融合する事で異能を獲得する、『巌窟王』と『エドモン・ダンテス』は明らかに別の存在として描写されているなど、実際に結構な類似点がある。ちなみにアニメにおいてダンテスを担当する声優は中田譲治氏。
熊谷カズヒロの『モンテ・クリスト伯』
2012年から連載された漫画版モンテ・クリスト伯であり、スチームパンク的19世紀を舞台にダンテスと秘密結社・永劫教会の戦いを描いている。かなり伝奇要素、スパイ要素の強い作品なのだが、「モンテ・クリスト島に眠る未知の存在と融合し超人と化したモンテ・クリスト伯」「宿敵たちは謎の秘密結社の陰謀に関わっていた」「褐色肌の女執事を連れている」「アレクサンドル・デュマと面識がある」「小説作品『巌窟王』は実際のダンテスの復讐をデュマが翻案したもの」など、巌窟王エドモン・ダンテスとの共通点が多い。もちろん原典を同じくするが故のシンクロニシティという側面が大きかろうが、超人として戦うダンテスの先行作品として述べておきたい。
「暗黒の鬼が如き者」
礼装の説明における「暗黒の鬼が如き者」と化したというのは原作上でもあながち間違いではなく、原作で彼を見かけた貴族の婦人からその顔の青白さにより「ルスヴン卿」呼ばわりされている。
ルスヴン卿とはジョン・ポリドリ作の「吸血鬼」に登場する吸血鬼のことで、ブラム・ストーカーが「吸血鬼ドラキュラ」を執筆する以前に執筆された吸血鬼小説。この作品をフランスで舞台化したのが「巌窟王」執筆者であるデュマが慕っている「シャルル先生」と目される「シャルル・ノディエ」であったりする。
また、作者のポリドリはこの吸血鬼を書く以前に「フランケンシュタイン」を執筆したメアリー・シェリー(当時は結婚による改名前のメアリ・ウルストンクラフト・ゴドウィン)と面識を持ったことがあるなど、他のサーヴァントの関係者と意外な接点を持った人物である。
英霊伝承異聞
彼の生前を描いたドラマCD『英霊伝承異聞』にて、本シリーズにおける"巌窟王"(モンテ・クリスト・ミトロジー)とは、彼の師たるファリア神父が「知識」、「財宝」と並んでエドモンに託した「神秘」として描写され、ファリアが聖堂協会から奪取し隠し持っていた、モンテ・クリスト島の真の秘宝——火(死?)の王として人を作り替える「14の遺物(石)」であった事が判明する。その力は魔術の素養の無い人間に一時的に魔術回路と魔術刻印を植え付ける神話の域にある代物であり、モンテ・クリスト伯は正しい意味で「巌窟王/エドモン・ダンテス」と呼ばれるべき存在となっている。ゲーム中にある通り、青黒い炎、高速飛翔能力を操り、果ては転生によって悠久の時を生きることが出来る使徒のロアでさえ魂ごと焼き尽くすことが出来る。
この『英霊伝承異聞』はエドモンがパリに降り立ち本来の復讐を行う前のもう一つの復讐譚を描いた話なのだが、エデの正体や上記の14の遺物等多くの謎を残した作品となっている。サーヴァントの生前を描いた『英霊伝承』に巌窟王にのみ『異聞』という題が付けられている所も、『Grand Order』第二部で言及されたキーワード「異聞帯」と少なからず関連があると思われるが詳細は不明。しかし『無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング』を始め第二部のメインストーリーにて幾度か主人公の精神世界に登場し、意味深な言動を残していることから今後重要な存在となる可能性が高い。
二人の『巌窟王』
一人称の使い分け差分から、カルデアには「主人公の精神世界の番人を務めるオレ」と「サーヴァントとして召喚された」が存在している事が明らかになっていたが、長らくの間両者は同一個体なのかどうかプレイヤーの中で議論となっていた。その後、彼自身の幕間の物語2節で遂に明らかとなった情報によると、主人公の精神世界…所謂「廃棄孔」にいるのはあの監獄塔で出会った巌窟王≒終局特異点やギリシャ異聞帯で彼/彼女を導いた存在であり、カルデアにいる巌窟王≒イベントに時おり現れ、アンデルセンとシェイクスピア、マリー達と接している存在とは『同一存在の別人物』
ただし英霊の性質上、霊基を通じてある程度の記憶及び知識共有は交わされている様で、ナイチンゲールを「メルセデス」と呼ぶのもこれに由来している。この特性には当然負の側面もあり、片方が戦闘等による過剰負担によって霊基破壊の危機に陥った場合、もれなくもう片方も道連れの形で霊基消滅を迎えてしまうリスクを伴っている。事実2023年の時点で、異聞帯の過酷さと主人公が立たされている立場に比例して「廃棄孔」に蓄積されている悪性情報(恩讐)は日に日に深さと強さを増し、明らかに彼の手に余るレベルに至っていることは確実であり、エドモンの存在はかなり危うい状態となっている。同シナリオでそれ等は主人公と「サーヴァントのエドモン」によって一掃され自身と同じ役目を担う英霊も出始めてはいるものの、巌窟王の消失=主人公の精神崩壊に繋がる可能性は残されたままである。
しかし、奏章Ⅱではカルデアと廃棄孔の巌窟王両者の魔力を削って特異点や新たな霊基を作成していたことが判明。存在が危うくなっていたのもこのためであり、事が終わった後には万全の状態で力を振るう姿が見られた。
14の石
既出の表現として「14の遺物」「14の石」「モンテクリストの秘宝」「13の秘宝」と表現されている。この13と14はそれぞれ別のものを表す数字であると思われるが、それの指す内容は不明である。言葉の対応だけ見ればモンテクリストが13ということになるのかもしれない。これに加えて彼の扱う炎はこれに由来するものであると考えられるが、この炎についての詳細は不明である。ただロアから「神なき者の見る絶望、地獄」と称され、シエルからは「主の威光を感じる」「罪の浄化に特化してる」と言われている。具体的な言及は避けるが、黙示録ひいては聖書に類するものが見受けられるため一考の余地があるのではないかと思われる。また古代エルサレム市の南端にあるヒンノムの谷は「ゴミ捨て場」「焼却場」として用いられ、同時に「罪人や、相応しい埋葬をされなかった者の身体を埋める場所」でもあったという。

脚注

注釈

  1. 意図的に使い分けている節がある。
  2. なお、北米版での宝具名は丸括弧内のフレーズそのまま。完全に確信犯である。

出典

  1. Fate/Grand Order 亜種特異点Ⅰ『悪性隔絶魔境 新宿』第10節「監獄グレートエスケープ」
  2. 竹箒日記2016/3/15

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