バーサーカー
バーサーカー(Berserker)とは「狂戦士」の英霊。
概要
基本能力を問わず、ただ狂う事で破壊にのみ特化しているクラス。
伝承において狂気を得たエピソードのある英霊が該当するとされている。
クラス特性として、「狂化」を保有する。
これによってステータスの強化が可能だが、「理性が失われる」、「一部の能力が劣化、または使用不能になる」、「魔力消費量が膨大になる」などデメリットも多い。
そのため、冬木の聖杯戦争ではイリヤを除く歴代マスターは全て魔力切れによる自滅で敗退している。
また狂化のランクが高すぎるとマスターの命令を受け付けなくなり、令呪を用いる場合も複数画必要になる。
英霊に「狂」の付加要素を許諾させるだけで該当するクラスであるため、バーサーカー適性を持つ英霊は多く、その場合は召喚呪文に特定の一節を組み込むことでクラスを指定して召喚できるという(Fate/Zero)。
もともとは弱い英霊を強化するために用意されたクラス。
しかし、弱い英霊なら必ずしも余裕が生まれる訳ではなく、凛曰く「そこいらのマイナーな英霊がバーサーカーになった程度でも、並のマスターじゃ制御しきれない」とのこと。
これまで登場したのは以下61人。
英霊の個体能力に拠らないクラス基本能力:筋力C 耐久D 敏捷D 魔力E 幸運E
『Fate/Grand Order』では、シールダーとフォーリナーおよび一部ビーストを除く全クラスの弱点を突けるが、他のクラスが相性で弱点を突いた時(2倍)に比べてダメージ倍率の低い1.5倍となる。
シールダーに対しては等倍(相性なし)、フォーリナーに対しては軽減され0.5倍。同時に、シールダー以外の全クラスから弱点を突かれる。この時のダメージ倍率は通常の弱点通りの2倍。
額面上の攻撃力(ATK)に1.1倍のクラス補正を持つが、スター発生率・スター集中率ともに全クラス最低。その代わりにダメージを受けた際のNP獲得量は高めになっている事が多い。
このクラスのサーヴァントはBuster3枚・ArtsとQuickが1枚ずつと言うカード構成が標準。
メモ
- 上記のサーヴァントの他にクー・フーリン、アキレウス、エルキドゥ、ロムルス、哪吒、酒呑童子、ファントム・オブ・ジ・オペラがこのクラスの適性を持つ。
- また『Grand Order』のイベント限定敵としてバーサーカークラスのブーディカおよびエドワード・ティーチ[注 1]が、第1部第7章『絶対魔獣戦線 バビロニア』でティアマトのケイオスタイドに汚染された牛若丸が登場するが、これらは正式な適性があるかどうかは不明。
- 『Grand Order』に登場するクー・フーリン〔オルタ〕はバーサーカークラスだが、これはメイヴの願いを受けた聖杯によって変質して生まれた存在であり、本来のクー・フーリンがバーサーカークラスで召喚されたものとは異なる姿。
- 『Fate/strange Fake』ではハルリ・ボルザークがトーマス・エジソンをバーサーカーとして召喚することを目論んでいたが、適性があったのかどうかは不明である。
- ニトクリス〔オルタ〕はアヴェンジャーだがバーサーカーが混じっており、狂化スキルを保有している。
- 基本的に狂化はランクが上がるごとに上昇率ではなく上昇するステータスの種類が増える。Eランクは恩恵のない場合が多い、Dランクで筋力と耐久、Cランクで筋力と耐久と敏捷、Bランクで全ステータスが、ワンランク上がるとされている(上記の通りに上がらない者や特殊な上がり方をする者も存在する)。Aランク以上の狂化はどのように上がるのか不明。
- 意思が完全になくなるわけでも、必ず喋れなくなるわけでもなく、狂化ランクが低ければ会話も成立し、頭を働かせることもできると今でこそなっているが、『stay night』本編での説明は「協力者としての機能を一切排除し、戦闘力だけを特化させたクラス」であり、誤解や勘違いではなく、他作品が増える毎に、設定の方が変わっていっただけである。仮にアルトリアでもバーサーカーとなったらこうやって会話は出来ないと説明している。
- 「理性を失う」「喋れなくなる」という特徴の現れ方もサーヴァントによって異なり、
・一見理性があり高度な会話をこなしているように見えるが、実際は思考が固定されているためまともな会話が成り立たない者
・正常な状態では絶対にあり得ない結論に至った思考・精神状態であるが故に「狂っている」と判定された者
・会話も可能で一見では狂化の影響が見られないが倫理観の破綻と言う形で狂化を表す者
・会話も可能で思考もある程度理性的だが、全ての行動が一つの目的に固定されそれ以外は一切顧慮しないという形で狂化している者
・会話は可能であり思考もそれなりに理性的だが度の過ぎた「恋に盲目」と言う形で理性を失っている者
・特定条件で会話も意思疎通も不可能な暴走を起こすという意味で狂化している者
・機械的かつ無機質だが再臨を繰り返す事で人間性を取り戻す者
・狂化が「漫画を描く」事に向いて重度の中二病を発症という形で現れた者
など、高い狂化ランクでも普通に会話可能な者はいる。上記に挙げた8例は全て狂化ランクEXだが、最初の1例を除いた7人は全てまともな意思疎通が可能であり、最初の1例も発言内容が支離滅裂でも大雑把なニュアンス程度は読み取れなくもなく、「固定されている思考内容」に沿った会話ならば限定的にまともな会話が成り立つ事もある。最後の1例については元のクラスでは他人への攻撃性が非常に強かったため、傍から見た印象と言う意味でも理性的になったように見えている。 - メタ的な推測として、普通に喋れるバーサーカーが急増したのは『Fate/Grand Order』からであり「せっかくマイルームで会話出来るのに雄叫びしか上げないのは中々寂しく、かといって狂化のランクを低くするとキャラ性能も下がるという板挟みから、高ランクでも喋れるようにしたのではないか」という可能性もある。
- なお、会話できるとしても上記のように本来の精神の形にバイアスがかけられたり破壊衝動を増幅されたりするケースもある。この場合、本来から歪んだ精神と正常に見える言動のギャップから内面に歪みを貯め込んでいくケースがあるとのこと。
- 人間以外の種族の英霊の場合、種族の特性との兼ね合いで狂化によるステータスアップの恩恵を得つつも理性の破綻が全く無い者もいる。
- 「理性を失う」「喋れなくなる」という特徴の現れ方もサーヴァントによって異なり、
- また、本人が元々狂っていた場合の狂化の現れ方も、元からあった破綻がより悪化する者がいれば、打ち消しあってかえって普通になる者もいるなど様々。
- 生前に狂気を得た時のエピソードと極めて似た状況に再度置かれた結果、狂化が打ち消されて正常な思考と会話能力を取り戻す場合がある。『Grand Order』第2部第5章『星間都市山脈 オリュンポス』にて、月の女神ディアーナに魅入られて狂気に染まった者が、同じ女神の権能によって再度理性を破壊されようとした結果反転したケースなど。
- 理性と言語能力を失うという都合上、狂化ランクの高い英霊の宝具は特別な技術も真名解放も必要としない常時発動型の宝具が多い。
- 召喚前に選択出来るクラスで、その場合は召喚呪文に特定の一節を「我は常世総ての悪を敷く者」の次に加える必要がある。
「されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者——」 - イリヤは狂化によるマスターの負担を軽減させる為に戦闘時以外は意図的にバーサーカーの狂化のランクを低下させる事で魔力消費を抑えるという芸当を行っている。
しかし、間桐雁夜とバーサーカーの間にはそのような描写は無い。
イリヤのみが行える特別な術なのか、雁夜が行えない程に未熟なのかは不明。 - 『EXTRA』のアサシンは、マスターであるユリウス・ベルキスク・ハーウェイが他参加者の令呪(正確には腕自体)を移植した影響で、バーサーカーのクラスにもなってしまった。おそらくは元の令呪が「狂戦士」のものであり、それの影響で「暗殺者」と「狂戦士」の二属性持ちになってしまったと思われる。
- 『Fate/Apocrypha』では「アサシン・キャスター・バーサーカーは通常の聖杯戦争では勝ち抜くのは難しい」と評されている。
- まずデメリットの多さ以前に強いサーヴァントの狂化は魔力消費の激しさから運用自体ほぼ不可能。まともに扱うにはイリヤのような規格外の魔術師が必要とはっきり言って現実的ではない。
- 弱い英霊の触媒しか手に入らなかった際に苦肉の策で並程度の戦闘力まで引き上げる(対魔力はない)ためのクラスなのだから、アサシン、キャスター同様弱いクラスと位置付けられるのは寧ろ当然である。何より、後述するように「苦肉の策」としてすら破綻気味である。
- 『Fate/EXTRA』では「狂化」ではなく「バーサーカー化」の特性が与えられていた。ただし『Fate/EXTRA CCC』以降は「狂化」に変更されており、ただの表記揺れであると思われる。
- RPG作品である『EXTRA』のバーサーカーの特徴として、全体的にパラメータが高い代わりに1ターンにつき数回の「WAIT(行動しない)」が発生するようになっている。これは狂戦士のクラスに特有の「理性が失われる」性質をゲーム的に表現しているものである。
攻撃スキルや宝具が直撃すれば致命傷なのは勿論、通常攻撃でさえかなりの痛手となるバーサーカー戦だが、これによって主人公たちでも均衡した戦いとなっている。ただ「WAIT」が加わった事で行動パターンが複雑化したため、相手のコマンドが読みにくくなっている。 - 『Fate/EXTRA CCC』でギルガメッシュを選択した場合、主人公の元々のサーヴァントはバーサーカーであったとされる。ただしあくまでギルガメッシュからの伝聞であるため、真実かどうかは不明。
- このバーサーカーについては、『Grand Order』における岸波白野 (女性)のギルガメッシュ〔キャスター〕に対するマイルーム会話から、バーサーカークラスのエルキドゥだと推察される。
- サーヴァントではないが、『プリズマ☆イリヤ ドライ!!』では、雷による攻撃と大槌の宝具「悉く打ち砕く雷神の鎚(ミョルニル)」の使い手である英霊「マグニ」がバーサーカーのクラスカード(2枚目)に宿っている。
- 『Grand Order』では流石に上述のような命令不能などのデメリットは特に何もなく、どのバーサーカー相手であっても令呪は1画で同じ効果を発揮するし、攻撃も他サーヴァントと同じく選択したコマンドカードの通りに行ってくれる。その代わりとして、クラス相性が「ほぼすべてのクラスに対し、攻撃有利・防御不利」で与ダメージと被ダメージともに倍増するため、非常に脆い短期決戦特化というハイリスクハイリターンなクラスとして扱われている。
- 『月姫 -A piece of blue glass moon-』におけるアルクェイド・ブリュンスタッドこと光体は厳密にはサーヴァントでないはずだが、『型月稿本』ではバーサーカーとして扱われている。
話題まとめ
- 第四次・第五次、そして『EXTRA』と、本来の「弱い英霊を強化する」という意図に反して、生前に無双を誇った武人や規格外の存在が呼ばれている。
本来は心技体、そして宝具のいずれもが強力な英霊なのだが、理性を奪われたことで能力の多くが発揮できなくなっている。
ステータスは増幅されているが、それ以上に奪われた能力を惜しむ声がファンからは多く上がっており、元々が強過ぎる英霊にハンデを課すためのクラスと認知されていた(第四次バーサーカーは比較的狂化を活かしていたが、マスターのハンデの方が大きかった)。- そもそも、「狂化を付与した時点で魔力消費が上がる」と言う性質が、「弱い英霊の強化」と言うコンセプトに全く噛み合っていない。狂化した弱い英霊を使役だけの魔力があるなら、別クラスの元から強い英霊を呼ばない理由が薄いためである。もちろん好きな英霊を呼べる訳ではないが、狂化英霊をちゃんと使役出来るほどの魔力を持つ魔術師なら大抵は相応の立場もしくはコネを持っており、相応の触媒を手にする事は難しくない。逆に、狂化に頼らなければならないほど触媒のアテがないマスターなら、狂化英霊を使役出来るほどの魔力を持たない可能性も高い。
- そんな中、『Fate/Apocrypha』では遂に、本来の運用がなされたバーサーカーが現れた。ただ、彼女は魔力効率を自前で解消するスキルによって上記の問題点を解決しており、消費魔力の問題がバーサーカーのコンセプトにとって大きな問題である事の逆説的な証明にもなっている。
- そもそも、「狂化を付与した時点で魔力消費が上がる」と言う性質が、「弱い英霊の強化」と言うコンセプトに全く噛み合っていない。狂化した弱い英霊を使役だけの魔力があるなら、別クラスの元から強い英霊を呼ばない理由が薄いためである。もちろん好きな英霊を呼べる訳ではないが、狂化英霊をちゃんと使役出来るほどの魔力を持つ魔術師なら大抵は相応の立場もしくはコネを持っており、相応の触媒を手にする事は難しくない。逆に、狂化に頼らなければならないほど触媒のアテがないマスターなら、狂化英霊を使役出来るほどの魔力を持たない可能性も高い。
- デメリットの目立つクラスではあるが、反面、裏切りや反発を生む意思も失われるのでマスターに最も従順などメリットもある。真っ当な英霊と魔術師では意見が合わず、衝突の危険性もあるので進んでこのクラスを狙う者もいる。
- ……ということになっていたのだが、シリーズを重ねるにつれてスパルタクスや清姫、土方歳三等、平時はまともな思考と価値観を有す上に条件を満たすとマスターを速攻で粛清しようとするタイプのバーサーカーが何人も登場しており、「忠誠心の上でもどっちかというと地雷クラス」との見方が非常に強まってきている。
- また、まともな会話や思考が出来ないタイプでも、マスターとのコミュニケーションが殆どとれず、魔術師の納得がいく戦術をとれないケースもある。間桐雁夜が最たる例であり、本人は遠坂時臣のアーチャーを優先して狙いたいにも関わらず、生前の因縁からバーサーカーが雁夜の意思を無視してセイバーに襲いかかっていた。その度に雁夜には莫大な負担がかかり、セイバーとの交戦を一時的に避けるために令呪を使わざるを得なかった。
- 一応、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンのように英霊が生前関わった人物と被ったり、カウレス・フォルヴェッジ・ユグドミレニアのように狂化しながらもそれなりの方法でコミュニケーションを取って、強い信頼関係を築いたケースもある。だが、それは単に個々のマスターとサーヴァントの関係性の問題であり、「自由意志の無いバーサーカーだから」では無い。むしろ、ヘラクレスやフランケンシュタインが自分の意志を持たないだけの存在なら、劇中ほどの信頼関係を得る事は出来なかっただろう。
- 『Zero』においては、「凡そあらゆる英霊について、とある付加要素を許諾するだけで該当させることができる」と言う記述がある。
だが、セイバーについて『「剣士」以外のクラスには該当しない』、ランサーについて『狂戦士のクラスでの召喚も十分にありえた』と言う記述がある点、『Zero』のバーサーカーについても、セイバーが彼に狂戦士であった事にショックを受ける描写がある点などから、他のクラス同様にバーサーカーとして召喚出来る条件がある、と考えるのが自然。- 『Zero』の描写を「狂化を許諾する英霊=狂戦士の逸話がある英霊」「少しでも狂った逸話があれば良いので適格条件が緩い」と取れば、一応矛盾はないが、実際の所どうなのかは不明。
- 実際、『EXTRA』および『CCC』で、別クラスとして召喚されながら外的要因でバーサーカーに変化するサーヴァントが登場している辺り、クラスとして英霊に適合しやすい点はあるのだと思われる。
- 「思考形態が人間的でない」場合も「狂っている」と判定されるらしく、人間にはおよそ理解できない機械的な思考形態を有する項羽はこれが原因でバーサーカーに振り分けられている。なお、そのような事情のためか彼には「狂化」ではなく「凶化」スキルが付与されている。
- 狂気にまつわるスキルとして「精神異常」や「精神汚染」「理性蒸発」などがある。ランクが高すぎる「信仰の加護」も人格に異変をきたす要素を持つ。アタランテ〔オルタ〕は「獣化」によって狂化スキルの代替としている。
- 上記のスキル持ちも合わせて、思考回路自体がぶっ飛んでいたり、特殊な思想・願望・嗜好のままに突き進むキャラクターばかりなので、会話は出来るが言う事を聞いてくれなかったり、何らかのズレが発生するパターンが多い。
- また、後に「狂気」という名称そのもののスキルも登場している。こちらは現状フォーリナーのみに付与されているが、やはり会話は可能でも意思疎通ができないというケースは見られる。効果に関しても周囲の精神に影響を及ぼすものらしい。
- エルキドゥがバーサーカーで召喚された場合、知性を得る前の獣の姿で召喚される、とされている。この場合、狂化スキル以前に「元々知性を持っていない状態」になるが、その代わり神に手が届くほどの能力を持って顕現する。
- とりあえずバーサーカーで
- 『Grand Order』では「フォーリナーと一部のビースト以外の全てのクラスに攻撃相性有利をとれる」という特徴から、敵に完全有利をとれるクラスのサーヴァントが少ない場合や、敵がクラス混成のクエストではバーサーカーが多用される傾向が高い。
- 特に現在では「第1部はフレンドのバーサーカー頼りでクリアできる」とまで言われており、事実ヘラクレスやアルジュナ〔オルタ〕、モルガンや伊吹童子など、サポートに強力なバーサーカーを揃えているフレンドがいれば頼りになること間違いなしだろう。
- しかしながらついつい癖で「相性完全不利のフォーリナー相手にバーサーカーで固めて出撃」というミスをやらかすマスターもいるようで、バーサーカー編成をネタにした回があった『藤丸立香はわからない』の作者である槌田氏も、難所攻略時の癖でフォーリナー相手にヘラクレスを連れて行ってしまったり[出 1]、第2部第7章『黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン』のフォーリナー戦にバーサーカーを連れて行ってしまったらしい[出 2]。
脚注
注釈
- ↑ 前者は『空の境界/the Garden Of Order』、後者は『魔法少女紀行 ~プリズマ・コーズ~』にて登場。